シリア・ロシア両軍はイドリブ市一帯などへの爆撃を継続(2019年6月19日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから50日目となる6月19日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より32人(民間人16人、シリア軍兵士1人、反体制武装集団戦闘員15人)増えて1,754人となった。

うち、463人が民間人(女性97人、子供110人を含む)、571人がシリア軍兵士、720人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は76回を記録、ロシア軍も16回の爆撃を実施した。

またシリア軍地上部隊による砲撃は300発以上におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でイドリブ市一帯、アリーハー市、カフルルーマー村、ダイル・サンバル村、ハーン・シャイフーン市、カフルサジュナ村、ヒーシュ村、シャイフ・ムスタファー村、マアッラト・ハルマ村、ハーッス村およびその一帯、イフスィム村、アルバイーン山、ブサンクール村灌木地帯、ムサイビーン村、カルサア村、カンスフラ村、トゥラムラー村、サラーキブ市に対して爆撃を実施した。

この爆撃により、バイニーン村で子供2人、カンスフラ村で女性1人と子供2人、トゥラムラー村で1人、イドリブ市郊外で1人が死亡した。

またシリア軍は地上部隊が県北部の戦闘地域を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ラターミナ町に対して爆撃を実施した。

またシリア軍は地上部隊が県北部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もカフルズィーター市、ラターミナ町、タッル・ミルフ村を爆撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でアターリブ市近郊の第46中隊基地に対して爆撃を実施した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を9件(ラタキア県)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を13件(ハマー県11件、イドリブ県2件)確認した。

AFP, June 19, 2019、ANHA, June 19, 2019、AP, June 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 19, 2019、al-Hayat, June 19, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 19, 2019、Reuters, June 19, 2019、SANA, June 19, 2019、SOHR, June 19, 2019、UPI, June 19, 2019などをもとに作成。

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