シリア軍はサラーキブ市(イドリブ県)の野菜市場を爆撃、市民2人が死亡(2019年7月26日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから86日目となる7月26日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より6人(民間人3人(うち女性0人、子供0人)、シリア軍兵士0人、反体制武装集団戦闘員3人)増えて2,726人となった。

うち、811人が民間人(女性151人、子供204人を含む)、926人がシリア軍兵士、980人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は72回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」16発を投下、ロシア軍も32回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は540発におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でマアッラト・ヌウマーン市およびその一帯、マアッルシューリーン村一帯、タマーニア町、ヒーシュ村、タッル・マンス村一帯、サラーキブ市に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(7月26日付)によると、サラーキブ市に対する爆撃では野菜市場が狙われ、市民2人が死亡、8人が負傷した。

一方、SANA(7月26日付)によると、シリア軍がマアッラト・ヌウマーン市一帯にある反体制武装集団の拠点を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でムーリク市、カフルズィーター市、ザカート村、ラターミナ町、ラトミーン村、アルバイーン村、ジャビーン村、タッル・ミルフ村、ハスラーヤー村、サイヤード村、ラハーヤー村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでカフルズィーター市およびその一帯、ザカート村、マアルカバ村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県北部および北西部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もタッル・ミルフ村、ジャビーン村、カフルズィーター市、ラターミナ町、ラトミーン村、ハスラーヤー村、ザカート村を爆撃した。

一方、SANA(7月26日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がシリア政府支配下のムハルダ市、サルハブ市、アスィーラ村を砲撃し、民家などが被害を受けた。

これに対してシリア軍はムーリク市、カフルズィーター市、ラターミナ町、ジャビーン村、ハスラーヤー村にあるシャーム解放機構とイッザ大隊(イッザ軍)の拠点を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でICARDA、ナヒール村、クサイビーヤ、バルクーム村、バウワービーヤ村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(ハマー県2件、ラタキア県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を14件(アレッポ県3件、イドリブ県4件、ハマー県7件)確認した。

AFP, July 26, 2019、ANHA, July 26, 2019、AP, July 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 26, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 26, 2019、Reuters, July 26, 2019、SANA, July 26, 2019、SOHR, July 26, 2019、UPI, July 26, 2019などをもとに作成。

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