シリア・ロシア軍はイドリブ県を爆撃し民間人8人が死亡、シリア軍と反体制派の戦闘で兵士・戦闘員59人死亡(2019年8月25日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が爆撃を激化させてから116日目を迎えた8月25日、シリア・ロシア軍は同地への攻撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は85回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」65発を投下、ロシア軍も50回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は900発におよんだ。

シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より67人(民間人8人(うち女性2人、子供1人)、シリア軍兵士28人、反体制武装集団戦闘員31人)増えて3,855人となった。

うち、991人が民間人(女性176人、子供245人を含む)、1,322人がシリア軍兵士、1,542人が反体制武装集団戦闘員。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でジャルジャナーズ町、カフルサジュナ村、タマーニア町、タフターヤー村、タッフ村、ダイル・シャルキー村、タッル・マンス村、マアッラト・ハルマ村、シャイフ・ムスタファー村、ヒーシュ村、ハルバ村、マアッラト・ヌウマーン市一帯、マアッルシューリーン村、スフーフン村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでジャルジャナーズ町、カフルサジュナ町、タマーニア町、タフターヤー村、タッフ村、ダイル・シャルキー村、タッル・マンス村、トゥラムラー村、スフーフン村、カフル・ウワイド村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が県南部および南東部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もタフターヤー村、タッフ村、ダイル・シャルキー村、タッル・マンス村、フィキーア村、マアッラト・スィーン村、ハザーリーン村を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月25日付)によると、タッル・マンス村に対するシリア軍の爆撃で、民間人5人が、マアッラト・ヌウマーン市近郊(ハーッス村)に対する爆撃で1人が死亡した。

一方、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がマアッラト・ヌウマーン市、タッフ村、タッル・マンス村、マアッルシューリーン村、ジャルジャナーズ町、ダイル・シャルキー村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

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ハマー県では、SANA(8月25日付)によると、反体制武装集団が県北部のラスィーフ村を砲撃し、女性1人が死亡、1人が負傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下するとともに、地上部隊が同地を砲撃した。

ロシア軍もカッバーナ村一帯を爆撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が県南部の戦闘地域を砲撃した。

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ダルアー県では、HFL(8月25日付)によると、ムザイリーブ町でアフマド・アブドゥッラー・ナーブルスィー町議会議長が何者かの銃撃を受け、即死した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を28件(アレッポ県12件、ラタキア県15件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(ヒムス県3件、ハマー県3件、ラタキア県2件)確認した。

AFP, August 25, 2019、ANHA, August 25, 2019、AP, August 25, 2019、al-Durar al-Shamiya, August 25, 2019、HFL, August 25, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 25, 2019、Reuters, August 25, 2019、SANA, August 25, 2019、SOHR, August 25, 2019、UPI, August 25, 2019などをもとに作成。

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