米国などによるシリア爆撃;米国防総省報道官、爆撃の限界を認める(2014年10月8日追記)

国防総省のジョン・カービー報道官は記者会見で、ダーイシュ(イスラーム国)殲滅に向けた有志連合の軍事行動に関して、「空爆だけでこの都市(アイン・アラブ市)を救援することはできない。シリアでは共に戦える十分な地上部隊がいないのは事実だ」と語り、作戦遂行の上での限界を認めた。

AFP, October 9, 2014、AP, October 9, 2014、ARA News, October 9, 2014、Champress, October 9, 2014、al-Hayat, October 10, 2014、Kull-na Shuraka’, October 9, 2014、al-Mada Press, October 9, 2014、Naharnet, October 9, 2014、NNA, October 9, 2014、Reuters, October 9, 2014、SANA, October 9, 2014、UPI, October 9, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き:フランス二枚舌外交(2014年10月8日)

『ル・モンド』(10月8日付)は、フランス治安当局(DGSI)がシリアの治安機関に対して直接連絡をとり、シリア国内でダーイシュ(イスラーム国)などの反体制武装集団に参加しているフランス人に関する情報に努めていると報じた。

同報道によると、両国治安当局の接触は2014年第1四半期に開始されたという。

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フランス大統領府は声明を出し、フランソワ・オランド大統領が、シリア・トルコ国境地帯での「緩衝地帯」設置を支持すると発表した。

「緩衝地帯」は、ダーイシュ(イスラーム国)の北進を受けて、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が設置を主張してきた。

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ジョン・ケリー米国務長官は、ワシントンDCでフィリップ・ハモンド英外務大臣と会談し、ダーイシュ(イスラーム国)への対応などについて協議した。

会談後の共同記者会見で、ケリー国務長官は、シリア・トルコ国境での「緩衝地帯」設置について、「検討に値する」と述べた。

またハモンド外務大臣も「同盟国や友好国とともに緩衝地帯が意図するものについて検討しなければならない…。必ずしもその設置を排除しない」と述べた。

これに関連して、米国防総省報道官は、トルコ・シリア国境地帯における「飛行禁止空域」の設定は提起されていないと発表した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、欧米諸国がトルコ・シリア国境に設置を示唆した「緩衝地帯」に関して、ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦いが内政干渉や体制打倒の口実となってはならない」と批判した。

AFP, October 8, 2014、AP, October 8, 2014、ARA News, October 8, 2014、Champress, October 8, 2014、al-Hayat, October 9, 2014、Kull-na Shuraka’, October 8, 2014、al-Mada Press, October 8, 2014、Le Monde, October 8, 2014、Naharnet, October 8, 2014、NNA, October 8, 2014、Reuters, October 8, 2014、SANA, October 8, 2014、UPI, October 8, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き:ヒズブッラーがヌスラ戦線との戦闘の末「ウンム・フルジュ哨所」を制圧(2014年10月8日)

ベカーア県バアルベック郡では、ジャディード・チャンネル(10月8日付)などによると、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるシリアの反体制武装集団と交戦の末、ブリータール村郊外にある通称「ウンム・フルジュ哨所」(標高2,300メートル)を制圧した。

ウンム・フルジュ哨所は、ヌスラ戦線などが潜伏するシリアのダマスカス郊外県アッサール・ワルド町郊外の無人地帯などを見渡すことができる要衝。

なおこの戦闘で、ヒズブッラー戦闘員3人が戦死したという。

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NNA(10月8日付)によると、ナバティーヤ県ハースバイヤー郡で、武器を購入し、シャブアー農場(イスラエル占領下)を経由してシリアに持ち込もうとしていたというシリア人男性1人を内務治安軍総局が逮捕した。

シャブアー農場・カフルシューバーを含むいわゆるゴラン高原では、シャームの民のヌスラ戦線がイスラエルを背にするかたちで、クナイトラ県、ダルアー県での支配領域拡大をめざしている。

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NNA(10月8日付)によると、北部県ズガルター郡エフデン市で、軍情報局がシリア人の野営地に対して強制捜査を行い、シリア人不法滞在者11人を逮捕した。

AFP, October 8, 2014、AP, October 8, 2014、ARA News, October 8, 2014、Champress, October 8, 2014、al-Hayat, October 9, 2014、al-Jadid TV, October 8, 2014、Kull-na Shuraka’, October 8, 2014、al-Mada Press, October 8, 2014、Naharnet, October 8, 2014、NNA, October 8, 2014、Reuters, October 8, 2014、SANA, October 8, 2014、UPI, October 8, 2014などをもとに作成。

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米軍などによるシリア爆撃:アイン・アラブへの爆撃続く(2014年10月8日)

アレッポ県では、米中央軍によると、米国など有志連合は、アイン・アラブ市近郊に7日晩から8日未明にかけて6度にわたり空爆を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の兵員輸送車などを破壊した。

シリア人権監視団によると、過去2日間で、アイン・アラブ市一帯に米軍などはミサイル23発を打ち込み、ダーイシュ戦闘員45人以上が死亡したという。

AFP, October 8, 2014、AP, October 8, 2014、ARA News, October 8, 2014、Champress, October 8, 2014、al-Hayat, October 9, 2014、Kull-na Shuraka’, October 8, 2014、al-Mada Press, October 8, 2014、Naharnet, October 8, 2014、NNA, October 8, 2014、Reuters, October 8, 2014、SANA, October 8, 2014、UPI, October 8, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:ダーイシュがYPGの反撃を受け、アイン・アラブ市内で若干の後退(2014年10月8日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市東部で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

この戦闘で人民防衛隊戦闘員3人が死亡した。

ダーイシュは7日にアイン・アラブ市東部の3地区を制圧し、同市南部への進行を試みたが、人民防衛隊の抵抗に合い、7日晩に制圧していた東部の一部から撤退していた。

ARTA FM(10月8日付)のムスタファー・ウダイ局長は、アイン・アラブ市での戦闘に関して、米軍など有志連合の空爆によって、同市の陥落が回避されているとしつつ、「トルコ当局は武器と戦闘員の入国を認めていない」と批判した。

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同じく、アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハンダラート・キャンプ一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団、イラン人・アフガン人戦闘員が、アンサール・ディーン戦線(シャームの民のヌスラ戦線、ムハージリーン・ワ・アンサール軍、シャーム自由人イスラーム運動など)と交戦した。

またシリア軍は、アレッポ市カースティールー地区、サイファート村を「樽爆弾」などで空爆した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(10月8日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動が、アリー末裔、ハムザ末裔を名乗る武装集団とともに、サフィーラ市近郊の防衛工場機構制圧に向けた作戦「自由人の轟きの戦い」を開始し、同機構周辺の村多数を制圧、シリア軍兵士約70人を殺害したという。

またシャーム自由人イスラーム運動は、サフィーラ市近郊でシリア軍ヘリコプターを撃墜したという。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムーリク市郊外のカッサーラ地方、第6地区などで、シリア軍とシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団が交戦した。

マサール・プレス(10月8日付)によると、この戦闘で、反体制武装集団はムーリク市近郊のシリア軍戦車大隊基地を制圧した。

また戦闘で、シリア軍側に25人、反体制武装集団側に5人の死者が出たという。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

またアサーリー地区・ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市間に迫撃砲弾1発が着弾した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区各所をシリア軍が空爆、子供3人、女性2人を含む8人が死亡した。

一方、シャームプレス(10月8日付)によると、アブー・ハディード村、ラスタン市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シャームプレス(10月8日付)によると、ジャースィム市および南部農場地帯、アトマーン村、アトマーン村・タファス市・ヤードゥーダ村街道、インヒル市、ブスラー・シャーム市、マアルバ町、ナワー市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ナースィル・サラーフッディーン旅団、ムサンナー大隊、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, October 8, 2014、AP, October 8, 2014、ARA News, October 8, 2014、ARTA FM, October 8, 2014、Champress, October 8, 2014、al-Hayat, October 9, 2014、Kull-na Shuraka’, October 8, 2014、al-Mada Press, October 8, 2014、Masar Press Agency, October 8, 2014、Naharnet, October 8, 2014、NNA, October 8, 2014、Reuters, October 8, 2014、SANA, October 8, 2014、UPI, October 8, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き:ジャルバー氏がジョン・アレン米退役大将とトルコで会談(2014年10月8日)

イラクとシリアでダーイシュ(イスラーム国)殲滅に向けた有志連合を指揮するジョン・アレン退役大将はトルコで、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー前議長およびトルコの高官らと会談し、ダーイシュへの対応などについて協議した。

『ハヤート』(10月9日付)は、複数の反体制筋の話として、この会談で、ジャルバー前議長は、米国が教練するという「穏健な反体制派」を監督するための防衛評議会の議長を自ら務めることを提案したという。

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ARA News(10月8日付)は、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首が、トルコのテレビ局のインタビュー(7日)に応じ、そのなかでトルコの治安当局高官らに対してアイン・アラブ市支援を要請し、この高官らは政府首脳に対応を求めたが、回答はなかったことを明らかにした、と報じた。

AFP, October 8, 2014、AP, October 8, 2014、ARA News, October 8, 2014、Champress, October 8, 2014、al-Hayat, October 9, 2014、Kull-na Shuraka’, October 8, 2014、al-Mada Press, October 8, 2014、Naharnet, October 8, 2014、NNA, October 8, 2014、Reuters, October 8, 2014、SANA, October 8, 2014、UPI, October 8, 2014などをもとに作成。

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