シャーム解放機構のジャウラーニー指導者がイード・アル=フィトルに合わせた会合で発言:「シリアにおいてコンセンサスや政治的解決は不可能だ。軍事的解決が基本だ」(2023年4月25日)

シリア北東部のいわゆる「解放区」における軍事・治安権限を握り、同地を事実上支配しているシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者が、同機構に「解放区」の自治を委託されているシリア救国内閣のアリー・カッダ首班、立法機関のシューラー総評議会のムスタファー・ムーサー議長とともに、シリア北東部の名士や救国内閣職員らと会合を開いた。

 

会合はイート・フィトルに合わせたもので、シリア救国内閣が公開したビデオによると、ジャウラーニー指導者は会合において、短期的に見ても、長期的に見ても、シリアにおいて政治的なコンセンサスが生じることはないだろうとしたうえで、軍事的な解決に依拠することが基本だと述べた。

ジャウラーニー指導者は、次のように述べた。

シリア情勢におけるコンセンサスや政治的解決は短期的にも長期的にも不可能だ。なぜなら、多くの国が、体制(シリア政府)、シリア民主軍、あるいは「シリア革命」を支援するかたちでシリア情勢に干渉しているからだ。
これらの国は互いに利害対立しており、どの国であっても、別の国を犠牲にしなければ、国益を実現できない。だから、コンセンサス状態は不可能なのだ。
軍事的解決に依拠することが基本だ。それが革命が当初から採用してきた選択肢であり、ダマスカスにおいて勝利を実現するまで、それは続く。
今日の状況こそが、シリア革命の黄金期だ。文民勢力が心を一つにして初めて「革命」に糾合し、体制に対峙し、建設に取り組んでいる。革命は成果を得た。今後よって立つことができる地理的領域のモデルを構築した。
革命が始まった時、体制は孤立していなかった。革命にはデモに繰り出す民衆の力以外に何も持っていなかった。それが、体制を国際的孤立へと追い込み、軍事、治安における力を奪った。

https://youtu.be/eXMgaDLzHKA

AFP, April 29, 2023、ANHA, April 29, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2023、Reuters, April 29, 2023、SANA, April 29, 2023、SOHR, April 29, 2023などをもとに作成。

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トルコのチャヴシュオール外務大臣:エルドアン大統領とアサド大統領の会談はトルコでの大統領選挙の前に行われる可能性もある(2023年4月25日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、トルコのTV100(4月24日付)のインタビューに応じ、そのなかでアサド大統領とレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の会談の日程を決める取り組みを行っているとしたうえで、ロシア側との協議次第でそれがトルコでの大統領選挙の前に行われる可能性もあると述べた。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023、TV100, April 25, 203などをもとに作成。

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シリア、トルコ、ロシア、イランの国防大臣会談が開かれ、トルコ軍のシリア領内からの撤退、M4高速道路の処遇について検討(2023年4月25日)

ロシアの首都モスクワで、シリアのアリー・マフムード・アッバース国防大臣、トルコのフルシ・アカル国防大臣、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣、イランのモハンマド・レザー・ガラーエイ・アーシュティヤーニー国防大臣による4ヵ国会談が開催され、4ヵ国の国防大臣、トルコのハカン・フェダン国家諜報機構(MİT)長官ら治安機関トップが一堂に会した。

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シリア国防省は声明を出し、「シリア、ロシア、イラン、トルコの4ヵ国国防大臣会合が開催され、トルコ軍のシリア領内からの撤退、さらにはM4高速道路の名で知られる国際幹線道路にかかる合意の実施が検討された」と発表した。

https://www.facebook.com/mod.gov.sy/posts/pfbid02gRZbCUuxVybq3m6njPSSEABAxCMq6k8QDgTuwjBqWwe7fZpoXSnf3KtdELvFDNjvl

SANA(4月25日付)が伝えた。

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一方、ロシア国防省は、ロシア、イラン、シリア、トルコの国防大臣による四者会談がモスクワで開かれ、シリアの治安強化とシリア・トルコ関係の正常化の問題を協議、テロの脅威やその兆候への対処、シリア領内のすべて過激派組織との戦いに注意が払われ、会談後、シリアとトルコの当事者が、シリアの領土保全の維持、シリア難民の帰還に向けた取り組みの強化する必要を確認した、と発表した。

ロシア国防省はまた、会談において「この形式で行われる対話が建設的であることを確認するとともに、そしてシリアと中東地域全体の状況をさらに安定させるために対話を継続する必要性が強調された」と付言した。

RIAノーヴォスチ通信(4月25日付)、タス通信(4月25日付)が伝えた。

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トルコ国防省も声明を出し、シリアの治安状況の強化、トルコとシリアの関係正常化における実効的・具体的な措置、シリア難民の帰還に向けた取り組み強化、シリア領内にいるすべてのテロ組織と過激派グループとの戦いについて、建設的な雰囲気のなかで議論したと発表した。

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しかし、シリアの『ワタン』(4月25日付)は、シリアの匿名筋の話として、関係正常化にかかる具体的な措置が話し合われたとするトルコ国防省の声明は正しくない」と否定、「会合で行われたのは、シリア領内からのトルコ軍の撤退の仕組みについての検討だった」と強調した。

https://www.facebook.com/AlWatanNewspaper.sy/posts/631705308971512

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、RIA Novosti, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023、TASS, April 25, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】アルヌース内閣は2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の被害に対処するための政府政策基本方針、震災対応国民行動計画を承認、記者会見で内容を説明(2023年4月25日)

フサイン・アルヌース内閣は定例閣議を開催し、2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の被害に対処するための政府政策基本方針を承認した。

政府政策基本方針はすべての分野を網羅し、すべての国家機関・組織、市民社会の活動、支援国、団体の取り組みを統合し、これらを体系的に連携させることで、被災地の復興と経済活動の再興、インフラ、サービス、被災者住宅の確保、被害を受けた建物の補強・修復、避難所への支援の提供を目的としている。

アルヌース内閣はまた、震災対応国民計画行動計画についても承認した。

同計画は、被災地が日常生活を取り戻し、建築物の状況を改善し、地震の影響に体系的に対処するための環境を整備することに力点を置いている。

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閣議決定の後、アルヌース首相は、ブトルス・ハッラーク情報大臣、スハイル・ムハンマド・アブドゥッラティーフ公共事業住宅大臣、フサイン・マフルーフ地方行政環境大臣、ルアイ・イマードッディーン・ムナッジド社会問題労働大臣、ハサン・ガッバーシュ保健大臣とともに記者会見を行い、政府政策基本方針と震災対応国民計画行動計画について記者らを前に説明を行った。

https://youtu.be/RS4c4XBkrsg

アルヌース首相の発言の概要は以下の通り:

  • 政府は地震発生当初から、すべての社会成員、団体、組織、連合などと連携して、被害に対処するために行動してきた。
  • 震災対応国民計画行動計画は、個人、社会の被害に包括的に対処する。
  • 復興は国家と社会の双方が果たすべき責任である。
  • 集合住宅数十万棟、それ以外にも建物5万9000棟が補強・修復を必要としていることが確認された。
  • 民間部門と連携して、被災者の雇用機会を確保し、被災した経済施設の再開、中小企業への融資を促進する。
  • 孤児や特別な支援が必要な弱者への社会サービスや避難所を確保する。
  • これまでに4500世帯が地震のh自害に対処するための融資を受けた。
  • 証書を失った被災者の権利は保護され、証書再発行に向けた措置が講じられる。
  • 被災地において失われた教育の機会を補償し、学校に設置されている避難所を8月までに閉鎖する。
  • 建物への被害の直接の原因を特定するため、社会問題労働省、地方行政環境省、大学教授、建築関連業者などからなる工学委員会を設置する。
  • 欧米諸国はシリアに対する一方的な制裁をこの間も実質解除せず、その主張は欺瞞に満ちたものだった。
  • 政府政策基本方針と震災対応国民行動計画は、地震への対応が復興段階へと移行するなかで、被災者が日常生活を取り戻し、被害を克服することをめざしている。
  • 地震は国家と社会の構造そのものに損害を与えたため、政府政策基本方針と震災対応国民行動計画は社会への被害を考慮し、市民生活にどのような悪影響を与えているかを特定することで策定された。
  • 地震が社会にもたらした損害は、天然資源、インフラ、飲料水、水道網、保健部門の施設、電力網、通信ネットワーク、保育施設、遺跡などに多岐に及んでいる。
  • 被災者が被った身体的、心理的、精神的、物的などあらゆる被害はデータベース化され、被害の種類に応じた支援が行われる。

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SANA(4月25日付)が伝えた。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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外務在外居住者省は欧州理事会がカプタゴンの製造や密輸に関与しているとしてアサド大統領の親族らを制裁対象者に追加したことを非難(2023年4月25日)

外務在外居住者省の公式筋は声明を出し、欧州理事会が24日は、カプタゴンの製造や密輸に関与しているとして、アサド大統領の親族、政権を支持する民兵幹部、ビジネスマンら25人と8つの団体を新たに資産凍結、渡航禁止などの制裁対象者に追加したことを、違法な一方的制裁措置を強化するもので、シリアに対する戦争におけるその体系的敵対と完全なる協力態勢の一環だとして、もっとも厳しい表現で非難した。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/pfbid02ExiPXodgAAsQiQLGuCnwqtkTedsg4csmUxmLkxf1HniUtGXsqZ9XmPjqEce8c8Bml

SANA(4月25日付)が伝えた。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】在ロシア・シリア大使館がロシア在住シリア人やロシア市民から受け取った支援物資を積んだ貨物機1機がフマイミーム航空基地に到着(2023年4月25日)

在ロシア・シリア大使館がロシア在住シリア人やロシア市民から受け取った食料物資、子供用品、衣服など約18トンの支援物資を積んだ貨物機1機がフマイミーム航空基地に到着した。

SANA(4月25日付)が伝えた。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】国民地震センターは過去24時間に、クナイトラ県北東部、レバノン東部、アレキサンドレッタ地方(トルコのハタイ県)、トルコを震源とするマグニチュード1.5~3.5の地震が15回発生したと発表(2023年4月25日)

国民地震センターは声明を出し、過去24時間に、クナイトラ県北東部、レバノン東部、アレキサンドレッタ地方(トルコのハタイ県)、トルコを震源とするマグニチュード1.5~3.5の地震が15回発生したと発表した。

SANA(4月25日付)が伝えた。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるアレッポ県西部、イドリブ県南部を砲撃(2023年4月25日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるカフルタアール村を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるザーウィヤ山地方のバーラ村、カンスフラ村を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、軍事情報局の傘下で活動する民兵の司令官がとその息子がマハッジャ町で正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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シリア民主軍とシリア軍第4師団がダイル・ザウル県ブガイリーヤ村に設置されている密輸用の通行所一帯で交戦(2023年4月25日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とシリア軍第4師団がユーフラテス川に面するブガイリーヤ村に設置されている密輸用の通行所一帯で交戦し、住民1人が巻き添えになり負傷した。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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トルコ軍ドローンがアレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市南部で車1台を攻撃、シリア民主軍の戦闘員を殺害(2023年4月25日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍所属の無人航空機(ドローン)が午前10時30分頃、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・アラブ(コバネ)市南部で車1台を攻撃した。

シリア人権監視団は、攻撃は北・東シリア自治局の関連組織の職員らが乗った車を狙ったもので、乗っていた2人が死亡、3人が負傷したと発表した。

一方、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の広報センターは声明を出し、「火曜日午前10:30に、我々の戦闘員の1人が乗った車がコバネ地区でイート・フィトルの休暇中にトルコ占領軍のドローンの攻撃を受け、殉教した」と発表した。

トルコ軍はまた、シリア国民軍とアイン・アラブ(コバネ)市近郊のシュユーフ・タフターニー町を砲撃した。

また、マンビジュ市のハフサ街道でシリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会の研究責任者の車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

AFP, April 25, 2023、ANHA, April 25, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2023、Reuters, April 25, 2023、SANA, April 25, 2023、SOHR, April 25, 2023などをもとに作成。

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