アスアド・シャイバーニー外務在外居住者大臣とルビオ米国務大臣がトルコのフィダン外務大臣の仲介で会談:トランプ大統領はシーザー法が定める「180日ごとの免除」条項を活用する意向(2025年5月15日)

SANAによると、トルコのアンタルヤ市で、アスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣とマルコ・ルビオ米国務大臣、そして仲介者であるハカン・フィダン外務会談が会談した。

会談では、シリアに対する米国の制裁解除の詳細、シリアと米国の関係改善、戦略関係構築の方途について協議がなされた。

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会談後の記者会見で、ルビオ国務長官は以下の通り述べた。

新しい関係の始まりである。我々が相手のことを知ってからまだ24時間程度しか経っていない。
平和で安定したシリア…を実現するためにできる限りの支援を行いたいと考えている。
現在シリアを統治している政権は、国家再建を目指す多元的な社会運動であることを表明しており、シリア社会のあらゆる構成要素が共生できる国家を構想している。また、イスラエルを含むすべての隣国との平和を望み、外国人戦闘員やテロリストを追放する意志を示し、我々に支援を要請してきた。したがって、我々は支援を惜しまない構えである。
もちろん、前進には時間がかかる。我々は一歩一歩を評価していくつもりだ。だがこれは歴史的な機会であり、もし成功すれば、地域に根本的な変革をもたらす可能性がある。
最終的な責任はシリアの指導者にあるが、トルコ、サウジアラビア、カタール、UAEなどの地域パートナーが再建支援に意欲を示していることは前向きな要素である。
制裁解除による初期効果は、米国資金の流入ではなく、地域諸国からの支援資金が流入可能になることで、政府の基礎的な公共サービス提供やインフラ再建が可能になる点にある。
また、シリア側は今日、大量破壊兵器・化学兵器の特定と除去への支援を要請してきた。彼らは化学兵器の被害者であり、今後一切こうした兵器が国内に保管されることを望んでいない。だが、それには技術的専門性が必要であり、我々は支援を惜しまないつもりである。
我々はこの道(制裁解除)を進む準備をしていた。
制裁の中核は、シーザー法に基づいており、大統領はこの法律に含まれる「180日ごとの免除(waiver)」条項を活用する意向である。
一部の議員たちからも、制裁緩和のためにこの条項を使うよう求められていた。
将来的に十分な進展があれば、議会に法の撤廃を求める用意もあるが、現時点では初期の免除措置(initial waiver)から始める予定である。

 

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一方、シャイバーニー暫定外務在外居住者大臣はXで、「我々は今日、我が国民の利益に資し、地域的および国際的な存在感を高めるべく、米国との高度な戦略的関係構築における重要な礎石を築いた」、「シリア国民は明るい未来を待ち望んでおり、我々は全力を尽くして、安全・安定・繁栄を保証する新たな地平を切り開いていく」と綴った。

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米国務省のタミー・ブルース報道官は声明を出し、ルビオ国務長官がシャイバーニー暫定外務在外居住者大臣と会談したと発表した。

声明の内容は以下の通り。

マルコ・ルビオ国務長官は本日、トルコでシリアのアスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣と会談した。会談は、トランプ大統領が5月14日にサウジアラビアでシリアのアフマド・シャルア暫定大統領と行った歴史的会談に続くものである。国務長官は、シリアの安定化を目的とした制裁緩和を米国が支持していると改めて表明した。また、イスラエルとの和平を求めるシリア政府の呼びかけ、シリアにおけるイランの影響力を排除する取り組み、シリアで行方不明または死亡した米国人の安否確認への誓約、ならびに全ての化学兵器の廃絶に向けた努力を歓迎した。長官はさらに、エスニシティや宗教を問わず、すべてのシリア人の人権保護がきわめて重要であることを強調した。

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一方、米財務省はXを通じて以下の通り発表し、国務省、国家安全保障会議とともにシリアへの制裁解除に向けて取り組んでいることを明らかにした。

財務省は、シリアへの制裁に関する大統領の指示を実行するため、国務省および国家安全保障会議の同僚たちと協力して取り組んでいる。我々は、シリアへの新たな投資を呼び込む上で不可欠となる必要な認可が実施されるのを楽しみにしている。 財務省の措置は、シリアの経済、金融部門、インフラの再建を支援し、同国を明るく、繁栄し、安定した未来への道へと導く可能性を持っている。

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