米中央軍(CENTCOM)は、ヨルダン軍とともにシリアでダーイシュ(イスラーム国)に対する「鷹の目打撃作戦」を開始:ユーフラテス川東岸に向けて無人航空機を発射させていたセルの指導者とそのメンバーら少なくとも5人を殺害(2025年12月20日)

米中央軍(CENTCOM)は、公式サイトを通じて声明(20251219-02号)を出し、シリアでダーイシュ(イスラーム国)に対する「鷹の目打撃作戦」を開始したと発表した。

先週土曜日に発生した米国および協力部隊に対する攻撃を受け、CENTCOMは、最高司令官の指示により、12月19日午後4時(米東部時間)にシリアにおいて、ダーイシュを標的とした「鷹の目打撃作戦」を開始した。
CENTCOM部隊は、戦闘機、攻撃ヘリコプター、砲兵部隊を用い、シリア中部の複数地点において70ヵ所以上の目標を攻撃した。ヨルダン軍も戦闘機による支援を行った。
本作戦では、既知のダーイシュのインフラおよび武器関連拠点を標的として、100発以上の精密誘導弾薬が使用された。
CENTCOM司令官ブラッド・クーパー海軍大将は次のように述べた。
「本作戦は、ダーイシュが米国本土に対するテロ計画や攻撃を扇動することを防ぐうえで極めて重要である。我々は、米国および地域のパートナーに危害を加えようとするテロリストを、今後も容赦なく追撃し続ける」。
12月13日に発生した米国およびシリア人要員に対する攻撃以降、米国および協力部隊は、シリアおよびイラクにおいて10件の作戦を実施し、23人のテロリスト要員を殺害または拘束した。
また、過去6ヵ月間で、シリアに展開する米国および協力部隊は、米国および地域の安全に対する直接的脅威となるテロリストを排除するため、80件以上の作戦を実施してきた。

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ドナルド・トランプ米大統領は、トゥルース・ソーシャルを通じて以下の通り発表した。

シリアにおいて、勇敢な米国の愛国者たちがダーイシュによって残虐に殺害されたことを受け、私はここに、約束どおり、責任のある殺人テロリストに対して、米国が極めて重大な報復を加えていることを発表する。私は今週初め、非常に厳粛な式典において、彼らの美しい魂を米国の地へと迎え入れた。我々は、シリアにおけるダーイシュの拠点に対して、非常に強力な攻撃を実施している。シリアは血に染まった地であり、多くの問題を抱えているが、ISISを根絶できれば、明るい未来を持つ場所である。シリア政府は、シリアに再び「偉大さ」を取り戻すために非常に懸命に取り組んでいる人物に率いられており、本件について全面的に支持している。米国人を攻撃するほど邪悪なすべてのテロリストに警告する――もしも、いかなる形であれ、米国を攻撃、あるいは脅迫するならば、これまで経験したことのないほど強烈な打撃を受けることになる。

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シリア人権監視団によると、米軍による爆撃は、ラッカ県東部、ダイル・ザウル県西部、ハサカ県シャッダーディー区にあるダーイシュの拠点を狙ったもの。

これによりユーフラテス川東岸に向けて無人航空機を発射させていたダーイシュのセルの指導者とそのメンバーら少なくとも5人が死亡、ダーイシュのインフラ施設や武器庫を標的となった。

攻撃の多くは、シリア民主軍から提供された諜報情報および報告に基づいて実施された。

ダイル・ザウル県に対する攻撃では、ダイル・ザウル航空基地周辺や、ダーイシュの元メンバーを多く擁する東部自由人運動の指導者だったアフマド・ハーイス(ハーティム・アブー・シャクラ)氏が率いる部隊(第86師団司令官)の拠点付近が攻撃対象となった。

ヒムス県農村部では、シリア軍の拠点から約2キロメートル離れたアムール山にあるダーイシュの拠点が攻撃された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア地域民主自治局の支配下にあるユーフラテス川東岸のバーグーズ村でオートバイに乗った2人組が市民2人を銃で撃ち殺害した。

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