諸外国の動き:ESCWAが紛争被害の報告会を開催(2014年9月10日)

国連ESCWA(西アジア経済社会委員会)は、ベイルートの本部で、シリアにおける紛争被害についての調査報告会を開催し、シリア人専門家、諸外国の外交官らが出席した。

「The Conflict in the Syrian Arab Republic: The Impact at the Macroeconomic Level and the Obstacles on the Way to the Millennium Development Goals」と銘打たれた報告会は、シリア人専門家ら300人によって進められている「シリアの未来のための国民アジェンダ」(http://www.escwa.un.org/sites/ESAR/project.asp?ProjectTitle=The%20National%20Agenda%20for%20the%20Future%20of%20Syria)プログラムの一環として行われた。

シリアの元副首相でESCWA-EDGE(Economic Development and Globalization Division)代表のアブドゥッラー・ダルダリー氏は報告会で、「当初は、シリアの損失の数値と実態はいかなるものか、との問いかけがなされていた。しかし我々のもとにさまざまな報告がなされるなか、シリアに何が残っているのかという問いがなされるに至った」と述べ、紛争被害の深刻さを強調した。

報告会で示されたデータ(http://www.escwa.un.org/information/pressescwaprint.asp?id_code=656)によると、2010年に600億米ドルだったシリアのGDPは、2011年には560億ドル、2012年には400億ドル、2013年には330億ドルに減少したという。

また国内の貧困率は2012~2013年には89.62%に達しているという。

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AFP(9月10日付)は、オーストリア内務省報道官の話として、警察当局がグラーツ市で、シリアに潜入しようとしていた14歳と15歳の少女(イスラーム教徒)を補導した、と報じた。

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国連の潘基文事務総長は、『ハヤート』(9月10日付)のインタビューに応じ、そのなかでアサド政権に正統性はないとする欧米諸国寄りの自身の姿勢について、「正統性があるとは思えない」と述べる一方、ダーイシュ(イスラーム国)のレバノンへの浸透に懸念を表明した。

AFP, September 10, 2014、AP, September 10, 2014、ARA News, September 10, 2014、Champress, September 10, 2014、al-Hayat, September 10, 2014、September 11, 2014、Kull-na Shuraka’, September 10, 2014、al-Mada Press, September 10, 2014、Masar Press Agency, September 10, 2014、Naharnet, September 10, 2014、NNA, September 10, 2014、Reuters, September 10, 2014、SANA, September 10, 2014、UPI, September 10, 2014などをもとに作成。

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