イスラエル・トゥデイ「アサド政権は2018年末までにシリアのほぼ全土で支配を回復する」(2017年8月30日)

イスラエル・トゥデイ(8月30日付)は、イスラエル治安機関の複数消息筋が、今後のシリア情勢に関する評価を修正し、2018年末までにアサド政権がシリアほぼ全土で支配を回復するだろうと見ている、と伝えた。

この評価の修正は、ドナルド・トランプ米政権がバラク・オバマ前米政権時代対シリア政策を変更し、「穏健な反体制派」として米国が武器を供与してきた過激派への支援を注視、ダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム過激派との戦いに注力したことに主に起因し、イスラエル治安機関は、これが「実質的にアサドを救済する結果となった」と見ているという。

同消息筋によると、ロシア軍による過激派への空爆も、アサド政権の存続に寄与し、同政権がシリア国内で支配地域を回復することを可能としたとしている。

このほか、イランがアサド政権を前面支援するのとは対象的に、過激派を支援してきた「スンナ派アラブ諸国」が過激派支援を注視したことも大きく影響しているという。

また、アサド政権による勢力回復の結果として、イランの影響が増大するだろうとしている。
イスラエル・トゥデイは、2011年に「アラブの春」がシリアに波及した際、「年内に政権が崩壊し、シリアは地理やエスニシティに基づく小国家に分裂、そこで自治が行われるだろう」と予測していた。

AFP, August 30, 2017、AP, August 30, 2017、ARA News, August 30, 2017、Champress, August 30, 2017、al-Hayat, August 31, 2017、Israel Today, August 30, 2017、Kull-na Shuraka’, August 30, 2017、al-Mada Press, August 30, 2017、Naharnet, August 30, 2017、NNA, August 30, 2017、Reuters, August 30, 2017、SANA, August 30, 2017、UPI, August 30, 2017などをもとに作成。

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