2014年3月26日のシリア情勢:アラブ連盟首脳会議

アラブ連盟首脳会議は2日間の日程を終え、閉幕声明(クウェート宣言)を採択し閉会した。

クウェート宣言(正式名「包括的アラブ覚醒実現のためのアラブ連帯強化」)は、シリア情勢をめぐって、イスラエルによるゴラン高原占領を非難、同高原回復を求めるシリアを断固として支援することを確認した。

またシリアでの紛争に関しては、シリア国民との連帯と、「シリア国民の唯一の正統な代表」であるシリア革命反体制勢力国民連立の支持を確認するとともに、シリア政府に対して市民に対する軍事行動の即時停止を要求、国民に対する政権の虐殺、殺戮を非難した。

そのうえで、ジュネーブ合意に従った危機の政治的解決を呼びかけた。

なお、クウェート宣言と合わせて採択されたシリア情勢に関する細目文書(「シリア危機」)は、以下8項目を確認し、紛争の政治的解決を呼びかけた。

1. シリア革命反体制勢力国民連立に、シリア・アラブ共和国の代表ではなく、「アラブ連盟の規則の例外として、2014年9月以降の連盟諸会合に参加」するよう呼びかけた。
2. シリア革命反体制勢力国民連立の参加は、本国のいかなる法的義務も伴わない。
3. シリア革命反体制勢力国民連立がアラブ連盟のシリア・アラブ共和国代表ポストを務めることを歓迎し、同連立をシリア国民の唯一の正統な代表と承認した2013年3月のドーハでの首脳会談の決定、同月の閣僚会議の決定を改めて確認する。
4. しかし両決定に関して、アルジェリアとイラクが態度を保留し、レバノンが棄権したことを考慮する。
5. ジュネーブ2会議の膠着状態の責任が国連安保理にあると追及し、国連事務総長に対して、国連・アラブ連盟共同特別代表、アラブ連盟、紛争当事者とともに交渉に基づく危機の政治的解決を実現するための共同行動に向けた決定を求める。
6. ジュネーブ合意(2012年6月)に基づき、政治解決を最優先事項とした努力継続の必要を確認する。
7. クウェートでの2014年1月の支援国会議(クウェート2)の決定を歓迎する。
8. シリア人避難民を受け入れている国々とともに、アラブ連盟事務局は支援拡充に努める。

AFP, March 26, 2014、AP, March 26, 2014、ARA News, March 26, 2014、Champress, March 26, 2014、al-Hayat, March 27, 2014、Iraqinews.com, March 26, 2014、Kull-na Shuraka’, March 26, 2014、Naharnet, March 26, 2014、NNA, March 26, 2014、Reuters, March 26, 2014、SANA, March 26, 2014、UPI, March 26, 2014などをもとに作成。

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