イスラエル軍がシリア領内を爆撃するのと合わせて、トルコ軍がシリアに侵入、シリア軍はイスラエル軍を迎撃する一方、トルコ軍が新たに設置した監視所を爆撃(2020年2月6日)

シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、6日午前2時、イスラエル軍がシリア領空を侵犯、これと前後して、トルコ軍の車列が「オールナル」(Oglinar)地区からに侵入したと発表した。

トルコ軍の車列はその後、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構などの反体制武装集団を支援し、シリア軍の進行を阻止、武装集団支配下の住民を「人間の盾」とするため、ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市、タフタナーズ市の前線に展開した。

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これに関して、SANA(2月6日付)はシリア軍筋の話として、イスラエル軍戦闘機複数機が占領下ゴラン高原上空およびレバノン南部を侵犯し、ダマスカス県郊外県やダルアー県に向けて多数のミサイルを発射、シリア軍防空部隊が迎撃し、そのほとんどを撃破したと伝えた。

ミサイル攻撃を受けたのは、ダマスカス郊外県のキスワ市、マルジュ・スルターン村、バグダード橋(スナーヤー村)、ダルアー県イズラア市南部。

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一方、シリア人権監視団は、イスラエル軍の爆撃はダマスカス郊外県キスワ市近郊の第91旅団基地、ムカイラビーヤ市近郊の第75旅団基地、ダルアー県イズラア市近郊南部にある農業用の空港を標的とし、拠点1カ所で火災が発生し、「イランの民兵」少なくとも15人(うちシリア人5人、イラン人3人)が死亡した、と発表した。

また、シリア人権監視団も、トルコ軍の戦車、装甲車など約50輌からなる車列がシリア領内に侵入したと発表し、タフタナーズ航空基地の敷地内に新たな拠点を設置した。

これに対して、シリア軍はタフタナーズ航空基地を爆撃し、対抗した。

AFP, February 6, 2020、ANHA, February 6, 2020、AP, February 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 6, 2020、Reuters, February 6, 2020、SANA, February 6, 2020、SOHR, February 6, 2020、UPI, February 6, 2020などをもとに作成。

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