ミドル・イースト・アイ:ムハンマドUAE皇太子はアサド大統領にイドリブ県での停戦破棄と攻撃再開を進言し、資金供与(2020年4月8日)

英国のミドル・イースト・アイ(4月8日付)はアラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ首長国皇太子が、アサド大統領にイドリブ県での停戦を破棄させ、同地への総攻撃を行わせようとしていたと伝えた。

シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県を中心とするシリア北西部の反体制派支配地域では、3月5日にロシアのヴラジミール・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の合意に基づき停戦が発効していた。

だが、この停戦が発効する数日前、ムハンマド皇太子は、シリアに国家安全保障評議会のアリー・シャームスィー副議長、皇太子の兄弟のタフヌーン・ビン・ムハンマド・アル・ナヒヤーン氏を派遣し、アサド大統領にイドリブ県で攻撃を再開するよう進言していたという。

ムハンマド皇太子の政策に精通しているという複数の情報筋によると、その際、イドリブ県に対する攻撃再開の見返りとして、シリア政府に総額で30億米ドルを支援し、そのうちの10億ドルを3月末までに供与することを合意、停戦が発効するまでに2億5000万ドルが支払われたという。

AFP, April 8, 2020、ANHA, April 8, 2020、AP, April 8, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2020、Middle East Eye, April 8, 2020、Reuters, April 8, 2020、SANA, April 8, 2020、SOHR, April 8, 2020、UPI, April 8, 2020などをもとに作成。

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