アサド大統領は内閣の新型コロナウイルス感染症対策チームと会合を開き「市民が責任を担う統制された規制緩和」をめざすと表明(2020年5月4日)

アサド大統領はイマード・ハミース内閣の新型コロナウイルス感染症対策チームと会合を開き、感染症対策の進捗、市民生活への影響とその対策について検討した。

会合でのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

 

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「国家機関は市民を守るために迅速に一連の措置を講じた。我々は数週間を経て今日、こういうことができる。おかげさまで、事態は予想していた以上に良くなっている。早急に対応したことが一定の役割を果たしていることは間違いない…。市民の対応、意思、そして協力が役割を果たしていることは間違いない。しかし誇張しないようにするため、これらだけがその理由だなどと考えることはできない。多くの国が同様の措置を講じているが、市民を守ることができない事例もあるからだ」。

「シリアで行われたもっとも重要な措置は、部分的な禁止措置だ。その目的は市民を守ることだけではなく、目に見えなかった隠れた感染症例を目に見えるようにすることにあった…。こうした段階は困難を伴ったが、市民が良く対応してくれた。しかし、もちろん負の影響もあった。何よりもまず経済状況に悪影響を与えた」。

「市民の経済・生活状況が悪化した場合、清潔を保ったり…、消毒、予防などといった基本的な予防策さえとることができなくなってしまう。新型コロナウィルス感染症だけでなく、それ以外の病気にも晒されることになってしまう…。二つの側面(予防と経済)をバランスさせることは容易ではなかった。だが、経済的な側面が今回においては基本となった」。

「国家機関には二つの選択肢があり、いずれも困難なものだった。禁止に関して厳しい措置を講じること…。もう一つは何もせずに市民を感染の脅威に晒すことだ。採用された決定は中庸であり、部分的禁止措置であり、それは理想的だった」。

「しかし、理想的というのは、非常に短期間の暫定的な措置であるということを意味する…。時間とともに…、悪影響が積み重なり、それに対処することが困難になり、市民が飢え、貧困、不足と病気の板挟みになってしまう…。つまり、決定は、前進すべきか、後退すべきかというような問題ではなく、損害を最小限に食い止めるというより良い結果に向かって進むことだ。これが原則なのだ…。我々が措置を講じる際、我々にはヴィジョンがある…。我々は無作為に行動することはない。どのような措置を講じているのか、それが必要であるということを熟知している」。

「感染症対策が一時的な問題ではないということが明らかになった時、市民に対する前例のない圧力を緩和し、日常生活に徐々に戻ることを始めるべきだ」。

「人々には必要なものがある。労働、生活の糧を得ること…。取引を行い、必需品を確保すること…。教育…。もちろん、物的な必要だけであない。心理的、精神的な必要もある…。人々は行事を行ったり、礼拝所に行ったりしたいと感じている…。我々は今、こうしたさまざまな分野で規制緩和に移行する段階にある。しかし、こうした規制緩和の本質は統制された規制緩和だ。まずは優先事項に基づいて統制され、優先事項から始める。我々は何がもっとも必要かを確定した。今はそれ以外の分野へと次第に移行している」。

「我々は規制を緩和したいと考えているが、統制された規制緩和というのは、市民が責任の一部を担うことを意味している。これまでの段階においては、国家が市民を守る責任を負ってきた…。我々が規制緩和を始める場合、最大の責任は、個人の日々の行動に対して市民が負うことになる…。我々はすべての市民が国家とともに責任を担うべく、啓発を続けねばならない」。

「我々は柔軟な措置に向かうことになる。だが、それは二つの方向に対して柔軟なものだ。もし事態が悪くなれば、我々は国家として決定を下すことができる…。しかし、こうしたことにならないことを望んでいる」。

「健康面での課題と並んで、別の課題もある。それは新型コロナウィルス感染症によって生じたものであるとともに、その前からあった課題である。経済的課題、とくに経済再活性化という課題だ…。この課題は9年におよぶ戦争…9年におよぶ制裁によるものだ…。戦争と制裁に加えて、現下の脅威は新型コロナウィルス感染症による封鎖だ。これにより、諸外国と繋がる方法が絶たれ、世界経済が衰退することで…、日々の生活に必要なものを確保することが難しくなっている。こうした事態は今後数年間にわたって我々に直接影響を及ぼすだろう…。しかし、それは相対的なものだ。困難は増すだろうが、それは限定的だ」。

「国内レベルで今日、もっとも大きな課題は、日々の生活必需品、とりわけ食糧品の確保である。市民が日々、断続的に苦しみ、そして苦情を申し立てているのがそれだ。外国からの輸入品が、為替や国際価格に左右されるのであれば、それはシリア政府には掌握できない。だが、シリアは豊かな国で、年間を通じて作物に恵まれている。たとえ、国境を閉ざしても死ぬことはない」。

「しかし、市民からの苦情のほとんどは国産品に対するものだ…。なぜ卸売り価格と消費者価格の間に大きな差があるのか…。これこそが我々にとっての課題だ」。

「戦争前、人々は公共セクターのことを忘れ去っていた…。しかし戦時下、そして経済的な課題が深刻になっているなか、国営セクターの役割への依存が増した。この数週間には、ほぼすべての部門において国営セクターが必要とされた」。

「我々は現在、卸売市場における独占業者を放置している。彼らが価格を設定しているため、農民も消費者も損をしている…。得をしているのは大商人だ…。しかし、今後数週間で、こうした問題のすべては解決されるだろう」。

「(物価高騰の)解決には…地元社会が…汚職や法律違反を監視し…、これを阻止することに参加すべきだ。

責任者には、説明し、議論する能力が必要だ。すべての市民と常に合意する必要はない。そもそも人にはさまざまな意見がある。だが、人は明快さを尊重するものだ。すべてにおいて我々と意見が一致することはないだろう。だが、責任者によって示される明快さを尊重する。いずれにせよ、みなが、現状においてあなた方(対策チーム)に課されている任務の大きさを評価している。非常に困難な状況であるということを。我々は平時のなかで話しているのでは決してない。市民は、戦争があり、包囲があり、感染症があるとしたうえで、評価している。しかし、我々が承知してかねばならないのは、我々が日々、必ずしも大きいとは言えないことをできるということだ。しかし、これらの小さなことの積み重ねが、大きな成果を生む」。

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SANA(5月4日付)が伝えた。

AFP, May 4, 2020、ANHA, May 4, 2020、AP, May 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 4, 2020、Reuters, May 4, 2020、SANA, May 4, 2020、SOHR, May 4, 2020、UPI, May 4, 2020などをもとに作成。

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