アサド大統領は与党バアス党の最高執行機関である中央指導部(旧シリア地域指導部)の会合を招集し、7月19日に投票が予定されている第3期人民議会での「啓発」プロセス、すなわち党員による立候補者選出プロセスの進捗や今後の対応について協議した。
バアス党はこれまで、指導部が人民議会選挙の立候補者してきた。
だが、今回は党史上初めて、一般党員が候補者に投票を行い、その結果を踏まえて指導部が候補者リストを作成することを決定し、これを「啓発」(イスティイナーフ)プロセスと呼んだ。
アサド打倒領は会合のなかで、「啓発」プロセスにおいて選出される立候補者が、党だけでなく、国民の代表にもなることを、指導部が考慮しなければならないと述べた。
また「啓発」プロセスが成功裏に進むことで、党内だけでなく、全国レベルで活動や対話が行われ、選挙を通じて有権者を真に代表する候補者を議会に送り込むという民主的な営為の重要性が示されたと指摘した。
また、民主的な営為の成功は、そうした営為を継続し、その仕組みを発展させ、そのための最善の基準に依拠し、最大限の透明性を確保、誤りを正す能力を持つこと、課題を克服し、成果を活かしていくことに培われていると付言した。
そのうえで、「啓発」プロセスの成功から得られた成果と課題は、社会全般の現実を反映したもので、単なる党内での経験にとどまるものではなかったと評価、今回の経験を、的確に評価、検討し、このプロセスの仕組みを発展させ、プロセスに参加するための基盤を拡大することで、選挙をめぐる汚職や客観性を欠いた狭量な候補者支援を克服し、よりよい代表を議会に送り出すことができると述べた。
AFP, July 2, 2020、ANHA, July 2, 2020、AP, July 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2020、al-Khabar, June 17, 2020、Reuters, July 2, 2020、SANA, July 2, 2020、SOHR, July 2, 2020、UPI, July 2, 2020などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.