ダイル・ザウル県では、アカイダート部族の族長の1人であるマスアブ・ハリール・ハフル氏の呼びかけにより、ズィーバーン町でアカイダート部族をはじめとする同地の部族を傘下に置くズバイド部族の会合が開かれ、県内の情勢や治安の混乱への対応などについて協議した。
「ダイル・ザウル・ズバイド諸部族子息会合」と銘打たれた会合は、アカイダート部族のために声明を採択し、そのなかで人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、軍事、民政、経済といった面で自治に失敗したと指弾する一方、米主導の有志連合に治安悪化と不安定の責任があると非難した。
そのうえで、以下5点の主唱した。
1. マトシャル・ハンムード・ジャドアーン・ハフル氏の問題を調査するための独立専門家調査委員会の設置。
2. いかなる当事者の指導も受けない住民へのダイル・ザウル県の自治の移譲。
3. 無垢の逮捕者の釈放、国内避難民(IDPs)キャンプからの女性と子供の開放。
4. 有志連合およびすべての関係勢力によるシリアでの政治解決プロセス推進要請。
5. 上記要求を実施するため、本声明発表日から1ヶ月の期間猶予。
ダイル・ザウル24(8月11日付)、シリア人権監視団などが伝えた。
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ダイル・ザウル24(8月11日付)は、米主導の有志連合の匿名高官の話として、有志連合が過去3日にわたり、ダイル・ザウル県のアラブ系部族の族長や名士との会合を行っていたことを明らかにした。
会合には、シリア民主軍の使節団も同席、治安悪化、経済支援の不足、インフラ、社会サービスなどが話し合われたが、最重要の議題は、地域の統治と治安における部族の役割増加だったという。
匿名高官は、会合に関して、米国務省、アラブ系部族が治安状況の改善においていかなる役割を果たすべきかを話したという。
AFP, August 11, 2020、ANHA, August 11, 2020、AP, August 11, 2020、Dayr al-Zawr 24, August 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 11, 2020、Reuters, August 11, 2020、SANA, August 11, 2020、SOHR, August 11, 2020、UPI, August 11, 2020などをもとに作成。
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