イドリブ県とハマー県のシリア政府支配地域に取り残されたトルコ軍監視所前で住民が抗議デモ、トルコ軍が催涙ガスで強制排除(2020年9月16日)

イフバーリーヤ(9月16日付)やシリア人権監視団などによると、シリア政府の支配下にあるイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市近郊のサルマーン村とハマー県ムーリク市に設置されているトルコ軍監視所の前で、住民が抗議デモを行い、トルコ軍の撤退を要求した。

シリア人権監視団はデモ参加者を数十人と発表したが、反体制系サイトのSNN(9月16日付)などが公開した写真には、100人以上が写っている。

https://www.youtube.com/watch?v=JiPnpLapb-Y

https://www.youtube.com/watch?v=JVCBUJyLLzs

サルマーン村の監視所は2020年初め、ムーリク市の監視所は2019年半ばに周辺地域がシリア政府の支配下に入ったことで、取り残され、孤立していた。

デモは、9月15日にバアス党員がSNS上で音声データを通じて呼びかけ、支持者らがこれを拡散することで動員されたもの。

音声データでは、党員や住民に対して「16日午前9時にサルマーン村のトルコ軍監視所前に集まり…、この日は国民の日になる…。我が領土からのトルコ人の撤退を求める抗議の座り込みをしよう…。我々はハマー県から7時半、あるいは8時にあなた方(イドリブ県)に向かう」などと呼びかけていた。

参加者は、ハマー県北部やイドリブ県南東部のアブー・ダーリー村などから集まり、アサド大統領の写真や、「エルドアンはテロの象徴、この土地から出ていけ」、「最後の一握りの土地も解放される、これは最愛の指導者の約束だ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議行動を行った。

だが、ドゥラル・シャーミーヤ(9月16日付)によると、そのなかには、参加を強要された教員や生徒も含まれていたという。

抗議デモに対して、サルマーン村の監視所に駐留するトルコ軍は催涙弾を発射し、参加者を強制排除した。

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トルコ国防省はツイッターの公式アカウント(https://twitter.com/tcsavunma/)を通じて声明を出し、「アサド政権の指示を受けた複数のグループが、民間人の服装をして、イドリブ県内の緊張緩和地帯に設置されている第3、4、5、6、7、8、9監視所に接近し、第7監視所が攻撃を受けたため、対策を講じ、これを強制排除した」と発表した。

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一方、イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ビンニシュ市に設置されている監視所に駐留するトルコ軍部隊が15日夜、農地で一般車輌に発砲し、乗っていた住民1人を負傷させた。

AFP, September 16, 2020、ANHA, September 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 16, 2020、al-Ikhbariya, September 16, 2020、Reuters, September 16, 2020、SANA, September 16, 2020、SOHR, September 16, 2020などをもとに作成。

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