マクロン大統領による預言者ムハンマドの侮辱に抗議しバーブ・ハワー国境通行所とタッル・アブヤド国境通行所がフランス製品持ち込み禁止を決定(2020年10月24日)

イドリブ県では、バーブ・ハワー国境通行所の管理局がホームページ(https://www.babalhawa.net/)などを通じて、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握り、シリア救国内閣が自治を担っているいわゆる「解放区」へのフランス製品の持ち込み禁止を決定したと発表した。

決定は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が10月21日に首都パリのソルボンヌ大学で執り行われた歴史教師のサミュエル・パティ氏の国葬で「われわれは風刺画をやめない」と宣言し、預言者ムハンマドを「再三にわたって冒涜した」ことへの対抗措置だという。

バーブ・ハワー国境通行所は、国連安保理決議第2533号(2020年7月11日)で、周辺国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の経由地として認められている唯一の通行所。

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また、ラッカ県でも、タッル・アブヤド市の国境通行所の管理局がフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/TelAbyadBC/)を通じて、トルコ占領下の「平和の泉」地域へのフランス製品の持ち込み禁止を決定したと発表した。

決定は、トルコのガジアンテップに拠点を置く、暫定内閣(シリア革命反体制勢力国民連立の傘下組織)の指示によるもので、同じく、マクロン大統領がイスラームとその象徴を冒涜したことへの対応措置。

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一方、イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(10月24日付)によると、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るダルクーシュ町、ザルダナー村で「寛大なる使徒ムハンマド救済(ヌスラ)」と銘打ったデモが行われ、マクロン大統領の弔辞内容に抗議の意思が示された。

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マクロン大統領はパティ氏にフランスの最高勲章であるレジオン・ドヌールを授与、弔辞では、パティ氏が、フランスの世俗主義、民主主義の価値観を体現したがゆえに、臆病者たちに狙われて殺されたとしたうえで、「彼は我々の未来を奪おうとしたイスラーム主義者によって殺害された」、「我々の未来を決して渡さない」と強調した。

パティ氏(47歳)は、10月16日にパリ近郊にある学校からの帰宅途中に、ロシア・チェチェン共和国出身のアブドゥッラ・アンゾロフ容疑者(18歳)によって首を切断されて殺害された。

パティ氏が授業で表現の自由に関する議論をした際に、預言者ムハンマドの風刺を見せたことが殺害の動機となったと思われる。

アンゾロフ容疑者はツイッターにパティ氏の頭部の画像を投稿したが、その後警察に射殺された。

また、APF(10月22日付)は、捜査に詳しい情報筋の話として、アンゾロフ容疑者が、犯行前にシリアにいるロシア語話者のイスラーム過激派と接触していたと伝えた。

同情報筋によると、この過激派の身元は判明していないが、フランス日刊紙『パリジャン』(10月22日付)によると、IPアドレスによる追跡で、この人物がイドリブ県にいると特定されたと伝えた。

事件ではまた、アンゾロフ容疑者がパティ氏を特定するのを手助けしたとして、14歳と15歳の生徒2人を含む7人が、テロ関連の殺人共犯容疑で立件されている。

アンゾロフ容疑者は、パティ氏の容姿を知らなかったため、この生徒らに300~350ユーロを渡し、協力させたという。

アンゾロフ容疑者が生徒2人にパティ氏を襲撃すると語った後も、この2人は2時間以上にわたって容疑者とともにパティ氏を待ち伏せしていたという。

また立件された7人のなかには、SNS上でパティ氏への反対運動を行った保護者の男性が含まれている。

この男性の娘は、パティ氏の生徒だったが、この生徒はパティ氏が授業で風刺画を見せた時には教室内にはいなかった。

男性は事件前、WhatsAppでアンゾロフ容疑者とメッセージをやり取りしていたことも分かっているという。

4人目の容疑者は、イスラーム過激派として知られる男性で、ジェラルド・ダルマナン内務大臣は、この男性がパティ氏の襲撃を認めるファトワーを出したとの見解を示している。

残る3人は、アンゾロフ容疑者の友人で、うち1人は車でアンゾロフ容疑者を現場まで送り届けた男性、もう1人は容疑者の凶器購入に同行した人物だという。

AFP, October 22, 2020、ANHA, October 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 24, 2020、Le Parisien, October 22, 2020、Reuters, October 24, 2020、SANA, October 24, 2020、SOHR, October 24, 2020などをもとに作成。

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