トルコのイスタンブールを拠点とする反体制系サイトのシリア・テレビ(9月4日付)は複数の消息筋の話として、ラッカ県ラッカ市北の第17師団基地に設置されている人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の本部で、同軍と有志連合を主導する米軍の代表が会合を開き、米国川がイラクのカンディール山地地方から部隊を撤退させるよう要請したと伝えた。
同消息筋によると、会合は4時間におよび、北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ県北部やアレッポ県北部に対するトルコ軍の攻撃、とりわけ無人航空機(ドローン)による爆撃への対応について協議がなされた。
米軍側はその際、イラクのカンディール山地地方に展開しているシリア民主軍の兵士、すなわちクルディスタン労働者党(PKK)の民兵を北・東シリア自治局支配地に撤退させるよう要請、同地への駐留がトルコ軍の攻撃の口実になっていると伝えた。
また、トルコ軍による大規模侵攻の可能性については排除しつつ、シリア民主軍が北・東シリア自治局の支配地からPKKの幹部を完全に排除し、PKKとの連携やつながりを解消することを世界の世論に示さない限り、トルコ軍の攻撃は続くと警告したという。
これに対して、シリア民主軍側は、カンディール山地地方における部隊駐留の事実はないと反論したという。
AFP, September 4, 2021、ANHA, September 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 4, 2021、Reuters, September 4, 2021、SANA, September 4, 2021、SOHR, September 4, 2021、Syria TV, September 3, 2021などをもとに作成。
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