【トルコ・シリア大地震】ムスタファー暫定内閣保健大臣は対シリア制裁の解除を拒否、シリア国民軍諸派は備蓄していた物資の被災者への配給をようやく開始(2023年2月10日)

トルコに拠点を持つシリア革命反体制勢力国民連立の傘下にある暫定内閣のムラード・ムスタファー保健大臣はシリア人権監視団に対して、イラク・クルディスタン地域からの人道支援物資が、トルコを経由して、バーブ・ハワー国境通行所(アレッポ県)からトルコ占領下のアレッポ県北部の被災地に届けられたことを明らかにした。

食料物資、洋服などの支援物資は7輌の貨物車輌に積まれて、運ばれたという。

一方、シリアへの制裁解除を求める動きについては、シリア政府がそれによって実質的に利益を得られないようにするのでなければ、拒否すると述べるとともに、これまでに政府支配地に届けられた支援の半分が、米ドルへの両替や汚職などに利用されたと主張した。

なお、シリア人権監視団によると、バールザーニー慈善財団が準備した救援物資を積んだ大型車輌は14輌。

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アレッポ県北部では、トルコの支援を受けるシリア国民軍所属諸派が備蓄していた食料などの配給物資の配給を、5日のトルコ・シリア大地震の被災者に対して始めた。

地震発生から4日が経って被災者支援を始めた背景には、諸派やシリア革命反体制勢力国民連立の傘下にある暫定内閣が被災者への支援を行っていないとの不満が住民の間であがったことがあるという。

AFP, February 10, 2023、ANHA, February 10, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2023、Reuters, February 10, 2023、SANA, February 10, 2023、SOHR, February 10, 2023などをもとに作成。

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