アレッポ県北部各所でトルコ軍・シリア国民軍とシリア民主軍が交戦、戦闘員2人を含む4人が死亡(2021年7月15日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月15日付)、シリア人権監視団などによると、15日早朝、シリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北東のジャトル村一帯に潜入を試みたが、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍傘下のマンビジュ軍事評議会の迎撃を受け、戦闘員2人が死亡、4人が負傷した。

ANHA(7月15日)によると、これに対し、トルコ軍とシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村、アルカミーヤ村、アキーバ村、バイナ村、ダイル・ジャマール村、ズィヤーラ村、アイン・ダクナ村、マンナグ村、バイルーニーヤ村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団などによると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治地域からトルコの占領下にあるアフリーン市の住宅街に対して砲撃が行われ、子供1人を含む2人が死亡、女性と子供を含む10人が負傷した。

https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/posts/3031954503795604

シリア民主軍、ないしは同組織の傘下にあるアフリーン解放戦線による攻撃と見られる。

これに対して、トルコ軍と国民軍は、マルアナーズ村、アイン・ダクナ村、アルカミーヤ村、マンナグ航空基地一帯を砲撃した。

こうしたなか、アフリーン解放軍団が声明を出し、トルコ占領下のバーブ市、マーリア市、シャッラー村近郊のマリーミーン村で6月27日と7月14日に特殊作戦を実施し、トルコ軍兵士3人とシリア国民軍戦闘員6人を殺害したと発表した。

AFP, July 15, 2021、ANHA, July 15, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 15, 2021、Reuters, July 15, 2021、SANA, July 15, 2021、SOHR, July 15, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民317人と国内避難民(IDPs)253人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は684,303人、2019年以降帰還したIDPsは93,277人に(2021年7月15日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月15日付)を公開し、7月14日に難民317人(うち女性95人、子供162人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民317人(うち女性95人、子供162人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は684,303人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者289,055人(うち女性86,876人、子ども147,141人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は913,583人(うち女性274,152人、子供465,632人)となった。

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一方、国内避難民253人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは253人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は93,277人(うち女性35,165人、子供32,688人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,873人(うち女性417,724人、子供676,454人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 15, 2021をもとに作成。

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兵站物資などを積んだ米主導の有志連合の車列がイラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入(2021年7月14日)

ハサカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月14日付)によると、兵站物資などを積んだ米主導の有志連合の車輌約37輌からなる車列が、米軍の装甲車3輌と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の四輪駆動車複数台の護衛を受け、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入した。

AFP, July 14, 2021、ANHA, July 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 14, 2021、Reuters, July 14, 2021、SANA, July 14, 2021、SOHR, July 14, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民297人と国内避難民(IDPs)3人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は683,986人、2019年以降帰還したIDPsは93,024人に(2021年7月14日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月14日付)を公開し、7月13日に難民297人(うち女性89人、子供152人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民297人(うち女性89人、子供152人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は683,986人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者288,738人(うち女性86,781人、子ども146,979人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は913,266人(うち女性274,057人、子供465,470人)となった。

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一方、国内避難民3人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は3人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は93,024人(うち女性35,039人、子供32,650人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,620人(うち女性417,598人、子供676,416人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 14, 2021をもとに作成。

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ロイター通信:イラン・イスラーム革命防衛隊幹部がイラクのシーア派民兵に米軍を標的とした攻撃を強めるよう促す(2021年7月13日)

ロイター通信(7月13日)は、イラク・イスラーム革命防衛隊の幹部(上級司令官)が、イラクの首都バグダードで先週行われたある会合の席上で、「イラクのシーア派民兵」(イラク人民動員隊のこと)に対して、米軍を標的とした攻撃を強めるよう促したと伝えた。

この会合について詳しい3名の民兵筋と2名のイラク治安筋の話として伝えた。

6月27日の米軍によるシリア・イラク国境地帯への爆撃を受けて、イラク・イスラーム革命防衛隊のホセイン・ターエブ諜報局長を代表とするイラン使節団がイラクを訪問して以降、イラクとシリア領内に駐留する米軍を狙った攻撃が相次いでいる。

イラン側は会合で、爆撃への報復として米軍に対する攻撃を促す一方、イラク側に、事態を悪化させるような行き過ぎた行動を行わないようアドバイスしたという。

AFP, July 14, 2021、ANHA, July 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 14, 2021、Reuters, July 13, 2021、SANA, July 14, 2021、SOHR, July 14, 2021などをもとに作成。

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ラッカ県ラサーファ砂漠でシリア軍とダーイシュが激しく交戦し、シリア軍側に13人の死傷者、ロシア軍がダーイシュを爆撃(2021年7月13日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラサーファ砂漠内に設置されているシリア軍・親政権民兵の拠点をダーイシュ(イスラーム国)が襲撃し、激しい戦闘となり、シリア軍兵士・親政権民兵5人が死亡、8人が負傷した。

戦闘発生を受け、ロシア軍戦闘機がヒムス県東部からラッカ県に至る砂漠地帯でダーイシュを狙って20回以上の爆撃を実施した。

AFP, July 13, 2021、ANHA, July 13, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 13, 2021、Reuters, July 13, 2021、SANA, July 13, 2021、SOHR, July 13, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県各所を砲撃する一方、シリア民主軍はトルコ占領下のラッカ県に潜入し、シリア国民軍戦闘員6人を殺傷(2021年7月13日)

アレッポ県では、ANHA(7月13日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のスーガーニカ村およびその一帯、アキーバ村、バイナ村、ダイル・ジャマール村を砲撃した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がトルコ占領下のタッル・アブヤド市近郊に位置するタルワーズィーヤ村一帯に潜入、同地に設置されているシリア国民軍の拠点を急襲し、戦闘員1人を殺害、5人を負傷させた。

AFP, July 13, 2021、ANHA, July 13, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 13, 2021、Reuters, July 13, 2021、SANA, July 13, 2021、SOHR, July 13, 2021などをもとに作成。

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ウマル油田に違法に設置されている米主導の有志連合の基地が再び砲撃を受ける一方、ブーカマール市近郊の「イランの民兵」の軍用ゲートが所属不明のドローンの爆撃を受ける(2021年7月13日)

ダイル・ザウル県では、SANA(7月13日付)やユーフラテス・ポスト(7月13日付)たところによると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるユーフラテス川東岸のウマル油田に違法に設置されている米主導の有志連合の基地を狙って何者かが迫撃砲複数発を打ち込み、SANAによると2発が基地内に着弾し、煙柱が上がった。

被害状況は不明だという。

一方、シリア人権監視団によると、所属不明の無人航空機(ドローン)1機が、イラクとの国境に位置するシリア政府支配下のブーカマール市に近いハリー村にある「イランの民兵」の軍用のゲートを爆撃した。

被害の有無、詳細は不明。

AFP, July 13, 2021、ANHA, July 13, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 13, 2021、Euphrates Post, July 13, 2021、Reuters, July 13, 2021、SANA, July 13, 2021、SOHR, July 13, 2021などをもとに作成。

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ロシア外務省は国連安保理決議第2585号を「ダマスカスからシリア各地への人道支援の搬送状況を改善するための努力を行う決意を確認したもの」と高く評価(2021年7月12日)

ロシア外務省は声明を出し、イドリブ県バーブ・ハワー国境通行所経由での周辺国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の半年間の延長を認めた国連安保理決議第2585号が採択されたことに関して、シリア人の包括的なニーズに対応し、シリアの経済・社会状況を改善するうえで重要な多くの規定を含んでいると高く評価した。

声明において、ロシア外務省は、決議が「ダマスカスからシリア・アラブ共和国各地への人道支援の搬送状況を改善するための努力を行う決意を確認したもの」としたうえで、水道、電気、教育、衛生、住宅建設などの復興プロジェクトを早急に実施することを通じて人道活動を拡大する必要を認めた」と評価した。

https://www.facebook.com/MIDRussia/posts/3570548886377860

AFP, July 12, 2021、ANHA, July 12, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 12, 2021、Reuters, July 12, 2021、SANA, July 12, 2021、SOHR, July 12, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍ヘリコプターがジャブラ市近郊のダイル・ワッターン村での森林火災の消火活動に参加(2021年7月12日)

ラタキア県では、ジャブラ市近郊のダイル・ワッターン村の山岳地帯で自然発火で発生した森林火災の消火作業にロシア軍ヘリコプターが参加した。

SANA(7月12日付)などが伝えた。

AFP, July 12, 2021、ANHA, July 12, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 12, 2021、Reuters, July 12, 2021、SANA, July 12, 2021、SOHR, July 12, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民321人と国内避難民(IDPs)4人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は683,403人、2019年以降帰還したIDPsは92,759人に(2021年7月12日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月12日付)を公開し、7月11日に難民321人(うち女性96人、子供163人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民321人(うち女性96人、子供163人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は683,403人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者288,155人(うち女性86,606人、子ども146,681人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は912,683人(うち女性273,882人、子供465,172人)となった。

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一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは4人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は4人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は92,759人(うち女性34,916人、子供32,605人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,355人(うち女性417,475人、子供676,371人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 12, 2021をもとに作成。

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トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市をドローンで爆撃し、子供1人をふくむ住民4人が負傷(2021年7月11日)

アレッポ県では、ANHA(7月11日付)によると、トルコ占領下のバーブ市近郊のウーラシュリー村に設置されているトルコ軍基地が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるブーガーズ村(バーブ市東)を砲撃した。

トルコ軍はまた、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市を無人航空機(ドローン)で爆撃し、子供1人を含む住民4人が負傷した。

AFP, July 11, 2021、ANHA, July 11, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2021、Reuters, July 11, 2021、SANA, July 11, 2021、SOHR, July 11, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ウマル油田に違法に設置されている米主導の有志連合の基地が再び砲撃を受ける(2021年7月11日)

ダイル・ザウル県では、SANA(7月11日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるユーフラテス川東岸のウマル油田に違法に設置されている米主導の有志連合の基地を狙って何者かが迫撃砲複数発を打ち込み、一部が基地内に着弾し、煙柱が上がった。

被害状況は不明。

シリア人権監視団によると、砲撃は、手作りの砲弾によるもので、「イランの民兵」の影響下にある地域から発射されたという。

AFP, July 11, 2021、ANHA, July 11, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2021、Reuters, July 11, 2021、SANA, July 11, 2021、SOHR, July 11, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民304人と国内避難民(IDPs)314人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は683,082人、2019年以降帰還したIDPsは92,755人に(2021年7月11日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月11日付)を公開し、7月10日に難民304人(うち女性92人、子供155人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民304人(うち女性92人、子供155人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は683,082人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者287,834人(うち女性86,510人、子ども146,518人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は912,362人(うち女性273,786人、子供465,009人)となった。

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一方、国内避難民314人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは314人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は92,755人(うち女性34,915人、子供32,602人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,351人(うち女性417,474人、子供676,368人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 11, 2021をもとに作成。

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ダイル・ザウル県CONOCOガス田に違法に設置されている米主導の有志連合の基地にロケット弾が着弾(2021年7月10日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)支配下のユーフラテス川東岸のCONOCOガス田に違法に設置されている米主導の有志連合の基地の近くに、「イランの民兵」が発射したと思われるロケット弾1発が着弾し、爆発した。

AFP, July 10, 2021、ANHA, July 10, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 10, 2021、Reuters, July 10, 2021、SANA, July 10, 2021、SOHR, July 10, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機が前日に続いてイドリブ県を爆撃(2021年7月10日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のジューズィフ村の森林地帯を前日に続いて爆撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

またシリア軍もザーウィヤ山地方のファッティーラ村、バイニーン村、フライフィル村、バーラ村一帯を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のアンカーウィー村一帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるナフジュ村でシリア軍第4師団の兵士1人が正体不明の武装集団の襲撃を受けて死亡した。

また、シャイフ・マスキーン市でも正体不明の武装集団の襲撃によって、空軍情報部に協力する国防隊の司令官とその妻、子供2人の合わせて4人が死亡された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を38件(イドリブ県22件、ラタキア県13件、アレッポ県2件、ハマー県1件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は36件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を5件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, July 10, 2021、ANHA, July 10, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 10, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 10, 2021、Reuters, July 10, 2021、SANA, July 10, 2021、SOHR, July 10, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民297人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は682,778人に(2021年7月10日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月10日付)を公開し、7月9日に難民297人(うち女性89人、子供152人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民297人(うち女性89人、子供152人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は682,778人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者287,530人(うち女性86,418人、子ども146,363人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は912,058人(うち女性273,694人、子供464,854人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は92,441人(うち女性34,736人、子供32,570人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,037人(うち女性417,295人、子供676,336人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 10, 2021をもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍はハサカ県とアレッポ県のシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治支配地域を砲撃(2021年7月9日)

ハサカ県では、SANA(7月9日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアブー・ラースィーン(ザルカーン)町近郊のウンム・ハルマラ村、ダーダー・アブダール村を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(7月9日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北東のジャート村を砲撃した。

AFP, July 9, 2021、ANHA, July 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2021、Reuters, July 9, 2021、SANA, July 9, 2021、SOHR, July 9, 2021などをもとに作成。

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国連安保理はイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所を通じた越境(クロスボーダー)人道支援を2022年1月10日まで認めるとする安保理決議第2585号を全会一致で採択(2021年7月9日)

国連安保理は、イドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所(トルコ側はレイハンル国境通行所)を通じた周辺諸国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援を2022年1月10日までの半年間だけ認めるとする安保理決議第2585号を全会一致で採択、国連安保理決議2165号(2014年7月14日)の有効期間を延長した。

決議全文(英語)は以下の通り:

Resolution 2585 (2021)
Adopted by the Security Council at its 8817th meeting, on 9 July 2021
The Security Council,
Recalling its resolutions 2042 (2012), 2043 (2012), 2118 (2013), 2139 (2014), 2165 (2014), 2175 (2014), 2191 (2014), 2209 (2015), 2235 (2015), 2254 (2015), 2258 (2015), 2268 (2016), 2286 (2016), 2332 (2016), 2336 (2016), 2393 (2017), 2401 (2018), 2449 (2018), 2504 (2020), 2533 (2020) and its Presidential Statements of 3 August 2011 (S/PRST/2011/16), 21 March 2012 (S/PRST/2012/6), 5April 2012 (S/PRST/2012/10), 2 October 2013 (S/PRST/2013/15), 24 April 2015 (S/PRST/2015/10),17 August 2015 (S/PRST/2015/15), and 8 October 2019 (S/PRST/2019/12),
Reaffirming its strong commitment to the sovereignty, independence, unity and territorial integrity of Syria and to the purposes and principles of the Charter of the United Nations,
Encouraging efforts to improve cross-line deliveries of humanitarian assistance and all relevant parties to further promote, consistent with United Nations assessments of need, unhindered delivery of humanitarian assistance,
Determining that the devastating humanitarian situation in Syria continues to constitute a threat to peace and security in the region,
Recalling the need for all parties to respect the relevant provisions of international humanitarian law and the United Nations guiding principles of humanitarian emergency assistance,
Expressing in this regard grave concern at the impact of the COVID-19 pandemic, recognizing that the pandemic presents a profound challenge to Syria’s health system and humanitarian situation, and recalling the need for full, safe and unhindered humanitarian access, without delay, including for humanitarian personnel and medical personnel, their equipment, transport and supplies in order to facilitate the provision of humanitarian assistance and COVID-19 vaccinations to all parts of Syria without discrimination, as contained in resolution 2565 (2021) and the United Nations Secretary-General’s appeal,
Recognizing that humanitarian activities are broader than solely addressing the immediate needs of the affected population and should include support to essential services through water, sanitation, health, education, and shelter early recovery projects,
Underscoring that Member States are obligated under Article 25 of the Charter of the United Nations to accept and carry out the Council’s decisions,
1. Demands the full and immediate implementation of all provisions of all relevant Security Council resolutions, including resolutions 2139 (2014), 2165 (2014), 2191 (2014), 2258 (2015), 2332 (2016), 2393 (2017), 2401 (2018), 2449 (2018) 2504 (2020), and 2533 (2020);
2. Decides to extend the decisions in paragraphs 2 and 3 of Security Council resolution 2165 (2014), for a period of six months, that is, until 10 January 2022, only for the border crossing at Bab al-Hawa with an extension of an additional six months, that is, until 10 July 2022, subject to the issuance of the Secretary General’s substantive report, with particular focus on transparency in operations, and progress on cross-line access in meeting humanitarian needs;
3. Calls upon all Member States to respond with practical steps to address the urgent needs of the Syrian people in light of the profound socio-economic and humanitarian impact of the COVID-19 pandemic on Syria, as a country in situation of complex humanitarian emergency;
4. Welcomes all efforts and initiatives to broaden the humanitarian activities in Syria, including water, sanitation, health, education, and shelter early recovery projects, undertaken by the International Committee of the Red Cross (ICRC) and other organizations, and calls upon other international humanitarian agencies and relevant parties to support them;
5. Requests the Secretary-General to brief the Council monthly and to provide a report on a regular basis, at least every 60 days, on the implementation of resolutions 2139 (2014), 2165 (2014), 2191 (2014), 2258 (2015), 2332 (2016), 2393 (2017), 2401 (2018), 2449 (2018), 2504 (2020), 2533 (2020) and this resolution and on compliance by all relevant parties in Syria and further requests the Secretary-General to include in his reports overall trends in United Nations cross-line operations, in particular on the implementation of the above mentioned activities on improving all modalities of humanitarian deliveries inside Syria and early recovery projects, and detailed information on the humanitarian assistance delivered through United Nations humanitarian cross-border operations, including the distribution mechanism, the number of beneficiaries, operating partners, locations of aid deliveries at district-level and the volume and nature of items delivered;
6. Decides to remain actively seized of the matter.

国連安保理決議2165号の有効期間が延長されたのは、安保理決議第2191号(2014年12月17日採択――2016年1月10日まで延長)、第2332号(2016年12月21日採択――2018年1月10日まで延長)、第2393号(2017年12月19日採択――2019年1月10日まで延長)、第2449号(2018年12月14日採択――2020年1月10日まで延長)、第2504号(2020年1月11日採択――2020年6月10日まで延長)、そして2533号(2020年7月11日採択――2021年7月10日まで延長)に続いて7回目。

当初は、トルコに面するイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所、アレッポ県のバーブ・サラーマ国境通行所(トルコ側はオンジュプナル国境通行所)、イラクに面するハサカ県のヤアルビーヤ国境通行所(イラク側はラビーア国境通行所)、そしてヨルダンに面するダルアー県のダルアー国境通行所(ヨルダン側はラムサー国境通行所)を通じた越境人道支援を認めていた。

だが、国連安保理決議第2504号では、2018年半ばにシリア政府の支配下に復帰したダルアー国境通行所とヤアルビーヤ国境通行所が除外された。

また、決議2533号では、バーブ・サラーマ国境通行所も除外され、越境人道支援が可能なのはバーブ・ハワー国境通行所のみとなっていた。

ノルウェーとアイルランドは6月26日、バーブ・ハワー国境通行所に加えて、ヤアルビーヤ国境通行所を通じた越境人道支援を1年延長するとした決議案を安保理に提出していた。

また、米国は、バーブ・ハワー国境通行所、ヤアルビーヤ国境通行所に加えて、バーブ・サラーマ国境通行所を通じた越境人道支援を求めていた。

だが、ロシア、シリア政府はこれに応じなかった。

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バッサーム・サッバーグ国連シリア代表は採択後に、「ロシア、中国をはじめとする諸外国の代表は、人道状況を改善し、シリア国内で支援を必要としている人々に支援を届けるのに奉仕するために重要な諸側面に光を当てようと努力してくれた」、「新型コロナウイルス感染症が生活面に与えるさまざまな影響に立ち向かい、一方的な経済制裁を解除しようとするシリアの努力を支援するものだ」と謝意を示した。

また「人道支援活動とは、単に被災者への緊急支援のニーズに対応することではなく、水利、保健衛生、教育、避難生活、リハビリにかかるプロジェクトを通じて基本サービスを支援し、それによって国内避難民(IDPs)や難民の帰還に相応しい環境を作るべきだ」と強調した。

一方、西側諸国に関しては、「自らのアジェンダに資するこの仕組みの延長にだけ努力を集中させてきた」、「一部の国は、人道支援搬入の仕組みを「命を救う動脈」などと表現して誇張し、世論を操作しようとした」、「これらの国は一方的な措置の結果として、数百万というシリア人が多くの県で苦しんでいることを無視している」と非難した。

そのうえで、「シリアは引き続き、国民の人道的なニーズに応じ、支援を必要としている人々を支援し、テロ戦争がもたらした負の遺産を軽減することをめざす」と表明した。

SANA(7月9日付)が伝えた。

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『シャルク・アウサト』(7月9日付)は、決議採択に先立って、米国がロシアに新たな譲歩を行ったと伝えた。

同紙によると、米国は、ヤアルビーヤ国境通行所の再開を断念するとともに、越境(クロスボーダー)人道支援をシリア人のレジリエンス強化とリハビリテーションに限定することを誓約する見返りとして、ロシアにバーブ・ハワー国境通行所を通じた支援継続を求めたという。

AFP, July 9, 2021、ANHA, July 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2021、Reuters, July 9, 2021、SANA, July 9, 2021、al-Sharq al-Awsat, July 9, 2021、SOHR, July 9, 2021などをもとに作成。

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ロシア軍は「決戦」作戦司令室支配下のラタキア県、イドリブ県を爆撃、シリア軍はイドリブ県内のトルコ軍拠点一帯を砲撃(2021年7月9日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカッバーナ村一帯を複数回にわたって爆撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が「決戦」作戦司令室の「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のジューズィフ村一帯を複数回にわたって爆撃した。

またシリア軍がバーラ村にあるトルコ軍の拠点一帯を砲撃したほか、アルナバ村、バイルーン村、マウザラ村、フライフィル村、バイニーン村を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるアターリブ市一帯を砲撃し、住民1人が軽傷を負った。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のカルクール村を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるタファス市で軍事情報局で働く男性が正体不明の武装集団に銃で撃たれて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を38件(イドリブ県22件、ラタキア県13件、アレッポ県2件、ハマー県1件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は36件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を5件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, July 9, 2021、ANHA, July 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 9, 2021、Reuters, July 9, 2021、SANA, July 9, 2021、SOHR, July 9, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民288人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は682,481人に(2021年7月9日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月9日付)を公開し、7月8日に難民288人(うち女性87人、子供147人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民288人(うち女性87人、子供147人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は682,481人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者287,233人(うち女性86,329人、子ども146,211人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は911,761人(うち女性273,605人、子供464,702人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は92,441人(うち女性34,736人、子供32,570人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,037人(うち女性417,295人、子供676,336人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 9, 2021をもとに作成。

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シリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の実施期間延長を審議するための国連安保理会合延期に(2021年7月8日)

AFP(7月8日付)は、複数の外交筋の話として、周辺諸国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の実施期間延長を審議するために8日に予定されていた国連安保理の会合が延期された、と伝えた。

会合では、アイルランドとノルウェーが提出した延長案の採決が予定されていた。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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ヨルダンのハサーウィナ首相「ヨルダン人がジャービル・ナスィーブ国境通行所の通過を阻止されねばならない理由はもはやない」(2021年7月8日)

ヨルダンのビシャル・ハサーウィナ首相は、シリアのダルアー県ナスィーブ国境通行所に面するジャービル国境通行所、イルビド県のハサン工業都市を視察訪問した。

シリアへのヨルダン人の渡航に関して、「ヨルダン人がジャービル・ナスィーブ国境通行所の通過を阻止されねばならない理由はもはやない…。現在出国が認められている以外のヨルダン人が出国するための調整を始めねばならない」と述べた。

ハサーウィナ首相はまた、外国人についても、内務省の合意を経ずに出国できるようにするとしたうえで、2週間以内に同通行所の出国者数を150人から500人まで増加させたいと付言した。

ヨルダンのペトラ通信(7月8日付)などが伝えた。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Jordan News Agency (Petra), July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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シリア軍がトルコの占領下にあるアレッポ県アブー・ザンディーン村の通行所一帯を砲撃し、シリア国民軍に所属するスルターン・ムラード師団のメンバー複数負傷(2021年7月8日)

アレッポ県では、ANHA(7月6日付)によると、シリア軍がトルコの占領下にあるバーブ市一帯と、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配地域との境界に位置するアブー・ザンディーン村の通行所一帯を砲撃し、シリア国民軍に所属するスルターン・ムラード師団のメンバー複数が負傷した。

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ラッカ県では、ANHA(7月6日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるクーバルラク村、アフダクー村を砲撃した。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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アスタナ16会議が閉幕:「分離主義的アジェンダ」拒否、「テロとの戦い」継続、人道支援、難民帰還支援の必要を確認(2021年7月8日)

カザフスタンの首都ヌルスルターン(旧アスタナ)で7月7日から開催されていたアスタナ16会議は、アレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使を長とするロシア代表団、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補を長とするイラン代表団、サダト・オナル外務大臣補を長とするトルコ代表団が全体会合を開き、共同声明を発表し、閉幕した。

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共同声明において、会議の保障国である3カ国は、無垢の民間人を標的とするテロ活動を非難、ダーイシュ(イスラーム国)、ヌスラ戦線(現シャーム解放機構)、そしてアル=カーイダとつながりのあるすべての組織・個人を根絶するための協力を継続することを確認した。

また、イドリブ県中北部、ラタキア県北東部、ハマー県南西部、アレッポ県北部を包摂する緊張緩和地帯の状況については、同地の停戦にかかるすべての合意を実施する必要を確認した。

米国の支援を受け、トルコが「分離主義テロリスト」とみなすクルド民族主義組織の民主統一党(PYD)が主導する北・東シリア自治局の支配下にあるシリア北東部の情勢について、シリアの主権と領土保全に脅威を及ぼす「分離主義的アジェンダ」を拒否、「テロとの戦い」を口実とした違法な自治のイニシアチブは受け入れ慣れないと表明、シリアで産出される石油の奪脱を非難した。

さらに、シリア領内に対して繰り返されるイスラエルの侵犯行為を改めて非難した。

国連安保理決議第2254号に沿った政治プロセスについては、その推進に専念し、制憲委員会(憲法委員会)の活動を支援することを再確認した。

このほか、人道状況、とりわけ新型コロナウイルス感染症の拡大に懸念を表明、シリアに対する一方敵な経済制裁を拒否、政治利用なき無制限の人道支援を行うこと、基礎インフラの復興、難民・国内避難民(IDPs)の帰還を促す必要を強調した。

なお、次回の会合(アスタナ17会議)の開催は、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえつつ、年末に開催することを合わせて合意した。

SANA(7月8日付)、アナトリア通信(7月8日付)、スプートニク・ニュース(7月8日付)などが伝えた。

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なお、反体制派系サイトのフッル・ネット(7月8日付)が会合に参加した複数筋の話として伝えたところによると、ロシアは緊張緩和地帯内に非武装地帯を設置することを強く主張した。

AFP, July 8, 2021、Anadolu Ajansı, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、al-Hull, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021、Sputnik News, July 8, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民331人と国内避難民(IDPs)223人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は682,193人、2019年以降帰還したIDPsは92,441人に(2021年7月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月8日付)を公開し、7月7日に難民331人(うち女性100人、子供168人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民331人(うち女性100人、子供168人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は682,193人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者286,945人(うち女性86,242人、子ども146,064人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は911,473人(うち女性273,518人、子供464,555人)となった。

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一方、国内避難民223人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは223人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は92,441人(うち女性34,736人、子供32,570人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,037人(うち女性417,295人、子供676,336人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 8, 2021をもとに作成。

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ハサカ県の国境地帯でトルコ軍とアサーイシュが交戦、トルコ軍兵士4人死傷(2021年7月7日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダルバースィーヤ市に近い国境地帯で、トルコ軍国境警備隊と北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が交戦した。

トルコ領内に向かって複数人が越境を試みたのがきっかけ。

この戦闘で、トルコ軍の車輌が国境に設置されたコンクリート製の壁に激突し、乗っていた兵士1人が死亡した。

これに関して、アナトリア通信(7月7日付)は地元自治体(マルディン県知事)が、トルコ軍兵士1人が死亡、3人が負傷したと発表したと伝えた。

AFP, July 7, 2021、ANHA, July 7, 2021、Anadolu Ajansı, July 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2021、Reuters, July 7, 2021、SANA, July 7, 2021、SOHR, July 7, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ウマル油田の米軍基地がドローンによる攻撃を受ける(2021年7月7日)

ダイル・ザウル県では、SANA(7月7日付)が複数の地元筋から得た情報だとして伝えたところによると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にある国内最大の油田地帯、ウマル油田に違法に設置されている米軍の基地が所属不明の無人航空機(ドローン)の攻撃を受け、複数の煙柱が立ち上がった。

ユーフラテス・ポスト(7月7日付)は、ドローンの攻撃に対して、米軍基地は携帯式の対空ミサイルで応戦したと伝えた。

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これに関して、シリア民主軍のファルハード・シャーミー広報センター局長は声明を出し、攻撃を回避したと発表した。

声明の内容は以下の通り。

北・東シリア現地時間の10時15分、ダーイシュ(イスラーム国)と戦う我が前線部隊と有志連合部隊が、ダイル・ザウル県ウマル油田地帯で、無人航空機による攻撃に対処した。一次報告では、攻撃を失敗させ、被害がなかったことが確認されている。

https://www.facebook.com/QSDMEDIA/posts/1670037036522291

シリア人権監視団によると、攻撃は「イランの民兵」によるものと見られる。

同監視団によると、この攻撃を受けて、有志連合部隊はシリア民主軍部隊を従えて、ユーフラテス川東岸に位置するズィーバーン町に突入し、強制捜査を行った。

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また、イラクのスーマリーヤ・チャンネル(7月7日付)はイラク治安筋の話として、米軍が駐留するイラク・アンバール県にアイン・アサド基地にロケット弾複数発が打ち込まれ、イラク軍兵士複数が負傷した。

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なお、ロイター通信(7月5日、6日付)などによると、5日もアイン・アラブ航空基地に無人航空機(ドローン)2機が飛来、米軍の防空システムがこれを撃破した。

また同日、イラクの首都バグダードにある米国大使館に無人航空機(ドローン)が接近したが、同じく撃破された。

さらに6日、米軍部隊が駐留するイラク北部のアルビール国際空港が爆弾を積んだ無人航空機(ドローン)の攻撃を受けた。

イラク・クルディスタン地域に主都でもあるアルビール市にある米国領事館はサイレンを鳴らし警戒を呼びかけた。

米国防総省の発表によると、人的・物的被害はなかった。

AFP, July 7, 2021、ANHA, July 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2021、Euphrates Post, July 7, 2021、Reuters, July 7, 2021、SANA, July 7, 2021、SOHR, July 7, 2021、al-Sumariya Channel, July 7, 2021などをもとに作成。

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ロシアのラヴレンチエフ大統領特使「越境(クロスボーダー)人道支援の仕組みを終わらせる、なぜなら役に立たないからだ」(2021年7月7日)

ロシアのアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使は、アスタナ16会議に参加するために訪れているカザフスタンの首都ヌルスルターン(旧アスタナ)で記者会見を行い、周辺諸国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援を行うことを定めた国連安保理決議第2165号(2014年採択)が7月10日に失効することに関して、「我々は当然、この仕組みを終了させ、延長しないことを主張している。なぜなら、役に立たないからだ」と述べた。

AFP, July 7, 2021、ANHA, July 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2021、Reuters, July 7, 2021、SANA, July 7, 2021、SOHR, July 7, 2021などをもとに作成。

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アスタナ16会議がカザフスタンの首都ヌルスルターンで開幕(2021年7月7日)

アスタナ16会議がカザフスタンの首都ヌルスルターン(旧アスタナ)で開幕した。

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外務在外居住者省のアイマン・スーサーン次官を長とするシリア政府代表団は、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表、アレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使を長とするロシア代表団、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補を長とするイラン代表団と個別に会談した。

SANA(7月7日付)によると、ペデルセン国連特別代表との会談で、シリア政府代表団は、トルコと米国の占領軍によるシリア国民に対する侵害行為、テロ支援、資源盗奪に対して強い抗議の声を上げるよう訴えた。

スーサーン次官はまた、政治プロセスへの積極的取り組みを続けることを伝える一方、ペデルセン国連特別代表も制憲委員会(憲法委員会)の第6ラウンド開催、に向けて努力を続ける決意を示した。

ロシア代表団との会談では、今次会合の議題、イドリブ県などのシリア情勢、西側諸国の政策について意見を交わし、米国をはじめとする外国軍の撤退などに向けた共同での取り組みを続けることを確認した。

イラン代表団との解団では、シリア情勢やシリア情勢の進捗について意見を交わし、外国の干渉を排除し、シリアの主権維持、領土保全に向けて協力と連携を行う決意を確認した。

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なお、トルコはサダト・オナル外務大臣補を長とする代表団を、反体制派はシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班を長とする代表団(シリア軍事革命諸勢力代表団)を現地に派遣している。

AFP, July 7, 2021、ANHA, July 7, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2021、Reuters, July 7, 2021、SANA, July 7, 2021、SOHR, July 7, 2021などをもとに作成。

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