70%以上がシリア政府と反体制派の直接交渉による紛争解決を支持(SADA世論調査)

反体制NGOのサダー研究世論調査機構は、紛争解決に向けたシリア政府と反体制派の直接対話に関する世論調査を実施し、70%以上が対話を支持しているとする結果を発表した(http://www.sadasy.org/?p=101)。

世論調査は、トルコ、レバノン、ヨルダンで暮らすシリア人避難民、シリア国内の複数の都市(場所は不明)居住者1,700人の対象に7月15日から8月10日にかけて実施、回答者は女性を全体の40%、40歳未満を全体の60%に配分するかたちでランダムに選択された。

結果は以下の通り:

1. シリア政府との直接交渉が紛争解決の糸口となるか? なる638人、ならない395人、国際社会が保障すればなる607人。

2. 国内の反体制派(民主的変革諸勢力国民調整委員会、シリア国家建設潮流など)はこの交渉で反体制派の一部とみなし得るか? みなし得る689人、みなし得ない640人、交渉における提案次第311人。

3. 国内での戦闘停止を交渉開始の条件とすべきか? すべき1,164人、すべきでない214人、優先事項とすべき262人。

4. 大国が交渉を監督、保障すべきか? すべき1,378人、すべきでない147人、アラブ諸国がすべき115人。

5. 交渉の期間はどのくらいかかると思うか? 1年以下98人、2年以下148人、3年以下295人、長期間を要する1,099人。

 

イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月30日)

ダイル・ザウル県では、SANA(8月30日付)によると、ムーハサン市、マリーイーヤ村、ブー・ウマル村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団が、ハサカ市グワイラーン地区の話として、同地区で活動する武装集団を指導する「チュニジア人アミール」が、ダーイシュ(イスラーム国)への忠誠を宣言する準備をしていることを明らかにした。

これに関して、ARA News(8月30日付)は、シリア軍が、ダーイシュのチュニジア人司令官「アブー・ズバイル」がグワイラーン地区に潜入し、同地区の武装集団の司令官になったことを受け、同地への総攻撃の準備を行っている、と報じた。

このほか、シリア人権監視団によると、ムーハサン市、マヤーディーン市で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対する空爆を行った。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、スーラーン・アアザーズ町周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)が、クルド人戦線旅団、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

AFP, August 30, 2014、AP, August 30, 2014、ARA News, August 30, 2014、Champress, August 30, 2014、al-Hayat, August 31, 2014、Kull-na Shuraka’, August 30, 2014、al-Mada Press, August 30, 2014、Naharnet, August 30, 2014、NNA, August 30, 2014、Reuters, August 30, 2014、SANA, August 30, 2014、UPI, August 30, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国内の暴力:ヌスラ戦線がUNDOF隊員を拉致(2014年8月30日)

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ゴラン高原のルワイヒーナ村一帯で早朝、UNDOFがシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

これ関して、フィリピンのヴォルテル・ガズミン外務大臣は、記者団に対して文書で、UNDOFに所属するフィリピン軍部隊72人がゴラン高原の拠点2カ所に分かれて孤立、うち拠点1カ所に駐留していた部隊は脱出したが、もう一つの部隊が攻撃を受けていることを明らかにした。

また、『ハヤート』(8月31日付)は、国連高官の話として、ゴラン高原の非武装地帯で孤立していたUNDOFフィリピン軍部隊隊員72人のうち32人が、ヌスラ戦線などからなる武装集団との戦闘の末に、無事脱出したことを明らかにしたと報じた。

ヌスラ戦線らは27日にフィリピン軍部隊を包囲し、武器の引き渡しと降伏を求めているが、フィリピン軍部隊はこれを拒否しているという。

AFP, August 30, 2014、AP, August 30, 2014、ARA News, August 30, 2014、Champress, August 30, 2014、al-Hayat, August 31, 2014、Kull-na Shuraka’, August 30, 2014、al-Mada Press, August 30, 2014、Naharnet, August 30, 2014、NNA, August 30, 2014、Reuters, August 30, 2014、SANA, August 30, 2014、UPI, August 30, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き:シリア国内人口の50%が避難生活(2014年8月29日)

国連難民高等弁務官事務所はシリアでの紛争に関して声明を出し、2011年3月以降、19万1,000人が死亡、また国内にとどまっているシリア人の約50%にあたる650万人も避難生活を余儀なくされていると警鐘を鳴らした。

また同声明によると、レバノンに141万人、ヨルダンに60万8,000人、トルコに81万5,000人が避難しているという。

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英国のデヴィッド・キャメロン首相は会見し、英国内のテロ警戒レベルを1段階引き上げ、5段階のうち上から2番目にレベルに引き上げたと発表した。

シリアやイラクで活動するダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線などに参加している英国人戦闘員の帰国に警戒した動きだという。

AFP, August 29, 2014、AP, August 29, 2014、ARA News, August 29, 2014、Champress, August 29, 2014、al-Hayat, August 30, 2014、Kull-na Shuraka’, August 29, 2014、al-Mada Press, August 29, 2014、Naharnet, August 29, 2014、NNA, August 29, 2014、Reuters, August 29, 2014、SANA, August 29, 2014、UPI, August 29, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月29日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)の教育事務局(ディーワーン・タアリーム)が布告を出し、シリア国内の制圧地域において、美術、音楽、カウミーヤ(愛国教育)、歴史、体育、哲学、宗教(イスラーム教、キリスト教)の授業などを廃し、新たな教育方針を採用、また「シリア・アラブ共和国」という言葉を削除し、「イスラーム国」に書き換えると発表した。

また同監視団によると、シリア軍がラッカ県のダーイシュ拠点に対する空爆を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍の一大拠点であるダイル・ザウル航空基地攻略に向けて、ダーイシュ(イスラーム国)は「エリート部隊」の投入を開始した。

一方、SANA(8月29日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、工業地区、ラサーサ地区、ラシュディーヤ地区で、シリア軍がイスラーム国(ダーイシュ)と交戦、複数のダーイシュ戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、スーラーン・アアザーズ町周辺(アフティームッラート村方面)で、ダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団が交戦した。

AFP, August 29, 2014、AP, August 29, 2014、ARA News, August 29, 2014、Champress, August 29, 2014、al-Hayat, August 30, 2014、Kull-na Shuraka’, August 29, 2014、al-Mada Press, August 29, 2014、Naharnet, August 29, 2014、NNA, August 29, 2014、Reuters, August 29, 2014、SANA, August 29, 2014、UPI, August 29, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き:対シリア国境でヒズブッラーとヌスラ戦線が交戦(2014年8月29日)

NNA(8月29日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外のワーディー・フマイイドで、レバノン軍が武装集団と交戦し、2人を逮捕した。

これに関して、『アフバール』(8月30日付)は、ベカーア県バアルベック郡トゥファイル村一帯の対シリア国境地帯(ダマスカス郊外県カラムーン地方無人地帯)で、シリア軍、ヒズブッラーが、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した、と報じた。

AFP, August 29, 2014、al-Akhbar, August 29, 2014、AP, August 29, 2014、ARA News, August 29, 2014、Champress, August 29, 2014、al-Hayat, August 30, 2014、Kull-na Shuraka’, August 29, 2014、al-Mada Press, August 29, 2014、Naharnet, August 29, 2014、NNA, August 29, 2014、Reuters, August 29, 2014、SANA, August 29, 2014、UPI, August 29, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:ヌスラ戦線がUNDOF隊員を拉致(2014年8月29日)

28日にゴラン高原(クナイトラ県)の非武装地帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が拘束したUNDOF隊員43人に関して、『ハヤート』(8月30日付)などは、拘束された隊員がフィージー軍部隊だと報じた。

また、非武装地帯内で孤立している隊員81人がフィリピン軍部隊で、2カ所の拠点に分かれて孤立していると付言した。

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シリア人権監視団によると、ヌスラ戦線などがUNDOF隊員を拘束したのは、「アサドの軍(シリア軍がクルーム丘のUNDOFの拠点に退避し、同拠点で反体制戦闘員の遺体2体が見つかった」ためだという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、クナイトラ県でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団によるUNDOF隊員の拘束に関して「革命家の道徳とは無縁」と非難し、即時解放を求めた。

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SANA(8月29日付)によると、シリア軍がクナイトラ県のウンム・バーティナ村、西サムダーニーヤ村、マジュドゥーリヤー村、ルワイヒーナ村、ビイル・アジャム村で、シャームの民のヌスラ戦線の拠点を攻撃・破壊、複数の「テロリスト」を殺傷した。

AFP, August 29, 2014、AP, August 29, 2014、ARA News, August 29, 2014、Champress, August 29, 2014、al-Hayat, August 30, 2014、Kull-na Shuraka’, August 29, 2014、al-Mada Press, August 29, 2014、Naharnet, August 29, 2014、NNA, August 29, 2014、Reuters, August 29, 2014、SANA, August 29, 2014、UPI, August 29, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き:ウマリー旅団暫定司令官を任命(2014年8月29日)

ウマリー旅団の参謀委員会は声明を出し、カイス・カターイナ司令官(大尉)の戦死を受け、ジハード・カターイナ大尉を暫定司令官に任命したと発表した。

Kull-na Shuraka', August 29, 2014
Kull-na Shuraka’, August 29, 2014

AFP, August 29, 2014、AP, August 29, 2014、ARA News, August 29, 2014、Champress, August 29, 2014、al-Hayat, August 30, 2014、Kull-na Shuraka’, August 29, 2014、al-Mada Press, August 29, 2014、Naharnet, August 29, 2014、NNA, August 29, 2014、Reuters, August 29, 2014、SANA, August 29, 2014、UPI, August 29, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き:オバマ大統領、ダーイシュ掃討のための具体的戦略はない(2014年8月28日追記)

バラク・オバマ米大統領は、ホワイトハウスで記者会見を開き、シリアとイラクで台頭するダーイシュ(イスラーム国)を一掃するための広範囲な戦略を策定中で、具体的な「戦略はまだない」と述べた。

The Washington Post, August 29, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月28日追記)

ハサカ県では、ARA News(8月29日付)が地元住民の話として、米軍戦闘機がイラク国境に面するヤアルビーヤ町周辺のマフムーディーヤ村、ジャズア村、ハドアーン村のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行ったと報じた(未確認情報)。

また、この空爆直後にジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村とマアバダ(カルキールキー)町の南部で巨大な爆発が起きたという。

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アレッポ県では、ARA News(8月29日付)によると、アイン・アラブ市郊外のジャブナ村、タッル・ザーグルース村、タアラク村で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員20人を殺害した。

ARA News, August 29, 2014をもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き:シリア軍がダーイシュ拠点をピンポイント爆撃(2014年8月28日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がムーハサン市にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュの司令官少なくとも6人を殺害することに成功した。

シリア軍が空爆した拠点は、自由シリア軍ダイル・ザウル軍事評議会スッカル・アフマド准将(アブー・ニダール)の自宅で、ダーイシュの司令官ら(外国人)が会合を開いており、アフマド准将、イブラーヒーム・アブドゥッラー氏らが死亡、会合に出席していた司令官のほとんどが死傷したという。

自由シリア軍ダイル・ザウル軍事評議会は、ダーイシュのカリフ制樹立を受け、アブー・バクル・バグダーディー氏に忠誠を誓っていた。

アフマド准将はダイル・ザウル航空基地を攻略するための作戦司令室司令官を務めていた。

シリア軍がダーイシュ拠点に対してピンポイント爆撃を行うのは「これが初めて」で、シリア人権監視団によると、これに先だって「シリア軍ではない外国の偵察機」が標的を設定するために旋回をしていたという。

同監視団によると、シリア軍は「外国の偵察機」が収集した情報を、ロシアとイラクを通じて入手し、空爆に踏み切ったものと思われるという。

一方、SANA(8月28日付)によると、シリア軍は、ムーハサン市の他、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、サーア地区、マリーイーヤ村、シュマイティーヤ町、フライジーヤ村のダーイシュ拠点に対しても、空爆などの攻撃を行った。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がラッカ市のサキーナ学校で、タブカ航空基地から撤退中に捕虜となったシリア軍兵士約50人を処刑し、そのビデオ、画像をインターネットを通じて公開した。

公開されたビデオのなかには、ダーイシュ戦闘員にあしざまにされているシリア軍兵士数百人が写っているが、彼らの多くの消息は不明で、また複数の活動家によると、すでにシリア軍兵士250人が処刑されたという。

またタブカ航空基地での戦闘では、シリア軍兵士200人、ダーイシュ戦闘員246人が死亡、飛行場から撤退したシリア軍兵士のうち数百人が依然として消息不明だという。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014
Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014
Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

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シリア人権監視団は、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏が、結婚を希望するすべてのダーイシュ・メンバーに、1,200米ドルの奨励金、家具付き住居を支給することを命じたと発表した。

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き:レバノン軍がシリア人・レバノン人武装集団と交戦(2014年8月28日)

NNA(8月28日付)によると、ベカーア県ラーシャイヤー郡のアイン・アター村郊外でシリア領内からミニバスで潜入しようとしたシリア人・レバノン人の武装集団に対して、レバノン軍が発砲、シリア人戦闘員1人が死亡、2人が負傷した。

またバアルベック郡アルサール村郊外では、レバノン軍がジハード主義武装集団と交戦し、兵士1人が死亡した。

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ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外で8月3日に逮捕されたイスラームの暁大隊司令官でシリア人のイマード・アフマド・ジュムア容疑者に対する取り調べがレバノンの軍事裁判所で行われた。

ナハールネット(8月28日付)によると、ジュムア容疑者は取り調べて、ダーイシュ(イスラーム国)への所属を否定しているという。

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クッルナー・シュラカー(8月28日付)は、レバノン・タウヒード潮流(ウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)のシリア国内での活動休止に関して、2014年4月のスワイダー県サフワ村での騒動(https://syriaarabspring.info/wp/?p=7136)で軍事情報局スワイダー支局長解任を求めるデモを主導したドゥルーズ派シャイフ、アブー・ファフド・ワヒード・バルウース師の活動によるものだと報じた。

レバノン・タウヒード潮流広報局は27日に声明を出し、シリア国内の当事務所を閉鎖し、同国内での活動を休止すると発表していた。

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 27, 2014、August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:ヌスラ戦線がUNDOF隊員を拉致(2014年8月28日)

クナイトラ県では、イスラエルが占領するゴラン高原の非武装地帯で兵力引き離しのための監視活動を行うUNDOFの隊員43人が、クナイトラ市一帯でシリア軍と交戦中のシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団によって拘束された。

国連は43人が早朝に武装集団によって拘束されたと発表したが、隊員の国籍については明らかにせず、また拉致された43人以外にも、81人の隊員がルワイヒーナ村・ブライカ村間で身動きがとれない状態だと付言した。

UNDOFには、フィージー、インド、アイルランド、ネパール、オランダ、フィリピンから1,223人が派遣されている。

AP(8月28日付)によると、ヌスラ戦線などは27日にクナイトラ検問所などを制圧し、現在はシリア軍が同地奪還のために空爆などを行っており、シリア人権監視団によると、27日からの戦闘で、シリア軍兵士20人、ヌスラ戦線側の戦闘員14人が死亡したという。

一方、なお、クッルナー・シュラカー(8月28日付)によると、27日からの戦闘では、イスラエル軍兵士1人と民間人1人が警鐘を負い、イスラエル軍は27日にシリア軍の陣地2カ所を砲撃したという。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

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ダマスカス県では、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がジャウバル区(製材所交差点一帯など)において反体制武装集団の掃討を重点的に行い、イスラーム軍の戦闘員らを殺傷した。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がジャウバル区各所を空爆、またヤルムーク区で、シリア軍とジハード主義武装集団が交戦した。

また、SANA(8月28日付)によると、シリア軍が、ジャウバル区での掃討作戦と並行して、ザマルカー町・アルバイン市交差点、アイン・タルマー渓谷、ハティータト・ジャルシュ町、ザブディーン村、ジスリーン町、タルフィーター村郊外の無人地帯、ハーン・シャイフ・キャンプで反体制武装集団の掃討を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(8月28日付)によると、アレッポ市ライラムーン地区、旧市街、シャッアール地区、ジャービリーヤ地区、ウンム・クラー町、タッル・リフアト市、カフル・カルミーン村、タッル・アラム村、ハンダラート・キャンプ、ハーン・アサル村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月28日付)によると、ザーウィヤ山一帯、タッラト・マアッラ一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シリア革命家戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月28日付)によると、ウンム・シャルシューフ村、ヒムス市ワアル地区、ガジャル村、タッラト・バドウ、マスアダ村、ウンム・サフリージュ村、タドムル市近郊のシャジャラ農場で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月28日付)によると、シャイフ・マスキーン市、ラジャート高原、ヒルバト・ガザーラ町周辺、ダーイル町、サイダー町周辺、ダルアー市各所で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クッルナー・シュラカー(8月28日付)は、ダルアー県ラジャート高原一帯で反体制活動を行ってきたウマリー旅団(自由シリア軍)司令官のカイス・カターイナ大尉が、ハイト村近郊で負傷し、搬送先のヨルダン国内の病院で死亡したと報じた。

カターイナ大佐は、「5番目に離反した」シリア軍元士官で、2011年からダルアー県、スワイダー県で反体制武装闘争を続けてきた。

Kull-na Shuraka', August 28, 2014
Kull-na Shuraka’, August 28, 2014

AFP, August 28, 2014、AP, August 28, 2014、ARA News, August 28, 2014、Champress, August 28, 2014、al-Hayat, August 29, 2014、Kull-na Shuraka’, August 28, 2014、al-Mada Press, August 28, 2014、Naharnet, August 28, 2014、NNA, August 28, 2014、Reuters, August 28, 2014、SANA, August 28, 2014、UPI, August 28, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年8月27日)

Turkey Today(8月27日付)によると、トルコ軍警察は、自爆ベルトを身につけ、ハサカ県ラアス・アイン市からトルコ領内に潜入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)メンバーだという女性1人を逮捕した。

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オーストラリア保安情報部のデーヴィッド・アーバイン長官は、シリア・イラクでオーストラリア人ジハード主義者15人が死亡、うち2人が自爆攻撃を行ったことを明らかにした。

アーバイン長官はまた、60人程度のオーストラリア人がダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線に参加し、シリアやイラクで戦闘を行っていると付言した。

『ハヤート』(8月28日付)が伝えた。

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シリアでの人権侵害を調査するために国連が設置した国際調査委員会(パウロ・セルジオ・ピネイロ委員長)は、最新の報告書を発表し、シリア軍や反体制武装集団に加えて、ダーイシュ(イスラーム国)が同国の紛争に関与し、「複合要因に左右される戦闘に変貌した」と指摘、またダーイシュによる処刑、拷問などを「人道に対する罪」と非難した。

調査機関は2014年1月中旬から7月中旬で、480人に対して聞き取り調査を行ったという。

一方、報告書では、シリア軍が4月に8カ所に対して塩素ガスを装填した「樽爆弾」を投下した疑いがあると指摘した。

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ドイツ外務省報道官は、ドイツが、米国などとダーイシュ(イスラーム国)に対する軍事介入の可能性について協議しているとしたうえで、ドイツがこの軍事介入に参加することはないだろうと付言した。

『ハヤート』(8月28日付)が伝えた。

AFP, August 27, 2014、AP, August 27, 2014、ARA News, August 27, 2014、Champress, August 27, 2014、al-Hayat, August 28, 2014、Kull-na Shuraka’, August 27, 2014、al-Mada Press, August 27, 2014、Naharnet, August 27, 2014、NNA, August 27, 2014、Reuters, August 27, 2014、SANA, August 27, 2014、Turkey Today, August 27, 2014、UPI, August 27, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月27日)

アレッポ県では、SANA(8月27日付)によると、アルシャーフ村、フサーミーヤ村、ブラート村、タッル・シャイール、マンスーラ村、カフルハムラ村、ハイヤーン町、製材所、航空士官学校一帯、アレッポ市サーフール地区、バニー・ザイド地区、アシュラフィーヤ地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)などの反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍の一大拠点であるダイル・ザウル航空基地周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)とシリア軍が交戦した。

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ラッカ県では、SANA(8月27日付)によると、バアス・ダム一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の拠点・武器庫を攻撃し、戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

AFP, August 27, 2014、AP, August 27, 2014、ARA News, August 27, 2014、Champress, August 27, 2014、al-Hayat, August 28, 2014、Kull-na Shuraka’, August 27, 2014、al-Mada Press, August 27, 2014、Naharnet, August 27, 2014、NNA, August 27, 2014、Reuters, August 27, 2014、SANA, August 27, 2014、UPI, August 27, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月27日)

クッルナー・シュラカー(8月27日付)は、複数の消息筋の話として、自由シリア軍参謀委員会が、シリア革命反体制勢力国民連立の総合委員会メンバー人事をめぐって、参謀委員会幹部と国内で戦闘を行っている武装集団(シリア革命家戦線、ハズム運動、ムウタッズ・ビッラー旅団など)との間で対立が生じている、と報じた。

AFP, August 27, 2014、AP, August 27, 2014、ARA News, August 27, 2014、Champress, August 27, 2014、al-Hayat, August 28, 2014、Kull-na Shuraka’, August 27, 2014、al-Mada Press, August 27, 2014、Naharnet, August 27, 2014、NNA, August 27, 2014、Reuters, August 27, 2014、SANA, August 27, 2014、UPI, August 27, 2014などをもとに作成。

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「国民和解合意」(停戦合意)をめぐる動き(2014年8月27日)

『クドス・アラビー』(8月27日付)は、ノルウェーの首都オスロで、シリア政府に近いビジネスマン、商人、反体制武装集団代表、シリア国内外の反体制活動家による非公式会合(https://syriaarabspring.info/wp/?p=13103)に関して、シリア国内から民主統一党、民主的諸勢力国民調整委員会、ロナーク機構(シリアのクルド人NGO)の代表、ロシア、イラン、サウジアラビア、米国、イラク・クルディスタン地域、トルコのPKKの高官が参加した、と報じた。

同紙によると、欧米諸国が「シリア国民の唯一の正統な代表」としていたシリア革命反体制勢力国民連立のメンバーも会合には参加したが、連立代表としてではなく、個人としての参加だったと付言した。

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『ワタン』(8月27日付)は、パリで行われたとされるシリア政府高官と離反「上級士官」との非公式会合に関連して、マナーフ・トゥラース氏(元共和国護衛隊准将)に対し、離反を撤回し、帰国すれば、「高い地位」を保障するとのシリア政府のメッセージが伝えられた、と伝えた。

al-Quds al-‘Arabi, August 27, 2014、al-Watan, August 27, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年8月26日)

AP(8月26日付)は、米高官の話として、米空軍が、バラク・オバマ米大統領の承認を受け、2日前にシリア領内での偵察活動を開始した、と報じた。

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サウジアラビア内務省は声明を出し、首都リヤドの北西140キロに位置するタミール市で、治安当局が、ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線の戦闘員加入・派遣に関与していた疑いのある8人を逮捕したと発表した。

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ハサカ県では、ARA(8月26日付)によると、国連世界食糧計画(WFP)、ユニセフによる食糧人道支援が空路でカーミシュリー空港に届けられた。

AFP, August 26, 2014、AP, August 26, 2014、ARA News, August 26, 2014、Champress, August 26, 2014、al-Hayat, August 27, 2014、Kull-na Shuraka’, August 26, 2014、al-Mada Press, August 26, 2014、Naharnet, August 26, 2014、NNA, August 26, 2014、Reuters, August 26, 2014、SANA, August 26, 2014、UPI, August 26, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月26日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ市の部族事務(ディーワーン・アシャーイル)局で、ジハード主義者など反体制武装集団メンバー320人以上が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓い、加入した。

シリア人権監視団によると、8月19日の時点で、ダーイシュの訓練キャンプに6,300人が参加、このうち5,000人がシリア人、800人が元反体制武装集団メンバー、約1,300人が外国人(アラブ人、欧米出身者、チェチェン人、東南アジア出身者、中国人、クルド人)だという。

外国人戦闘員1,300人のうち、1,100人が最近になってシリア国内に不法入国、また約200人がシャームの民のヌスラ戦線からの離反者だという。

またシリア人権監視団によると、ダーイシュは戦闘員に対して毎月400米ドルを支給、家族を連れてきた者に対しては、妻に月100ドル、子供一人あたり50ドルを支給しているほか、住居、燃料などを保証している、という。

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同じくアレッポ県では、シリア人権監視団によると、県北部でダーイシュ(イスラーム国)がジハード主義武装集団(イスラーム戦線)と交戦し、イスラーム戦線側の戦闘員2人が死亡した。

またシリア軍は、ハルバ村を空爆し、女性1人と子供2人を含む4人が死亡した。

一方、SANA(8月26日付)によると、航空士官学校周辺、アアザーズ市、ダービク村、マンスーラ村、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市ハナーヌー地区、ラームーサ地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)などの反体制武装集団を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ザウル市内のダーイシュ(イスラーム国)の拠点、シュマイティーヤ町の訓練キャンプ、同村に隣接するタッル・ターブース一帯などに対して初の本格的な空爆を実施した。

被害状況は明らかでないが、ダーイシュ本部(場所不明)に隣接する地区へのシリア軍の空爆では7人が死亡したという。

シリア軍による本格空爆は、ダーイシュがダイル・ザウル県におけるシリア軍の一大拠点であるダイル・ザウル航空基地攻略の準備を進めていることを受けた動きだという。

一方、SANA(8月26日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ジュバイラ地区、旧空港地区、工業地区、ウルフィー地区、ハウィーカ地区、ラサーファ地区、ナズラト・ラディーサート地区のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して、シリア軍が攻撃を行い、多数の「テロリスト」を殲滅した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(8月25日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員が民間人の服をまといラアス・アイン市に潜入、市内にある西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の検問所を襲撃した。

これにより、人民防衛隊隊員複数名が死亡、ダーイシュ戦闘員1人が負傷したという。

一方、シリア軍と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の合同検問所から、ハサカ市グワイラーン地区に対して砲撃が行われた。

AFP, August 26, 2014、AP, August 26, 2014、ARA News, August 26, 2014、Champress, August 26, 2014、al-Hayat, August 27, 2014、Kull-na Shuraka’, August 26, 2014、al-Mada Press, August 26, 2014、Naharnet, August 26, 2014、NNA, August 26, 2014、Reuters, August 26, 2014、SANA, August 26, 2014、UPI, August 26, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年8月26日)

ブサイナ・シャアバーン大統領府政治報道補佐官は、ダーイシュ(イスラーム国)によって処刑された米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏に関して、BBCラジオ4(8月26日付)に対して、「処刑は昨年行われ、そのビデオが最近になって公開された…。国連は処刑が昨年行われたことを知っている」と述べた。

AFP, August 26, 2014、AP, August 26, 2014、ARA News, August 26, 2014、BBC Radio 4, August 26, 2014、Champress, August 26, 2014、al-Hayat, August 27, 2014、Kull-na Shuraka’, August 26, 2014、al-Mada Press, August 26, 2014、Naharnet, August 26, 2014、NNA, August 26, 2014、Reuters, August 26, 2014、SANA, August 26, 2014、UPI, August 26, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月26日)

SLN(8月26日付)は、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動する反体制武装集団が25日、イスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官のもと、共同戦線として糾合することに合意したと報じた。

同報道によると、共同戦線への参加に合意したのは、イスラーム軍、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム自由人イスラーム運動、ラフマーン軍団、ハビーブ・ムスタファー旅団。

なお副司令官は、アジュナード・シャーム・イスラーム連合のムハンマド・ファーティフ司令官が務めるという。

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『ハヤート』(8月27日付)は、8月3日に、ダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線を除く反体制武装集団が結成した「シリア革命指導評議会」(https://syriaarabspring.info/wp/?p=11729)の参加組織が、結成当初の18組織から40組織に増えたと報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)によるタブカ航空基地制圧に関して、アサド政権がダーイシュと「共謀」して、基地を明け渡したと断じ、非難した。

AFP, August 26, 2014、AP, August 26, 2014、ARA News, August 26, 2014、Champress, August 26, 2014、al-Hayat, August 27, 2014、Kull-na Shuraka’, August 26, 2014、al-Mada Press, August 26, 2014、Naharnet, August 26, 2014、NNA, August 26, 2014、Reuters, August 26, 2014、SANA, August 26, 2014、SLN, August 26, 2014、UPI, August 26, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年8月25日追記)

『ニュヨーク・タイムズ』(8月25日付)は、バラク・オバマ米大統領が、シリアでの米軍による偵察飛行を行うことを承認したと報じた。

この承認を受け、米空軍は、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点に関する情報収集のため、有人機および無人機による偵察飛行を行うものと見られるという。

なお同紙によると、オバマ大統領は、シリアのアサド政権と共闘していると受け取られないよう、偵察機の飛行をシリア政府に通告しない方針だという。

これに関して、ジェニファー・サキ国務省報道官は、偵察飛行が「米国人の生命を守ることに関わる問題であり、シリア政府にそのための許可を求めることはない」と述べた。

またシリア領空内でのダーイシュに対する空爆を行った場合でも、「我々はアサドと共闘しているのではない。ただ共通の敵がいるだけだ…。シリア政府は右手でダーイシュを狙う一方で、左手ではダーイシュを手なずけ、シリア国民の意思に応え、真の政治的解決を受け入れることを拒否している」と主張した。

AFP, August 26, 2014、AP, August 26, 2014、ARA News, August 26, 2014、Champress, August 26, 2014、al-Hayat, August 27, 2014、Kull-na Shuraka’, August 26, 2014、al-Mada Press, August 26, 2014、Naharnet, August 26, 2014、The New York Times, August 25, 2014、NNA, August 26, 2014、Reuters, August 26, 2014、SANA, August 26, 2014、UPI, August 26, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月26日追記)

シュアイタート部族の部族長、名士らは、ビデオ声明(https://www.youtube.com/watch?v=E-oENvFXAjU)を出し、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明、「ラワーヒドども(シーア派のこと)、ヌサイリー派ども(アラウィー派のこと)、クルド人、アラブ人などの共産主義者ども」に対する闘争を強化するため、拘束中の部族の子息(700人以上とされる)への恩赦を誓願した。

Kull-na Shuraka', August 26, 2014
Kull-na Shuraka’, August 26, 2014

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ハサカ県では、ARA News(8月26日付)によると、ハサカ市北部のハシュマーン村で、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュがダーイシュ(イスラーム国)メンバーの自宅に突入、ダーイシュの兵站部門責任者を逮捕した。

また、アサーイシュはアームーダー市の反体制活動家自宅に対して強制捜査を行い、2人を逮捕した。

一方、ヤアルビーヤ町に近いジャズア村一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と戦闘を続け、人民防衛隊によると、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

ARA News, August 26, 2014をもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年8月25日追記)

AKI(8月25日付)は、反体制筋の話として、シリア政府高官がパリを非公式に訪れ、離反「上級」士官と、シリアへの帰国を説得するための交渉をしたが、この上級士官がこれを拒否した、と報じた。

AKI, August 25, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年8月25日)

ドイツ外務省報道官は記者会見で、「アサド大統領の体制は3年におよぶ内戦で約20万人を殺害した」と主張したうえで、「我々がいかに誠実であったとしても、「ダーイシュ(イスラーム国)はアサドよりも悪く、ダーイシュほど悪くない勢力と協力しなければならない」といった政治的リアリズムのもとに、このことを無視することは想像できない」と述べた。

なお、ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団による最新の犠牲者総数(推計)は18万215人で、うち民間人(武装した民間人を含むという)が5万8,805人(うち子供9,428人、女性6,036人)、軍および親政権民兵が6万8,780人(うち軍、治安部隊が4万438人、人民諸委員会や国防隊が2万5,927人)、反体制武装集団戦闘員が4万9,699人、シャームの民のヌスラ戦線やイスラーム(ダーイシュ)などに属す外国人戦闘員が1万6,855人、ヒズブッラーなどの親政権の外国員戦闘員が1,854人、身元不明が2,931人。

「アサド大統領の体制は3年におよぶ内戦で約20万人を殺害した」とのドイツ外務省報道官は事実に反する。

AFP(8月25日付)が伝えた。

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マーティン・デンプシー統合参謀本部議長は『デイリー・メール』紙(8月25日付)に対し、米国内の安全保障が脅かされれば、シリア領内でダーイシュ(イスラーム国)に対して空爆を行う可能性があると述べた。

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『ハヤート』(8月26日付)によると、トルコのイスタンブール市郊外で、シリア人避難民の存在に不満を訴える住民数百人が抗議行動を行い、警察と衝突した。

AFP, August 25, 2014、AP, August 25, 2014、ARA News, August 25, 2014、Champress, August 25, 2014、
The Daily Mail, August 25, 2014、al-Hayat, August 26, 2014、Kull-na Shuraka’, August 25, 2014、al-Mada Press, August 25, 2014、Naharnet, August 25, 2014、NNA, August 25, 2014、Reuters, August 25, 2014、SANA, August 25, 2014、UPI, August 25, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月25日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がタブカ市およびその周辺に7度にわたり空爆を行うとともに、タブカ航空基地近郊のアジュラーウィー農場一帯で、シリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

またラッカ市では、ダーイシュが24日から住民の市外への移動を禁止しているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アシュティームッラート村周辺、アルシャーフ村周辺、アスンブル村で、クルド人戦線旅団、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦する一方、ダーイシュはマーリア市に対して砲撃を行った。

この戦闘で、クルド人戦線旅団、ヌスラ戦線側は、ダーイシュ戦闘員多数を捕捉した。

またクルド人戦線旅団、ヌスラ戦線などは、マーリア市北部のアディーヤ村一帯でダーイシュと交戦し、米国人を含むダーイシュ戦闘員15人以上を殺害した。

一方、シリア軍は、ダーイシュが占拠するトゥルクマーン・バーリフ村を24日深夜に「樽爆弾」で空爆し、女性、子供を含む8人が死亡した。

このほか、対トルコ国境(キリス)に面するバーブ・サラーマ国境通行所近くのサッジュー停留所から約50メートルの道路上で、爆発が発生し、3人が負傷した。

イスラーム戦線広報局は、犯行が、ダーイシュではなく、シリア政府の工作員によるものだとの見方を示している。

ARA News, August 25, 2014
ARA News, August 25, 2014

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月25日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、旧空港地区、ムーハサン市、マリーイーヤ村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 25, 2014、AP, August 25, 2014、ARA News, August 25, 2014、Champress, August 25, 2014、al-Hayat, August 26, 2014、Kull-na Shuraka’, August 25, 2014、al-Mada Press, August 25, 2014、Naharnet, August 25, 2014、NNA, August 25, 2014、Reuters, August 25, 2014、SANA, August 25, 2014、UPI, August 25, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年8月25日)

シャームの民のヌスラ戦線幹部の一人は、8月初めのベカーア県バアルベック郡アルサール村襲撃時に拘束した内務治安軍総局隊員らの処遇に関して、アナトリア通信(8月25日付)に「ヒズブッラーは拘束されている隊員解放の交渉を妨害しようとしてカラムーン(シリアのダマスカス郊外県)への攻撃を計画している…。しかしこうしたシナリオは人質に死をもたらすことになる…。我々はシリアに戻るまでアルサールの人質を手放さない」と述べた。

AFP, August 25, 2014、Anadolu Ajansı, August 25, 2014、AP, August 25, 2014、ARA News, August 25, 2014、Champress, August 25, 2014、al-Hayat, August 26, 2014、Kull-na Shuraka’, August 25, 2014、al-Mada Press, August 25, 2014、Naharnet, August 25, 2014、NNA, August 25, 2014、Reuters, August 25, 2014、SANA, August 25, 2014、UPI, August 25, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年8月25日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(兼副首相)はダマスカスで記者会見を開き、シリア政府が、ダーイシュ(イスラーム国)に代表される過激派に対する「テロとの戦い」において、米国や国際社会と協力する用意があると述べる一方、シリア国内へのいかなる軍事的攻撃も、シリア政府との事前の調整なくしてあり得ないと強調した。

SANA, August 25, 2014
SANA, August 25, 2014

記者会見でのムアッリム外務在外居住大臣の主な発言は以下の通り。

「我々は、地域諸国、国際社会とテロとの戦いで協力、調整する用意がある…。(協力の協力は、米国、英国であっても)みな歓迎する…。(テロ戦争での国際協調が)今後のシリアの外交の基軸となる」。

「テロとの戦いにおける地域的、国際的協調を行ううえで、ロシアが地域社会、国際社会の双方で行動することが重要だ…。ロシアとシリアの姿勢は完全に合致している」。

「我々は米国との協調、協力の準備がある。なぜなら、我々は地元の民であり、どのような空爆が効果的か、また効果的でないかを知っているからだ。それゆえ、シリア国内で攻撃を行おうとする者が、たとえテロとの戦いを行いたいとしても、我々との協調がなければ、いかなる正当性もない」。

(米国がシリア政府との事前協議なくシリア国内での空爆に踏み切った場合)「我々には防空態勢があり、協調がなされなければ、我々はこの段階(防空態勢)に入る…。我々は敵対行為を回避するため事前に協力、協調を求める…」。

「我々はシャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュに対抗しようとするあらゆる努力を歓迎する。しかし問題は、空爆だけでヌスラやダーイシュをシリアから根絶できるかということだ。そうは思えない」。

(サウジアラビアで25日に開かれたサウジアラビア、カタールなどアラブ諸国5カ国外相会合に関して)「会合の目的がテロとの戦いの支援であるならば、会合出席者にこう言いたい。まずは自分たちから始めよう。テロ組織への支援、資金供与、潜入の停止、国境管理、我々との情報共有、思想的・イデオロギー的煽動の停止…。こうしたことを通じて我々はテロと戦っているのだ」。

(欧米諸国がアル=カーイダ系組織以外の「穏健」な反体制武装集団への支援に固執していることに関して)「テロリストを穏健かどうかで分類することは…お笑い沙汰だ。我々にとって、シリア政府に対して武器を構える者すべてがテロリストだ。罪のない市民、シリア軍兵士を殺害する者すべてがテロリストだ」。

「我々(シリアとイラク)は共通の敵と戦っており、同じ戦列に身を置いている。調整と協調が、両国国益のため、両国政府に求められている」。

AFP, August 25, 2014、AP, August 25, 2014、ARA News, August 25, 2014、Champress, August 25, 2014、al-Hayat, August 26, 2014、Kull-na Shuraka’, August 25, 2014、al-Mada Press, August 25, 2014、Naharnet, August 25, 2014、NNA, August 25, 2014、Reuters, August 25, 2014、SANA, August 25, 2014、UPI, August 25, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年8月25日)

アレッポ県では、県北部で活動する反体制武装集団5組織が共同声明を出し、「ナフルワーン・シャームの戦い作戦司令室」の結成を発表、ダーイシュ(イスラーム国)と対抗する意思を示した。

作戦司令室はウンム・フーシュ村から対トルコ国境地帯からダーイシュ(イスラーム国)を放逐することを目的とするという。

共同声明発表に参加した武装集団は以下の通り:

1. ムジャーヒディーン軍
2. ヌールッディーン・ザンキー運動
3. ハズム運動
4. イスラーム戦線
5. シャーム軍団

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サウジアラビア人説教師でシリア国内に潜伏中だとされるアブドゥッラー・ムハイスニー氏はツイッターで、ハマー県ムハルダ市に対するシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団の攻撃に、アブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏が参加していると綴った。

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ハサカ県では、ARA News(8月6日付)によると、野党の国民青年公正成長党政治局は、ダマスカス大学、ティシュリーン大学(ラタキア市)での学期末試験を受験する学生のために同党が行っていた航空チケット支給活動を、政府高官が禁じたことを強く非難した。

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シリア人権監視団は、2011年3月から2014年8月までの3年5ヶ月間におけるシリア軍および親シリア政府民兵(国防隊、人民防衛隊)によって殺害された死者数が11万人にのぼると発表した。

この数字は、同監視団が8月21日に発表した最新の犠牲者総数18万215人から、軍および親政権民兵の死者数6万8,780人を引いた数字とほぼ一致しており、この推計が正しいければ、「自由シリア軍」、イスラーム戦線、シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)などの反体制組織は民間人をほとんど殺害していないことになる。

AFP, August 25, 2014、AP, August 25, 2014、ARA News, August 25, 2014、Champress, August 25, 2014、al-Hayat, August 26, 2014、Kull-na Shuraka’, August 25, 2014、al-Mada Press, August 25, 2014、Naharnet, August 25, 2014、NNA, August 25, 2014、Reuters, August 25, 2014、SANA, August 25, 2014、UPI, August 25, 2014などをもとに作成。

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シリアで日本人が拉致(2014年8月25日)

クッルナー・シュラカー(8月25日付)は、イスラーム戦線広報局の話として、アレッポ県で行われていたダーイシュ(イスラーム国)とイスラーム戦線との捕虜交換の交渉が決裂したと報じた。

同報道によると、交渉は、ダーイシュが拘束する逮捕者と、ムハージリーン・ワ・アンサール軍メンバーの交換に関するもので、アレッポ県で活動するアンサール・ディーン戦線が仲介していたという。

ムハージリーン・ワ・アンサール軍は、外国人戦闘員からなる武装集団で、2014年7月にはアレッポ県のアレッポ中央刑務所でシャームの民のヌスラ戦線と交戦するなど、ダーイシュ以外の反体制武装集団としばしば対立する一方、ハマー県などではこれらの組織と共闘している。

なお交渉では、「日本人イスラーム教徒ジャーナリスト、アブー・ムジャーヒド・ヤーバーニー」(ダーイシュによって拉致されたとされる日本人男性のこと)の解放についても協議されたが、ダーイシュによって「断固拒否」された。

解放が拒否された理由について、イスラーム戦線広報局は明らかにしなかった。

Kull-na Shuraka’, August 25, 2014をもとに作成。

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