イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月4日)

シリア国内の戦況

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線のシャリーア委員会が占拠していたタナク油田(シュアイタート砂漠)をダーイシュ(イスラーム国)が制圧した。

またマヤーディーン市西部にあるブクルス遺跡からヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるジハード主義武装集団が撤退し、ダーイシュが同地を制圧した。

同地制圧に際して戦闘はなかったという。

一方、ダイル・ザウル県で活動するジュンド・ラフマーン旅団総司令部が声明を出し、イスラーム国のカリフの支配を受け入れると発表した。

他方、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するジュダイド・アカイダート村をシリア軍が砲撃した。

またダイル・ザウル市郊外の航空基地周辺で、シリア軍の狙撃によりジハード主義武装集団戦闘員1人が死亡した。

このほか、シリア人権監視団によると、シュハイル市に隣接するハワーイジュ村にヌスラ戦線が設置していた拘置所から、ダーイシュ戦闘員約30人が脱走した。

ダーイシュ戦闘員らは、ヌスラ戦線の撤退を受け、拘置所の壁を破壊し、脱走したという。

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シリア人権監視団は、インターネットにアップされた映像や複数の消息筋からの情報を総合し、7月3日にダイル・ザウル県シュハイル市で交わされたダーイシュ(イスラーム国)と市内を占拠していた反体制武装集団の停戦合意の詳細を明らかにした。

それによると、ダーイシュは、シャームの民のヌスラ戦線の拠点とされる同市を掌握するにあたって、①住民の改悛、②戦闘員および住民の武器引き渡し、③同市の安全をダーイシュが確認するまで、住民は10日間市外に退去、④ダーイシュの安全が確保されたのち住民の帰宅、を条件としたという。

これに対して、シュアイタート砂漠、とりわけガラーニージュ市で、住民がダーイシュへの忠誠拒否を訴えるデモを呼びかけたという。

しかし、シュハイル市では、シュハイル市、ハリージー村、ナムリーヤ村の各住民、イスラーム軍、イスラーム・ムウタ軍、イフラース旅団、イスラーム・ターリバーン運動が共同声明を出し、ダーイシュへの忠誠を誓ったという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団、ARA News(7月4日付)によると、ジャラーブルス市東部の対トルコ国境沿いズール・マガール村で、ダーイシュ(イスラーム国)が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、クルド人戦線旅団、ラッカ革命家旅団との3日間の戦闘のすえ、同村およびバイヤーダ村、ズィヤーラ村を制圧した。

両者の戦闘で、民主統一党隊員11人とダーイシュ戦闘員4人が死亡した。

またアフタリーン市郊外のヤールーザ村、ズィヤーディーヤ村一帯で、ダーイシュがシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲する第17師団基地周辺でシリア軍とダーイシュが交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市近郊のダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所をシリア軍が空爆する一方、イスラーム軍などならなるジハード主義武装集団がバーターヤー村でダーイシュと交戦した。

イラク国内の戦況

トルコのイェニ・シャファク・サイト(7月4日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)がイラクのモスル市で独自のパスポートを発効し、同市およびシリア・イラク国境地帯の制圧地域住民役1万1,000人に配布したと報じた。

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キルクーク県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、イラク軍戦闘機がフワイジャ郡のダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して空爆を行った。

また同郡のアッバースィー地区、タッル・アリー地区で、部族民兵がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員17人が死傷した。

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アンバール県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ラブタ郡周辺、カダー郡入口一帯、ハディー砂漠でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員8人を殺害、9人を逮捕した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ジュルフ・サフル地方でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員17人が死亡した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(7月4日付)によると、ダリー・アッバース地方ダワーリーブ地区で、イラク警察部隊とアフガン服に身を包んだダーイシュ(イスラーム国)戦闘員が交戦し、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

諸外国の動き

AFP(7月4日付)は、フランスのニース市で、数ヶ月前にシリアから帰国した17歳の青年が、シリア国内で「テロ集団」に参加し、犯罪を犯した容疑で取り調べを受けていると報じた。

AFP, July 4, 2014、AP, July 4, 2014、ARA News, July 4, 2014、Champress, July 4, 2014、al-Hayat, July 5, 2014、Kull-na Shuraka’, July 4, 2014、al-Mada Press, July 4, 2014、Naharnet, July 4, 2014、NNA, July 4, 2014、Reuters, July 4, 2014、SANA, July 4, 2014、UPI, July 4, 2014、Yeni Safak, July 4, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年7月4日)

アブドゥッラー・アッザーム旅団(シャームの民のヌスラ戦線)のスィラージュッディーン・ズライカート報道官はツイッターで、「バアルベック・スンナ派自由人旅団のサイトは、ヒズブッラーに所属する勢力が運営する偽サイトで、我々は慎重を期して、彼らとのコミュニケーションを避けるべきだ」と綴った。

Naharnet, July 4, 2014
Naharnet, July 4, 2014

これに対して、バアルベック・スンナ派自由人旅団はツイッターで反論、「我々がレバノンのキリスト教徒に宣戦布告したから、あなた(ズライカート)は我々が諜報機関だと言っている」、「あなたこそ外国勢力の利益のために活動している」と綴った。

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NNA(7月4日付)によると、ダマスカス郊外県カラムーン地方の対レバノン国境無人地帯を空爆するシリア軍は、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外に対しても空爆を行い、シリア人2人が死亡、5人が負傷した。

AFP, July 4, 2014、AP, July 4, 2014、ARA News, July 4, 2014、Champress, July 4, 2014、al-Hayat, July 5, 2014、Kull-na Shuraka’, July 4, 2014、al-Mada Press, July 4, 2014、Naharnet, July 4, 2014、NNA, July 4, 2014、Reuters, July 4, 2014、SANA, July 4, 2014、UPI, July 4, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月3日追記)

ハサカ県では、ARA News(7月3日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するマルカダ市内で、ダーイシュの「リビア・バッタール大隊」とダーイシュの別の武装集団が交戦した。

アフマド・フサイニーを名乗るハサカ県の活動家によると、この戦闘はダーイシュがバッタール大隊に所属するイスラーム法学者を粛清したことがきっかけだったという。

ARA News, July 4, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年7月3日)

イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長がイラクのアルビル市を訪問し、イラク・クルディスタン自治政府のマスウード・バールザーニー大統領と会談したことに関して、ジャルバー議長を「シリア国民に資さない姿勢をとり、これまで以上にテロ組織に門戸を開こうとするだけの弱い人物」と批判した。

またアブドゥッラフヤーン副大臣は、バールザーニー大統領についても「時勢し、拙速な措置は避け、テロと対決することに集中し、憲法の枠組みのもと、イラクの国民統合の維持に努めるべき」と述べた。

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米国防総省のジョン・キルビー報道官は、シリアから搬出された化学兵器関連物質を積んだ米国船籍MVケープ・レイ(MV Cape Ray)が2日晩、イタリアのジョイヤタウロ港を出航したと発表した。

同船には危険性の高い化学物質約570トンが積まれており、2~3ヶ月をかけて同物質の無害化を行う。

AFP, July 3, 2014、AP, July 3, 2014、ARA News, July 3, 2014、Champress, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014、Kull-na Shuraka’, July 3, 2014、al-Mada Press, July 3, 2014、Naharnet, July 3, 2014、NNA, July 3, 2014、Reuters, July 3, 2014、SANA, July 3, 2014、UPI, July 3, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月3日)

シリア政府の動き

ラッカ県では、ARA News(7月3日付)によると、シリア軍戦闘機がラッカ市内のダーイシュ(イスラーム国)のシャリーア法廷(ラッカ市文化センタ-)、タッル・アブヤド市東部、フナイダ市のダーイシュ拠点に対して空爆を行った。

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シャームの民のヌスラ戦線のシャリーア学者のアブー・マーリヤー・カフターニー氏はツイッターで、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言を「幻想のカリフ制宣言」と批判した。

シリアの反体制組織の動き

シリア国内最大の反体制政治連合、民主的変革諸勢力国民調整委員会はフェイスブックを通じて声明を出し、ダイル・ザウル県でのダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に関して「シリア国家の存在、領土の一体性と保全を脅かす…危険な動き…。国際社会がこれに対抗するために早急に行動しなければ、深刻な結果をもたらす」と警鐘を鳴らした。

調整委員会はそのうえで「国を危機から脱出させる唯一の方途は政権が政治的解決を受け入れ、安保理が外国人戦闘員の潜入や武器の流入阻止、テロ組織の資金源の根絶、ジュネーブ合意に基づく政治プロセスの再生のため、断固たる措置を即座に講じることで、政権に義務を履行させること」だと主張した。

シリアの反体制武装集団の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が占拠していたシリア国内最大の油田ウマル油田を、ダーイシュ(イスラーム国)が制圧した。

制圧に際して、ヌスラ戦線らとダーイシュとの間に戦闘はなく、ヌスラ戦線などの戦闘員は、ダーイシュの進軍を前に敗走したという。

また、ウマル油田制圧により、ダーイシュはダイル・ザウル県の油田のほぼすべてを手中にし、またダイル・ザウル県の対イラク国境に位置するブーカマール市から、ラッカ市、アレッポ県バーブ市にいたるユーフラテス河畔のほぼ全域(ダイル・ザウル市を除く)を掌握したという。

またこれに先立ち、ダーイシュは同日早朝、ウマル油田に近いマヤーディーン市にも「無血入城」し、ヌスラ戦線などは同市から退去した。

さらに、ヌスラ戦線の拠点と目されるシュハイル市、アシャーラ市、および周辺の村落でも、ダーイシュとの戦闘が停止、これに関して、シリア人権監視団は、ヌスラ戦線とダーイシュが部族の仲介のもと停戦交渉を行っているとの情報があると指摘した。

これに関して、ARA News(7月3日付)は、ダイル・ザウル市の複数の活動家の話として、シュハイル市一帯で活動するイスラーム軍など複数の武装集団がダーイシュに忠誠を誓い、同市へのダーイシュの進入を受け入れたと報じた。

ダーイシュに忠誠を誓った武装集団は、イスラーム軍のほか、イフラース軍、イスラーム・ムウタ軍などで、ヌスラ戦線だけは忠誠を拒否しているという。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(7月3日付)によると、イラク軍ヘリコプターが、キルクーク市西75キロに位置するサフラー村近くで、燃料を積んだトレーラー3台を破壊した。

トレーラーはダーイシュ(イスラーム国)によって盗まれたもの。

またフワイジャ郡などの複数の部族長(スンナ派)は、マダー・プレスに対し、ダーイシュに忠誠を誓わなければ殺すと脅されていると述べた。

なおマダー・プレスによると、これに先立ち、ダーイシュは、自らの支配を拒否した部族長や政治家の邸宅などの没収を開始したという。

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バービル県議会は、県北部のジュルフ・サフル地方各所で、イラク軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員40人を殺害したと発表した。

マダー・プレス(7月3日付)が伝えた。

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ディヤラ県警察のジャミール・シャムリー署長は、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方で、イラク軍と部族民兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員70人を殲滅、同地方の2カ所(ダワーリーブ地区、シューハーニー地区)の浄化を完了したと発表した。

マダー・プレス(7月3日付)が伝えた。

レバノンの動き

ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったバアルベック自由人旅団はツイッターを通じて声明を出し、「特殊部隊が、レバノン、とりわけベカーア・イスラーム国のキリスト教教会を浄化する任務についた…。我々は同国(ベカーア)およびレバノンで、教会の鐘を沈黙させるべく、十字軍を標的にする」と発表、キリスト教徒へのテロを予告した。

諸外国の動き

ロイター通信(7月3日付)は、コロラド州デンバーの米連邦当局高官の話として、シリアとイラクで活動するダーイシュ(イスラーム国)への資金援助に関与している容疑で、女性1人が逮捕されたと報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、6月10日にモスル市でダーイシュ(イスラーム国)によって拉致されたトルコ人貨物車輌運転手32人が解放され、アルビル市のトルコ領事館に身柄を保護されたと発表した。

AFP, July 3, 2014、AP, July 3, 2014、ARA News, July 3, 2014、Champress, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014、Kull-na Shuraka’, July 3, 2014、al-Mada Press, July 3, 2014、Naharnet, July 3, 2014、NNA, July 3, 2014、Reuters, July 3, 2014、SANA, July 3, 2014、UPI, July 3, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月2日追記)

ARA News(7月5日付)は、複数の地元活動家の話として、7月2日夜、ラッカ県にあるダーイシュ(イスラーム国)の基地の一つにシリア軍が空爆を行うなか、「シリア軍でない外国の空挺部隊」が降下したと報じた。

活動家らによると、降下した空挺部隊は、米軍とヨルダン軍の合同部隊だと思われ、空挺部隊が降下するなか、シリア軍は「シャイフ・ウサーマ・ビン・ラーディン基地」とダーイシュが呼ぶラッカ市東部アキールシー基地を空爆、砲撃したという。

ARA News, July 5, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年7月2日追記)

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(7月3日付)によると、民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会のアブドゥルイラーフ・ハッジ・カースィム議員がハサカ市・タッル・タムル町間の街道で爆弾の爆発に巻き込まれ、死亡した。

Kull-na Shuraka’, July 3, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月2日追記)

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は、イラクのアルビル市を訪問し、イラク・クルディスタン自治政府のマスウード・バールザーニー大統領と会談した。

会談では、ダーイシュ(イスラーム国)の台頭などシリア・イラク情勢について意見が交わされたという。

ARA News(7月3日付)などが伝えた。

ARA News, July 3, 2014
ARA News, July 3, 2014

ARA News, July 3, 2014、al-Hayat, July 4, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月2日)

シリア国内の動き

アレッポ県北部、ラッカ県、ダイル・ザウル県で活動するジハード主義武装集団など11組織は共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立、同暫定政府、自由シリア軍参謀委員会といったトルコ在留の反体制組織に対して、ダーイシュ(イスラーム国)に対抗するための武器を増援しなければ、武器を放棄する、と脅迫した。

共同声明を発表したのは以下の組織:

Kull-na Shuraka', July 2, 2014
Kull-na Shuraka’, July 2, 2014

アッラーのためのジハード旅団

ラッカ革命家旅団

マンビジ大隊連合

アレッポ北部農村作戦司令室

ジャラーブルス大隊

カラーマ大隊

バーズ大隊

アフタリーン大隊

マンビジ東部戦線革命家大隊

シリア・クルド人戦線

シリア自由人東部戦線

声明において、11組織は、「1週間以内に(アブー・バクル・)バグダーディーの組織(ダーイシュ)に対抗し、同組織を我々の領土から放逐し、解放された都市への進軍を食い止めるための武器が増援されない場合…、武器を放棄し、これらの地域からムジャーヒディーンを撤退させるだろう。そうすれば皆は…我々がハワーリジュどもに抵抗していたことを知ることになる。我々は銃弾が尽きるまで抵抗を続ける」と表明した。

そのうえで「我々の革命、我々の人民と家族の革命、我々の若者や子供たちの血が失われた革命は、バグダーディーの組織がカリフ制樹立を宣言して以降、同組織によって危機に曝されている」と付言した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が1日に制圧したブーカマール市内で、強制家宅捜査を行い、多数の市民を逮捕した。

ダーイシュはまた、シャームの民のヌスラ戦線の拠点と目されるシュハイル市を砲撃、同地北部入口付近でヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、ブーカマール市から撤退したヌスラ戦線らは、同じくダーイシュによって制圧されたブサイラ市郊外の農場、ザッル村に対して砲撃を行った。

この砲撃によりザッル市では子供2人、女性2人を含む6人が死亡した。

このほか、ブクルス遺跡一帯の砂漠地帯で、ダーイシュとジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員6人が死亡した。

他方、シリア軍はクーリーヤ市、ブサイラ市近郊を空爆し、クーリーヤ市では市民2人が、ブサイラ市ではダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

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アレッポ県では、ARA News(7月2日付)によると、ルーズ・マガール村で、ダーイシュ(イスラーム国)がアイン・アラブ市郊外を襲撃し、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦し、市民2人が死亡、4人が負傷した。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(7月2日付)が、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立を受けて、カリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した住民(若者ら)に、「かたちだけ」の報酬と食糧を援助していると報じた。

またシリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲する第17師団基地周辺で、シリア軍とダーイシュが交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、イスラーム軍がイスラーム国家(ダーイシュ)との戦闘の末、マイダアー町を制圧した。

シリア、イラク、レバノンの有識者らの動き

シリア、イラク、レバノンの有識者約260人が共同声明を出し、三国におけるダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に異議を唱え、「宗教に基づく支配は、本質において人間が作った加工場であり…、エリート主義に基づく人種差別支配、ファシズム支配を作り出す…。このような政体は自由、女性、美、近代教育に敵対し…、奴隷制を作り出す」と批判、カリフ制樹立への拒否の姿勢を示した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(7月2日付)によると、イラク軍が県内をバイジ郡方面に向かって逃走中だったダーイシュ(イスラーム国)の車輌を取り押さえ、リビア人司令官のアブー・アフマド・アフガーニー氏と副官2人の合わせて3人を逮捕した。

またティクリート市北部の複数地区で、イラク軍がダーイシュの掃討作戦を行い、チェチェン人狙撃手2人、北アフリカ出身者2人、自爆ベルトを着用した湾岸出身者1人を殺害した。

さらにダーイシュが占拠・使用していたティクリート病院の燃料倉庫をイラク軍ヘリコプターが攻撃・破壊した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月2日付)によると、イラク軍戦闘機がジュルフ・サフル地方を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員40人が死傷した。

また同地区でのダーイシュとイラク軍の戦闘で、イラク軍中尉が撃たれて重傷を負った。

諸外国の動き

イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ機構の指導者の一人アブー・アブドゥッラー・ウスマーン・アースィミー氏は音声声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)に関して「我々とあなた方の間に友愛の綱を結びたい。あなた方は、家族や部族よりも我々にとって愛すべき存在で、我々は常にあなた方のために、祈りを捧げている」と述べ、支持を表明した。

『ハヤート』(7月3日付)が伝えた。

AFP, July 2, 2014、AP, July 2, 2014、ARA News, July 2, 2014、Champress, July 2, 2014、al-Hayat, July 3, 2014、Kull-na Shuraka’, July 2, 2014、al-Mada Press, July 2, 2014、Naharnet, July 2, 2014、NNA, July 2, 2014、Reuters, July 2, 2014、SANA, July 2, 2014、UPI, July 2, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月2日)

イドリブ県イスラーム委員会はすべてのムジャーヒディーン部隊に対して布告を出し、ラマダーン月の断食を順守しないすべての者を逮捕し、シャリーア法廷に裁判するよう要請した。

Kull-na Shuraka', July 2, 2014
Kull-na Shuraka’, July 2, 2014

AFP, July 2, 2014、AP, July 2, 2014、ARA News, July 2, 2014、Champress, July 2, 2014、al-Hayat, July 3, 2014、Kull-na Shuraka’, July 2, 2014、al-Mada Press, July 2, 2014、Naharnet, July 2, 2014、NNA, July 2, 2014、Reuters, July 2, 2014、SANA, July 2, 2014、UPI, July 2, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年7月1日)

バグダーディー氏声明発表

ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏はイスラーム・カリフ制樹立後初となる音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=_kjajeNX-84)を発表した。

19分にわたる声明は「ムジャーヒディーンとイスラームのウンマへのラマダーン月のメッセージ」と題され、そのなかでバグダーディー氏は、イスラーム教徒に対して「イスラームの家へのヒジュラ(聖遷)」が義務だと主張、結集を呼びかけた。

バグダーディー氏は「科学専攻の学生、法学者、説教師、とりわけカーディー、軍事、行政、福祉に関する技能を持つ者たち、医師、さまざまな専門・分野の技師に呼びかける…。彼らへの号令は…、イスラーム教徒の必要に応えるための義務である…。イスラーム国の兵士たちよ、各地にいるあなたたちの同胞は、あなたたちの助けを待っている。あなたたちの前衛に期待している。中央アジア、そしてそれ以前にはビルマであなたたちに行われたことだけで十分だ…。アッラーに誓って、復讐しようではないか。今でなくとも復讐しようではないか」と述べた。

シリア国内の動き

Kull-na Shuraka', July 1, 2014
Kull-na Shuraka’, July 1, 2014

イスラーム戦線のシャリーア評議会などイスラーム主義組織9団体が共同声明を出し、「カリフ制の条件は、とりわけ国家機関という面で、現時点においてまだ達成されていない」と表明し、ダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制を「ハワーリジュのカリフ制」と非難し、「無効」と断じるとともに、ダーイシュを「ビドア(婉曲)と誤導」の組織と糾弾し、参加を禁じた。

声明において9団体は、「カリフ制国家樹立宣言が、アサド政権の打倒をめざす革命家に対抗するためパワー・バランスの転換を望む外国諸勢力の口実として利用され、西側において合法的な指導者としての彼(アサド大統領)のイメージを改善することに資してしまう」と警鐘をならした。

共同声明を出したのは以下の団体:

東部ムジャーヒディーン・シューラー評議会

ムジャーヒディーン軍シャリーア委員会

イスラーム連合シャリーア委員会

アレッポ・シャリーア委員会

シリア・イスラーム教ウラマー総合委員会

地域中央シャリーア委員会

イスラーム戦線シャリーア評議会

イドリブ・イスラーム委員会

海岸イスラーム委員会

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団が、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との交戦の末、早朝にブーカマール市の大部分を制圧したと発表した。

ブーカマール市攻防戦では、ヌスラ戦線側の司令官2人を含む多数の戦闘員が死亡した。

また同市の複数の消息筋によると、ダーイシュはブーカマール市を完全制圧、早朝から戦闘は行われていないという。

一方、ARA News(7月1日付)によると、ブーカマール市でのダーイシュとヌスラ戦線らとの戦闘激化、シリア軍による空爆、ダーイシュの同市制圧を受け、住民約4,000人が市外に避難した。

ブーカマール市はヌスラ戦線などジハード主義武装集団のダイル・ザウル県における拠点と目されており、ダーイシュは同県を「ハイル州」と自称し、制圧をめざしている。

ブーカマール市を制圧したダーイシュはまた、ヌスラ戦線などとの交戦の末、キサール村も制圧し、同村の南部に位置するヌスラ戦線の拠点シュハイル市に進軍を続けたという。

さらにダーイシュは、ザッル村に進軍し、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

これを受け、シリア軍がダーイシュの拠点などを狙い、ブーカマール市各所に4度、ブサイラ市に2度、カスラー村に2度、県西部の製塩工場周辺を1度、空爆を行った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方でダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団が未明に交戦し、後者の戦闘員2人が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するラッカ市各所およびその周辺をシリア軍が空爆した。

またARA News(7月1日付)によると、ラッカ市各所をシリア軍が空爆、また同市南部郊外にスカッド・ミサイルが着弾した。

イラク国内の戦況

ニナワ県では、マダー・プレス(7月1日付)によると、モスル市郊外の新市街で、武装した何者かがダーイシュを要撃し、アフガン人戦闘員ら3人を殺害した。

また、モスル市北部のモスル大学入口のダーイシュ(イスラーム国)の拠点をイラク軍戦闘機が空爆した。

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バービル県では、マダー・プレス(7月1日付)によると、イラク軍がジュルフ・サフル地方で特殊作戦を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所、車輌2台を破壊、戦闘員6人を殺害した。

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マダー・プレス(7月1日付)は、内務省筋の話として、バグダード県北部のマシャーヒド地区で、イラク軍および義勇兵がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、義勇兵2人が死亡、5人が負傷、ダーイシュ戦闘員3人が負傷したと報じた。

ヨルダンの動き

ヨルダンのジハード主義潮流の理論家アブー・ムハンマド・マクディスィー氏(本名イサーム・バルカーウィー)は、ダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制樹立について「きちんと目を通していない…。イラク・シャーム・イスラーム国を自称していた組織は私に危害を与えるものではないが…、時間を割いて批判するまでもなかろう…。時期尚早にことを急いだ者は、自らの禁忌を罰せられる」と消極的な姿勢を示した。

『ハヤート』(7月2日付)が伝えた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年7月1日)

ARA News(7月1日付)は、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首がイラク・クルディスタン地域の独立を是非に関して、クルディスタンの複数のメディアに対し、「民族国家の時代は終わった」と述べたと報じた。

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民主統一党幹部のフサイン・クージャル氏はフェイスブックで、イラク・クルディスタン地域の独立に反対の意思を表明した。

一方、民主統一党欧州広報委員会のイブラーヒーム・イブラーヒーム氏は、ARA News(7月1日付)に、イラク・クルディスタン地域の独立の是非に関して、「党ではなく個人の見解」だと前置きしたうえで、「南クルディスタン(イラク・クルディスタン)のクルド人民の意思、そして彼らが決めることを我々は支持する」と述べた。

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イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領は、BBC(7月1日付)に対し、「イラクは現在、事実上分裂している」としたうえで、「クルディスタン独立の是非を問う国民投票を行う日にちを確定するため、クルディスタン地域議会と現在折衝中だ…。国民投票日の決定には数ヶ月を要しないだろう」と述べた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、BBC, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年7月1日)

米共和党のジョン・マケイン上院議員は、トルコのガズィアンテップ市でシリア革命反体制勢力国民連立と自由シリア軍参謀委員会の幹部と会談し、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘をめぐって協議した。

会談には、アブドゥルイラーフ・バシール参謀長、ハイサム・ウファイスィー副参謀長、ハーディー・バフラ氏が参加した。

連立駐ワシントンDC代表部のアビー・シャフバンダール報道官が明らかにした。

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Kull-na Shuraka', July 1, 2014
Kull-na Shuraka’, July 1, 2014

アレッポ県郊外のバービカ村で活動するジハード主義武装集団5団体は共同声明を出し、アサド政権に協力する住民を処罰すると脅迫するとともに、体制からの離反と「すべての家からムジャーヒディーンを供出」するために行動するよう呼びかけた。

共同声明を出したのは、ムジャーヒディーン軍、アンサール・ヒラーファ連合、バービカ村革命評議会、治安局、革命前哨。

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クッルナー・シュラカー(7月1日付)は複数の反体制消息筋の話として、7月4~6日に開催されるシリア革命反体制勢力国民連立の政治委員会と総合委員会での議長選挙への立候補をリヤード・ヒジャーブ元首相が辞退した、と報じた。

AFP, July 1, 2014、AP, July 1, 2014、ARA News, July 1, 2014、Champress, July 1, 2014、al-Hayat, July 2, 2014、Kull-na Shuraka’, July 1, 2014、al-Mada Press, July 1, 2014、Naharnet, July 1, 2014、NNA, July 1, 2014、Reuters, July 1, 2014、SANA, July 1, 2014、UPI, July 1, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(旧イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月30日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によるカリフ制樹立宣言にもかかわらず、ブーカマール市でダーイシュとシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

また、ARA News(6月30日付)によると、ダーイシュがブーカマール市各所を迫撃砲で攻撃し、複数の市民が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アフタリーン市周辺、マスウーディーヤ村周辺、バールーザ村周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)が、クルド人戦線旅団やジハード主義武装集団と交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マイダアー町にあるダーイシュ(イスラーム国)本部にイスラーム軍が突入、イスラーム軍戦闘員、広報関係者ら7人の遺体を発見した。

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Reuters, June 30, 2014
Reuters, June 30, 2014

ロイター通信(6月30日付)などによると、ラッカ県ラッカ市では、29日のカリフ制樹立と、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のイスラーム・カリフ制樹立を祝うパレードがダーイシュ戦闘員らによって行われ、その写真がインターネット上に公開された。

イラク国内の戦況

キルクーク県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、イラク軍がトゥーズ郡の複数の村にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、ダーイシュ戦闘員19人を殺傷した。

またイラク・クルディスタン地域ペシュメルガは、バシーラ村でダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員数十人を殺害したという。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、カーイム市、ルトバ市、アーナ市、ラーワ市、ウバイディー市一帯で、イラク軍がダーイシュ(イスラーム国)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員7人を殺害、9人(いずれも外国人)を逮捕した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月30日付)によると、ティクリート市北部のスパイカー軍事基地近郊でイラク軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

レバノン国内の動き

バアルベック自由人旅団はツイッターを通じて声明を出し、29日のダーイシュ(イスラーム国)によるイスラーム・カリフ制樹立に関して「全面的に支持する」としたうえで、カリフに就任したアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠を表明した。

諸外国の動き

ロシア外務省は、ロシア・イラク政府間の合意に従い、攻撃用戦闘機Su-25を5機の納品を完了したと発表した。

イタルタス通信(6月30日付)が伝えた。

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、シリア政府の管理下にないシリア産の原油の輸出入が違法であることを改めて確認し、ダーイシュ(イスラーム国)やシャームの民のヌスラ戦線によるシリア産石油の密売と取引を禁止する国連決議の採択を呼びかけた。

『ハヤート』(7月1日付)が伝えた。

AFP, June 30, 2014、AP, June 30, 2014、ARA News, June 30, 2014、Champress, June 30, 2014、al-Hayat, July 1, 2014、Itar-tass, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 30, 2014、al-Mada Press, June 30, 2014、Naharnet, June 30, 2014、NNA, June 30, 2014、Reuters, June 30, 2014、SANA, June 30, 2014、UPI, June 30, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月29日)

イスラーム・カリフ制樹立、イスラーム国建国

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官(元シャームの民のヌスラ戦線報道官)は音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=AycoYAdtmFs)を出し、「名望家、指導者、司令官からなるアフル・ハッル・ワ・アクドおよびシューラー評議会によって代表される国家(ダーイシュ)は、イスラーム・カリフ制樹立、ダーイシュの指導者アブー・バクル・バクダーディー氏のイスラーム教徒の国家のカリフへの就任と同氏への忠誠を決定し、同氏はこの忠誠を受け入れ、イスラーム教徒のイマーム、カリフとなった」と発表した。

またアドナーニー報道官は「イラクとシャーム」という名を廃し…、本声明よりイスラーム国家を名乗る」と付言、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)」という組織名を改め、「イスラーム国」を名乗ると発表した。

シリア国内の動き

Kull-na Shuraka', June 29, 2014
Kull-na Shuraka’, June 29, 2014

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダイル・ハーフィル市およびバーブ市で、男性8人を「覚醒評議会」(反体制武装集団のこと)に所属していた罪で、広場で貼り付けにしたうえ、処刑した。

またスマート・ニュース(6月29日付)は、シャームの民の合同作戦司令室が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の県北部での攻勢がシリア軍によるマクバラ村とラフマーニーヤ村攻略を後押しする動きだと批判している、と報じた。

同報道によると、ヌスラ戦線などからなるシャームの民の合同作戦司令室は、29日にシリア軍との戦闘の末、ラフマーニーヤ村を奪還していた。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)本部一帯をシリア軍が3度にわたって空爆した。

これに対して、ダーイシュは第17師団基地を砲撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(6月29日付)によると、ラッカ市内のマカッス検問所で、ダーイシュが、男性11人を「民間人を徴兵し、国防隊に協力した」容疑で拘束した。

ARA News, June 29, 2014
ARA News, June 29, 2014

またARA News(6月29日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の女性部隊「ハンサー大隊」が、「組織の法に反した女性」の追跡を行い、少女1人を拘束した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハムーリーヤ市周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイスラーム軍(イスラーム戦線)が交戦した。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ダマスカス郊外県でダーイシュとジハード主義武装集団が交戦するのはこれが初めてだという。

また両者の戦闘は、シリア軍が攻略を進めるムライハ市郊外でも発生したという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が対立するブサイラ市(ダーイシュが制圧中)各所をシリア軍が空爆した。

シリア軍はまたダーイシュが占拠するカスラ村に対しても空爆を行った。

また、ARA News(6月29日付)によると、ブーカマール市で、ダーイシュとヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦し、4人が死亡した。

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シリア人権監視団は、2014年1月3日以降のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団のシリア各地での戦闘による死者数が、5,641人に達したと発表した。

このうち605人が民間人の犠牲者、ダーイシュ戦闘員の死者が2,196人、それ以外の武装集団の死者が2,764人。

またダーイシュによる処刑者は68人、またダーイシュの本部などで発見された身元不明の遺体が76体にのぼるという。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、イラク軍部隊がティクリート大学周辺地域からイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を掃討、同地を解放した。

これに対し、ダーイシュはイスハーキー地方で、サーマッラー市警察の高官の邸宅3件を爆破し、家族6人を拉致した。

またシャルカート郡北部では、軍の士官1人を含む軍・治安部隊隊員20人を拉致した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、キルクーク市南部のタマース地方で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク・クルディスタン地方ペシュメルガが交戦し、ダーイシュ戦闘員1人が死亡、双方に14人の負傷者が出た。

またバシーラ村のトルクメン人義勇兵数十人が、同村を占拠するダーイシュと交戦したが、10人がダーイシュによって殺害された。

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バービル県では、マダー・プレス(6月29日付)によると、軍・警察合同部隊がジュルフ・サフル地方での2日間にわたるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘で、ダーイシュ戦闘員70人を殺害した。

また治安部隊は、イスカンダリーヤ地方でダーイシュの車列を要撃し、車2台を破壊、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、過去24時間でイラク軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員14人を殺害、車輌51台を破壊、また軍ヘリコプターによる攻撃が102回に及んだと発表した。

レバノン国内の動き

LBCI(6月29日付)は、ベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルでの自爆テロに関する捜査で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアブドゥッサラーム・ウルドゥンニーを名乗る活動家をレバノンのアミールに任命したとの情報を捜査当局が掴んだと報じた。

LBCIによると、捜査当局は、アブドゥッラフマーン・シュナイフィー容疑者(自爆未遂容疑)への取り調べにより、このウルドゥンニー氏が、レバノン人仲介者のマズハル・ハサン氏を教練し、彼を介して、シュナイフィー容疑者とドゥロイ・ホテルで自爆したアブドゥッラフマーン・フマイキー氏がトルコのイスタンブール経由で送り込まれたことが明らかになったという。

AFP, June 29, 2014、AP, June 29, 2014、ARA News, June 29, 2014、Champress, June 29, 2014、al-Hayat, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 29, 2014、LBCI, July 29, 2014、al-Mada Press, June 29, 2014、Naharnet, June 29, 2014、NNA, June 29, 2014、Reuters, June 29, 2014、SANA, June 29, 2014、SMART News, June 29, 2014、UPI, June 29, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年6月29日)

『ハヤート』(6月30日付)は、アレッポ県のシャリーア委員会がラマダーン月を記念して、女性2人を含む37人に対して恩赦を与えると発表した、と報じた。

AFP, June 29, 2014、AP, June 29, 2014、ARA News, June 29, 2014、Champress, June 29, 2014、al-Hayat, June 30, 2014、Kull-na Shuraka’, June 29, 2014、al-Mada Press, June 29, 2014、Naharnet, June 29, 2014、NNA, June 29, 2014、Reuters, June 29, 2014、SANA, June 29, 2014、UPI, June 29, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月28日)

シリア国内の動き

シリア人権監視団は、ダイル・ザウル県で戦闘を続けるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が「県内での停戦に向けた非公式交渉」を行っていると発表した。

しかし同監視団によると、シュアイタート地方からヌスラ戦線が拠点を置くブサイラ市郊外シュハイル村に、100台からなるダーイシュの車輌が入ったことを受け、シュアイタート地方で活動する武装集団は停戦を拒否する姿勢を示したという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がブーカマール市に増援部隊を派遣、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

ヌスラ戦線らは、市内の複数カ所に検問所を設置し、外出禁止令を発し、ダーイシュに武器引き渡しと、市外への退去を要求しているという。

これに対し、ダーイシュはブサイラ市郊外のクーア・イタール地方を砲撃した。

またマヤーディーン市で未明に、大きな爆発が2回発生した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、シリア軍が、ダーイシュとヌスラ戦線などが争奪戦を続けるブサイラ市を空爆した。

この空爆において、シリア軍はダーイシュの本部などを攻撃したが、女性、子供を含む10人が負傷した。

シリア軍はまた、ハトラ村、マズルーム村に対しても同様の空爆を行った。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市郊外で、シリア軍と国防隊が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)および部族民兵と交戦し、5つの村を制圧した。

軍はまた同地一帯を砲撃し、ダーイシュ戦闘員11人が死傷、また戦闘でシリア軍側も6人が死傷した。

このほか、アブー・カサーイブ村とハッラーブ・アスカル村間で爆発が発生した。爆発の原因は不明。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市内の市場で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、数十人が死傷した。

この爆弾テロに関して、反体制活動家はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の犯行だと疑っているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するバーブ市郊外のアアブド村をシリア軍が砲撃し、子供2人が死亡した。

またダーイシュが包囲するフライターン市周辺をシリア軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、アイン・アラブ市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が地元名士らとの交渉の末、拘束していた学生15人を解放した。

このほか、シャフバー・プレス(6月28日付)は、フライターン市郊外のカースティールー街道検問所で2013年11月に拘束された反体制記者のムアイイド・サッルームがダーイシュによって処刑されたと報じた。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が包囲する第17師団基地周辺をシリア軍が空爆した。

一方、ARA News(6月28日付)によると、ダーイシュがラッカ市郊外のマアダーン地方で住民に対して、7歳から14歳の子供をラマダーン月の「イスラーム教教育」のためにキャンプに差し出すよう呼びかけた。

イラク国内の戦況

ニナワ県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍がモスル市内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点複数カ所を5回にわたり空爆した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍によるマンスーリーヤ地方での掃討作戦で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とナクシュバンディー教団戦闘員40人が死亡し、車輌20台が破壊された。

一方、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方での戦闘では、イラク軍、部族民兵の兵士18人が死傷した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍・警察合同部隊がジュルフ・サフル地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、ダーイシュ戦闘員37人が死傷した。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍がファッルージャ市北部のハーミディーヤ地方にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点を攻撃市、ダーイシュ戦闘員6人を殲滅した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月28日付)によると、イラク軍部隊がティクリート市内に2方面から突入し、南部および西部の地区の一部を制圧した。

またサーマッラー市南西部のラッカ地方では、イラク軍とダーイシュが交戦し、ダーイシュ戦闘員5人が死亡した。

レバノン国内の動き

LBCI(6月28日付)は、ベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルでの自爆テロに関連して逮捕されたアブドゥッラフマーン・シュナイフィー容疑者(自爆未遂容疑)が、レバノンの捜査当局の取り調べに対して、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシリアやイラクで石油を密売し、テロ活動のための資金を得ていると証言した、と報じた。

AFP, June 28, 2014、AP, June 28, 2014、ARA News, June 28, 2014、Champress, June 28, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 28, 2014、LBCI, June 28, 2014、al-Mada Press, June 28, 2014、Naharnet, June 28, 2014、NNA, June 28, 2014、Reuters, June 28, 2014、SANA, June 28, 2014、Shahba Press, June 28, 2014、UPI, June 28, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年6月28日)

シャームの剣旅団は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立アフマド・トゥウマ暫定内閣の解散とトゥウマ首班の処罰を求めた。

同声明によると、トゥウマ暫定政府は、革命の財産を独占し、シリア国内の不和を助長し、無責任な行動を続けてきたという。

Kull-na Shuraka', June 28, 2014
Kull-na Shuraka’, June 28, 2014

AFP, June 28, 2014、AP, June 28, 2014、ARA News, June 28, 2014、Champress, June 28, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 28, 2014、al-Mada Press, June 28, 2014、Naharnet, June 28, 2014、NNA, June 28, 2014、Reuters, June 28, 2014、SANA, June 28, 2014、UPI, June 28, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月27日)

諸外国の動き

米国務省のマリー・ハーフ副報道官は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠しているイラクのカーイム市(アンバール県)に対してシリア軍ヘリコプターが空爆を行ったこと(24日)に関して、「イラクの治安に資するということはいかなる状況でもあり得ない…。イラクの治安状況は、アサド政権の空爆であれ、同政権が資金援助し、地域諸国が支援する民兵であれ、ダマスカスの政権によって解決され得ないし、そうあってはならない」と述べた。

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、ARA News(6月27日付)によると、ダイル・ザウル市に隣接する村々で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

またダーイシュは、マヤーディーン市を占拠する反体制武装集団に対して、28日までに武器を捨て、同市を引き渡すよう求めた。

一方、シリア人権監視団によると、自爆ベルトを着用したヌスラ戦線戦闘員が、ブーカマール市内にあるダーイシュの本部の一つに対して殉教作戦を行い、ダーイシュの外国人戦闘員3人が死亡、18人が負傷した。

イラク国内の戦況

ディヤラ県では、マダー・プレス(6月27日付)によると、ダリー・アッバース地方のダワーリーブ地区、シューハーニー地区で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク軍、部族民兵からなる合同部隊が交戦し、イラク軍兵士4人(うち士官1人)が死亡、14人が負傷した。

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アンバール県では、アンバール県議会のファーリフ・イーサーウィー副議長が、治安部隊が部族民兵、覚醒評議会の支援のもとに、ラマーディー市全域など同県の大部分を掌握したと述べた。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、June 29, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年6月27日)

ARA News(6月27日付)によると、ハサカ県ラアス・アイン市で、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュがシリア・クルド・イェキーティー党幹部の一人バドルアーン・マストゥー氏の自宅を強制捜査し、同氏を逮捕した。

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ハサカ県では、ARA News(6月27日付)によると、アームーダー市で、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュの車両を狙った爆弾テロが発生した。

アサーイシュ隊員に死傷者はなかった。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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シリアの反体制勢力の動き(2014年6月27日)

ダマスカス郊外県東グータ地方で活動するシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線などによって構成される統一司法評議会傘下の軍事評議会は声明を出し、ダマスカス県、ダマスカス郊外県各所でシリア政府と反体制武装集団が交わした「休戦合意」に関して「政権との関係正常化であれ和解」であれ一切を拒否すると発表した。

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ヒムス県で活動する反体制武装集団8組織は共同声明を出し、ヒムス軍団を結成すると発表し、すべての武装集団に同軍団への参加を呼びかけた。

ヒムス軍団を結成したのは、ハーリド・ブン・ワリード大隊、預言者追従者大隊、ファーティヒーン連隊、アサーラ・ワ・タンミヤ戦線、預言者を愛する者たち大隊(ラスタン市)、アブー・アスアド・ニムル大隊、バイヤーダ殉教者大隊、ハーリディーヤ殉教者大隊。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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「穏健」な反体制勢力と米国の動き(2014年6月27日)

『ハヤート』(6月28日付)などによると、ジョン・ケリー米国務長官はサウジアラビアを訪問し、ジェッダでアブドゥッラー国王を会談、イラク情勢、シリア情勢、エジプト情勢、イラン情勢などへの対応について協議した。

またケリー国務長官は、ジェッダを訪問中のシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と会談し、「穏健な」反体制勢力への軍事支援などについて協議した。

会談後、ケリー国務長官は、「穏健な反体制勢力は、シリアだけでなくイラクでもダーイシュを食い止めるのに重要な役割を果たすことができる…。ジャルバー議長は、イラクに広く暮らす一部族を代表している。彼は現地の人々を知っている。彼の見方、そして穏健な反体制勢力の見方は、前進するうえできわめて重要だ…。我々は反体制勢力とまさに努力を集中させようとしている」と述べた。

一方、ジャルバー議長は、シリアの反体制勢力へのさらなる支援を米国に求める一方、「イラク情勢に対処するためにワシントンと地域諸国は最大限の努力を行う」べきだと述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は、ジョン・ケリー米国務長官との会談に合わせるかたちで、自由シリア軍参謀委員会の解体を決定したアフマド・トゥウマ暫定内閣首班の決定(https://syriaarabspring.info/wp/?p=11024)に関して「トゥウマ氏は首班権限を逸脱し、連立内規第31条に違反している」と批判し、同決定を無効にすると発表した。

Kull-na Shuraka', June 27, 2014
Kull-na Shuraka’, June 27, 2014

ジャルバー議長はまた、7月4~6日に開催される連立の政治委員会と総合委員会でトゥウマ首班の「権限逸脱」への対応について審議すると付言した。

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自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班による解体令が無効だと主張、連立にトゥウマ首班の処罰を求めた。

Kull-na Shuraka', June 27, 2014
Kull-na Shuraka’, June 27, 2014

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、バラク・オバマ米政権がシリアの「穏健」な反体制勢力への5億ドル相当の武器供与の方針を示したことに関して、記者団に対して「よりよい手段はあるはずだ…。米国は政治的イニシアチブを実行するのではなく、事態を間違った方向に導き、炎を燃やしたままにしようとしている」と非難した。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月26日追記)

シリア軍ヘリコプターによるカーイム市空爆に関して、イラクのヌーリー・マーリキー首相はBBC(6月26日)に対して、対シリア国境のダーイシュ拠点を空爆したことを明らかにした。

マーリキー首相はこの空爆がイラク軍との連携によるものではないとしつつ、「シリアによる空爆はいつでも歓迎する」と表明した。

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ハサカ県では、ARA News(6月27日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線が、マルカダ市とラカーウィー市を結ぶ橋に爆弾を仕掛け爆破した。

爆破はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員を狙ったものだったがダーイシュ側に死傷者はなかった。

ARA News, June 27, 2014、BBC, June 26, 2014をもとに作成。

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シリアの反体制勢力の動き(2014年6月26日追記)

ムジャーヒディーン軍は声明を出し、すでに離反している離反兵、離反士官に対して、ムジャーヒディーン軍に参加するよう呼びかけた。

Kull-na Shuraka', June 26, 2014
Kull-na Shuraka’, June 26, 2014

al-‘Arabi al-Jadid, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014などをもとに作成。

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「穏健」な反体制勢力と米国の動き(2014年6月26日)

米国家安全保障会議のケイトリン・ヘイデン報道官は、バラク・オバマ政権がシリアの「穏健」な反体制勢力への教練や装備供与のため、5億ドル規模の支援に乗り出す方針を明らかにし、米議会に予算の承認を求めていると述べた。

具体的な装備供与の内容については明らかにはしなかった。

オバマ大統領は5月の外交演説で、レバノン、ヨルダン、トルコ、イラクでの「テロとの戦い」を支援するための50億ドルの基金を設立すると表明し、シリアの「穏健」な反体制勢力への軍事支援はこのなかから支出される。

ヘイデン報道官は「危機の軍事的解決はない。ワシントンは戦闘地域に米軍を派遣しない…。(「穏健」な反体制勢力への軍事支援は)シリア人が、政権の攻撃から身を守り、混乱のなかに安住の地を見出しているイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のような組織を退けるための支援に向けた措置」と述べた。

しかし、オバマ大統領はカナダのCBS(6月21日付、http://www.cbsnews.com/news/obama-notion-that-syrian-opposition-could-overthrow-assad-a-fantasy/)のインタビューで、シリア情勢に関してアサド政権を倒すことができる「穏健な反体制派」は存在しないとしたうえで、彼らへの武器供与の可能性が「幻想」だ述べていた。

また米国が「穏健な」反体制武装集団として想定している自由シリア軍参謀委員会は、6月に前線司令官9人が共同声明を出し、辞任すると発表、またダーイシュのイラクでの攻勢を受けて、東部戦線(ダイル・ザウル県)元司令官らがダーイシュと共闘、ダイル・ザウル県の軍事評議会もダーイシュに「忠誠」を近い、「穏健」ではなくなっている。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班は深夜(26日)、「首班権限と公共の利益に基づき、組織上の理由により」、自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)の解散とバシール・アブドゥルイラーフ参謀長の解任を発表した。

トゥウマ首班はまた「シリア国内で活動するすべての革命勢力に対して、1ヶ月以内に軍事防衛評議会の結成と参謀委員会の包括的再編」を行うよう要請した。

またトゥウマ首班は、解任したバシール参謀長に代えて、アーディル・イスマーイール准将を暫定参謀長に任命した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班により、自由シリア軍参謀委員会アブドゥルイラーフ・バシール参謀長の後任の暫定参謀長に任命されたアーディル・イスマーイール准将は、アラビー・ジャディード(6月26日付)に対して、自身が暫定参謀長に任命されたことを知らなかったと述べた。

al-‘Arabi al-Jadid, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャームのイスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月26日)

シリア国内の動き

イスラーム戦線を主導するイスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官は、ダマスカス郊外県東グータ地方内の某所で反体制活動家や反体制記者らを前に記者会見を行い、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との徹底抗戦を誓約した。

アッルーシュ司令官は、25日に東グータ地方でシャームの民のヌスラ戦線などとともに設置した統一司法評議会に関して、「発足に際してダーイシュに連絡をとったが、回答はなかった」と述べ、「我々は東グータ地方の住民にこの見にくい悪党どもから離反するよう呼びかけている」と述べた。

そのうえで、アッルーシュ司令官は、イスラーム軍がイドリブ県、ダイル・ザウル県でダーイシュと戦っていると述べるとともに、他の武装集団とのコンセンサスのもとダマスカス郊外県でもダーイシュとの戦闘を開始したことを明らかにした。

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シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム軍などからなる統一司法評議会は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がイスラーム戦線、イスラーム連合、ラフマーン旅団、シャームの民のヌスラ戦線の指導者、メンバーに背教宣告をしたと避難、「ダーイシュは法的にも知覚的にも国家としての要素を有しておらず、国家としては承認しない。ゆえに、我々はお前たちに、この「国家」の解体を宣言する明確な声明を出すよう求める」と宣言した。

また統一司法評議会は別の声明で「イスラーム教徒に流血をもたらした件でこの集団(ダーイシュ)はアッラーの裁定、すなわちアッラーのシャリーアのもと裁定に服させねばならず、東グータ地方で活動する同組織(ダーイシュ)は、自らの呼称から「国家」という語を削除せねばならない」と主張した。

さらに統一司法評議会は声明で、ダーイシュに対して、①東グータ地方で活動する組織に対する姿勢の明示、②組織の解体、③統一司法協議会の承認、を求めていたとしたうえで、回答のために与えていた猶予期間が終了したと宣言した。

また声明において、統一司法評議会は、ダーイシュのメンバーに対して評議会への出頭、改悛の意思表明を通じて、ダーイシュからの離反を要求した。

一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は、ヌスラ戦線、イスラーム軍などからなる統一司法評議会の声明に対して、「アッラーの法ではない」と一蹴した。

『ハヤート』(6月27日付)が伝えた。

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ダイル・ザウル県で活動する自由シリア軍事評議会のイスマーイール・ムッラー・アミール副司令官はAKI(6月26日付)に対して、自身がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)によって殺害されたとの一部報道を否定するとともに、ダーイシュに忠誠を尽くした同評議会士官らが「ムーハサン市住民を裏切った」と批判した。

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イスラーム戦線を主導するイスラーム軍は、21日にダマスカス郊外県ザマルカー町でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の前筆頭カーディーのアナス・クワイディル氏(アブー・ハマーム)が暗殺された事件に関して、東グータ地域で活動するダーイシュのシャリーア学者の一人アブー・アッバース・トゥーニスィー氏が電話での会話でダーイシュの関与を否定したと発表、その音声データをユーチューブ上で公開した。

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ダイル・ザウル県では、スマート・ニュース(6月26日付)によると、「自由シリア軍」とジハード主義武装集団がダイル・ザウル市郊外のダイル・ザウル航空基地周辺の拠点複数カ所から撤退、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が同地を制圧、航空基地に駐留するシリア軍に対して砲撃を加えた。

またダーイシュは、シャームの民のヌスラ戦線などからなるムジャーヒディーン・シューラー評議会が占拠するドゥマーン村、マーシフ村、タキーヒー村を戦闘の末に制圧するとともに、ハリージー村に無血入城した。

これに対して、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団は、ダーイシュが占拠するブサイラ市を砲撃、これにより男性1人とその妻、孫2人の合わせて4人が死亡した。

一方、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区では、シリア軍とヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦、またブーライル村郊外の砂漠地帯でヌスラ戦線戦闘員が、爆弾が仕掛けられた車に発砲、爆破した。

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ラッカ県では、スマート・ニュース(6月26日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、ラッカ市郊外のシリア軍第17師団拠点複数カ所を砲撃し、軍兵士複数が死傷した。

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アレッポ県では、スマート・ニュース(6月26日付)によると、アフタリーン市郊外のバールーザ村、マスウーディーヤ村周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がイスラーム戦線と交戦した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、アラム地方に進入していたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はティクリート市クスール地区大統領宮殿方面への撤退を開始した。

これを受け、イラク軍ヘリコプターが大統領宮殿一帯を空爆した。

またティクリート病院の医療筋によると、同病院で治療を受けていたダーイシュ戦闘員50人以上が、命令を受けて撤退(撤退先は不明)したという。

一方、アフマド・アブドゥッラー・ジャブーリー県知事によると、イラク軍は空挺作戦を実行し、ダーイシュによって占拠されていたティクリート大学キャンパスを奪還した。

またティクリート市北部のカーディスィーヤ地区へのイラク軍の空爆で、民間人4人が死傷した。

このほか、サーマッラー市北部のラサース川をわたって潜入しようとしたダーイシュの狙撃手3人を治安部隊が射殺した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、バイジ製油所(サラーフッディーン県)に近接するフワイジャ郡ザルバート村のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)拠点をイラク軍が空爆し、ダーイシュ戦闘員5人を含む13人を殺害した。

またキルクーク市南部のバシール村近郊をダーイシュが砲撃し、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガ隊員5人が死傷した。

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ニナワ県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、モスル市南部のハマーム・アリール地方にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点をイラク軍ヘリコプターが空爆し、8人が死傷した。

ダーイシュはまた、モスル市内のハドバー警察署を破壊した。

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アンバール県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、ラマーディー市南部のタアミーム地区でイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

またイラク軍部隊が、ダーイシュによって占拠されていたラマーディー市南部のドゥッバート地区を解放した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、ヤアクーバ市北部のダリー・アッバース地方をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が数時間にわたって占拠したが、治安部隊がこれを解放した。

ダリー・アッバース地方の戦闘ではダーイシュ戦闘員5人が死亡、またダーイシュが警官1人を処刑した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月26日付)によると、軍、警察、民兵の合同部隊がイスカンダリーヤ地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討を行い、ダーイシュ戦闘員15人を殺害、逮捕した。

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ヌーリー・マーリキー首相は、BBC(6月26日付)に対して、ロシア、ベラルーシから中古のスホーイ戦闘機複数機を購入したと明かす一方、米国がF-16戦闘機36機の供与を遅らせていることが事態混乱につながっていると批判した。

AFP, June 26, 2014、AKI, June 26, 2014、AP, June 26, 2014、ARA News, June 26, 2014、BBC, June 26, 2014、Champress, June 26, 2014、al-Hayat, June 27, 2014、Kull-na Shuraka’, June 26, 2014、al-Mada Press, June 26, 2014、Naharnet, June 26, 2014、NNA, June 26, 2014、Reuters, June 26, 2014、SANA, June 26, 2014、SMART News, June 26, 2014、UPI, June 26, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年6月26日)

西クルディスタン移行期民政局アサーイシュは、ハサカ県ラアス・アイン市のシリア・クルド・イェキーティー党の事務所を閉鎖した。

同事務所では、閉鎖時に党のセミナーが開催されていた。

クッルナー・シュラカー(6月25日付)が伝えた。

AFP, June 26, 2014、AP, June 26, 2014、ARA News, June 26, 2014、Champress, June 26, 2014、al-Hayat, June 27, 2014、Kull-na Shuraka’, June 26, 2014、al-Mada Press, June 26, 2014、Naharnet, June 26, 2014、NNA, June 26, 2014、Reuters, June 26, 2014、SANA, June 26, 2014、UPI, June 26, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年6月25日追記)

トルコのガジアンテップ市になるシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣本部前で、シリア人の一団が座り込みデモを行い、大臣と職員の賃上げなどを要求した。

Kull-na Shuraka', June 26, 2014
Kull-na Shuraka’, June 26, 2014

Kull-na Shuraka’, June 26, 2014をもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月25日追記)

ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(6月25日付)によると、フーシュ・アシュアリー地方で、アブドゥルマジード・ウタイビー氏(本名カリーン・カッラーシュ)が武装集団の発砲を受け暗殺された。

Kull-na Shuraka', June 24, 2014
Kull-na Shuraka’, June 24, 2014

ウタイビー氏は2013年半ばに東グータ地域に入り、シャームの民のヌスラ戦線に所属、その後ヌスラ戦線を離反し、シャーキル・シャーミー氏、アブー・アブドゥッラフマーン・タッリー氏とともに東グータ地域におけるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点を築き、ヌスラ戦線やイスラーム戦線と対立した。

これに関して、ダーイシュは、イスラーム戦線所属のイスラーム軍による犯行だと非難しているという。

al-Hayat, June 26, 2014、Kull-na Shuraka’, June 24, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月25日)

シリアの反体制勢力の動き

シリア人権監視団によると、シリアのダイル・ザウル県ブーカマール市で活動するシャームの民のヌスラ戦線所属の「ジュヌード・ハック」は24日深夜から25日未明にかけて、イラクのニナワ県ラビーア地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に忠誠を誓った。

これに関して、ダーイシュ(ヒムス州)はツイッター(https://twitter.com/homs_isis)で「アッラーのおかげで、ブーカマール市は戦闘なくしてダーイシュ(イスラーム国)の支配下に入った。アッラーのおかげで、同地では、(アブー・ムハンマド・)ジャウラーニーの戦線(ヌスラ戦線)がイラク・シャーム・イスラーム国に忠誠を誓った」と綴った。

またダーイシュを支持するアブー・ハフス・アサリー氏もツイッター(https://twitter.com/abohafsalathare)で、ダーイシュの司令官のひとりウマル・シーシャーニー氏とヌスラ戦線の報道官アブー・ユースフ・ミスリー氏が握手を交わす写真を公開した。

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これに関して、AFP(6月25日付)は、複数の活動家の話として、ヌスラ戦線(ミスリー報道官)によるダーイシュへの忠誠は、ダイル・ザウル県内で共闘していたヌスラ戦線とそれ以外の武装集団(部族など)の関係悪化と内部対立をもたらしていると報じた。

シリア政府の動き

SANA(6月25日付)は、24日にシリア軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するイラクのアンバール県カーイム市を空爆したとの報道に関して、報道筋の話として「事実無根」と否定した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するラッカ市の複数カ所(ダーイシュの本拠地周辺)をシリア軍が空爆し、女性1人、子供1人を含む12人が死亡した。

またシリア軍地上部隊がラッカ市各所で重火器による攻撃を行った。

諸外国の動き

米国家安全保障会議のベルナデット・ミーハン報道官は、24日にシリア軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するイラクのアンバール県カーイム市を空爆したことに関して「イラクが直面する脅威の解決策は、ダーイシュを最初に繁栄させたアサド政権による介入ではない…。イラクの安全保障に対する挑戦の解決策は、民兵や残忍なアサド政権を関与させることではなく、イラクの治安部隊を強化することにある」と述べた。

AFP(6月25日付)が伝えた。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月25日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、ティクリート市北東部のハムリーン地区にあるアジール油田を制圧した。

またテロ撲滅部隊筋によると、ダーイシュが侵入したバイジ製油所の警備に当たっていた部隊80人が降伏後も、テロ撲滅部隊の大佐が率いる部隊員25人が製油所の制圧を阻止するため抵抗を続ける一方、イラク軍はヘリコプターが同地一帯を空爆、増援部隊を派遣、武器弾薬を補給したという。

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ニナワ県では、マダー・プレス(6月25日付け)によると、モスル市東部のカッラ・クーシュ村に接近しようとしたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク・クルディスタン地域ペシュメルガが交戦し、撃退した。

またダーイシュは未明、トルクメン人が多く住むシュライハーン村とクッバ村に進軍し、フサイニーヤ2カ所を破壊、村の青年数十人を一時拘束した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月25日付け)によると、ジュルフ・サフル地方で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員6人を殺害、武器庫と爆弾製造所を発見・破壊した。

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イラク軍総司令部報道官のカースィム・アター大将は記者会見で、アンバール県各所で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討を続け、ダーイシュ戦闘員34人を殺害、車両12台を破壊したと発表した。

またアター大将はサラーフッディーン県ティクリート市一帯などでもダーイシュ戦闘員25人を殺害、車両13台を破壊したと付言した。

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キルクーク県では、マダー・プレス(6月25日付)によると、フワイジャ郡マーフーズ村近郊で、「フワイジャ解放大隊」がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の車を銃撃し、ダーイシュ戦闘員3人を殺害した。

これに対して、ダーイシュは報復として、フワイジャ解放大隊メンバー2人を拉致、連行したという。

またダーイシュは、フワイジャ覚醒評議会の司令官1人を含む4人をハワーイジュ村に連行し、銃殺処刑した。

AFP, June 25, 2014、AP, June 25, 2014、ARA News, June 25, 2014、Champress, June 25, 2014、al-Hayat, June 26, 2014、Kull-na Shuraka’, June 25, 2014、al-Mada Press, June 25, 2014、Naharnet, June 25, 2014、NNA, June 25, 2014、Reuters, June 25, 2014、SANA, June 25, 2014、UPI, June 25, 2014などをもとに作成。

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