カーター次期米国務長官:「ワシントンにとって中東における最大の脅威はイランとダーイシュ」(2015年2月4日)

アシュトン・カーター次期米国防長官の指名承認公聴会が米上院軍事委員会で行われた。

カーター氏は、イラクにおけるイランの影響力拡大について懸念を表明、「イラクとシリアでのダーイシュ(イスラーム国)に対する戦争の努力と損なう」と述べた。

カーター氏はまた「ワシントンにとって中東における最大の脅威はイランとダーイシュ」と強調した。

ダーイシュ掃討については、イラクにおけるイラク治安部隊の同じように、シリアでもダーイシュを打ち負かせる兵力を組み立てることが必要だとの認識を示した。

提出した書面では、アサド政権退陣よりもダーイシュ掃討を優先させるべきだとの考えを示した。

AFP, February 4, 2015、AP, February 4, 2015、ARA News, February 4, 2015、Champress, February 4, 2015、al-Hayat, February 5, 2015、Iraqi News, February 4, 2015、Kull-na Shuraka’, February 4, 2015、al-Mada Press, February 4, 2015、Naharnet, February 4, 2015、NNA, February 4, 2015、Reuters, February 4, 2015、SANA, February 4, 2015、UPI, February 4, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

有志連合、シリア軍、YPGがハサカ県タッル・ハミース、シャッダーディーのイスラーム国(ダーイシュ)に攻勢(2015年2月3日)

ハサカ県では、ARA News(2月3日付)によると、米国など有志連合は、シャッダーディー市東部のグーナ油田近郊のダーイシュ(イスラーム国)拠点、クバイバ油田、クバイバ油田、ティシュリーン油田、フール油田の石油備蓄所および配給所などを空爆した。

またシリア軍も、有志連合の空爆と並行して、タッル・ハミース市一帯のダーイシュ拠点を砲撃した。

一方、ARA News(2月3日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、シリア軍によるタッル・ハミース市一帯への砲撃や有志連合によるシャッダーディー市一帯への空爆と合わせて、同地一帯への進軍の準備を行っているという。

他方、SANA(2月3日付)によると、タッル・ハミース市、ミールビーヤ村一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

アレッポ県では、ARA News(2月3日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)を追撃し、アイン・アラブ市郊外のアウハーン村、カルマラール村、バンダル村、アンザーン村、バスタク村、フーラーキー村、ハラービーサーン村、アイン・バット村を新たに奪還・制圧した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地北部、ジャフラ村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、同地一帯を空爆・砲撃した。

一方、SANA(2月3日付)によると、ジャブラ村、マリーイーヤ村、マヤーディーン市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、クッルナー・シュラカー(2月3日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)のハイル州(ダイル・ザウル県)のザカート局長を務めるエジプト人アブー・ウバイド氏が、10億シリア・ポンドを横領し、逃走したと伝えた。

**

ラッカ県では、SANA(2月3日付)によると、ラッカ市・タッル・アブヤド市街道沿いに位置するハズィーマ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、SANA(2月3日付)によると、ラッフーム村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

『ハヤート』(2月4日付)は、イラクのアンバール県の信頼できる複数の消息筋の話として、シリア領内から武装したイスラーム国(戦闘員)数百人がイラク領内に進入した、と伝えた。

**

有志連合合同司令部によると、米国など有志連合は、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して14回にわたって空爆を行った。

うち2回はアイン・アラブ市一帯、2回はラッカ市郊外に対して行われたという。

AFP, February 3, 2015、AP, February 3, 2015、ARA News, February 3, 2015、Champress, February 3, 2015、al-Hayat, February 4, 2015、Iraqi News, February 3, 2015、Kull-na Shuraka’, February 3, 2015、al-Mada Press, February 3, 2015、Naharnet, February 3, 2015、NNA, February 3, 2015、Reuters, February 3, 2015、SANA, February 3, 2015、UPI, February 3, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国内の活動家、住民「戦闘員逃走は日に日に増しており、イスラーム国崩壊は時間の問題」(2015年1月31日)

ラッカ県では、ARA News(1月31日付)によると、ラッカ市で、トルコ人女性戦闘員とチュニジア人女性戦闘員の2人が、ダーイシュ(イスラーム国)の女性部隊「ハンサー大隊」を離反し、トルコ領内に逃走した。

一方、ダーイシュは、アレッポ市・ラッカ市・ハサカ市を結ぶ国際幹線道路に位置するガーズィリー村で離反した戦闘員約50人を拘束し、カンタリー村に移送した。

こうした動きに関して、ARA News(1月31日付)は、シリア国内の複数の活動家、住民の話として、シリア国のダーイシュ(イスラーム国)戦闘員の「逃亡は日に日に増しており…、組織の崩壊は時間の問題だ」と伝えた。

他方、米国など有志連合は、ラッカ市からタッル・アブヤド市に向かって移動していたダーイシュ(イスラーム国)車輌を空爆した。

シャーム自由人イスラーム運動のアブー・ウマル・サルムーディーを名のる活動家によると、ダーイシュの車列は15台からなり、タッル・アブヤド市を経由してアイン・アラブ市に向かおうとしていたのだという。

**

アレッポ県では、ARA News(1月31日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がアイン・アラブ市郊外のシャカファ村、ダッリー村、スィフティク村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、戦闘員11人を殲滅、同地を解放した。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)は、自らの通信部門であるアアマーク通信からビデオ映像を配信し、アイン・アラブ市からの撤退の理由を明らかにした。

ビデオには、チュニジア人戦闘員、サウジアラビア人戦闘員が登場し、「アイン・イスラーム市」(アイン・アラブ市)からの撤退が、「激しい空爆がなされ、同胞が殺害されたことが理由だ」などと述べた。

ARA News(1月31日付)が伝えた。

**

ダイル・ザウル県では、SANA(1月31日付)によると、シューラ村、マヤーディーン市、ダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区、カバージブ村、ジャフラ村、アイヤーシュ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

アッシリア人権ネットワークは、ハサカ市内の活動家の情報として、ダーイシュ(イスラーム国)がハサカ県内のアッシリア教徒に対して、教会の十字架を下ろすよう要請していると発表した。

**

有志連合合同司令部によると、米国など有志連合は、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して27回にわたって空爆を行った。

AFP, January 31, 2015、AP, January 31, 2015、ARA News, January 31, 2015、Champress, January 31, 2015、al-Hayat, February1, 2015、Iraqi News, January 31, 2015、Kull-na Shuraka’, January 31, 2015、al-Mada Press, January 31, 2015、Naharnet, January 31, 2015、NNA, January 31, 2015、Reuters, January 31, 2015、SANA, January 31, 2015、UPI, January 31, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アイン・アラブ一帯でイスラーム国の勢力減退(2015年1月30日)

アレッポ県では、ARA News(1月30日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がアイン・アラブ市郊外のマナーズ村、マズリー・アブルーシュ村、アルバルール村、クールビーンカール村、ムーマーン村からダーイシュ(イスラーム国)を放逐、同地を制圧した。

なお、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)は過去数日間の戦闘でアイン・アラブ市周辺の16カ村を西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に奪われ、同地で衰退を見せていると発表した。

**

ハサカ県では、ARA News(1月30日付)によると、タッル・ブラーク町郊外のフバイラート村で、ダーイシュ(イスラーム国)が、人民議会議員邸宅などシリア政府支持者の住居を爆破、破壊した。

一方、SANA(1月30日付)によると、タッル・ブラーク町で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダイル・ザウル県では、SANA(1月30日付)によると、ジャフラ村、マリーイーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

有志連合合同司令部は、米国などからなる有志連合軍が、シリアとイラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して18回にわたって空爆を行ったと発表した。

うちアイン・アラブ市一帯に対する空爆は5回に及んだという。

**

『ワシントン・ポスト』(1月30日付)は、シリアとイラク国内で活動するダーイシュ(イスラーム国)の外国人戦闘員の数が2万人に達していると報じた。

同紙によると、外国人戦闘員の数は2014年10月以降急増しているのだという。

AFP, January 30, 2015、AP, January 30, 2015、ARA News, January 30, 2015、Champress, January 30, 2015、al-Hayat, January 31, 2015、Iraqi News, January 30, 2015、Kull-na Shuraka’, January 30, 2015、al-Mada Press, January 30, 2015、Naharnet, January 30, 2015、NNA, January 30, 2015、Reuters, January 30, 2015、SANA, January 30, 2015、UPI, January 30, 2015、The Washington Post, January 30, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国がタッル・アブヤドでメンバーの離反・逃走を阻止するため、家族のラッカへの移動を要請、ラフマーン軍団がダーイシュ合流者を摘発(2015年1月28日)

ラッカ県では、ARA News(1月28日付)がトルコ国境に位置するタッル・アブヤド市の複数の消息筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)が外国人戦闘員に対し、家族を同市からラッカ市に移すよう要請するとともに、トルコへの通行規制を強化し、戦闘員の離反・逃走を阻止しようとしていると伝えた。

また、ARA News(1月29日付)によると、タッル・アブヤド市郊外のタッル・アフマル村(カリー・スール村)に対する米国など有志連合の空爆で、バシャーシマ部族の子息1人が死亡、2人が負傷した。

**

ダマスカス郊外県では、ラフマーン軍団総司令部が声明を出し、アイン・タルマー村で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓った「アブズ・ザイド・ジャウラーン」を名のる武装集団を摘発した、と発表した。

Kull-na Shuraka', January 28, 2015
Kull-na Shuraka’, January 28, 2015

**

アレッポ県では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が声明を出し、イラク・クルディスタン地域のペシュメルガ部隊とともにアイン・アラブ市郊外のクーラムト村、マトアム・スィーラーン一帯(アレッポ街道沿い)でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、同地を制圧した。

また、米国など有志連合の合同司令部によると、有志連合はアイン・アラブ市一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して13回にわたって空爆を行った。

ARA News(1月28日付)が伝えた。

一方、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が支配するダイル・ハーフィル市一帯、ジャディード村、ヒルバト・マアージール村などをシリア軍が空爆した。

このほか、ARA News(1月28日付)によると、マンビジュ市でダーイシュ(イスラーム国)が住民6人を「有志連合に内通」、「自由シリア軍に内通」しているとの罪で処刑した。

**

ハサカ県では、ARA News(1月28日付)によると、シャッダーディー市で、ダーイシュ(イスラーム国)が住民1人を処刑した。

**

ヒムス県では、SANA(1月28日付)によると、ジャズル・ガス採掘所一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

『ハヤート』(1月29日付)は、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガおよび米国など有志連合による、ニナワ県タッルアファル郡、モスル市一帯での攻勢を受け、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーの家族約150世帯がシリア領内に避難したと伝えた。

AFP, January 28, 2015、AP, January 28, 2015、ARA News, January 28, 2015、January 29, 2015、Champress, January 28, 2015、al-Hayat, January 29, 2015、Iraqi News, January 28, 2015、Kull-na Shuraka’, January 28, 2015、al-Mada Press, January 28, 2015、Naharnet, January 28, 2015、NNA, January 28, 2015、Reuters, January 28, 2015、SANA, January 28, 2015、UPI, January 28, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国:イラクでの軍事教練を開始(2015年1月25日)

米国防総省のジョン・カービー報道官は、米国など有志連合が、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘のため、イラク人およびイラク・クルディスタン地域のペシュメルガ戦闘員3,600人の軍事教練をイラク国内の4カ所各地で開始したことを明らかにした。

Iraqi News(1月25日付)が伝えた。

AFP, January 25, 2015、AP, January 25, 2015、ARA News, January 25, 2015、Champress, January 25, 2015、al-Hayat, January 26, 2015、Iraqi News, January 25, 2015、Kull-na Shuraka’, January 25, 2015、al-Mada Press, January 25, 2015、Naharnet, January 25, 2015、NNA, January 25, 2015、Reuters, January 25, 2015、SANA, January 25, 2015、UPI, January 25, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国防総省報道官「イラク側が過去半年間で奪還したのはイスラーム国制圧地域の1%にも満たない」(2015年1月23日)

米国防総省のジョン・カービー報道官は、シリアの「穏健な反体制派」を教練するための米軍教官の第1陣を近日中にトルコに派遣すると発表した。

米国は最終的には教官400人を派遣し、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うための「穏健な反体制派」戦闘員約15,000人に教練を施す予定。

一方、カービー報道官は、ダーイシュ(イスラーム国)のイラク側の支配地域が約5万4,000平方キロ(イラク国土の約12%)に達しているとの分析を明らかにしたうえで、イラク側が過去半年間で奪還したのは、ダーイシュ制圧地域の1%にも満たない約700平方キロにとどまっていることを明らかにした。

なお、ジョン・ケリー米国務長官はこれに先だって、「イラクでは、イスラーム国の勢いは確実に止まり、一部では後退している」と述べていた。

ダーイシュ掃討作戦に参加するロンドンでの有志連合に出席していたケリー国防長官は、イラク軍とイラク・クルディスタン地域のペシュメルガがダーイシュから「700万平方キロ以上の領土を奪還した」と強調、2000回におよぶ空爆で同組織に資金源となっている石油関連施設多数を破壊したほか、幹部戦闘員の半数を殺害したと説明し、「道のりは短期間でも、容易でもないが、重要な進捗を得た」と述べていた。

**

イラクのモスル市では、ARA News(1月23日付)によると、イラク・クルディスタン地域のペシュメルガが、ダーイシュ(イスラーム国)による同市制圧(2014年6月)後初めて、市内を砲撃した。

AFP, January 24, 2015、AP, January 24, 2015、ARA News, January 24, 2015、Champress, January 24, 2015、al-Hayat, January 25, 2015、Iraqi News, January 24, 2015、Kull-na Shuraka’, January 24, 2015、al-Mada Press, January 24, 2015、Naharnet, January 24, 2015、NNA, January 24, 2015、Reuters, January 24, 2015、SANA, January 24, 2015、UPI, January 24, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

エジプト・イラク首脳会談:シリア政府の存続と「穏健な反体制派」との共存をめざすことで合意(2015年1月12日)

エジプトの複数のメディアによると、カイロ訪問中のイラクのハイダル・アバーディー首相は、エジプトとイラクの両首脳が、シリアの現政権の存在を認め、「穏健な反体制派」との共存を推し進めるかたちでシリアの紛争解決をめざすことで合意した、と述べた。

アバーディー首相は、エジプトのアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領との会談で「シリア政府を穏健な反体制派と共存させることで、シリアの紛争を解決する」ことに力点が置かれたことを明らかにした。

ARA News(1月12日付)が伝えた。

AFP, January 12, 2015、AP, January 12, 2015、ARA News, January 12, 2015、Champress, January 12, 2015、al-Hayat, January 13, 2015、Iraqi News, January 12, 2015、Kull-na Shuraka’, January 12, 2015、al-Mada Press, January 12, 2015、Naharnet, January 12, 2015、NNA, January 12, 2015、Reuters, January 12, 2015、SANA, January 12, 2015、UPI, January 12, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「進撃する「イスラーム国」はイラク政治をどこへ連れて行くのか」(Synodos、2015年1月9日)

山尾大「進撃する「イスラーム国」はイラク政治をどこへ連れて行くのか」
Synodos、2015年1月9日
http://synodos.jp/international/12183

2014年に世界を騒がせた事件は、なんと言ってもエボラ出血熱の大流行と「イスラーム国」の台頭であっただろう。我が国でも、エボラ出血熱と「イスラーム国」はいずれも流行語大賞にノミネートされた。残念ながら大賞受賞は逃したが、大賞へのノミネートはインパクトの大きさを如実に物語っている――もっとも、仮に受賞したとしても、誰が授賞式に来るのかという問題はあったのだが。・・・

イスラーム国がサウジ・イラク両国境警備隊を相次いで襲撃(2015年1月5日)

サウジアラビア内務省は声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)がサウジアラビア北部の対イラク国境に位置するアルアル市北部に潜入し、サウジアラビア国境警備隊を襲撃、隊員2人が死亡した。

国境警備隊はダーイシュ戦闘員1人を捕らえたもの、この戦闘員は自爆ベルトを爆発させ、自殺した。

BBC(1月5日付)などが伝えた。

**

Iraqi News(1月4日付)は、イラク治安筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)によるサウジアラビアの潜入に先立ち、イラク国境警備隊がアンバール県西部の対サウジアラビア国境に位置するアナズ(Anazh)駐屯地でダーイシュの襲撃を受けたが、これを撃退した、と伝えた。

同消息筋によると、この際、ダーイシュ側の戦闘員2人と国境警備隊1人が死亡、また双方合わせて6人が負傷した。

ダーイシュ戦闘員はアンバール県西部のラトバ市を放逐され、南下したのだという。

AFP, January 5, 2015、AP, January 5, 2015、ARA News, January 5, 2015、Champress, January 5, 2015、al-Hayat, January 6, 2015、Iraqi News, January 5, 2015、Kull-na Shuraka’, January 5, 2015、al-Mada Press, January 5, 2015、Naharnet, January 5, 2015、NNA, January 5, 2015、Reuters, January 5, 2015、SANA, January 5, 2015、UPI, January 5, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国支配下のモスルでエボラ出血熱感染者2人確認か(2015年1月2日)

『サバーフ』(1月2日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)が実効支配するモスル市の医療筋の話として、同市で多くの感染症が蔓延しているとしたうえで、エボラ出血熱感染者2人、HIV感染者26人が確認されていると報じた。

AFP, January 2, 2015、AP, January 2, 2015、ARA News, January 2, 2015、Champress, January 2, 2015、Iraqi News, January 2, 2015、Kull-na Shuraka’, January 2, 2015、al-Mada Press, January 2, 2015、Naharnet, January 2, 2015、NNA, January 2, 2015、Reuters, January 2, 2015、al-Sabah, January 2, 2015、SANA, January 2, 2015、UPI, January 2, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ペシュメルガがモスルに対するイスラーム国の化学兵器攻撃を阻止したと主張(2014年12月29日)

イラク・クルディスタン地域ペシュメルガのカースィム・シーシュー司令官は、クルディスタン民主党のHPを通じて声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)がモスル市に対して行おうとしていた化学兵器攻撃をペシュメルガが阻止したと発表した。

イラキー・ニュース(12月29日付)が伝えた。

AFP, December 29, 2014、AP, December 29, 2014、ARA News, December 29, 2014、Champress, December 29, 2014、al-Hayat, December 30, 2014、Iraqi News, December 29, 2014、Kull-na Shuraka’, December 29, 2014、al-Mada Press, December 29, 2014、Naharnet, December 29, 2014、NNA, December 29, 2014、Reuters, December 29, 2014、SANA, December 29, 2014、UPI, December 29, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:フルクルス・ガス製造所襲撃(2014年12月29日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がフルクルス・ガス製造所)フルクルス町郊外)を襲撃し、工場の警備にあたるシリア軍兵士4人を含む8人を殺害した。

SANA(12月29日付9によると、ダーイシュは爆弾を積んだ車を爆発させ、工場の入り口などを破壊したが、工場の警備にあたる守衛(シリア軍)が2人を逮捕した。

しかしマサール・プレス(12月28日付)によると、この襲撃でシリア軍兵士22人が殺害され、工場の一部が占拠されたという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市ムハッディサ学校一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦、双方に数十人の死者が出た。

また米国など有志連合は同市一帯のダーイシュ拠点を空爆した。

このほか、バーブ市、ジャラーブルス市のダーイシュ拠点に対しても空爆(シリア軍、有志連合のいずれによるか不明)が行われたという。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、アブー・カサーイブ村一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

一方、ARA News(12月29日付)によると、シリア軍がカーミシュリー市南部郊外のダーイシュ(イスラーム国)拠点への砲撃を続けた。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がジャフラ村、ダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆・砲撃した。

一方、SANA(12月29日付)によると、ダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区マリーイーヤ村、ジャフラ村、シューラ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またバフラ村では、ダーイシュによって殺害された70人の遺体が遺棄されているのが発見された。

**

米中央軍によると、米国など有志連合は、シリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点を12回、イラク領内を6回にわたって空爆した。

シリア領内の空爆は、アイン・アラブ市、ラッカ市、ダイル・ザウル県に対して行われたという。

**

ARA News(12月29日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)は、イラン・イラク国境に近いディヤラー市上空で、イラン軍の無人航空機を撃墜したと発表し、その映像を公開した。

**

ARA News(12月29日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)は、イラクのサーマッラー県での戦闘でイラン・イスラーム革命防衛隊の士官を殺害したと発表した。

AFP, December 29, 2014、AP, December 29, 2014、ARA News, December 29, 2014、Champress, December 29, 2014、al-Hayat, December 30, 2014、Iraqi News, December 29, 2014、Kull-na Shuraka’, December 29, 2014、al-Mada Press, December 29, 2014、Masar Press Agency, December 29, 2014、Naharnet, December 29, 2014、NNA, December 29, 2014、Reuters, December 29, 2014、SANA, December 29, 2014、UPI, December 29, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:ハサカ、ヒムス、アレッポで戦闘続く(2014年12月28日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がヒムス市・タドムル市街道でシリア軍部隊を要撃し、兵士4人を殺害、またシャーイル・ガス採掘所周辺でシリア軍と交戦した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がイラク領内からクルド人男性70人(ペシュメルガ)をシャッダーディー市方面に連行した。

また、SANA(12月28日付)によると、ミールビーヤ村一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員34人を殲滅した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がバーブ市で「イスラーム教徒の財産を横領した」などの容疑で男性2人を張り付けの刑に処し、殺害した。

またアイン・アラブ市では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュがシャヒード・ムールール広場、スーフィヤーン広場一帯などで交戦した。

一方、クッルナー・シュラカー(12月28日付)によると、米国など有志連合は、ダーイシュが占拠しているジャラーブルス市の文化センターなどを空爆した。

また、ARA News(12月28日付)によると、アフリーン市・アアザーズ市間に位置するカトマ村近郊の西クルディスタン移行期民政局アサーイシュの検問所に対して、ダーイシュ(イスラーム国)が自爆攻撃を行った。

**

ダイル・ザウル県では、SANA(12月28日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区、ハウィーカ地区、ウルフィー地区、工業地区、ラサーファ地区、フワイジャト・サクル地区、ジャフラ村一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

米中央軍によると、米国など有志連合は、シリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して8回、イラク領内で5回の空爆を行った。

AFP, December 28, 2014、AP, December 28, 2014、ARA News, December 28, 2014、Champress, December 28, 2014、al-Hayat, December 29, 2014、Iraqi News, December 28, 2014、Kull-na Shuraka’, December 28, 2014、al-Mada Press, December 28, 2014、Naharnet, December 28, 2014、NNA, December 28, 2014、Reuters, December 28, 2014、SANA, December 28, 2014、UPI, December 28, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:イスラーム国は有志連合パイロットに離反を呼びかける、YPGはアイン・アラブの60%以上を制圧(2014年12月27日)

クッルナー・シュラカー(12月27日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)がインターネットなどを通じて、米国など有志連合のパイロットに対して、「タブカ航空基地は、アラブ十字軍連合からの離反を望むすべてのアラブ人パイロットに対して開放されている」とのメッセージを発し、離反を呼びかけた。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)との約3ヶ月の攻防戦の末、アイン・アラブ市の60%以上を制圧した。

人民防衛隊が制圧したのは、市庁舎が位置する治安厳戒地区、市北東部、南部、および東部。

ダーイシュは、市内のそれ以外の地区からもすでに撤退しているが、人民防衛隊は爆発物などの処理が完了していないために、同地を完全制圧してはいないという。

**

米中央軍は、米国など有志連合が25、26日の2日間で、アイン・アラブ市一帯(アレッポ県)に対して10回、ハミース市(ハサカ県)に対して13回の空爆を行い、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点、車輌などを破壊したと発表した。

この2日間で空爆回数は31回に及んだという。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シュハイル村で、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線、イフラース旅団が所有していた家屋を接収、またダーイシュへの反抗を断念し、「改悛」していた武装集団司令官1人を逮捕した。

一方、SANA(12月27日付)によると、ダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区、ジュバイラ地区、ラシュディーヤ地区、ラサーファ地区、ハウィーカ地区、工業地区、ハトラ村、ムーハサン市、アブド村、ジャフラ村、マリーイーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, December 27, 2014、AP, December 27, 2014、ARA News, December 27, 2014、Champress, December 27, 2014、al-Hayat, December 28, 2014、Iraqi News, December 27, 2014、Kull-na Shuraka’, December 27, 2014、al-Mada Press, December 27, 2014、Naharnet, December 27, 2014、NNA, December 27, 2014、Reuters, December 27, 2014、SANA, December 27, 2014、SLN, December 27, 2014、UPI, December 27, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:米国などがラッカ市を爆撃し、戦闘員40人以上が死亡(2014年12月26日)

ラッカ県では、ロイター通信(12月26日付)によると、米国など有志連合が、ラッカ市のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して無人戦闘機などで16回にわたって空爆を行った。

シリア人権監視団によると、この空爆で、ラッカ市内のダーイシュの集合住宅、爆弾製造工場、マナーヒール軍事基地などが被弾し、戦闘員40人以上が死亡した。

死亡した戦闘員のうち13人がシリア人、それ以外は外国人戦闘員だったという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市の文化センター東部、ブーターン地区のヤルムーク学校に近いスーフィヤーン地区東部で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と」交戦した。

ARA News(12月26日付)によると、人民防衛隊は市内の市庁舎、ハンサー女学校をダーイシュから奪還したという。

またダーイシュはアイン・アラブ市各所を砲撃し、迫撃砲弾10発が着弾する一方、米国など有志連合が同地一帯を3度にわたって空爆した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、スバイハーン市で、巡回中のダーイシュ(イスラーム国)ヒスバ(宗教警察)が、男性3人を拘束し、ジャッラーフ・モスク前で処刑した。

一方、SANA(12月26日付)によると、ジャフラ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ハサカ県では、ARA News(12月26日付)によると、シリア軍がカーミシュリー市近郊のタルタブ連隊基地から同市南部郊外に展開するダーイシュ(イスラーム国)に対して砲撃を行った。

**

ヒムス県では、SANA(12月26日付)によると、ラッフーム村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ロイター通信(12月26日付)によると、米国など有志連合は、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して15回にわたって空爆を行った。

**

シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)ユーフラテス州は、新規戦闘員を募集・教化するための加入局を新設したと発表した。

**

ARA News(12月26日付)などは、ヒムス県で活動する「シリア革命におけるもっとも著名な活動家の一人」アブドゥルバースィト・サールート氏が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓ったと報じた。

AFP, December 26, 2014、AP, December 26, 2014、ARA News, December 26, 2014、Champress, December 26, 2014、al-Hayat, December 27, 2014、Iraqi News, December 26, 2014、Kull-na Shuraka’, December 26, 2014、al-Mada Press, December 26, 2014、Naharnet, December 26, 2014、NNA, December 26, 2014、Reuters, December 26, 2014、SANA, December 26, 2014、UPI, December 26, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:シリア軍がバーブ、カッバースィーンを「樽爆弾」で爆撃(2014年12月25日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているバーブ市、カッバースィーン村をシリア軍が6度にわたり「樽爆弾」で空爆し、100人以上が死傷した(シリア人権監視団によると、死者は45人、負傷者は175人)。

国境なき医師団によると、この空爆での死者は26人、負傷者は160人以上だという。

一方、アイン・アラブ市では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員14人が死亡した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、アブー・カサーイブ村で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員30人以上を殲滅、同村を2日ぶりに奪還した。

これに関して、SANA(12月25日付)は、人民防衛隊ではなく、シリア軍がアブー・カサーイブ村、アブー・ガザール村一帯を制圧し、治安と安全を回復したと報じた。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地周辺のダーイシュ(イスラーム国)拠点をシリア軍が砲撃した。

一方、SANA(12月25日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ジュバイラ地区、ラサーファ地区、ウルフィー地区、工業地区、ダイル・ザウル航空基地周辺、マリーイーヤ村、ジャフラ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、SANA(12月25日付)によると、ラッフーム村、シャーイル・ガス採掘所周辺、ジャズル・ガス採掘所一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ARA News(12月26日付)によると、米国など有志連合はハサカ市南部郊外などを空爆した。

イラク国内の戦況

サラーフッディーン県では、Iraqinews(12月15日付)が治安筋の話として、イラク軍がティクリート市南部のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対してスホーイ戦闘機による空爆を開始したと伝えた。

また治安機関高官によると、ティクリート市南部での作戦で、イラク軍部隊がダーイシュのヤスリブ村ワーリーのアブー・スフヤーン・サウーディー氏ら20人以上を殺害した。

**

アンバール県では、Iraqinews(12月25日付)によると、イラク軍と警察からなる治安部隊が、部族民兵の支援のもと、ハディーサ・ダム湖南東部の14カ村を制圧した。

AFP, December 25, 2014、AP, December 25, 2014、ARA News, December 25, 2014、December 26, 2014、Champress, December 25, 2014、al-Hayat, December 26, 2014、Iraqi News, December 25, 2014、Kull-na Shuraka’, December 25, 2014、al-Mada Press, December 25, 2014、Naharnet, December 25, 2014、NNA, December 25, 2014、Reuters, December 25, 2014、SANA, December 25, 2014、UPI, December 25, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

新刊『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』(岩波書店)

青山弘之(編)『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』岩波書店。

Twitter
Twitter

■体裁=四六判・並製・カバー・240頁
■定価(本体 2,400円 + 税)
■2014年12月18日
■ISBN 978-4-00-022084-2 C0031
________________________________________
「イスラーム国」の出現,ガザ戦争,シリア「内戦」…….相次ぐ混乱の原因は宗派対立なのか,それとも独裁者の存在なのか.今日の中東全体の政治的・社会的問題が先鋭的に現れているエジプト,シリア,イラク,レバノン,ヨルダン,パレスチナの「アラブの心臓」諸国の実像を解明し,中東政治を的確に読み解く視座を提示する.________________________________________

目次

凡例

序章       「混沌のドミノ」に喘ぐ「アラブの心臓」 青山弘之

第1章    エジプト:二つの「革命」がもたらした虚像の再考 横田貴之

第2章    シリア:「真の戦争状態」が必要とする「独裁」政権 髙岡豊

第3章    イラク:民主化の蹉跌と宗派対立という亡霊 山尾大

第4章    レバノン:「決めない政治」が支える脆い自由と平和 末近浩太

第5章    ヨルダン:紛争の被害者か、受益者か 吉川卓郎

第6章    パレスチナ:ハマース否定が導いた政治的混乱 錦田愛子

終章       中東政治の実情に迫るために 青山弘之

文献リスト

人名索引・事項索引

諸外国の動き:米国など有志連合約60カ国が外相級会議(2014年12月3日)

イラクとシリアでダーイシュ(イスラーム国)掃討をめざす米国など有志連合59カ国、3組織が初の外相級会議を開催した。

会議はNATO(ブリュッセル)本部で開催され、米、EU諸国、アラブ湾岸諸国、トルコ、日本、韓国などが参加、イラクはハイダル・アバーディー首相が出席したが、シリアからの出席者はなかった。

議長を務めたジョン・ケリー米国務長官は、ダーイシュ掃討に関して「難題が残っている」ことを認め、作戦が「数年におよび得る」と指摘した。

会議では、欧米諸国などからシリア、イラクに戦闘員が潜入するルートを遮断し、ダーイシュによる原油密売など資金源を経つことで合意した。

また紛争による雛民支援、ネットなどを通じたダーイシュの宣伝に対応するための情報戦を展開することも決めた。

AFP, December 3, 2014、AP, December 3, 2014、ARA News, December 3, 2014、Champress, December 3, 2014、al-Hayat, December 4, 2014、Kull-na Shuraka’, December 3, 2014、al-Mada Press, December 3, 2014、Naharnet, December 3, 2014、NNA, December 3, 2014、Reuters, December 3, 2014、SANA, December 3, 2014、UPI, December 3, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノンの動き:レバノン治安当局は拘束した情勢がダーイシュ指導者の妻だとあくまで主張(2014年12月3日)

アナトリア通信(12月3日付)は、レバノンの司法筋の話として、2日にレバノン国内で拘束された女性が、DNA鑑定の結果、ダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏のイラク人妻のサジャー・ハミード・ドゥライミー氏であることが改めて確認されたと報じた。

『ナハール』(12月3日付)も、この女性がバグダーディー氏のイラク人妻であることを示す複数の証拠品を当局が押収したと報じた。

しかし、イラク内務省のサアド・マアン報道官は、AP(12月3日付)に対して、レバノンで拘束された女性がバグダーディー氏の妻ではないと述べた。

マアン報道官によると、サジャー氏はシリアを経由してレバノンに渡航したことが確認されているが、レバノン当局に拘束されたのは、サジャー氏ではなく、ウマル・アブドゥルハミード・ドゥライミー氏(イラクでテロ容疑で指名手配中)のきょうだいだという。

またマアン報道官によると、バグダーディー氏には2人の妻がいることが確認されているが、いずれもサジャーという名ではないという。

Naharnet, December 3, 2014
Naharnet, December 3, 2014

**

レバノン軍によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外で、軍部隊を狙ったと思われる爆弾攻撃があり、兵士1人が死亡した。

AFP, December 3, 2014、Anadolu Ajansı, December 3, 2014、AP, December 3, 2014、ARA News, December 3, 2014、Champress, December 3, 2014、al-Hayat, December 4, 2014、Kull-na Shuraka’, December 3, 2014、al-Mada Press, December 3, 2014、al-Nahar, December 3, 2014、Naharnet, December 3, 2014、NNA, December 3, 2014、Reuters, December 3, 2014、SANA, December 3, 2014、UPI, December 3, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:イランがイラクでのダーイシュ爆撃に参加か?(2014年12月2日追記)

米国防総省のジョン・カービー報道官はAFP(12月2日付)に対し、イランのF4ファントム戦闘機が最近の数日間にイラク東部でダーイシュ(イスラーム国)に対して「空爆を行ったことを示す証拠がある」と主張した。

ジャズィーラ・チャンネルが、イラン空軍のF4戦闘機に似た航空機が、イラク東部のディヤラ県で目標に攻撃を加えているとする映像を放映していた。

カービー報道官はこれに先だって、「軍事行動についてイランと調整することはないという米国の方針は変わっていない」としたうえで、複数の国による軍用機の飛行の監督・調整を行っているのは米軍ではなく、イラク政府だ、と記者会見で話していた。

AFP, December 3, 2014をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:米国はシリア軍を標的としないと爆撃前にイラクを通じて通達(2014年11月28日)

『ハヤート』(11月28日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、米国など有志連合によるシリア空爆(9月23日付)の直前の9月16日にダマスカスを訪問していたイラクのファーリフ・ファイヤード国家安全保障顧問は、シリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点・車輌などへの空爆に際して、シリア軍を標的とすることはないとの米国政府のメッセージを代理で伝えていたと報じた。

al-Hayat, November 28, 2014をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

諸外国の動き:ヘーゲル米国防長官事実上の更迭(2014年11月24日追記)

バラク・オバマ米大統領は記者会見で、チャック・ヘーゲル米国防長官が辞任したと発表した。

オバマ大統領は「難しい決断だったが、彼が公務を終えるのにふさわしい時期と考えた」と説明した。

ロイター通信(11月24日付)などによると、ヘーゲル国防長官の辞任は本人の合意によるというが、ある関係筋は「更迭であることに疑いはない」と述べるなど、辞任に追い込まれたとの見方も出ている。

ヘーゲル氏はこれまで私的な場で、オバマ政権のイラクやシリアでの政策や、意思決定プロセスに自身の意向が反映されにくいことなどに不満を示していたとされる。

当局者によるとヘーゲル氏は10月以降、オバマ大統領と話し合いを重ねてきたが、この日、辞表を提出した。後任が決まるまで職務を続けるという。

AFP, November 24, 2014、AP, November 24, 2014、ARA News, November 24, 2014、Alarabia, November 24, 2014、Champress, November 24, 2014、al-Hayat, November 25, 2014、Kull-na Shuraka’, November 24, 2014、al-Mada Press, November 24, 2014、Naharnet, November 24, 2014、NNA, November 24, 2014、Reuters, November 24, 2014、SANA, November 24, 2014、UPI, November 24, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

諸外国の動き:オバマ大統領、対シリア(アサド)政策の軟化を検討か(2014年11月13日)

CNN(11月13日付)は、複数の米高官の話として、バラク・オバマ米大統領が、国家安全保障チームに対シリア政策の再考を要請、イラクでのダーイシュ(イスラーム国)掃討を優先させ、シリアでのダーイシュ掃討については、イラクでの成果を行い、アサド政権の退陣に固執しないとする戦術の採用に動いていると報じた。

**

チャック・ヘーゲル国防長官は米議会で、シリアの「穏健な反体制派」への教練に関して、準備が完了したとしたうえで、教練には8~12ヶ月を要するだろうと証言した。

『ハヤート』(11月14日付)などが伝えた。

AFP, November 13, 2014、AP, November 13, 2014、ARA News, November 13, 2014、Champress, November 13, 2014、CNN, November 13, 2014、al-Hayat, November 14, 2014、Kull-na Shuraka’, November 13, 2014、al-Mada Press, November 13, 2014、Naharnet, November 13, 2014、NNA, November 13, 2014、Reuters, November 13, 2014、SANA, November 13, 2014、UPI, November 13, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国をめぐる動き:バグダーディー氏重傷か?(2014年11月9日)

アラビーヤ(11月9日付)は、米国など有志連合が7日夜、イラクのアンバール県カーイム市を空爆、同市内の民家で会合を開いていたダーイシュ(イスラーム国)のカリフを名乗るアブー・バクル・バグダーディー氏が致命傷を追ったと報じた(未確認情報)。

アラビーヤによると、この空爆で、ダーイシュのムフティー、アフマド・アワド・サルマーニー氏、治安担当官のサーミル・ムハンマド・マハッラーウィー氏、ザーワ村組織部門担当のカナアーン・アッブード・ムハイディー氏、アーナ村組織部門担当のワリード・ズィヤーブ・アーニー氏、ユーフラテス州ワーリーのアブー・ザフラー・ムハンマディー氏が死亡したという。

また、クッルナー・シュラカー(11月9日付)によると、有志連合の空爆は、ダーイシュが接収しカーイム市議会議員の自宅に対して行われ、アンバール県ワーリーのアドナーン・ラティーフ・スワイダーウィー氏も殺害された。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マナーズィー地区、イザーア地区などで、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が激しく迫撃砲戦を行う一方、ハーッジ・ラシャード・モスク、ハール市場、同市南部でも両者が交戦した。

またシリア軍は、ダーイシュが占拠するバーブ市を「樽爆弾」などで空爆し、21人が死亡、約100人が負傷した。

なおARA News(11月10日付)によると、ダーイシュのインドネシア人戦闘員1人が市内で自爆攻撃を行ったという。

またARA News(11月9日付)によると、ダーイシュはハーッジ・ラシャード・モスク一帯からの撤退時に同モスクを爆破した。

一方、SANA(11月9日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するバーブ市一帯をシリア軍が攻撃した。

**

ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(11月9日付)が複数の地元活動家の話として、米国など有志連合が、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するハリータ村を空爆したが、住民らが使用している井戸を油田と間違って破壊した。

一方、SANA(11月9日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイリーヤ地区、ハッラータ油田一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

シリア人権監視団は、アイン・アラブ市(アレッポ県)一帯へのダーイシュ(イスラーム国)が本格化した9月16日以降の戦闘での死者数が1,013人に達したと発表した。

このうち609人がダーイシュ・メンバー、363人が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊隊員、16人が親政権の民兵戦闘員、24人が民間人、だという。

AFP, November 9, 2014、Alarabia, November 9, 2014、AP, November 9, 2014、ARA News, November 9, 2014、November 10, 2014、Champress, November 9, 2014、al-Hayat, November 10, 2014、Kull-na Shuraka’, November 9, 2014、al-Mada Press, November 9, 2014、Naharnet, November 9, 2014、NNA, November 9, 2014、Reuters, November 9, 2014、SANA, November 9, 2014、UPI, November 9, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア反体制勢力の動き:民主的変革諸勢力国民調整委員会はイラク・クルディスタン地域のペシュメルガの撤退を要求(2014年11月9日)

民主的変革諸勢力国民調整委員会は、月例会合を開き、アイン・アラブ市に入ったイラク・クルディスタン地域のペシュメルガ戦闘員に関して「国際紛争にシリア人以外の武装集団が介入」したと非難、撤退を求めた。

民主的変革諸勢力国民調整委員会は国内で活動する最大の反体制政治同盟で、西クルディスタン移行期民政局を主導する民主統一党の参加している。

**

ARA News(11月9日付)によると、シリア・クルド左派党(シャラール・カッドゥー氏が書記長を務める派閥)とシリア・クルディスタン自由党(アフマド・スライマーン・アッジャ氏が党首)を名乗るグループが合併した。

合併後の組織名は、シリア・クルド左派党。

AFP, November 9, 2014、AP, November 9, 2014、ARA News, November 9, 2014、Champress, November 9, 2014、al-Hayat, November 10, 2014、Kull-na Shuraka’, November 9, 2014、al-Mada Press, November 9, 2014、Naharnet, November 9, 2014、NNA, November 9, 2014、Reuters, November 9, 2014、SANA, November 9, 2014、UPI, November 9, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

講演「過激派組織「イスラム国」の実態と欧米の対応」(暦日会)

青山弘之「過激派組織「イスラム国」の実態と欧米の対応」

image001

講演要点
今週は青山弘之氏の<『イスラム国』と欧米>に関するお話です。青山氏はアラブ問題研究の専門家。

イスラム過激派組織「イスラム国」の実態に迫るに当たってシリアとイラクの政治情勢さらには欧米との複雑な関係を浮き彫りにした。

1979年のイラン革命に始まり、湾岸戦争、イラク戦争などの経緯を振り返り、同時に欧米との関係などを解説し「イスラム国」結成の背景や実態を明らかにした。

「イスラム国」はアルカイーダ系の組織で、イラク・アルカイーダが2006年に結成したイラク・イスラム国(ISI)が母体という。

従来のアルカイーダがイデオロギー重視であるのに対して「イスラム国」はこれを非現実的とみて敵視し転覆を狙う。

主にシリアで勢力を拡大しアサド政権に対抗する。

戦闘員は2~3万人とされ、その4分の1から5分の1が外国人で約80カ国から来ているとみる。

「イラクとシリアの緩衝地帯など両国の実効支配が及ばない地域で主に活動している」という。

グループは残忍性、恐怖政治、宗教に厳格で盲目的に信じるなどの特徴を持つ。

これに対する欧米の基本的な戦略は「強いシリア」「強いイラク」化をけん制する意味で
イスラム国に対応してきた面もある。

つまり「イスラム国」を利用してシリアのアサド政権やイラク政権の強化にブレーキをかける魂胆もあるという。

ただ「イスラム国」が石油資源などを有するイラクに侵入したことに危機感を持ち「米国中心に欧米や中東諸国がイスラム国の空爆を断行した」との背景を説明した。

青山弘之(あおやま・ひろゆき) プロフィール
1968年生まれ。東京外国語大学卒、一橋大学大学院修士課程修了。在ダマスカスIFPO(フランス中東研究所)共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員、東京外国語大学准教授を経て2013年4月から現在の東京外国語大学総合国際学研究院教授。
専門は現代シリア・レバノン政治。著書は「混迷するシリア:歴史と政治構造から読み解く」(岩波書店)、「シリア・アラブの顛末記」など。

http://www.rekijitsukai.co.jp/koushi_a/2014/aoyama-hiroyuki14-11-02.html

諸外国の動き:米大統領、イラクへの増派承認(2014年11月7日)

バラク・オバマ米大統領は、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うイラク・クルディスタン地域のペシュメルガへの教練や作戦面での支援強化のため、イラクに米軍兵を最大1,500人増派することを承認した。

これにより派遣規模は計3,100人になる見通し。

ARA News(11月8日付)などが伝えた。

AFP, November 8, 2014、AP, November 8, 2014、ARA News, November 8, 2014、Champress, November 8, 2014、al-Hayat, November 9, 2014、Kull-na Shuraka’, November 8, 2014、al-Mada Press, November 8, 2014、Naharnet, November 8, 2014、NNA, November 8, 2014、Reuters, November 8, 2014、SANA, November 8, 2014、UPI, November 8, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「イスラム国爆撃」(共同通信社)

青山弘之「イスラム国空爆」(共同通信社)

シリアとイラクで勢力を広げている過激派の「イスラム国」に対して米国を中心とした有志連合が空爆に踏み切った。・・・

『岩手日報』2014年11月3日、『佐賀新聞』2014年11月5日、『デイリー東北』2014年11月5日、『高知新聞』2014年11月6日、『山形新聞』2014年11月7日に掲載。

最新論考「世界80カ国から集まる戦闘員:「イスラム国」は爆撃国が育てた」(Wedge)

髙岡豊(中東調査会上席研究員)「世界80カ国から集まる戦闘員:「イスラム国」は空爆国が育てた」
Wedge、2014年10月28日

これまで「イスラム国」を放任し、成長させてきた国が焦りをみせている。2014年8月、アメリカはイラク、シリアで大攻勢をかけていた「イスラム国」に対しイラク北部での限定的空爆を開始した。爆撃の範囲は次第に拡大し、イラク西部のアンバール県でも「イスラム国」の拠点が空爆された。9月にはフランスも空爆に参加し、軍事行動やその支援に参加する国も増加した。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4375?page=1