米主導の有志連合によるシリア国内での爆撃は26~29日の4日で27回と減少(2016年8月30日)

米中央軍(CENTCOM)は、8月26日~29日までの4日間のシリア、イラク両国での有志連合の戦果をHPで発表した。

8月26日はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して17回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は7回で、マンビジュ市近郊(5回)、マーリア市近郊(2回)に対して攻撃が行われた。

8月27日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して17回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は9回で、ブーカマール市近郊(1回)、シャッダーディー市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(2回)、マーリア市近郊(3回)に対して攻撃が行われた。

8月28日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して15回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は2回で、ブーカマール市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

8月29日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して25回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は9回で、ブーカマール市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(6回)、タドムル市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

AFP, August 30, 2016、AP, August 30, 2016、ARA News, August 30, 2016、Champress, August 30, 2016、al-Hayat, August 31, 2016、Iraqi News, August 30, 2016、Kull-na Shuraka’, August 30, 2016、al-Mada Press, August 30, 2016、Naharnet, August 30, 2016、NNA, August 30, 2016、Reuters, August 30, 2016、SANA, August 30, 2016、UPI, August 30, 2016などをもとに作成。

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ハマー県北西部でジュンド・アクサー機構、イッザ軍がシリア軍に猛攻を加え、複数カ村を制圧か(2016年8月29日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が北西部のハラファーヤー市一帯でジュンド・アクサー機構、イッザ軍などからなる反体制武装集団と交戦し、シリア軍は同地を激しく空爆・砲撃した。

ジュンド・アクサー機構はアル=カーイダ系組織で、ダーイシュ(イスラーム国)との関係もとりざたされている。

一方、イッザ軍はいわゆる「穏健な反体制派」。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月29日付)によると、ジュンド・アクサー機構は「マルワーン・ハディードの戦い」と銘打って同地のシリア軍に対する攻勢を強め、シリア軍の検問所複数カ所を制圧したという。

またイッザ軍をも、「アッラーのために我々は進む」の戦いと銘打って、ハマー県北西部およびイドリブ県南部での戦闘を激化させ、マサースィナ村、ズラーキーヤート村、ザッリーン村、シャルユート村、ブワイダ村、マアルカバ村一帯でシリア軍と交戦、さらにハマー航空基地に対して砲撃を加えたという。

これに対して、シリア軍は、カフルズィーター市、ラトミーン村、ザカート村を空爆・砲撃したという。

クッルナー・シュラカー(8月29日付)、ARA News(8月29日付によると、この戦闘で、ジュンド・アクサー機構、イッザ軍、ナスル軍は、マサースィナ村、ハラファーヤー市、ブワイダ村、ズラーキーヤート村、ザッリーン検問所などシリア軍の拠点複数カ所を制圧したという

一方、ハマー県では、SANA(8月29日付)によると、シリア軍は県北部のムーリク市、ラターミナ町、マサースィナ村、ハラファーヤー市、マアルカバ村、ズラーキーヤート村北部、カフルズィーター市一帯でシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍はまた県南西部のタッラフ村およびその一帯でヌスラ戦線と交戦し、戦闘員11人を殲滅した。

これに対して、ファトフ軍はサルハブ市をロケット弾で砲撃し、4人が負傷したという。

Kull-na Shuraka', August 30, 2016
Kull-na Shuraka’, August 30, 2016

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヒムス市ワアル地区に対して3日連続となる空爆を実施、また同地を砲撃した。

一方、SANA(8月29日付)によると、シリア軍がジャッブーリーン村、ウンム・シャルシューフ村一帯、タルビーサ市一帯で反体制武装集団と交戦した。

また、シリア軍中部地区は、ヒムス市東部のライヤーン村(ライヤーン製油所近く)で、シリア駐留ロシア軍司令部の当事者和解調整センター(ラタキア県フマイミーム)の協力のもと、同地一帯の地元の名士、部族長と会談し、敵対行為を停止することで合意した。

この停戦合意(国民和解)には50の町村が参加したという。

なお、シリア駐留ロシア軍司令部の当事者和解調整センターによると、米・ロシアによる敵対行為停止合意履行後、国民和解に応じた市町村は486にのぼっているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市南西部郊外の士官学校一帯、第1070集合住宅計画地区でシリア軍、シリア人・外国人民兵がシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、トルキスターン・イスラーム党などからなる反体制武装集団と交戦した。

シリア軍はまた、フライターン市、英国人墓地地区一帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がブルジュ・ザーヒヤ村のシリア軍拠点を砲撃、またカッバーナ町一帯でシリア軍と交戦した。

これに対してシリア軍は、クルド山一帯を空爆した。

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イドリブ県では、ARA News(8月30日付)によると、ロシア軍戦闘機がイドリブ市を白燐弾で空爆した。

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ダルアー県では、SANA(8月29日付)によると、シリア軍がダルアー市各所で反体制武装集団と交戦した。

AFP, August 29, 2016、AP, August 29, 2016、ARA News, August 29, 2016、Champress, August 29, 2016、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2016、al-Hayat, August 30, 2016、Iraqi News, August 29, 2016、Kull-na Shuraka’, August 29, 2016、al-Mada Press, August 29, 2016、Naharnet, August 29, 2016、NNA, August 29, 2016、Reuters, August 29, 2016、SANA, August 29, 2016、UPI, August 29, 2016などをもとに作成。

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マクガーク米大統領特使はトルコ軍によるジャラーブルス進攻を「受け入れられない」とツイッターでつぶやく(2016年8月29日)

ブレット・マクガーク米大統領特使(対ダーイシュ有志連合担当)はツイッターのアカウントで、トルコによるジャラーブルス市一帯への軍事進攻に関して「受け入れられない」と非難した。

国防総省が伝えたところによると、マクガーク特使は「ダーイシュ(イスラーム国)がいない地域でのこうした戦闘が受け入れられず、深い懸念をもたらすと見ている」とつぶやいていたという。

AFP, August 29, 2016、AP, August 29, 2016、ARA News, August 29, 2016、Champress, August 29, 2016、al-Hayat, August 30, 2016、Iraqi News, August 29, 2016、Kull-na Shuraka’, August 29, 2016、al-Mada Press, August 29, 2016、Naharnet, August 29, 2016、NNA, August 29, 2016、Reuters, August 29, 2016、SANA, August 29, 2016、UPI, August 29, 2016などをもとに作成。

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トルコ軍の攻勢を受けてYPG主体のシリア民主軍はサージュール川以南に撤退(2016年8月29日)

アレッポ県では、『ハヤート』(8月30日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に参加するジャラーブルス軍事評議会は、トルコ軍による越境空爆・砲撃、戦車部隊の進攻から「村々や民間人を守る」として、ジャラーブルス市南部郊外一帯からサジュール川の南岸(マンビジュ市の北約12キロの地点)まで撤退すると発表した。image

シリア人権監視団によると「トルコ軍戦車の支援を受けたイスラーム過激派などの武装集団」とシリア民主軍がジャラーブルス市南部郊外一帯で戦闘を続けた。

なお、シャーム軍団によると、この戦闘で、反体制武装集団側は、13カ村を制圧したという。

シャーム軍団が制圧したと発表したのは、ハッルーナジー村、大ブーラダク村、小ブーラダク村、タンムーラ農場、ウンム・スース村、ザフル・マガーラ村、ドゥライム村、大トゥーハール村、ウンム・ラスーム村、マルハミーヤ村、ヤアクービーヤ村、小アラブ・ハサン村、ムフスィンリー村。

またシャーム戦線もシリア民主軍との戦闘の末、小トゥーハール村、上ウンム・ラウサ村を制圧したと発表した。

これにより、トルコ軍の支援を受ける反体制武装集団はサージュール川北岸までの地域をほぼ掌握した。

なお、ロイター通信(8月30日付)はトルコ軍消息筋の話として、トルコ軍は29日、シリア北部の16カ所に対して57回の砲撃を行ったと報じた。

Kull-na Shuraka', August 30, 2016
Kull-na Shuraka’, August 30, 2016

砲撃の標的については「テロ組織」と述べただけで、ダーイシュ(イスラーム国)なのかトルコ政府がテロ組織とみなす人民防衛隊なのかは明らかにはされなかったという。

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一方、シリア人権監視団によると、ジャラーブルス市西部郊外一帯では、トルコ軍および同軍の支援を受けた反体制武装集団がダーイシュ(イスラーム国)と戦闘を続けた。

これに対して、ダーイシュは、トルコ領内のキリス市を越境砲撃し、迫撃砲弾3発が同市に着弾した。

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西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊のライドゥール・ハリール報道官は、トルコ軍がハサカ県のカーミシュリー市・アームーダー市間に展開する人民防衛隊を越境砲撃したと発表した。

AFP, August 29, 2016、AP, August 29, 2016、ARA News, August 29, 2016、Champress, August 29, 2016、al-Hayat, August 30, 2016、Iraqi News, August 29, 2016、Kull-na Shuraka’, August 29, 2016、al-Mada Press, August 29, 2016、Naharnet, August 29, 2016、NNA, August 29, 2016、Reuters, August 29, 2016、SANA, August 29, 2016、UPI, August 29, 2016などをもとに作成。

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シリア軍がヒムス市ワアル地区への爆撃を続ける(2016年8月28日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヒムス市ワアル地区を空爆した。

また、クッルナー・シュラカー(8月28日付)によると、戦闘機(所属明示せず)がラスタン市を空爆し、女性2人が死亡した。

一方、SANA(8月28日付)によると、反体制武装集団がヒムス市ムハージリーン区を砲撃し、2人が死亡した。

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ダルアー県では、ARA News(8月28日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うハーリド・ブン・ワリード軍(ヤルムーク殉教者旅団)がヤルムーク川流域のアイン・ザクル村一帯で、南部戦線と交戦した。

一方、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がダルアー市マハッタ地区でご覧大隊と交戦した。

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ラタキア県では、ARA News(8月28日付)によると、カッバーナ町一帯でシリア軍が反体制武装集団と交戦した。

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アレッポ県では、現地活動家を名乗るハーリド・カースィムなる人物がARA News(8月28日付)に対して、シリア軍がアレッポ・ファトフ軍作戦司令室支配下のバヤーヌーン町に対する攻撃で、有毒ガスを装填した「樽爆弾」で攻撃を加えたと主張した。

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ハマー県では、SANA(8月28日付)によると、反体制武装集団がムハルダ市、サルハブ市、ザーラ火力発電所を砲撃し、女性1人が死亡した。

これに対して、シリア軍はラターミナ町東部でジュンド・アクサー機構の拠点を攻撃した。

シリア軍はまたスカイク村でアジュナード・シャーム・イスラーム連合の車輌を攻撃、これを破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がハラスター市、ラジャム・バカル地区西部、でシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、イスラーム軍と交戦、反体制武装集団がハラスター市に向けて掘削した全長180メートルの地下トンネルを破壊した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月27日に12件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス県、ダマスカス郊外県、ラタキア県で発生し、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが砲撃を行ったという。


AFP, August 28, 2016、AP, August 28, 2016、ARA News, August 28, 2016、Champress, August 28, 2016、al-Hayat, August 29, 2016、Iraqi News, August 28, 2016、Kull-na Shuraka’, August 28, 2016、al-Mada Press, August 28, 2016、Naharnet, August 28, 2016、NNA, August 28, 2016、Reuters, August 28, 2016、SANA, August 28, 2016、UPI, August 28, 2016などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍はなおも有志連合の支援を受け、ラッカ市西部郊外でダーイシュとの戦闘を続ける(2016年8月28日)

ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(8月28日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がラッカ市西部郊外のバグル村、タッル・ウスマーン村、ナフィーラ村、ウンム・ジャッハーシュ村、シャムスッディーン村をダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末に制圧した。

なお米主導の有志連合はシリア民主軍の進軍に先立って同地一帯のダーイシュ拠点に対する空爆を実施したという。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月28日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル航空基地東部、ダイル・ザウル市ウルフィー地区、ジャウラ地区、フワイジャト・サクル、ブガイリーヤ村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するハーブール護衛部隊の司令官がシャッダーディー市郊外で地雷の爆発に巻き込まれ死亡した。

AFP, August 28, 2016、AP, August 28, 2016、ARA News, August 28, 2016、Champress, August 28, 2016、al-Hayat, August 29, 2016、Iraqi News, August 28, 2016、Kull-na Shuraka’, August 28, 2016、al-Mada Press, August 28, 2016、Naharnet, August 28, 2016、NNA, August 28, 2016、Reuters, August 28, 2016、SANA, August 28, 2016、UPI, August 28, 2016などをもとに作成。

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トルコ軍によるジャラーブルス市郊外一帯での越境攻撃で民間人20人が死亡、トルコ側はテロリスト25人を殺害したと発表(2016年8月28日)

アレッポ県では、『ハヤート』(8月29日付)などによると、トルコ軍がジャラーブルス市郊外一帯で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の拠点に対して砲撃と空爆を続け、シリア人権監視団によると、ジャラーブルス市南部郊外のビイルクーサー村に対するトルコ軍の越境砲撃と空爆で、民間人20人が死亡、15人が負傷した(シリア人権監視団は29日、ジュッブ・クーサー(ビイル・クーサー村)などでのトルコ軍の空爆での死者が41人(うち子供6人、女性6人)に上ると発表した。)。

SANA(8月28日付)も、トルコ軍および「それに追随する勢力」が「ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦い」を口実としてジャラーブルス市郊外の複数の町村を空爆・砲撃し、ジュッブ・クーサー村(ビイル・クーサー村)に対する攻撃で民間人20人が死亡、50人が負傷したと伝えた。

一方、西クルディスタン移行期民政局の広報局は、トルコ軍の砲撃と空爆での民間人の死者は28日だけで75人にのぼったと発表した。

しかし、アナトリア通信(8月28日付)は、トルコ軍が、ジャラーブルス市郊外一帯での作戦によって、クルディスタン労働者党(PKK)と民主統一党(PYD)の「テロリスト」25人を殲滅したと伝えた。

トルコ軍による越境空爆・砲撃が続くなか、トルコ軍の支援を受ける反体制武装集団が同市南部郊外でシリア民主軍に対して攻勢を続け、クッルナー・シュラカー(8月28日付)によると、反体制武装集団は28日までに、ジャラーブルス市西部郊外で、バールーヤラーン村、ザーヒリーヤ村、ムダッリラ村をダーイシュから奪取し制圧、またジャラーブルス市南部郊外では、アイン・バイダー村、アマールナ村、ダービス村、バラーバーン村、ビイル・クーサー村、ナザル・フサイン村、マガーイル村、ハッジャージュ村、ヒルバ村をシリア民主軍所属組織から奪取し制圧、戦闘員多数を捕捉、武器を捕獲したという。

さらにラーイー村方面からジャラーブルス市方面に向かって西進する反体制武装集団(ハワール・キリス作戦司令室)は、カルサンリー村、シャイフ・ヤアクーブ村、アイヤーシャ村、アサリーヤ村をダーイシュから奪還、制圧したという。

なお、反体制武装集団の一つスルターン・ムラード師団のアフマド・ウスマーン大佐はロイター通信(8月28日付)に対して、トルコ軍の支援を受けている反体制武装集団は、シリア民主軍制圧下のマンビジュ市に向かって進軍しているという。

AFP, August 28, 2016、Anadolu Ajansı, August 28, 2016、AP, August 28, 2016、ARA News, August 28, 2016、Champress, August 28, 2016、al-Hayat, August 29, 2016、August 30, 2016、Iraqi News, August 28, 2016、Kull-na Shuraka’, August 28, 2016、al-Mada Press, August 28, 2016、Naharnet, August 28, 2016、NNA, August 28, 2016、Reuters, August 28, 2016、SANA, August 28, 2016、UPI, August 28, 2016などをもとに作成。

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フランスのエロー外相「我々はPKKを非難しているが、シリアのクルド人部隊はダーイシュと戦っている」(2016年8月27日)

フランスのジャン=マルク・エロー外務大臣は『ル・モンド』(8月27日付)のインタビューで、トルコ軍によるアレッポ県ジャラーブルス市への進攻に関して、「トルコがダーイシュ(イスラーム国)との戦いにはっきりと関与することは良いことで…、トルコが国境の安全保障を確保することは正当だ」としつつ、「しかし暴力に埋没し、シリアのクルド問題に干渉しようとする傾向があることに警戒すべきだ」と述べた。

エロー外務大臣はまた「我々はクルディスタン労働者党(PKK)がトルコで行っている敵対行為を非難しているが…、シリアではクルド人部隊はダーイシュと戦っている」と付言した。

AFP, August 27, 2016、AP, August 27, 2016、ARA News, August 27, 2016、Champress, August 27, 2016、al-Hayat, August 28, 2016、Iraqi News, August 27, 2016、Kull-na Shuraka’, August 27, 2016、al-Mada Press, August 27, 2016、Le Monde, August 27, 2016、Naharnet, August 27, 2016、NNA, August 27, 2016、Reuters, August 27, 2016、SANA, August 27, 2016、UPI, August 27, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュ掃討を目的にシリア領内に進攻したトルコ軍戦車部隊がYPG主体のシリア民主軍と初めて本格交戦(2016年8月27日)

アレッポ県では、AFP(8月27日付)によると、トルコ軍がジャラーブルス市一帯に戦車部隊を増派し、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍所属部隊と交戦した。

トルコ軍とシリア民主軍が本格的に交戦したのはこれが初めて。

シリア人権監視団によると、戦闘はジャラーブルス市南部10キロの地点に位置するアマールナ村一帯で起こり、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に近いジャラーブルス軍事評議会がトルコ軍戦車と対峙し、交戦したという。

AFPによると、トルコ軍戦車部隊と交戦したのはジャラーブルス軍事評議会、革命家軍、北の太陽旅団。

さらに、『ハヤート』(8月28日付)によると、トルコ軍の支援を受ける反体制武装集団はまた、ジャラーブルス市南部の複数の村から人民防衛隊と連携する武装集団を掃討したという。

『ヒュッリイイェト』(8月27日付)によると、この増派により、シリア領内に展開しているトルコ軍の戦車は50輌、兵士は380人に上っているという。

ARA News(8月27日付)によると、この戦闘でジャラーブルス軍事評議会側はトルコ軍戦車2輌を破壊し、トルコ軍兵士1人が死亡、3人が負傷した。

一方、ジャラーブルス軍事評議会は声明を出し、トルコ軍戦闘機がアマールナ村にある同評議会の拠点や住居を空爆したと発表した。

この空爆で民間人複数人が死亡したという。

他方、「ユーフラテスの盾」作戦に参加するシャーム軍団はSNSを通じて声明を出し、ジャラーブルス市西部のフルワーニーヤ村(ダクナク村)、下ビール村(カンカウィー村)、上ビール村(カッラ・カウィー・アクラード村)、トゥライヒーム村を制圧したと発表した。

また、トルコのイスタンブールを拠点とするシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、「自由シリア軍」がダーイシュとの戦闘の末に27日にタッル・シャイール村、フルワーニーヤ村、ハミール・アッジャージュ村を制圧したと主張した。

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このほか、クッルナー・シュラカー(8月27日付)、ARA News(8月27日付)によると、ハワール・キリス作戦司令室は、県北部のラーイー村東部を東進、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、サルジュ・ガルビー村とハダバート村を制圧した。

AFP, August 27, 2016、AP, August 27, 2016、ARA News, August 27, 2016、Champress, August 27, 2016、al-Hayat, August 28, 2016、Hurriyet, August 27, 2016、Iraqi News, August 27, 2016、Kull-na Shuraka’, August 27, 2016、al-Mada Press, August 27, 2016、Naharnet, August 27, 2016、NNA, August 27, 2016、Reuters, August 27, 2016、SANA, August 27, 2016、UPI, August 27, 2016などをもとに作成。

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ハサカ県シャッダーディー市南部でYPG主体のシリア民主軍拠点をダーイシュが爆弾攻撃(2016年8月27日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シャッダーディー市南部のアナード村で大きな爆発が起きた。

爆発は、ダーイシュ(イスラーム国)が西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍拠点を狙った爆弾攻撃によるもの。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、スフナ市、タイバ村、アーラーク油田一帯、タドムル市・スフナ市街道のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

一方、SANA(8月27日付)によると、シリア軍がタドムル市東部郊外でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

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スワイダー県では、SANA(8月27日付)によると、シリア軍がラジャム・ダウラ村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。

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クナイトラ県では、ARA News(8月27日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うハーリド・ビン・ワリード軍(ヤルムーク殉教者旅団)がシャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)の司令官の一人アブー・ハムザ・ジャワービラ氏を爆殺した。

AFP, August 27, 2016、AP, August 27, 2016、ARA News, August 27, 2016、Champress, August 27, 2016、al-Hayat, August 28, 2016、Iraqi News, August 27, 2016、Kull-na Shuraka’, August 27, 2016、al-Mada Press, August 27, 2016、Naharnet, August 27, 2016、NNA, August 27, 2016、Reuters, August 27, 2016、SANA, August 27, 2016、UPI, August 27, 2016などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ市の葬儀会場を「樽爆弾」で爆撃し15人が死亡(2016年8月27日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市マアーディー地区の葬儀会場を2度にわたって「樽爆弾」で空爆し、子供11人を含む民間人15人が死亡、多数が負傷した。

一方、ARA News(8月27日付)などは、アレッポ市南西部士官学校一帯での戦闘で、砲兵学科長のアースィフ・ハイルベク准将が戦死したと報じた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、トルクメン山のアイン・イーサー村回廊一帯で、シリア軍が、シャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)、トルキスターン・イスラーム党などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヒムス市ワアル地区を14回にわたって空爆した。

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イドリブ県では、SANA(8月27日付)によると、ファトフ軍がフーア市に向かって狙撃し、子供2人が負傷した。

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ダルアー県では、SANA(8月27日付)によると、シリア軍がダルアー市旧税関地区で反体制武装集団と交戦した。

AFP, August 27, 2016、AP, August 27, 2016、ARA News, August 27, 2016、Champress, August 27, 2016、al-Hayat, August 28, 2016、Iraqi News, August 27, 2016、Kull-na Shuraka’, August 27, 2016、al-Mada Press, August 27, 2016、Naharnet, August 27, 2016、NNA, August 27, 2016、Reuters, August 27, 2016、SANA, August 27, 2016、UPI, August 27, 2016などをもとに作成。

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トルコ軍と反体制武装集団はアレッポ県アアザーズ市とジャラーブルス市を結ぶ国境地帯の掌握をめざし、ダーイシュとの戦いを続ける一方、アフリーン市一帯のYPG拠点をともに攻撃(2016年8月26日)

アレッポ県では、ARA News(8月26日付)によると、ジャラーブルス市一帯では、トルコ軍によるダーイシュ(イスラーム国)拠点への砲撃と反体制武装集団とダーイシュの戦闘が続いた。

シャーム軍団、スルターン・ムラード師団などからなる反体制武装集団はジャラーブルス市西方のジャーリズ村、ヤフムール村の制圧をめざし、進軍を続けているという。

なお、ジャラーブルス市一帯から西進する反体制武装集団が、ラーイー村一帯に到達すれば、アレッポ県北東部のアアザーズ市、マーリア市からラーイー村を経てユーフラテス川西岸(ジャラーブルス市)にいたる国境地帯を、同地の西に位置するアフリーン市一帯とユーフラテス川以東を結ぶ「クルド・ベルト」を設置しようとしていた西クルディスタン移行期民政局に先んじて掌握することになる。

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一方、シリア民主評議会(西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体)のライザーン・ハッドゥー氏によると、トルコ軍が県北西部にある西クルディスタン移行期民政局支配下のミーサーカー村などアフリーン市周辺の村々にある人民防衛隊の拠点を越境砲撃し、複数の住民が負傷した。

またこれと合わせて、シャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)、ヌールッディーン・ザンキー運動、シャーム軍団、スンナ軍、シャーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動がアフリーン市南東部のマンナグ村、マルアナーズ村、アイン・ダクナ村を砲撃した。

ARA News(8月26日付)が伝えた。

AFP, August 26, 2016、AP, August 26, 2016、ARA News, August 26, 2016、Champress, August 26, 2016、al-Hayat, August 27, 2016、Iraqi News, August 26, 2016、Kull-na Shuraka’, August 26, 2016、al-Mada Press, August 26, 2016、Naharnet, August 26, 2016、NNA, August 26, 2016、Reuters, August 26, 2016、SANA, August 26, 2016、UPI, August 26, 2016などをもとに作成。

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トルコのユルドゥルム首相はジャラーブルス市一帯での戦闘に関して、ダーイシュではなくYPGを集中攻撃しているとの一部情報を否定(2016年8月26日)

トルコのビンアリ・ユルドゥルム首相は記者会見で、アレッポ県ジャラーブルス市一帯でトルコ軍と反体制武装集団が継続する「ユーフラテスの盾」作戦に関して、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊を集中的に攻撃しているとの一部情報を否定した。

ユルドゥルム首相は「我が国の国境の安全が100%保障されるまで…、同地からダーイシュ(イスラーム国)を放逐するまで、我々は作戦を継続する」と述べた。

AFP, August 26, 2016、AP, August 26, 2016、ARA News, August 26, 2016、Champress, August 26, 2016、al-Hayat, August 27, 2016、Iraqi News, August 26, 2016、Kull-na Shuraka’, August 26, 2016、al-Mada Press, August 26, 2016、Naharnet, August 26, 2016、NNA, August 26, 2016、Reuters, August 26, 2016、SANA, August 26, 2016、UPI, August 26, 2016などをもとに作成。

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ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が電話会談でアレッポ市での停戦と人道支援が必要だという点で意見一致する一方、ジュネーブでは米・ロシア外相が会談(2016年8月26日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と電話会談を行い、シリア情勢について協議した。

『ハヤート』(8月27日付)によると、この電話会談で両国首脳は、アレッポ市での停戦支援と同市への早急な人道支援物資搬入を行う必要があることで意見が一致したという。

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ジョン・ケリー米国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がスイスのジュネーブで会談し、シリア情勢、とりわけアレッポ市への人道支援、「テロとの戦い」への対応について協議した。

会談には、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表も途中から参加した。


AFP, August 26, 2016、AP, August 26, 2016、ARA News, August 26, 2016、Champress, August 26, 2016、al-Hayat, August 27, 2016、Iraqi News, August 26, 2016、Kull-na Shuraka’, August 26, 2016、al-Mada Press, August 26, 2016、Naharnet, August 26, 2016、NNA, August 26, 2016、Reuters, August 26, 2016、SANA, August 26, 2016、UPI, August 26, 2016などをもとに作成。

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アレッポ市南西部郊外一帯でシリア軍とファトフ軍の戦闘が続く(2016年8月26日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、シリア人・外国人戦闘員が、アレッポ市南西部郊外の士官学校航空技術科一帯、第1070集合住宅建設地区、ジャムイーヤート丘一帯でシャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)、トルキスターン・イスラーム党などからなるファトフ軍と高専、戦闘機(所属明示せず)が同地を空爆した。

また、ARA News(8月26日付)によると、ロシア軍戦闘機がハイヤーン町を空爆し、住民8人が死亡、20人が負傷、またフール村にあるフダー病院を空爆した。

さらに、シリア軍はアレッポ市アンサーリー地区を空爆し、民間人6人が死亡、またバヤーヌーン町、ハイヤーン町を砲撃した。

一方、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室は声明を出し、シリア政府支配下のカースティールー街道を経由して、アレッポ市東部に国連の車輌が人道支援物資を搬入することに同意した、と発表した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジャーヌーディーヤ町をシリア軍が「樽爆弾」で空爆し、子供1人、女性1人を含む3人が死亡、10人が負傷した。

また貨物航空機がファトフ軍によって包囲されているフーア市、カファルヤー町に支援物資を投下した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月26日付)によると、シリア軍がハーン・シャイフ・キャンプ一帯、ヒッラーン・アワーミード村農場地帯で反体制武装集団の拠点を攻撃した。

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ダルアー県では、SANA(8月26日付)によると、シリア軍がダルアー市マハッタ地区、ヌアイマ村、ヤードゥーダ村で反体制武装集団と交戦した。

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ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(8月26日付)によると、シリア軍がカッバーナ町一帯で反体制武装集団と交戦し、同地を空爆した。

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ハサカ県では、SANA(8月26日付)によると、ハサカ市でのシリア政府当局と西クルディスタン移行期民政局の停戦合意に従い、シリア軍・国防隊と人民防衛隊・アサーイシュが逮捕者・捕虜の交換を行った。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月25日に9件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス県、ダマスカス郊外県、ラタキア県で発生し、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は1090件。

AFP, August 26, 2016、AP, August 26, 2016、ARA News, August 26, 2016、Champress, August 26, 2016、al-Hayat, August 27, 2016、Iraqi News, August 26, 2016、Kull-na Shuraka’, August 26, 2016、al-Mada Press, August 26, 2016、Naharnet, August 26, 2016、NNA, August 26, 2016、Reuters, August 26, 2016、SANA, August 26, 2016、UPI, August 26, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合はラッカ市での爆撃で民家人が死亡した可能性を認める(2016年8月26日)

米中央軍(CENTCOM)は、8月23日~25日までの3日間のシリア、イラク両国での有志連合の戦果をHPで発表した。

8月23日はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して21回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は17回で、シャッダーディー市近郊(10回)、ラッカ市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(2回)、マンビジュ市近郊(4回)に対して攻撃が行われた。

8月24日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して14回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は13回で、シャッダーディー市近郊(3回)、ラッカ市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(2回)、マンビジュ市近郊(7回)に対して攻撃が行われた。

8月25日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して25回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は17回で、シャッダーディー市近郊(5回)、マンビジュ市近郊(4回)に対して攻撃が行われた。

なお、24日にトルコ軍と反体制武装集団がアレッポ県ジャラーブルス市一帯の掌握を目的として開始した「ユーフラテスの盾」作戦に関しては、24日の空爆においてマンビジュ市近郊で7回の空爆を実施しており、このなかに同作戦での航空支援が含まれるか、同作戦にかかる空爆については公表が控えられたと考えられる。

一方、8月23日にラッカ市近郊で実施された空爆で民間人に犠牲者が出たとする一部情報に関して、「信頼し得る」と発表した。

AFP, August 26, 2016、AP, August 26, 2016、ARA News, August 26, 2016、Champress, August 26, 2016、al-Hayat, August 27, 2016、Iraqi News, August 26, 2016、Kull-na Shuraka’, August 26, 2016、al-Mada Press, August 26, 2016、Naharnet, August 26, 2016、NNA, August 26, 2016、Reuters, August 26, 2016、SANA, August 26, 2016、UPI, August 26, 2016などをもとに作成。

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国連・OPCW合同査察機構報告書はシリア軍による塩素ガス使用とダーイシュによるマスタード・ガス使用を指摘(2016年8月25日)

サマンサ・パワー米国連代表大使は、報告書受領後に声明を出し、シリア政府による塩素ガスを含む「化学兵器の使用が国連安保理決議第2118号と化学兵器禁止条約に違反」していると指摘、「違反は化学兵器禁止条約の正統性への挑戦」と非難した。

そのうえで、「シリアでの違反者が国家であれ、非国家勢力であれ…、安保理諸国はともに、そして迅速に対処する必要がある」と強調した。

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フランスのジャン=マルク・エロー外務大臣は、国連・OPCW合同査察機構の報告書に関して、シリア軍による化学兵器使用を「残虐行為」と非難、国連安保理で責任追及すべきだと述べた。

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なお、国連の潘基文事務総長は24日、シリア国内での化学兵器(塩素ガスを含む)の使用実態に関する国連および化学兵器禁止機関(OPCW)の合同査察機構が作成した報告書を受け取った。

90ページに及ぶ報告書の内容は、国連安保理で審議されたのちに、公開されるという。

報告書を提出した合同査察機構は2014年5月のイドリブ県、ハマー県各所でのシリア軍による塩素ガス使用疑惑を受けて、2015年8月に採択された国連安保理決議第2235号に基づき設置され、サリン・ガスなどの化学兵器や塩素ガスの使用への責任追求をめざしている。

ロイター通信(8月25日付)などが入手した報告書コピーによると、合同査察機構は、2014年から2015年にかけてシリア国内で発生した化学兵器・有毒ガス使用疑惑事件9件に関して調査、うち2件(2014年4月21日のイドリブ県タッル・マナス村と2015年3月16日のサルミーン市での事件)に関して、シリア軍ヘリコプターから塩素ガスと思われる有毒化学物質を収めた「機器」の投下によって、住民が中毒症状を訴えたと指摘しているという。

また1件(2015年8月のアレッポ県マーリア市での事件)に関しては、ダーイシュがマスタード・ガスを使用した可能性があるとしているという。

のこりの6県(2014年4月と2015年8月のハマー県カフルズィーター市での事件など)に関して、化学兵器・有毒ガスが誰によって使用されたかは特定できていないという。

AFP, August 25, 2016、AP, August 25, 2016、ARA News, August 25, 2016、Champress, August 25, 2016、al-Hayat, August 26, 2016、Iraqi News, August 25, 2016、Kull-na Shuraka’, August 25, 2016、al-Mada Press, August 25, 2016、Naharnet, August 25, 2016、NNA, August 25, 2016、Reuters, August 25, 2016、SANA, August 25, 2016、UPI, August 25, 2016などをもとに作成。

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ムアッリム外務在外居住者大臣がイラクを訪問しアバーディー首相、ジャアファリー外務大臣と会談(2016年8月25日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(兼副首相)は、イラクのイブラーヒーム・ジャアファリー外務大臣の招待を受け、イラクの首都バクダードを空路で訪問、ハイダル・アバーディー首相、ジャアファリー外務大臣と会談した。

SANA(8月25日付)によると、会談において、ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア国内での「テロとの戦い」の現状について説明、シリアとイラクが共通の敵に対して一丸となって対峙していると強調した。

また、二国間関係、とりわけ「テロとの戦い」における連携、二国間交易の促進、両国民の移動の簡易化などについて意見を交わしたという。

AFP, August 25, 2016、AP, August 25, 2016、ARA News, August 25, 2016、Champress, August 25, 2016、al-Hayat, August 26, 2016、Iraqi News, August 25, 2016、Kull-na Shuraka’, August 25, 2016、al-Mada Press, August 25, 2016、Naharnet, August 25, 2016、NNA, August 25, 2016、Reuters, August 25, 2016、SANA, August 25, 2016、UPI, August 25, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュはYPGが撤退したとされるマンビジュ市南部郊外のシリア民主軍拠点を攻撃(2016年8月25日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(8月25日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がマンビジュ市南部のカスラ村にある西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の拠点を攻撃した。

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ヒムス県では、SANA(8月25日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がヒムス市東部のウンム・スィルジュ村を砲撃し、住民2人が死亡した。

AFP, August 25, 2016、AP, August 25, 2016、ARA News, August 25, 2016、Champress, August 25, 2016、al-Hayat, August 26, 2016、Iraqi News, August 25, 2016、Kull-na Shuraka’, August 25, 2016、al-Mada Press, August 25, 2016、Naharnet, August 25, 2016、NNA, August 25, 2016、Reuters, August 25, 2016、SANA, August 25, 2016、UPI, August 25, 2016などをもとに作成。

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トルコ国境に面するジャラーブルス市(アレッポ県)南部で反体制武装集団とYPGが交戦、トルコ軍もYPGを攻撃(2016年8月25日)

アレッポ県では、複数の反体制消息筋とシリア人権監視団によると、トルコ軍と有志連合の支援を受けてジャラーブルス市一帯を制圧した反体制武装集団が、同市南部10キロの地点まで進軍した。

だが、同監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍はこれに先立ち、ジャラーブルス市南部約8キロの地点まで進軍、同地を掌握、複数の反体制消息筋によると、25日晩、同市南部のアマールナ村一帯(ユーフラテス川以西)で、反体制武装集団(クルド革命家大隊も加勢)とシリア民主軍が交戦したという。

アマールナ村は25日、反体制武装集団によって制圧されていたという。

また、ARA News(8月25日付)は、トルコ軍の複数の消息筋の話として、ジャラーブルス市南部一帯にある西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の拠点を砲撃したと伝えた。

一方、ロイター通信(8月25日付)は、複数の目撃者の話として、戦車9輌からなるトルコ軍増援部隊がシリア領内に侵入した。

トルコ軍は24日に戦車・装甲車20輌以上をシリア領内に展開させている。

なお、トルコの複数メディアによると、24日に開始された「ユーフラテスの盾」作戦に参加しているトルコ軍兵士は300~500人におよぶ。

また、トルコ軍兵士に加えて、反体制武装集団戦闘員1,200人あまりが作戦に参加している。

AFP, August 25, 2016、AP, August 25, 2016、ARA News, August 25, 2016、Champress, August 25, 2016、al-Hayat, August 26, 2016、Iraqi News, August 25, 2016、Kull-na Shuraka’, August 25, 2016、al-Mada Press, August 25, 2016、Naharnet, August 25, 2016、NNA, August 25, 2016、Reuters, August 25, 2016、SANA, August 25, 2016、UPI, August 25, 2016などをもとに作成。

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アレッポ市内ではシリア軍の爆撃で15人が、ファトフ軍の砲撃で6人が死亡(2016年8月25日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市バーブ・ナイラブ地区を「樽爆弾」で空爆し、子供11人を含む15人が死亡した。

一方、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がアレッポ市南西部郊外でウンム・カルア丘を襲撃しようとした反体制武装集団(ファトフ軍)と交戦、これを撃退した。

シリア軍はまた、士官学校一帯、マアッラータ村、バーズー丘で反体制武装集団の拠点を空爆した。

ファトフ軍がアレッポ市サラーフッディーン地区を砲撃し、女性1人を含6人が死亡、34人が負傷した。

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ヒムス県では、ARA News(8月25日付)によると、シリア軍が包囲するヒムス市ワアル地区に国連とシリア赤新月社の支援チームが貨物トラック13台分の支援物資を搬入した。

一方、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がアクラブ町、ウンム・シャルシューフ村、アンズ村でシャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)などからなる反対し江武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(8月25日付)によると、シリア軍がダルアー市ダルアー・バラド地区、マハッタ地区、旧税関地区南部、避難民キャンプ一帯で反体制武装集団の拠点に対する特殊作戦を行った。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、8月24日に9件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス県、ダマスカス郊外県、ラタキア県、ハマー県で発生し、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は1054件。

AFP, August 25, 2016、AP, August 25, 2016、ARA News, August 25, 2016、Champress, August 25, 2016、al-Hayat, August 26, 2016、Iraqi News, August 25, 2016、Kull-na Shuraka’, August 25, 2016、al-Mada Press, August 25, 2016、Naharnet, August 25, 2016、NNA, August 25, 2016、Reuters, August 25, 2016、SANA, August 25, 2016、UPI, August 25, 2016などをもとに作成。

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米・ロシア外相が電話会談:ロシアは米国が支援する反体制派からのテロ組織の排除を求める(2016年8月24日)

ロシア外務省は声明を出し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣とジョン・ケリー米国務長官が電話会談を行い、シリア、ウクライナ情勢について協議したと発表した。

シリア情勢をめぐっては、ロシア軍の支援を受けたシリア軍による人道作戦、米国・ロシアの「テロとの戦い」での連携への対応が話し合われ、ロシア側は、米国に停戦プロセスに含まれないテロ組織を米国が支援する反体制派から排除する必要が強調されたという。

AFP(8月24日付)が伝えた。

AFP, August 24, 2016、AP, August 24, 2016、ARA News, August 24, 2016、Champress, August 24, 2016、al-Hayat, August 25, 2016、Iraqi News, August 24, 2016、Kull-na Shuraka’, August 24, 2016、al-Mada Press, August 24, 2016、Naharnet, August 24, 2016、NNA, August 24, 2016、Reuters, August 24, 2016、SANA, August 24, 2016、UPI, August 24, 2016などをもとに作成。

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トルコ訪問中のバイデン米副大統領はYPGにユーフラテス川以東に撤退するよう勧告したことを明らかにしつつ、トルコ軍の進攻に不快感(2016年8月24日)

トルコを訪問中のジョー・バイデン米副大統領は、アンカラでのビンアリ・ユルドゥルム首相との会談後の記者会見で、シリア民主軍を主導してきた西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に対してユーフラテス川の以東に撤退するよう通告したことを明らかにした。

バイデン副大統領は「クルド人部隊は制約を尊重しなければ、米国からのいかなる支援も受けられないだろう」と強調した。

しかし、複数の外交筋によると、バイデン副大統領は今回の訪問で、トルコ側に対して、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるマンビジュ市北部一帯への越境砲撃については不快感を示したという。

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一方、『ハヤート』(8月25日付)によると、ジョー・バイデン副大統領のトルコ訪問に随行している米匿名高官は、米軍がトルコ軍による作戦を支援しているが、この作戦の目的はクルド人ではなく、あくまでもダーイシュだと述べたという。

AFP, August 24, 2016、AP, August 24, 2016、ARA News, August 24, 2016、Champress, August 24, 2016、al-Hayat, August 25, 2016、Iraqi News, August 24, 2016、Kull-na Shuraka’, August 24, 2016、al-Mada Press, August 24, 2016、Naharnet, August 24, 2016、NNA, August 24, 2016、Reuters, August 24, 2016、SANA, August 24, 2016、UPI, August 24, 2016などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領はジャラーブルス進攻に関して「二つのテロ組織に対する作戦」と発表(2016年8月24日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は声明を出し、「午前4時に我が軍はダーイシュ(イスラーム国)と民主統一党という二つのテロ組織に対する作戦を開始した」と発表した。

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トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、マンビジュ市を制圧したシリア民主軍を主導する西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に関して、ユーフラテス川以東に撤退すべきだと述べた。

AFP, August 24, 2016、AP, August 24, 2016、ARA News, August 24, 2016、Champress, August 24, 2016、al-Hayat, August 25, 2016、Iraqi News, August 24, 2016、Kull-na Shuraka’, August 24, 2016、al-Mada Press, August 24, 2016、Naharnet, August 24, 2016、NNA, August 24, 2016、Reuters, August 24, 2016、SANA, August 24, 2016、UPI, August 24, 2016などをもとに作成。

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ロシア外務省はトルコ軍のジャラーブルス侵攻への控えめな懸念表明を通じて作戦を間接的に支持(2016年8月24日)

ロシア外務省は声明を出し、トルコ軍によるアレッポ県ジャラーブルス市一帯への進攻に関して「シリア・トルコ国境での事態悪化への懸念」を表明した。

この声明に関して、『ハヤート』(8月25日付)は、ロシア外務省の高官の話として、トルコ軍の今回の作戦をロシアが間接的に支持しているもの、トルコ側にシリア政府と連携を強化し、テロとの戦いをより効果的に行うよう求めている、と伝えた。

AFP, August 24, 2016、AP, August 24, 2016、ARA News, August 24, 2016、Champress, August 24, 2016、al-Hayat, August 25, 2016、Iraqi News, August 24, 2016、Kull-na Shuraka’, August 24, 2016、al-Mada Press, August 24, 2016、Naharnet, August 24, 2016、NNA, August 24, 2016、Reuters, August 24, 2016、SANA, August 24, 2016、UPI, August 24, 2016などをもとに作成。

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トルコ軍がジャラーブルス市(アレッポ県)一帯からのダーイシュとPYDの排除を目的としてシリア領内に進攻、「穏健な反体制派」を主体とする反体制武装集団が同市一帯を制圧(2016年8月24日)

アレッポ県では、『ハヤート』(8月25日付)などによると、トルコ軍が午前2時、トルコ国境におけるダーイシュ(イスラーム国)の最後の拠点ジャラーブルス市一帯からダーイシュおよび西クルディスタン移行期民政局を排除するための作戦を開始、戦車や装甲車からなる地上部隊をシリア領内に進攻させるとともに、同地一帯を越境空爆・砲撃した。

トルコ軍戦闘機がシリア領空を侵犯し、空爆を実施するのは、2015年11月にロシア軍戦闘機を撃墜して以降初めて。

アナトリア通信(8月24日付)によると、トルコ軍の砲撃は81の標的に対して294回に及び、ジャラーブルス市の司令官(アミール)を含むダーイシュ戦闘員少なくとも46人を殲滅したという。

ARA News, August 24, 2016
ARA News, August 24, 2016
al-Hayat, August 25, 2016
al-Hayat, August 25, 2016
ARA News, August 24, 2016
ARA News, August 24, 2016

また、これと時を同じくして、トルコ領内から完全武装でジャラーブルス市一帯に進入していた「反体制武装集団」の戦闘員約1,200人が「ユーフラテスの盾」の戦いと銘打ち、同市制圧に向けた作戦を開始した。

ジャラーブルス市はユーフラテス川河畔に位置するトルコ国境沿いの都市で、人口は推計で2万5,000人、アラブ人、トルクメン人(トルコ系住民)が混住、2012年にシリア政府の支配を脱したが、2014年以降はダーイシュ(イスラーム国)の支配下に入っていた。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月24日付)によると、「ユーフラテスの戦い」に参加した反体制武装集団は、ハムザ師団、シャーム軍団、スルターン・ムラード師団、シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動、タフリール軍、山地の鷹旅団、シャーム戦線で、先週、トルコ領内にあるトルコ軍特殊部隊の基地で教練を受け、トルコ軍の空爆・砲撃による支援を受けて、24日早朝に作戦を開始したという。

Youtube, August 24, 2016
Youtube, August 24, 2016

クッルナー・シュラカー(8月24日付)、ARA News(8月24日付)などによると、トルコ軍特殊部隊の支援を受けた反体制武装集団は、ダーイシュの支配下にあった同市周辺のハジャリーヤ村、カトリージャ村、カトラジャ丘、キークリージャー村を次々と制圧、その後、ジャラーブルス市に突入し、同市を制圧、ハムザ師団がその映像(https://youtu.be/cPhu1ApUrNo)をインターネットを通じて公開した。

Youtube, August 24, 2016
Youtube, August 24, 2016
Youtube, August 24, 2016
Youtube, August 24, 2016

シリア人権監視団によると、反体制武装集団は、トルコ軍に加えて米軍主導の有志連合の空爆による航空支援も受け、アナトリア通信(8月24日付)によると、トルコ軍と有志連合のF-16戦闘機がジャラーブルス市一帯のダーイシュ拠点への空爆を実施したという。

なお、ジャラーブルス市制圧後、反体制武装集団は同市南部に進軍し、ARA News(8月24日付)によると、ジャーミル村を制圧した。 

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一方、アレッポ県北西部では、ARA News(8月24日付)によると、アアザーズ市(ジハード主義武装集団と「穏健な反体制派」の拠点都市)近郊のアキダ村をダーイシュ(イスラーム国)が襲撃したが、反体制武装集団はこれを撃退した。

国連の潘事務総長はシリア国内での塩素ガスなどの使用実態に関する国連・OPCW合同査察機構の報告書を受け取る(2016年8月24日)

国連の潘基文事務総長は、シリア国内での化学兵器(塩素ガスを含む)の使用実態に関する国連および化学兵器禁止機関(OPCW)の合同査察機構が作成した報告書を受け取った。

同報告書の内容は、近く国連安保理で審議されるとともに、近く公開されるという。

報告書を提出した合同査察機構は2014年5月のイドリブ県、ハマー県各所でのシリア軍による塩素ガス使用疑惑を受けて、2015年8月に採択された国連安保理決議第2235号に基づき設置され、サリン・ガスなどの化学兵器や塩素ガスの使用への責任追求をめざしている。

なお、この合同査察機構は、2013年8月のダマスカス郊外県グータ地方での化学兵器使用疑惑事件によって設置された国連調査団とは別機関で、同調査団はグータ地方の事件を含む4件で化学兵器、ないしは有毒ガスが使用したと結論づけるとともに、シリア軍、「反体制派」双方が化学兵器を使用した可能性が高いと指摘した。

AFP, August 24, 2016、AP, August 24, 2016、ARA News, August 24, 2016、Champress, August 24, 2016、al-Hayat, August 25, 2016、Iraqi News, August 24, 2016、Kull-na Shuraka’, August 24, 2016、al-Mada Press, August 24, 2016、Naharnet, August 24, 2016、NNA, August 24, 2016、Reuters, August 24, 2016、SANA, August 24, 2016、UPI, August 24, 2016などをもとに作成。

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ロシアの仲介により西クルディスタン移行期民政局とシリア政府はハサカ市での停戦の合意、民政局は同市の90%を掌握(2016年8月23日)

ハサカ県では、『ハヤート』(8月24日付)によると、ラタキア県のフマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部で、ロシア軍高官の仲介のもと、ハサカ市で武力衝突してきた西クルディスタン移行期民政局とシリア政府が停戦に合意した。

複数のクルド人反体制活動家によると、停戦合意は以下4点を骨子とするという:

1. 23日午前2時に西クルディスタン移行期民政局アサーイシュ・人民防衛隊と国防隊・シリア軍双方が戦闘を停止する。
2. 国防隊が制圧・解放したすべての地域をアサーイシュに引き渡し、アサーイシュがこれを管理する。
3. シリア軍部隊はハサカ市から退去する。
4. ハサカ県警察(シリア政府当局)が市内の公共機関が立ち並ぶ治安厳戒地区を管理し、同地区内におけるいかなる武装勢力の存在も許さない。

ハサカ市内での戦闘をめぐっては、西クルディスタン移行期民政局側が「ジャズィーラ地区」(ハサカ県内の同民政局の支配地域)における国防隊の解体を要求してきたが、停戦合意には盛り込まれていない。

またシリア政府側も、ハサカ市内を衝突前の状態に現状回復することを主張してきたが、これも認められなかった。

西クルディスタン移行期民政局側の交渉団に参加したスィーハーヌーク・ディーブー氏(人民防衛隊幹部)はAFP(8月23日付)に対して、停戦合意は午前3時に発効したとしつつ、「現時点では合意に達したのは、戦闘停止だけで、その持続は、提案されているそのほかの交渉条件の進捗次第」だと述べた。

なお、16日から続いていた西クルディスタン移行期民政局アサーイシュ・人民防衛隊と国防隊・シリア軍の戦闘の結果、前者はハサカ市の約90%を支配下に収めることに成功した。

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一方、SANA(8月23日付)は、「クルディスタン労働者党の武装部門アサーイシュ」(西クルディスタン移行期民政局のアサーイシュと人民防衛隊)と「シリア政府当局」(国防隊とシリア軍)が停戦に合意したことを受け、ハサカ市内での戦闘が徐々に終息し、日常生活が回復しつつある、と伝えた。

同報道によると、アサーイシュは23日にも停戦に違反し、市中心街の中央市場(スーク・ハール)の西側に隣接するアスカリー地区で治安部隊隊員を狙撃、1人を殺害したが、こうしたなかでも市内では多くの商店が通常通りの営業を行ったという。

西クルディスタン移行期民政局とシリア政府当局は21日、ハサカ市内での戦闘を終息させることで原則合意し、その後アサーイシュ側による違反によって発効が遅れているが、最終的な調整作業が進行中で、23日午前9時から、①双方による捕虜、犠牲者の遺体、負傷者の引き渡し②ハサカ市とカーミシュリー市を結ぶ街道、ハサカ市内外のシリア軍拠点にいたる道路、そして市内の道路の再開、③クルド問題解決に向けた作業および支援の継続、④政府機関を解雇された職員の処遇についての協議、が開始されたという。

AFP, August 23, 2016、AP, August 23, 2016、ARA News, August 23, 2016、Champress, August 23, 2016、al-Hayat, August 24, 2016、Iraqi News, August 23, 2016、Kull-na Shuraka’, August 23, 2016、al-Mada Press, August 23, 2016、Naharnet, August 23, 2016、NNA, August 23, 2016、Reuters, August 23, 2016、SANA, August 23, 2016、UPI, August 23, 2016などをもとに作成。

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『サフィール』:サウジアラビアはシリア軍との交戦継続の見返りとして、YPGに武器資金を供与すると申し出る(2016年8月23日)

レバノンの日刊紙『サフィール』(8月23日付)は、西クルディスタン移行期民政局に近い複数の消息筋の話として、サウジアラビアが最近になって、シリア軍との交戦を続けることの見返りとして、同民政局の武装部門である人民防衛隊に武器や資金を供与するとの申し出を行ったと伝えた。

AFP, August 23, 2016、AP, August 23, 2016、ARA News, August 23, 2016、Champress, August 23, 2016、al-Hayat, August 24, 2016、Iraqi News, August 23, 2016、Kull-na Shuraka’, August 23, 2016、al-Mada Press, August 23, 2016、Naharnet, August 23, 2016、NNA, August 23, 2016、Reuters, August 23, 2016、al-Safir, August 23, 2016、SANA, August 23, 2016、UPI, August 23, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県北部のトルコ国境に近い「穏健な反体制派」の拠点都市マーリア市一帯でダーイシュとの戦闘激化(2016年8月23日)

アレッポ県では、ARA News(8月23日付)によると、県北部の「穏健な反体制派」の拠点都市マーリア市近郊のハルバル村、タッル・マーリド村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、また有志連合が同地一帯を空爆した。

一方、SANA(8月23日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校に駐留・展開するシリア軍部隊が同地一帯に侵攻したダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、これを撃退した。

シリア軍部隊はまた、航空士官学校に近いフマイマ村のダーイシュの司令拠点を攻撃し、これを破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、県南部のシャッダーディー市一帯で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦、有志連合が同地一帯を空爆した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアーラーク油田一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

一方、SANA(8月23日付)によると、シリア軍がスフナ市とアーラーク油田を結ぶ回廊地域でダーイシュ(イスラーム国)に対して空爆を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、有志連合と思われる戦闘機がマヤーディーン市を空爆した。

一方、SANA(8月23日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ハウィージャトト・サクル地区でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

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スワイダー県では、SANA(8月23日付)によると、シリア軍がカスル村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。

AFP, August 23, 2016、AP, August 23, 2016、ARA News, August 23, 2016、Champress, August 23, 2016、al-Hayat, August 24, 2016、Iraqi News, August 23, 2016、Kull-na Shuraka’, August 23, 2016、al-Mada Press, August 23, 2016、Naharnet, August 23, 2016、NNA, August 23, 2016、Reuters, August 23, 2016、SANA, August 23, 2016、UPI, August 23, 2016などをもとに作成。

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