ドイツのメルケル首相「イスラーム過激派を根絶するには、米国、ロシアと協力する必要があり、そうしなければシリアの紛争は解決できない」(2015年9月12日)

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は国会で、「シリア危機におけるロシアの役割を無視することはできない」としたうえで、シリアの紛争を終息させ、イスラーム過激派を根絶するには、「米国、ロシアと協力する必要があり、そうしなければ解決は達成できない」と述べた。

ドイツ政府は、シリア紛争に関して、アサド政権に混乱の原因はあると批判しつつも、その退陣については明確には要求していない。

これに関して、『ハヤート』(9月14日付)は、ドイツが、米国によって主導される対ロシア包囲網から事実上脱退したと伝えた。

AFP, September 13, 2015、AP, September 13, 2015、ARA News, September 13, 2015、Champress, September 13, 2015、al-Hayat, September 14, 2015、Iraqi News, September 13, 2015、Kull-na Shuraka’, September 13, 2015、al-Mada Press, September 13, 2015、Naharnet, September 13, 2015、NNA, September 13, 2015、Reuters, September 13, 2015、SANA, September 13, 2015、UPI, September 13, 2015などをもとに作成。

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人道支援物資を積んだロシア貨物機2機がラタキア県のバースィル・アサド国際空港に着陸(2015年9月12日)

SANA(9月12日付)は、人道支援物資80トンを積んだロシアの貨物輸送機2機がラタキア県のバースィル・アサド国際空港に着陸した。

SANA, September 12, 2015
SANA, September 12, 2015

 

AFP, September 12, 2015、AP, September 12, 2015、ARA News, September 12, 2015、Champress, September 12, 2015、al-Hayat, September 13, 2015、Iraqi News, September 12, 2015、Kull-na Shuraka’, September 12, 2015、al-Mada Press, September 12, 2015、Naharnet, September 12, 2015、NNA, September 12, 2015、Reuters, September 12, 2015、SANA, September 12, 2015、UPI, September 12, 2015などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県、ハサカ県、アレッポ県(安全保障地帯)で、有志連合、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)に攻勢(2015年9月12日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地近郊のジャヒーフ丘、アイヤーシュ村一帯で、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

一方、ダーイシュやマヤーディーン市で拘束していたイスラーム教元ムフティーを釈放した。

この元ムフティーは、スーフィー教団指導者との疑いをかけられていた。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合がハサカ市南部郊外のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行った。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合が、タブカ市郊外のカリーン村一帯にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆、ダーイシュ戦闘員20人以上に加えて、住民12人が死亡した。

この住民は、ヒムス県のカルヤタイン市やタドムル市一帯から、地下トンネル建設のために連行された住民だという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、米トルコ両政府が設置合意した「安全地帯」内のハルバル村、ハワール・キリス村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団(シャーム戦線)が交戦した。

また、ARA News(9月12日付)によると、有志連合は、タラーリーン村、ハルバル村、ハルジャラ村、ダルハ村に通じるダーイシュの兵站路に対して集中的な空爆を行った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市一帯、ジャズル・ガス採掘所一帯でシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

AFP, September 12, 2015、AP, September 12, 2015、ARA News, September 12, 2015、Champress, September 12, 2015、al-Hayat, September 13, 2015、Iraqi News, September 12, 2015、Kull-na Shuraka’, September 12, 2015、al-Mada Press, September 12, 2015、Naharnet, September 12, 2015、NNA, September 12, 2015、Reuters, September 12, 2015、SANA, September 12, 2015、UPI, September 12, 2015などをもとに作成。

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オーストラリア空軍がシリア領内でのダーイシュ(イスラーム国)に対する軍事作戦に初参加(2015年9月12日)

オーストラリア国防省は、12日(土曜日)夜から13日(日曜日)にかけて、同国空軍がシリア領空で最初となる任務を遂行し、中東地域内の基地に帰還した、と発表した。

この任務に使用されたのは、F-18Aホーネット戦闘機2機、KC30A1輸送機、A-7A哨戒機1機において、武器は使用しなかったという。

AFP(9月12日付)が伝えた。

AFP, September 12, 2015、AP, September 12, 2015、ARA News, September 12, 2015、Champress, September 12, 2015、al-Hayat, September 13, 2015、Iraqi News, September 12, 2015、Kull-na Shuraka’, September 12, 2015、al-Mada Press, September 12, 2015、Naharnet, September 12, 2015、NNA, September 12, 2015、Reuters, September 12, 2015、SANA, September 12, 2015、UPI, September 12, 2015などをもとに作成。

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オバマ米大統領「ロシアにアサド政権支援は失敗すると伝え続ける」(2015年9月11日)

バラク・オバマ米大統領は、9・11事件の14周年に合わせて行われたメリーランド州のフォートミード陸軍基地での軍関係者との懇親会で、ロシア軍がシリア情勢への介入の動きを強めていることに関して、アサド大統領の現状に対する懸念を示すものであり、彼がロシア側に支援を要請したとの見方を示した。

オバマ大統領はまた「我々はロシアとともに、過激派との戦いと考えている…。ロシアが我々、そして60カ国からなる有志連合とともに行動する用意があるなら、シリアでの政治的移行に関する合意が成立する可能性も生じるだろう」と述べた。

そのうえで「ロシアはアサドが支援に値するとロシアは考え続けているが…、失敗が目に見える戦略を続けることはできない、とロシアに明確に伝えたい」と付言した。

AFP, September 12, 2015、AP, September 12, 2015、ARA News, September 12, 2015、Champress, September 12, 2015、al-Hayat, September 13, 2015、Iraqi News, September 12, 2015、Kull-na Shuraka’, September 12, 2015、al-Mada Press, September 12, 2015、Naharnet, September 12, 2015、NNA, September 12, 2015、Reuters, September 12, 2015、SANA, September 12, 2015、UPI, September 12, 2015などをもとに作成。

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ロイター通信はロシア空軍がシリア沖で大規模訓練を行ったと報道(2015年9月11日)

ロイター通信(9月11日付)は、ロシア海軍がシリア沖で8月に大規模な実弾訓練を行い、また今後の引き続き同様の訓練の実施を準備している、と伝えた。

ロシア海軍に近い消息筋によると、訓練には、誘導ミサイルを装備した艦艇5隻が参加、短距離ミサイルを実際に発射するなどして、訓練を行ったという。

AFP, September 11, 2015、AP, September 11, 2015、ARA News, September 11, 2015、Champress, September 11, 2015、al-Hayat, September 12, 2015、Iraqi News, September 11, 2015、Kull-na Shuraka’, September 11, 2015、al-Mada Press, September 11, 2015、Naharnet, September 11, 2015、NNA, September 11, 2015、Reuters, September 11, 2015、SANA, September 11, 2015、UPI, September 11, 2015などをもとに作成。

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国連ESCWA(ベイルート)が「シリアの未来のための国民アジェンダ」計画検討大会を開催し、紛争下のシリアにおける平和構築、復興事業について議論(2015年9月11日)

『ハヤート』(9月12日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、レバノンの首都ベイルートに本部を置く国連ESCWA(西アジア経済社会委員会)で、「シリアの未来のための国民アジェンダ」計画検討大会が開かれ、紛争下のシリアにおける平和構築、復興事業について意見が交わされた。

「シリアの未来のための国民アジェンダ」(http://www.escwa.un.org/sites/ESAR/project.asp?ProjectTitle=The%20National%20Agenda%20for%20the%20Future%20of%20Syria)プログラムは、シリア人専門家ら約300人が参加して進められている紛争和解・復興に向けたプロジェクトで、2014年9月にも「The Conflict in the Syrian Arab Republic: The Impact at the Macroeconomic Level and the Obstacles on the Way to the Millennium Development Goals」と銘打たれた報告会が行われていた。

シリアの元副首相のアブドゥッラー・ダルダリー氏を事務次長とするESCWAが主催したこの大会では、以下のような議題をめぐってさまざまな議論が交わされたという。

政治的移行を確実なものとし、紛争後の移行プロセスを確固たるものとすること。
治安部門の改革についての関心を高め、政治的な党派主義を廃した共和制に基づく治安態勢の原則を構築すること。
紛争の平和的解決、司法の独立、司法における決定を尊重し、復讐を抑止すること。
3年後の「平和実現」(peacemaking)の達成と、その後7年での「平和構築」(peacebuilding)。

こうした議題が議論されるなかで、以下のような諸提案が参加者から行われたという。

ダマスカス郊外県グータ地方、とりわけイスラーム軍の拠点であるドゥーマー市一帯での政府によるアンズ生産農業再生計画の策定と実施。
製糸業育成プロジェクト
収監者の社会復帰と、生産プロジェクトへの参与を促す教練を施すことで「自分たちが人間だ」と感じ取れるような意識の醸成。
羊など家畜の保護
畜産業、農業の伝統の維持、農地改革の実行、砂漠化対策
女性が主体となる手工業、裁縫、編み物などの育成・支援

大会ではまた、治安と安全が保障されなければ、開発・復興事業は開始できないとの認識のもと、治安と安全を確保したうえで、平和構築を開始すべきだとの点が強調された。

また、避難民約500万人が、国外であれ、国外であれ、シリア政府の支配地域外にとどまり続けているという現実を踏まえ、シリア人の帰還権の保障する必要があるとしつつ、この権利を義務として科すことにも慎重であるべきとの提言もされた。

一方、治安機関の改革をめぐっては、法律違反者が処罰されない法・制度の廃止、法律のもとで治安機関を祖国防衛と国家の大改革に従事させるべきとの提案がなされた。

また、「移行期統治機関」や、憲政上の真空をもたらさないような政治的移行プロセスのシナリオについての意見が交わされるとともに、「移行期政府」と「移行期統治機関」の違いが、国内の法的仕組み、国際社会における義務などを踏まえて、議論された。

一方、紛争解決プロセスに中東地域を統合していくための方途や、国際関係についても意見が交わされ、そこでは、アラブ諸国だけでなく、シリアにより大きな影響力を行使し得るトルコやイランといった中東諸国との関係を考慮し、シリアの未来を構築することを考慮するべきだとの意見があった。

また、諸外国との関係を考慮する以前に、「シリア人の見解、国益がまず、シリアの未来のアジェンダには反映されるべき」との意見も聞かれた。

統治の正統性や諸外国との関係については、これまでシリア政府がイラン、ロシアとの間で締結した諸合意が、どの程度遵守されるべきかなどが議論された。

これに関して、出席者のなかからは、国家の正統性は、政府から政府に継承されるものではなく、シリア・アラブ共和国そのものが、国際社会において国家として承認された政体で、主権と統治が保障されているとの意見が示された。

また、シリア革命反体制勢力国民連立やその傘下の暫定内閣については、国際社会における承認を得ておらず、また領土を支配していないため、法的な承認を得ていないとの見解も示された。

AFP, September 12, 2015、AP, September 12, 2015、ARA News, September 12, 2015、Champress, September 12, 2015、al-Hayat, September 13, 2015、Iraqi News, September 12, 2015、Kull-na Shuraka’, September 12, 2015、al-Mada Press, September 12, 2015、Naharnet, September 12, 2015、NNA, September 12, 2015、Reuters, September 12, 2015、SANA, September 12, 2015、UPI, September 12, 2015などをもとに作成。

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米高官「ダーイシュ(イスラーム国)はシリアとイラクでマスタード・ガスを製造、使用している)(2015年9月11日)

BBC(9月11日付)は、米高官などの話として、ダーイシュ(イスラーム国)が化学兵器を製造し、シリアとイラクにおいて使用していると伝えた。

この高官によると、米国はダーイシュがシリア、イラク領内で少なくとも4回、マスタード・ガスを使用しており、また化学兵器製造を専門とするダーイシュの細胞が存在することを確認しているという。


BBC, September 11, 2015などをもとに作成。

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フランスのファビウス外相「紛争への介入を目的としたロシアの地上部隊派遣は受け入れられない」(2015年9月11日)

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、ロシア軍がシリア国内での戦闘に参加したとのロイター通信などの報道に関して、フランスのBFM TV(9月11日付)で、「この問題が武器供与について言っているのであれば、ロシアは従来からシリア軍に武器を供与してきた。だが、地上部隊について言っているのであれば、彼らが駐留している理由を知らしめるべきだ…。タルトゥース基地の防衛がその目的だというのであれば、それは違う。かといって、紛争への介入が目的だというのであれば、それこそ受け入れられない」と述べた。

また、「フランスは、正当な自衛権に基づき、シリア領内に部隊は派遣しない。シリア領空での偵察作戦を2度実施した。なぜなら、ダーイシュ(イスラーム国)はシリア領からフランスに脅威を与えているからだ…。フランスは偵察作戦の結果を踏まえた上で適切な措置を講じるだろう」と述べた。

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一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はモンゴル外相と会談後の共同記者会見で、シリア情勢に触れ、そのなかで「我々は改めて有志連合に、シリア政府およびシリア軍と協力するよう呼びかける…。ダーイシュ(イスラーム国)との戦いにおいてもっとも強力で効果的な戦闘を行っているのはシリア軍だ」と述べた。

ラブロフ外務大臣はしかし、過激派への対応が「国際法の基準に沿った集団的行為」であるべきだと述べ、米国とのチャンネルの再活性化が必要だとの見方を示し、「こうしたことは予期せぬ事態の発生を回避するために重要なことだ」と付言した。

そのうえで、「ロシアは引き続き、シリア政府に必要な設備を供与し、テロの脅威に対して自衛可能なようにする」と協調した。

 

AFP, September 11, 2015、AP, September 11, 2015、ARA News, September 11, 2015、Champress, September 11, 2015、al-Hayat, September 12, 2015、Iraqi News, September 11, 2015、Kull-na Shuraka’, September 11, 2015、al-Mada Press, September 11, 2015、Naharnet, September 11, 2015、NNA, September 11, 2015、Reuters, September 11, 2015、SANA, September 11, 2015、UPI, September 11, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がダイル・ザウル軍事飛行場の攻防戦でダーイシュ(イスラーム国)に対して毒ガスを使用か?(2015年9月11日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地でシリア軍、国防隊が攻勢を強めるダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

ダイル・ザウル市の複数の活動家によると、ダーイシュは同市工業地区、ラサーファ地区といったほぼすべての地区、さらには周辺の村々の戦闘員を動員し、基地に対して攻勢をかけているという。

ダーイシュはまた、ダイル・ザウル航空基地に近い村々のすべてのインターネット・カフェを閉鎖し、情報統制を行っているという。

これに関して、ARA News(9月11日付)は、サラーイッディーンを名乗る現地の活動家の話として、シリア軍がダイル・ザウル航空基地への突入を図るダーイシュ戦闘員に対して、毒ガスを使用し対抗、ダーイシュ戦闘員を撤退させ、シリア軍が再展開したと伝えた。

ARA News, September 11, 2015
ARA News, September 11, 2015

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アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(9月11日付)によると、米トルコ両政府が設置合意した「安全地帯」内に位置するアアザーズ市入り口、タッル・リフアト市南部入り口で、爆弾を積んだ車による自爆テロが相次いで発生し、子供1人が死亡した。

一方、SANA(9月11日付)によると、航空士官学校一帯、アルバイド村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、ARA News(9月11日付)によると、アイン・イーサー町一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュ戦闘員4人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(9月11日付)によると、タドムル市、アイン・ダナーニール村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、ラッフーム村、ウンク・ハワー村方面からマクサル・ヒサーン村、ジュッブー・ジャッラーフ村方面に侵入しようとしたダーイシュを撃退した。

AFP, September 11, 2015、AP, September 11, 2015、ARA News, September 11, 2015、Champress, September 11, 2015、al-Hayat, September 12, 2015、Iraqi News, September 11, 2015、Kull-na Shuraka’, September 11, 2015、al-Mada Press, September 11, 2015、Naharnet, September 11, 2015、NNA, September 11, 2015、Reuters, September 11, 2015、SANA, September 11, 2015、UPI, September 11, 2015などをもとに作成。

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有志連合(米軍)戦闘機がUNESCO世界文化遺産のパルミラ遺跡を擁するタドムル市を初めて爆撃(2015年9月10日)

米中央軍(CENTCOM)は、9月9日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して28回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は10回におよび、ブーカマール市近郊(1回)、ハサカ市近郊(3回)、フール町近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)、タドムル市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

なお、有志連合がヒムス県タドムル市近郊を空爆したと発表したのは今回が初めて。

CENTCOM, September 1, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員4,000人がシリア難民などに紛れて欧州に潜入か?(2015年9月10日)

シリア国内で活動しているというダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員は、英日刊紙『デイリー・エクスプレス』(9月10日付)に対して、ダーイシュ戦闘員約4,000人がトルコなどから欧州に押し寄せているシリア人らの難民に紛れて欧州に潜入したと述べた(” target=”_blank”>http://www.express.co.uk/news/world/555434/Islamic-State-ISIS-Smuggler-THOUSANDS-Extremists-into-Europe-Refugees)。

The Daily Express, September 12, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)は『ダービク』で欧州へのシリア人ら難民の避難を「大罪」と非難する一方、難民の多くはシリア政府、西クルディスタン移行期民政局支配地域からの避難民だと断じる(2015年9月10日)

ダーイシュ(イスラーム国)の英語機関誌『ダービク』第11号は、シリア人避難民の欧州への流入に関して、「自らの土地を去る者は大罪を犯している」と批判した。

『ダービク』において、ダーイシュは、「イスラームの家から背教の家に去ることは大罪である。なぜならそれは、背教へと通じる道、我々の子孫がイスラームを棄て、キリスト教、無神論、ないしはリベラリズムを信じる扉へと道だからである」と主張した。

なお、『ダービク』によると、「欧州に逃げた家族のほとんどは、イスラーム国と戦うシリア政府軍の支配地域ないしはクルド人地区から避難した人々だ」なのだという。

『ダービク』第11号は10日にインターネット上で公開された。

AFP, September 11, 2015、AP, September 11, 2015、ARA News, September 11, 2015、Champress, September 11, 2015、al-Hayat, September 12, 2015、Iraqi News, September 11, 2015、Kull-na Shuraka’, September 11, 2015、al-Mada Press, September 11, 2015、Naharnet, September 11, 2015、NNA, September 11, 2015、Reuters, September 11, 2015、SANA, September 11, 2015、UPI, September 11, 2015などをもとに作成。

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ロシアのラブロフ外務大臣は、シリア駐留ロシア軍の増強に関する追加措置は講じていない、と述べ、ロシア軍がシリアでの軍事作戦に参加したとの一部報道を否定(2015年9月10日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシア軍がシリア国内での軍事作戦に参加しているとするロイター通信(9月10日付)などの報道を否定した。

ラブロフ外務大臣は南スーダン外務大臣との共同記者会見で、シリア情勢について触れ、そのなかで「ロシアの軍事技術者がシリアで活動はしている。彼らはシリア軍に我が国の兵器の使用方法を教練する支援活動をしている…。ロシアは(シリア駐留ロシア軍の増強に関する)追加措置は講じていない」と述べた。

また「事態がそうしたこと(シリア駐留ロシア軍の増強)の実施を必要とするのであれば、我が国の法律、そして国際法を合意、遵守し、なおかつシリア政府や地域諸国の合意を得て、はじめて行われるだろう」と付言した。

しかし、ラブロフ外務大臣は「ロシアがシリアに派遣している航空機は、(シリア政府との間で締結された)既存の契約に従って、軍備品と人道物資を搬送している」と述べた。

ロシアによるシリアへの軍事支援増強への懸念を繰り返し表明しているジョン・ケリー米国務長官の姿勢に関しては、「(5日の電話会談で)ケリー氏は非常に変なことを言った。彼は、テロリストと戦うアサドを支援すると、ダーイシュ(イスラーム国)の立場が強まる、と言うのだ…。しかし、これはまったく論理的ではない…。米国が主導する有志連合はシリアに協力を要請しないことで体系的な過ちを犯してしまっている…。シリア軍こそがテロの脅威にもっとも効果的に立ち向かっている勢力だ」と異議を唱えた。

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一方、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、レバノン消息筋の情報をもとにロシア軍がシリア国内での軍事作戦に参加しているとするロイター通信(9月10日付)の報道について、「ダーイシュ(イスラーム国)に代表される脅威は明白だ…。これに抵抗できる唯一の軍事勢力はシリア軍だ」と述べたうえで、ヴラジミール・プーチン大統領が国連総会での演説、シリア情勢やダーイシュへの対応について言及する予定であることを明らかにした。

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ロシア日刊紙『コメルサント』(9月10日付)は、武器輸出部門の複数の消息筋の情報として、ロシア政府がシリア軍に対して供与している武器・装備に関して、軽火器、手榴弾、兵員輸送用装甲車(BTR82A)、軍用トレーラーが含まれていると伝えた。

同紙によると、シリア政府はロシア側にS-300防空システムの購入代金の一部を支払ったが、ロシア側は引き渡しの延期を決定したという。

AFP, September 10, 2015、AP, September 10, 2015、ARA News, September 10, 2015、Champress, September 10, 2015、al-Hayat, September 11, 2015、Iraqi News, September 10, 2015、Kull-na Shuraka’, September 10, 2015、al-Mada Press, September 10, 2015、Naharnet, September 10, 2015、NNA, September 10, 2015、Reuters, September 10, 2015、SANA, September 10, 2015、UPI, September 10, 2015などをもとに作成。

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トルコ当局がアル=カーイダ系組織支配地域に面したジルヴェギョズ国境通行所を閉鎖(2015年9月10日)

クッルナー・シュラカー(9月10日付)によると、トルコ当局はイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所に面するジルヴェギョズ国境通行所(ハタイ県)を完全閉鎖した。

同国境通行所に隣接するレインハル市郊外で、シリア領からの発砲によってトルコ軍兵士が死亡したことを受けた措置である。

イドリブ県は、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ジュンド・アクサー機構などからなるファトフ軍が支配下に置いている。

AFP, September 10, 2015、AP, September 10, 2015、ARA News, September 10, 2015、Champress, September 10, 2015、al-Hayat, September 11, 2015、Iraqi News, September 10, 2015、Kull-na Shuraka’, September 10, 2015、al-Mada Press, September 10, 2015、Naharnet, September 10, 2015、NNA, September 10, 2015、Reuters, September 10, 2015、SANA, September 10, 2015、UPI, September 10, 2015などをもとに作成。

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ダイル・ザウル軍事飛行場に対してダーイシュ(イスラーム国)が連続自爆攻撃を仕掛け、シリア軍多数が死亡(2015年9月10日)

ダイル・ザウル県では、『ハヤート』(9月11日付)によると、アル=カーイダ系組織シャームの民のヌスラ戦線らによるイドリブ県アブー・ズフール航空基地の完全制圧に続いて、ダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル航空基地への攻勢を強めた。

シリア人権監視団によると、ダーイシュによるダイル・ザウル航空基地への攻勢は9日から強まり、これまでにシリア軍兵士36人が死亡したという。

これに関して、ダーイシュ・ハイル州広報局は9日、アブー・アイマン・シャーミー氏とアブー・ハンサー・フムスィー氏の2名の戦闘員が飛行場外壁に対して自爆攻撃を行い、基地内のシリア軍と交戦し、90人の兵士を殺害し、ミサイル大隊拠点と「白いビル」を制圧、大量の武器弾薬を捕獲したと発表した。

ARA News, September 10, 2015
ARA News, September 10, 2015

しかし、SANA(9月10日付)は、ダイル・ザウル航空基地に侵入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)をシリア軍が撃退し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊したと伝えた。

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アレッポ県では、ARA News(9月10日付)によると、米トルコ両政府が設置合意した「安全地帯」内に位置するタッル・リフアト市内で、ダーイシュ(イスラーム国)が爆弾を仕掛けた車2台を相次いで爆発させ、住民数十人が死傷した。

ダーイシュはまた、アイン・アラブ市南部のクーラーン村を攻撃、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合と思われる戦闘機がラッカ市一帯を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)司令官2人が死亡した。

司令官はシリア人とイラク人だという。

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ハサカ県では、ARA News(9月10日付)によると、有志連合がシャッダーディー市内のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行った。

有志連合はまた、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュと対峙しているアブドゥルアズィーズ山一帯に対しても空爆を行った。

ダーイシュはまた、カウカブ山近郊のシリア軍拠点に対しても攻撃を加えた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シャーイル・ガス採掘所一帯で、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

一方、SANA(9月10日付)によると、タドムル市で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、AKI(9月9日付)は、タドムル市の活動家を名乗るアフマド・ダアース氏の話として、タドムル市の住民約40万人のうち、1,000~1,100人程度が、ダーイシュ(イスラーム)への恐怖心から、組織に忠誠を誓った、と伝えた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤルダー市郊外農園地帯で、ダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団が交戦した。

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スワイダー県では、SANA(9月10日付)によると、サアド丘一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, September 10, 2015、AKI、September 10, 2015、AP, September 10, 2015、ARA News, September 10, 2015、Champress, September 10, 2015、al-Hayat, September 11, 2015、Iraqi News, September 10, 2015、Kull-na Shuraka’, September 10, 2015、al-Mada Press, September 10, 2015、Naharnet, September 10, 2015、NNA, September 10, 2015、Reuters, September 10, 2015、SANA, September 10, 2015、UPI, September 10, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサーイシュ(西クルディスタン移行期民政局治安組織)司令官は西側諸国から教練を受けたことを明かす(2015年9月10日)

ロイター通信(9月10日付)は、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュのジュワーン・イブラーヒーム司令官の話として、複数の西側諸国によって、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続ける治安部隊(アサーイシュ)の教練が行われたことを明らかにした。

イブラーヒーム司令官によると、アサーイシュ隊員450人以上がシリア北部で教練を受けた、という。

教練内容は、爆弾が仕掛けられた車や建物への対処法などからなっていたという。

AFP, September 10, 2015、AP, September 10, 2015、ARA News, September 10, 2015、Champress, September 10, 2015、al-Hayat, September 11, 2015、Iraqi News, September 10, 2015、Kull-na Shuraka’, September 10, 2015、al-Mada Press, September 10, 2015、Naharnet, September 10, 2015、NNA, September 10, 2015、Reuters, September 10, 2015、SANA, September 10, 2015、UPI, September 10, 2015などをもとに作成。

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アラブ連盟はスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表を招いてシリア情勢について協議(2015年9月10日)

アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長は、カイロで13日に開催予定の第144回定例理事会と合わせて、外相会合を開き、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表を招聘して、シリア紛争の進捗や対応などについて協議すると発表した。

『ハヤート』(9月11日付)が伝えた。

AFP, September 10, 2015、AP, September 10, 2015、ARA News, September 10, 2015、Champress, September 10, 2015、al-Hayat, September 11, 2015、Iraqi News, September 10, 2015、Kull-na Shuraka’, September 10, 2015、al-Mada Press, September 10, 2015、Naharnet, September 10, 2015、NNA, September 10, 2015、Reuters, September 10, 2015、SANA, September 10, 2015、UPI, September 10, 2015などをもとに作成。

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ハモンド英外相、移行期間におけるアサド大統領の6ヶ月の残留を初めて提案、シリア情報大臣は「非合理且つ非論理的」と(2015年9月10日)

英国のフィリップ・ハモンド外務大臣は、シリアでの紛争和解に向け設置が目指されている移行期統治機関に関して、アサド大統領に6ヶ月間だけ移行期政府を指導することを認めることで、ロシア、イランの協力を得るべきだ発言した。

ハモンド外務大臣は下院外交委員会で、「アサドとその取り巻きがまず最初に対峙しなければならないとは言っているのではない。シリアの同盟国であるロシアとイランと協力するため、英国と西側諸国政府は、移行期において(アサド)大統領が権力の座にとどまることができる期間を6ヶ月までと定めて合意するべきだ」と発言した。

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マフムード・ズウビー情報大臣は、ハモンド外務大臣の発言に関して『ガーディアン』(9月10日付)に対して「非合理且つ非論理的」と一蹴、「英国の外務大臣が、シリア人に代わって、シリアの大統領がどのくらい権力の座に就くべきかといったことを決める権利などどこにあるのか?」と反論、拒否した。

ズウビー情報大臣はまた、ハモンド外務大臣の発言に対して、「キャメロンは3日以上権力の座にとどまるべきでなく、ハモンドは今日中に辞めねばならないと私が提案したらどう思う?」と不快感を露わにした。

また「我々は、シリアが過激派の国になることを許さないだろう…。サウジアラビアの二の舞にはならない」と付言した。

AFP, September 10, 2015、AP, September 10, 2015、ARA News, September 10, 2015、Champress, September 10, 2015、The Guardian, September 10, 2015、al-Hayat, September 11, 2015、Iraqi News, September 10, 2015、Kull-na Shuraka’, September 10, 2015、al-Mada Press, September 10, 2015、Naharnet, September 10, 2015、NNA, September 10, 2015、Reuters, September 10, 2015、SANA, September 10, 2015、UPI, September 10, 2015などをもとに作成。

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最新論考「シリアの化学兵器攻撃から2年、「穏健な反体制派」支援がもたらす混乱」(Yahoo Japan! News)

青山弘之「シリアの化学兵器攻撃から2年、「穏健な反体制派」支援がもたらす混乱」

Yahoo Japan! News、2015年9月9日

http://bylines.news.yahoo.co.jp/aoyamahiroyuki/20150909-00049307/

シリアの首都ダマスカス郊外で化学兵器が使用されたとの情報が世界を席巻してから8月で2年が経った。この騒動は、米英仏によるシリアへの軍事介入の試みが、英国議会での否決やロシアの巧みな外交によって頓挫したことで一応収束し、その後、シリア国内では、化学兵器禁止機関(OPCW)の監督のもと、シリア政府が保有していた化学物質や関連施設を全廃した。・・・

(http://bylines.news.yahoo.co.jp/aoyamahiroyuki/20150909-00049307/)

アル=カーイダ指導者のザワーヒリー師がダーイシュ(イスラーム国)に「十字軍、世俗主義者、ヌサイリー派(アラウィー派)、サファビー朝の者ども(イラン)との戦闘」での共闘を暗に呼びかける(2015年9月9日)

アル=カーイダ総司令部のアイマン・ザワーヒリー師は、サハーブ・ネットを通じて音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=ZkXQkkGuKrM)を発表、そのなかでダーイシュ(イスラーム国)が2014年6月末に宣言したカリフ制が無効だと改めて述べた。

しかし、ザワーヒリー師は、「十字軍、世俗主義者、ヌサイリー派(アラウィー派)、サファビー朝の者ども(イラン)との戦闘」での共闘をダーイシュに暗に呼びかけた。

45分におよぶこの音声声明で、ザワーヒリー師は「我々は(イスラーム国が宣言した)このカリフ制を承認しない。また我々はそれが、預言者の方法に基づいたカリフ制だとは考えていない。それは、シューラーを経ないで制圧されたに過ぎない国(イマーラ)であり、イスラーム教徒がこれに対して忠誠を誓う義務もない。我々は、アブー・バクル・バグダーディーがカリフだとは考えていない」と述べた。

また「バグダーディーおよび彼と共にいる者たちが行ったことは、ジハード主義を代表していない」としたうえで、アル=カーイダへの攻撃を停止するよう要請、またバグダーディー氏を「少数の無知な者たちが忠誠を誓った…反乱者」と非難した。

しかしザワーヒリー師は「我々は彼(バグダーディー)やその同胞たちの行いのすべてに反対しているという訳ではない。むろん、我々は彼らには多くの体系的な過ちがあるということにも異論を唱えない。しかし、私がもしイラク、あるいはシャーム(シリア)にいたとしたら、十字軍、世俗主義者、ヌサイリー派、サファヴィー朝の者どもと戦うために彼らと協力したことだろう。彼らの国家(イスラーム国)、さらには彼らが言うカリフ制の正統性を承認はしない。なぜなら、そうした問題は、私を越えたより大きな問題だからだ…。イスラーム共同体は十字軍の卑劣な攻撃に曝されており、ジハード主義者はこれと戦うために一体とならねばならない」と強調した。

ザワーヒリー師はそのうえで「十字軍の同盟に参加している西洋諸国に危害を与えることができるすべてのイスラーム教徒に対して、躊躇せず攻撃を加えるよう呼びかける。これらの国の心臓部、西洋の十字軍の都市、とりわけ米国に戦争を波及させることに集中しなければならない」と述べた。

なお、『ハヤート』(9月14日付)によると、サハーブ・ネットを通じて配信された音声声明は、アフガニスタンのターリバーンの指導者ムハンマド・ウマル師の死など最近の事件について言及されておらず、2015年6月30日以前に録音されたものと思われるという。

 

AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、September 14, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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シリア外務在外居住者省は国連安保理議長に「アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動がイドリブ県でVXガスを使用としている」と報告(2015年9月9日)

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表大使は、国連安保理議長に外務在外居住者省書簡を提出し、そのなかで、イドリブ県で活動する「武装テロ集団」のシャーム自由人イスラーム運動が、フーア市、カファルヤー町に対して有毒化学物質を使用しようとしていると報告した。

シャーム自由人イスラーム運動は、ザバダーニー市(ダマスカス郊外県)でのシリア軍との戦闘に敗北し、シリア政府がザバダーニー市制圧を発表した場合、報復としてVXガスを使用としているという。

書簡は「テロ組織であるシャーム自由人イスラーム運動は、VXガスの生産に使用される化学物質の原材料を保有しており、シリア北部(イドリブ県)のトルコ国境地帯にあるナバティーヤ村のテロリストの基地でこのガスを生産しようとしている」と主張するとともに、「彼らはまた、トルコのヤイラダーイ市に容易にアクセスできる」と付言、トルコ政府が化学兵器の製造に関与していることを示唆した。

また「VXガス製造は、化学博士を取得したアフガン人女性の監督のもとに行われており、彼女はパキスタンやアフガニスタンでアル=カーイダとともに活動していた」と主張した。

他方、書簡は、「シリアのブーカマール区(ダイル・ザウル県)のあるイラク人が、有毒サリン・ガスを500万米ドルで密売している…。シリアのテロリストがこれを購入しようとしている」と付言した。

『ハヤート』(9月9日付)が伝えた。

AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、ヒムス県中部のジャズル・ガス田を制圧か?(2015年9月9日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジャズル・ガス採掘所一帯では、同地一帯の拠点を奪還したシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が激しく交戦した。

一方、SANA(9月9日付)によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、ジャズル・ガス採掘所を制圧した。

ダーイシュは折からの悪天候(砂嵐)に乗じて、ジャズル・ガス採掘所一帯に進攻していたが、シリア軍は激しい戦闘の末、これを撃退したのだという。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、ブサイナ丘一帯で、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

一方、SANA(9月9日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、ブサイナ丘に潜入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、これを撃退した。

またスワイダー市郊外の草地で、ダーイシュ・メンバーと思われる17人を逮捕した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がジハード主義武装集団の拠点を襲撃した。

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アレッポ県では、SANA(9月9日付)によると、アルバイド村、航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。


AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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フランスがシリア領内でのダーイシュ(イスラーム国)爆撃に向け偵察飛行開始、オーストラリアもシリア領内での爆撃を決定:難民流入の主因に対処する姿勢を誇示(2015年9月9日)

フランス軍は声明を出し、「ダーイシュ(イスラーム国)に関する情報収集」のため9日にシリア領空で偵察活動を行ったと発表した。

偵察活動にはラファール戦闘機を使用されたという。

AFP(9月9日付)が伝えた。

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オーストラリアのトニー・アボット内閣は、有志連合の枠内で同国が行っているダーイシュ(イスラーム国)に対する空爆の範囲をシリア領内にも拡大することを発表した。

オーストラリアでは8日、国家安全保障委員会において、シリア領内での軍事作戦に関する計画が合意されていた。

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欧米諸国、オーストラリアは、2日にトルコの海岸で遺体で発見されたシリア人幼児(アイラーン・クルディーくん)の画像が公開されたことを受け、シリアなどからの難民への関心がにわかに高まっており、英独がそれぞれ約2万人、フランス、カナダ、オーストリアが約1万人、米国が約3万人と難民受け入れを表明しているが、その一方、難民発生の主因であるシリア国内の混乱に対しては、シリア領内でのダーイシュへの空爆という方針を打ち出し、事態に対処しようとしている。

その一方で、ロシアによるシリア政府への軍事支援強化に対しては、とりわけ米国が警戒感を示している。

『ガーディアン』(9月9日付)が伝えた。

AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、The Guardian, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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ロシア外務省は「シリア軍にロシア製の新たな装備の教練を行うために軍事顧問複数名を派遣した」と認める一方、ロイター通信はロシア軍がシリア軍の作戦に参加したと伝える(2015年9月9日)

『ハヤート』(9月10日付)によると、ミハイル・ボグダノフ外務副大臣は、「シリアへのロシア軍の専門家の駐在は、ロシア製装備の使用について教練を行う必要があることが理由で、これらの装備は、ロシア・シリア間の軍事技術協力の枠組みのなかで締結された契約に基づいて輸出される」と述べた。

また、この発言の直後、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、シリア国内でのシリア政府による「テロとの戦い」に必要な武器や装備を増強し続けると表明した。

ザハロフ報道官は、シリア軍との作戦面での協調が、ダーイシュ(イスラーム国)掃討に向けた域内同盟の結成を主唱するヴラジミール・プーチン大統領のイニシアチブを推し進め、「テロとの戦い」における努力を統合するうえで重視すべきだと述べたうえで、「テロとの戦いの支援を強化するうえで必要なのであれば、国際法や国内法に従い、さらなる措置を検討する用意がある」と付言した。

また、シリア駐留ロシア軍の増強を行ったとの質問に対して、ザハロフ報道官は「シリア軍にロシア製の新たな装備の教練するための軍事顧問複数名を派遣した」と認めた。

新たな装備の内容については明らかにしなかった。

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一方、ロイター通信(9月9日付)は、シリアの政治軍事情勢に精通したレバノンの複数の消息筋の話として、ロシア軍がシリア軍を支援するかたちで作戦に参加していると伝えた。

この消息筋は匿名を条件に、ロシア軍がシリア軍の作戦に参加したとしたうえで、参加したロシア人の数は今のところ少ない、と述べたという。

ロシア軍が具体的にどのように作戦に参加したのかは不明。

AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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ギリシャは米国の要請を事実上拒否し、シリアに向かうロシア機の領空通過を許可、ブルガリアもロシア機の臨検を条件に通過を認める意思を表明(2015年9月9日)

タス通信(9月9日付)は、在アテネ・ロシア大使館高官からの情報として、ギリシャ政府が8月31日に、人道目的でシリアを往来するロシア機の領空通過を認めたと伝えた。

領空通過の許可機関は9月1日から24日で、この期間は、米国がギリシャ政府に対してロシア機の領空通過を禁じるよう要請した期間と一致しており、米国の要請を事実上拒否したかたちとなった。

またインテルファクス通信(9月9日付)は、イラン政府が、人道支援物資搬送のためにシリアを往来するロシア機の領空通過を求めるロシア側の要請に全面的に応じたと伝えた。

一方、ロシア機の領空通過を禁止したブルガリアでは、ダニエル・ミトフ外務大臣が記者団に対して、「ロシアの友人が、ブルガリアの空港でのロシア機に対する臨検を認めるのであれば、彼らに(領空通過)の許可を与えたい」と述べた。

他方、AFP(9月9日付)は、米国の複数の高官の話として、過去数日の間に、ロシアの軍用機少なくとも3機がシリア領内に着陸した、と伝えた。

複数の高官は匿名を条件に、3機のロシア機のうちの2機が貨物機、1機が人員輸送機だったことを明らかにしたうえで、いずれもラタキアの空港に着陸したと述べた。

AFP(9月9日付)が伝えた。

AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、Interfax, September 9, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、TASS, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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ハサカ県フール町のダーイシュ(イスラーム国)武器庫が爆発(2015年9月8日)

ハサカ県では、SANA(9月9日付)が、複数の住民からの情報として、フール町で、ダーイシュ(イスラーム国)が武器庫として使用していたバラーイム幼稚園が爆発し、ダーイシュ戦闘員が死亡した、と伝えた。

SANAによると、多数の遺体や負傷者をダーイシュが車で野戦病院に搬送する様子が目撃されたという。

またこの爆発で、隣接する民間などが被害を受けたという。

フール町は、2003年のイラク戦争によりイラクからシリア領内に避難したパレスチナ難民の避難民キャンプが設営されている。

なお、有志連合は9日、フール町などシリア領内3カ所を空爆したと発表している。

AFP, September 9, 2015、AP, September 9, 2015、ARA News, September 9, 2015、Champress, September 9, 2015、al-Hayat, September 10, 2015、Iraqi News, September 9, 2015、Kull-na Shuraka’, September 9, 2015、al-Mada Press, September 9, 2015、Naharnet, September 9, 2015、NNA, September 9, 2015、Reuters, September 9, 2015、SANA, September 9, 2015、UPI, September 9, 2015などをもとに作成。

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ブルガリアが米国の要請を受け、シリアに向かうロシア機の領空通過を禁止(2015年9月8日)

ブルガリア外務省報道官はロイター通信(9月8日付)に対し、ブルガリア政府がシリアに向かうロシア軍貨物機の領空通過を認めない方針を決定したことを明らかにした。

『ハヤート』(9月9日付)は、これに関して、米国が、ロシアによるシリア政府への軍備増強を阻止するため、シリア周辺諸国にロシアの航空機の領空通過を拒否するよう要請していると伝えた。

なお、7日には、ギリシャ政府が米国からこうした要請を受けており、対応を検討していると発表している。

一方、インテルファクス通信(9月8日付)によると、これに対して、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣が、ブルガリア、ギリシャ両国政府に対して、こうした措置についての「釈明」を求めたという。

ロシアは2012年にトルコ領空を通過中の旅客機をトルコ軍に拿捕されて以降、トルコ領空の通過を控えており、ブルガリアなど東欧諸国がロシアの航空機の領空通過を拒否した場合は、イラン、イラク、アルメニア、アゼルバイジャン方面を経由して航空機を往来させることになるという。

AFP, September 8, 2015、AP, September 8, 2015、ARA News, September 8, 2015、Champress, September 8, 2015、al-Hayat, September 9, 2015、Interfax, September 8, 2015、Iraqi News, September 8, 2015、Kull-na Shuraka’, September 8, 2015、al-Mada Press, September 8, 2015、Naharnet, September 8, 2015、NNA, September 8, 2015、Reuters, September 8, 2015、SANA, September 8, 2015、UPI, September 8, 2015などをもとに作成。

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イラン訪問中のスペイン外相「アサド大統領と交渉すべきだ。和平は敵どうしが行うのが常だ」(2015年9月8日)

スペインのホセ・マヌエル・ガルシア=マルガージョ外務大臣は訪問先のイランで、シリア情勢に言及し、シリア政府と交渉すべきだと表明した。

ガルシア=マルガージョ外務大臣はカデナ・セル放送(Cadena SER)に対して、「部分的な停戦を実現するためにシリアの大統領と交渉すべきであり、まずはアレッポから始め、最終的に全面的な発砲停止にいたるべきだ」と述べた。

また「当事者の一つがアサド政権だ。私は彼を個人的に評価はしないが…、和平は敵どうしが行うのが常だ。発砲停止に向けて交渉しなければならない」と強調した。

AFP(9月8日付)が伝えた。

AFP, September 8, 2015、AP, September 8, 2015、ARA News, September 8, 2015、Champress, September 8, 2015、al-Hayat, September 9, 2015、Iraqi News, September 8, 2015、Kull-na Shuraka’, September 8, 2015、al-Mada Press, September 8, 2015、Naharnet, September 8, 2015、NNA, September 8, 2015、Reuters, September 8, 2015、SANA, September 8, 2015、UPI, September 8, 2015などをもとに作成。

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イランのロウハーニー大統領「シリアとイラクのテロを根絶したいのなら、国際社会が一致団結してテロ根絶をめざし、そのうえで中央政府を承認し、民主化を追求するべき」(2015年9月8日)

イランのホセイン・ロウハーニー大統領は、シリア・イラク情勢に関して、両国におけるテロを根絶し、安定を回復したいのであれば、国際社会が一致団結してテロ根絶をめざし、そのうえで中央政府を承認し、民主化を追求するべきだと主張した。

IRNA通信(9月8日付)によると、ロウハーニー大統領は、テヘランでのオーストリアのハインツ・フィッシャー大統領との会談後の記者会見で、「シリアで民主主義について議論することが優先事項なのか? 反体制派と政府、あるいはシリアの憲法の改編について話すことが優先事項なのか?」と自問し、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとするテロリストへの対応に努力を集中すべきだとの姿勢を改めて示した。

また「テロと暴力をどこかの地域に温存させてはならない。これらとの戦いを包括的に行い、全世界、とりわけ欧州で、これらの(テロ)組織によるリクルートの基盤を根絶すべきだ」と述べたと伝えた。

ロウハーニー大統領はさらに「誰が、ダーイシュというテロリストから石油を買い、資金を援助し、武器を供与することで支援しているのか? 第1段階として、テロリストに資金、武器が届かないようにすべきだ…。シリアとイラクの国民の未来は両国民のみが決めねばならない。イランはEUとこの点で協力する用意がある…。流血を止め、テロを包括的に抑え、避難民を帰還させ、民主主義の基礎を構築し、すべての集団、エスニック集団が参加する政府を樹立するのは、中央政府を承認したうえで考慮されねばならない次の段階だ」と付言した。

そのうえで「テロは1カ所にはとどまらず、ほかの地域にも拡散する。だから、すべての国が手に手を携えて、テロと過激派の根絶を行わねばならない…。テロ集団との戦いがイラクとシリアに安定をもたらす最優先事項だ」と強調した。

これに対し、フィッシャー大統領は「アサドが犯した罪をわすれるべきではないが、我々がこの戦い(テロとの戦い)の戦線に身を置いている事実を直視することも忘れるべきでない」と述べたという。

AFP, September 8, 2015、AP, September 8, 2015、ARA News, September 8, 2015、Champress, September 8, 2015、al-Hayat, September 9, 2015、Iraqi News, September 8, 2015、IRNA, September 8, 2015、Kull-na Shuraka’, September 8, 2015、al-Mada Press, September 8, 2015、Naharnet, September 8, 2015、NNA, September 8, 2015、Reuters, September 8, 2015、SANA, September 8, 2015、UPI, September 8, 2015などをもとに作成。

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