ヒムス県砂漠地帯からの撤退を米国に要請された革命特殊任務軍は、米国が後押しするYPG主体のシリア民主軍を「敵」とみなし、ダイル・ザウル県で独自にダーイシュと戦うと主張(2017年9月11日)

ヒムス県タンフ国境通行所を拠点化する米国の支援を受ける反体制武装集団(「ハマード浄化のために我らは馬具を備えし」作戦司令室、自由シリア軍諸派、「土地は我らのものだ」作戦司令室)の一つ革命特殊任務軍の司令官ムハンナド・タラーア中佐はユーチューブ(https://youtu.be/fii1whXsy74)を通じて音声声明を発表、そのなかで、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍、シリア政府、ダーイシュ(イスラーム国)はいずれも敵であるとしたうえで、ダイル・ザウル県でのダーイシュとの戦いに独自に参加することを検討していると述べた。

Youtube, September 11, 2017

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米国はロシアとの「支配地域交換」に合意し、タンフ国境通行所一帯の反体制武装集団のヨルダン撤退を正式要請(2017年9月11日)

ANHA(9月11日付)、『ハヤート』(9月12日付)は、米国をはじめとする有志連合各国が不法占拠し拠点化しているヒムス県タンフ国境通行所一帯からヨルダン領内に退去した複数の戦闘員の話として、米国(CIA)、サウジアラビア、ヨルダンといった国々が、同地で活動する反体制武装集団をヨルダン領内に撤退させることで合意したと伝えた。

各国は、東部獅子軍、殉教者アフマド・アブドゥー軍団に対して、ヒムス県タンフ国境通行所一帯での戦闘の停止と、ヨルダンへの撤退に合意、東部獅子軍の幹部の一人バドルッディーン・サラーマ氏によると、米国から「砂漠地帯からの撤退に関して正式な要請があった」という。

なお、複数の観測筋によると、これは、ロシアとの間で「支配地域の交換」を合意したことを受けたものだというが、どの支配地域が交換されたのかについては明らかではない。

ただし、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は、9日にダイル・ザウル軍事評議会の主導のもとに「ジャズィーラの嵐」作戦の開始を発表、また米中央軍も同様の声明を出し、10日にはダイル・ザウル市北部のユーフラテス左岸に位置する工業地区にまで到達している。

syria.liveuamap.com, September 11, 2017

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ロシアのラヴロフ外相「サウジアラビアはシリア危機を解決しようとしている」(2017年9月11日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はヨルダンを訪問し、首都アンマンで国王アブドゥッラー2世、アイマン・サファディー外務大臣と会談した。

複数の消息筋によると、会談では、シリア情勢への対応について具体的な協議がなされた模様。

ラブロフ外務大臣は、会談後のサファディー外務大臣との共同記者会見で、米国、ヨルダンとの合意に基づいてシリア南西部に設置された緊張緩和地帯の停戦状況について、「今のところ守られている」と強調する一方、「テロとの戦い」については、多重基準を排除、「テロとの戦い」を口実とした内政干渉を行わないという点でヨルダン政府と一致していると述べた。

一方、サウジアラビアについて、ラブロフ外務大臣は「サウジアラビアはシリア危機の解決をめざしていると考えている。それはアスタナ・プロセスの当初において確認されている…。プロセス開始後、我々はサウジアラビアから、この枠組みを支援し、緊張緩和地帯設置で協力する用意があるとの打診を受けている」と述べた。

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YPG主体のシリア民主軍はラッカ市の70%をダーイシュから解放(2017年9月11日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍司令官の一人ルージダー・ファラート氏は、ANHA(9月11日付)に対して、ラッカ市の70%をダーイシュ(イスラーム国)から解放したと発表した。

ANHA, September 11, 2017

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『ハヤート』(9月12日付)は、ダイル・ザウル県の部族代表らが、ダイル・ザウル軍事評議会が主導する西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の後援を受け、ダーイシュ(イスラーム国)撤退後の自治を担うための民政評議会の設置を検討している、と伝えた。

部族長やシャイフらは「ダイル・ザウル民政評議会準備委員会」の名で声明を発表、彼らは11日、ダイル・ザウル民政評議会を設置するための基礎、起点を検討するための準備委員会を発足させたことを明らかにした。

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イスラーム軍とラフマーン軍団がアル=カーイダとの協力関係をめぐって非難の応酬(2017年9月11日)

ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続けるイスラーム軍は声明を出し、同じく同地で活動を続けるラフマーン軍団に対して、アル=カーイダ系組織のシャーム解放機構との関係を絶つとした合意を順守するよう求めた。

そのうえで、24時間以内にこの求めに応じない場合、イスラーム軍はラフマーン軍団との間に交わした合意を放棄すると警告した。

Kull-na Shuraka’, September 11, 2017

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これに対して、ラフマーン軍団も声明を発表し、合意はラフマーン軍団とイスラーム軍ではなく、ラフマーン軍団とロシア軍の間で交わされたものだとしたうえで、シャーム解放機構との関係を維持しているとの主張は、「メディアを通じた隠蔽、揺さぶり、誇張」だと反論した。

クッルナー・シュラカー(9月11日付)が伝えた。

Kull-na Shuraka’, September 11, 2017

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シリア軍はダーイシュとの戦闘の末ハマー県東部のマスウード村を制圧(2017年9月11日)

ハマー県では、SANA(9月11日付)によると、シリア軍が県東部でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討作戦を継続し、マスウード村を制圧した。

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ダルアー県の変電所から電力供給停止、その理由をめぐり情報錯綜(2017年9月11日)

ダルアー県では、SANA(9月11日付)によると、反体制武装集団がヒルバト・ガザーラ町にある変電所を砲撃し、施設が利用不能となった。

一方、クッルナー・シュラカー(9月11日付)は、シリア政府所轄のダルアー県電力局が、西ガーリヤ村にある変電所一帯からの反体制武装集団の撤退を求め、ダルアー市東部郊外一帯の電力を遮断したと伝えた。

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ダルアー県で活動するムウタッズ・ビッラーヒ軍(自由シリア軍南部戦線革命軍所属)は声明を出し、ハーリド・ナーブルスィー氏の後任として、バラー・ナーブルスィー大尉を新司令官に任命したと発表した。

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ロシアのショイグ国防大臣は国際社会に対して避難民への人道支援と難民帰還に向けてこれまで以上に取り組むよう呼びかける(2017年9月11日)

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表宛てに書簡を送り、シリア国民を支援するために国際社会の取り組みを集中させる必要があると呼びかけた。

ショイグ国防大臣は書簡のなかで、ロシア軍の支援を受けたシリア軍によって、シリア領内の大部分がテロ集団の支配から解放されたとしつつ、米国をはじめとする有志連合各国が不法に占拠し、拠点化しているヒムス県タンフ国境通行所一帯、ダーイシュ(イスラーム国)の支配を脱してまもないハマー県東部のウカイリバート町一帯に設置された収容キャンプで6万人近くの避難民が、食糧1,000トン以上、医療物資80トン以上の支援を必要としていることを明らかにした。

また、国際社会に対して、シリア国外での生活を余儀なくされている数十万人の難民の帰還を促すためさらなる取り組みを行う必要があると強調した。

なお、ロシア国務省のHP(http://syria.mil.ru/en/index/syria/list.htm)には、シリア政府支配地域および緊張緩和地帯において、支援を必要としている都市町村の県別一覧表(9月9日付)が公開されている。

Ministry of Defence of Russia, September 11, 2017
Ministry of Defence of Russia, September 11, 2017

AFP, September 11, 2017、ANHA, September 11, 2017、AP, September 11, 2017、ARA News, September 11, 2017、Champress, September 11, 2017、al-Hayat, September 12, 2017、Kull-na Shuraka’, September 11, 2017、al-Mada Press, September 11, 2017、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 11, 2017、Naharnet, September 11, 2017、NNA, September 11, 2017、Reuters, September 11, 2017、SANA, September 11, 2017、UPI, September 11, 2017などをもとに作成。

 

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは3件の停戦違反を、トルコ側は7件の違反を確認(2017年9月11日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(9月11日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(アレッポ県1件、ハマー県1件、クナイトラ県1件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも7件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県5件、ハマー県2件)の停戦違反を確認したという。

ほとんどの停戦違反は、ダーイシュ(イスラーム国)、シャーム解放機構の支配地域として登録されている地域で発生したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, September 11, 2017をもとに作成。

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米主導の有志連合は9月10日、ラッカ市などに対して34回の爆撃を実施(2017年9月11日)

米中央軍(CENTCOM)は、9月10日のシリア、イラク両国における有志連合の空爆の戦果をHPで発表した。

それによると、有志連合は両国領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して78回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は38回で、ブーカマール市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(3回)、ラッカ市近郊(34回)で実施された。

なお、9月9日の空爆実績は発表されなかった。

CENTCOM, September 11, 2017をもとに作成。

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