中国を訪問中のアサド大統領が習近平国家主席と会談、両国の戦略的関係を前進させると表明(2023年9月22日)

アサド大統領は、第19回アジア競技大会(9月22~25日)の開会式に合わせて訪問中の中国の浙江省杭州市で習近平国家主席と首脳会談を行い、両首脳はさまざまな分野において両国の戦略的関係を前進させると表明した。





会談において、アサド大統領は、今回の訪問が多極的世界の形成が世界のバランスと安定を回復させるなかで、重要で時宜を得たものだとしたうえで、みなが明るく有望な未来のため、この瞬間を見届けねばらならないと述べた。

アサド大統領の主な発言は以下の通り。

私は、今日の会談がさまざまな分野で広範かつ長期的な戦略的協力を確立し、中国が築いてきた多くの架け橋を補完するさらなる協力の架け橋となることを期待している。
私は、国際社会における中国の政策の基礎をなし、なおかつ各国の独立、諸国民の意思の尊重、テロ撲滅に根ざした法的、人道的、道徳的原則に基づき、諸国民の大義に寄り添う中国を訪問できたことへの幸福を表明したい。中国は、シリアに対する戦争の被害を軽減する上で大きな役割を果たてくれた。
これらの原則は、ほとんどの諸国民が信じている普遍的な原則である。それゆえに、グローバル文明イニシアチブ、グローバル安全保障イニシアティブ、そして紛争ではなく、統合を通じてすべての人々に安全と発展を実現しようとする一帯一路構想に具体化されたグローバル開発構想といった貴国のイニシアチブへの世界的且つ広範な支持が存在する。
シリアは国際社会における中国の建設的な役割を注視し、これを弱体化させようとするあらゆる試みを拒否する。また南シナ海に緊張を作り出し、東南アジアの安定を打ち崩そうとする域内同盟結成に向けたあらゆる試みを拒否する。
中国は大国で、発展し、経済的にも強い国だが、ほかの先進国とは異なり人間性を失っていない。それどころか、政治の場においてバランスをもたらすうえで大きな役割を担っており、協力と相互利益に基づいた開発の新たな道を作り出そうとしている。両国は共通の原則によって結びついている。それゆえ、シリアは中国の忠実は友人であり続ける。
シリアは、人類の安全な未来を保障しようとする習近平国家主席が推し進めるすべてのイニシアチブを支援し、一つの中国という原則を堅持したい。
シリア、ウクライナ、南シナ海に違いはない。西側は諸国を混乱させるためこれらの地域を利用している。それゆえ、我々は、道徳と中国が認めた協力関係に基づくソフトパワーをもって軍事力の原則に対抗せねばならない。
個人的に、シリア国民に寄り添ってくれている中国政府に謝意を示したい。友好的な中国国民が、さらなるグローバルで、文明的で、人道的な勝利を実現することを願っている。

これに対して、習国家主席は、今回の会談が、不安定要素に満ちた国際情勢に直面する二国間の関係の歴史の分岐点として位置づけられると評価したうえで、以下の通り述べた。

中国は、一帯一路構想の枠組みのなかでシリアとの協力関係を強化し、シリアが上海条約機構に対話パートナーとして参加することを支援したい。また、外国の干渉に対抗するシリアの取り組みをしっかりと支援し、シリア領内における違法な部隊駐留を拒否する。さらに、諸外国に対して、違法な制裁や経済封鎖の解除を求めるとともに、テロ撲滅に向けたシリアの能力構築を支援したい。

首脳会談では、経済協力、経済開発分野の協力、一帯一路構想にかかる協力計画など、両国間の協定・覚書について協議が行われ、同席したファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣と王毅外交部長、ムハンマド・サーミル・ハリール経済対外通商大臣と中国国家発展改革委員会(NDRC)の何立峰主任が調印を行った。

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首脳会談後、両国は両国戦略パートナーシップ関係構築にかかる共同声明を発表した。

声明においては、シリアによる一つの中国の原則支持、台湾における中国の主権支持、中国への内政干渉拒否、新疆ウイグル自治区における中国の姿勢とテロ撲滅への支持、一帯一路構想の支持、中国によるシリアの独立、主権、領土保全の支持、内政干渉拒否、外国軍の違法な駐留拒否、違法な一方的措置の解除支持などが確認された。

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SANA(9月22日付)が伝えた。

AFP, September 22, 2023、ANHA, September 22, 2023、al-Durar al-Shamiya, September 22, 2023、‘Inab Baladi, September 22, 2023、Reuters, September 22, 2023、SANA, September 22, 2023、SOHR, September 22, 2023などをもとに作成。

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