米軍戦闘機などがダイル・ザウル県のブーカマール国境通行所、ユーフラテス川西岸を爆撃する一方、「イランの民兵」も県内の米軍基地を狙って砲撃(2023年10月30日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、所属不明の有人戦闘機複数機が早朝、ブーカマール国境通行所(イラク側はカーイム国境通行所)を経由してイラクからシリアに入国した車列を狙って爆撃を行い、貨物車輛3輌が破壊された。

車列はブーカマール国境通行所から数十メートルの場所で被弾した。

死傷者で出たとの情報はないという。

ロイター通信(10月30日付)によると、10輌の貨物車輛からなる車列が爆撃を受けたほか、「イランの民兵」が使用しているビルも被弾した。

マヤーディーン・チャンネル(10月30日付)は、複数筋の話として、爆撃は米軍の無人航空機(ドローン)多数によって行われ、食料品や清掃道具を積んだ貨物車輛や冷蔵車輛が狙われ、6~7輌の車輛が損害を受けたと伝えた。

また、これに対する報復として、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるウマル油田に設置されている米軍の基地に対してロケット弾15発が撃ち込まれたと伝えた。

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シリア人権監視団によると、米主導の有志連合がシリア政府の支配下にあるユーフラテス川東岸のタービヤト・ジャズィーラ村、ムッラート村にある「イランの民兵」の陣地複数ヶ所を爆撃、ロケット弾発射台複数基が破壊された。

この爆撃を受けるかたちで、シリア政府の支配下にあるユーフラテス川西岸から、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にある東岸のCONOCOガス田に設置されている米軍基地を狙って砲撃が行われ、ロケット弾4発が着弾し、複数回の爆発が発生、兵站物資などを積んだ米軍の車列が基地への進入を阻止された。

この攻撃に関して、イラク・イスラーム抵抗は午後12時半頃、テレグラムのアカウント(https://t.me/elamharbi/55)を通じて声明を出し、CONOCOガス田の米軍基地に対して多数のロケット弾を発射し、直接の被害を与えたと発表した。

AFP, October 30, 2023、ANHA, October 30, 2023、‘Inab Baladi, October 30, 2023、Qanat al-Mayadin, October 30, 2023、Reuters, October 30, 2023、SANA, October 30, 2023、SOHR, October 30, 2023などをもとに作成。

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