レバノンのヒズブッラーのナスルッラー書記長はビデオ演説を行うなか、イスラエル軍のレバノン南部への攻撃続く(2023年11月3日)

レバノンのヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、首都ベイルート郊外のダーヒヤ地区に集まった支持者らを前にビデオ演説を行った。

演説での主な発言は以下の通り。

レバノンへの攻撃や先制作戦の実行を考えている敵に対して、我々は言いたい。それはレバノン建国以降、史上最大の愚行になる、と。

あらゆる選択肢が用意されており、いつでもそれに訴えることができる…。両国境界地帯での戦闘は、これまでのような規模にとどまるることはない。

我々が戦闘に参加すると発表するつもりだと言う人もいた。だが、我々は10月8日からすでに戦闘に参加している。

敵であるシオニストに対し、民間人を標的とした攻撃を強行しないよう警告する。攻撃を強硬すれば、「民間には民間を」のルールに従うことになる。

南部戦線での事態の進展は、ガザ地区での事態の経過や進展、そしてレバノンに対するシオニストの敵の行動に関連している。

レバノンの前線で今起きていることは、7月戦争(2006年のレバノン紛争)の時にすら起きていなかったような事態だ…。我が国の前線で起きていることはきわめて重要で、多方面に影響を与え得る。

とはいえ、我々は妥協するつもりはない…。我々の前線で起きていることは大したことないと考える者もいるだろうが、客観的に見れば、それが非常に重要で大きな意味を持っていることが分かるはずだ。

地中海における米国艦隊に我々は怯えていない。我々は我々を脅迫する艦隊に対抗する用意がある。地域戦争を阻止したい者は、ガザ地区への侵略を直ちに止めなければならない。

お前たち米国人は、ガザ侵略を止めることができる。それはそれはお前たちの侵略だからだ。

この偉大で祝福された戦い(「アクサーの大洪水」作戦)の決定は、100%パレスチナ側によるものだ…。これは純粋にパレスチナの戦闘であり、地域や国際的な問題とは何の関係もない。

イランはレバノンとパレスチナでの抵抗運動支持を公言しているが、両国に対していかなる覇権も行使していない。

我々が自らの責任を果たし、立ち直り、忍耐を続けることで、確実な勝利が得られるだろう。ガザ地区もパレスチナも勝利し、我々は間もなくそれを祝うために集まるだろう。

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イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ報道官はX(旧ツイッター)のアカウント(https://twitter.com/avichayadraee)で以下の通り発表した。

午前10時42分、前日に破壊分子セルを粛清、ヒズブッラーのインフラを破壊するとともに、夜間にイスラエル領内に対戦車ミサイルを発射しようとした破壊分子セルに攻撃を加えた。また、ルース山の陣地を攻撃した無人航空機(ドローン)1機を撃墜した際にイスラエル軍兵士1人が負傷した。

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ナハールネット(11月3日付)によると、イスラエル軍はレバノン南部のクーズィフ村、ラーミヤ村、ヤールーン村、アイター・シャアブ村(いずれもナバティーヤ県ビント・ジュバイル郡)一帯を砲撃した。

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AFP(11月3日付)は、10月8日以降のレバノン南部とイスラエル北部での戦闘でレバノン人の死者が71人に達していると伝えた。

AFP, November 3, 2023、ANHA, November 3, 2023、‘Inab Baladi, November 3, 2023、Naharnet, November 3, 2023、Qanat al-Manar, November 3, 2023、Reuters, November 3, 2023、SANA, November 3, 2023、SOHR, November 3, 2023などをもとに作成。

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