シリア人権監視団は、複数筋から得た情報だとして、共和国護衛隊の部族問題局の士官だというA.M.大尉が、4月末にダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア地域民主自治局)の支配下にあるダイル・ザウル県ユーフラテス川東岸地域での人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍への攻撃を続ける地元武装集団(部族民兵)を指導するアカイダート部族の族長であるイブラーヒーム・ハフル氏と政府支配下のアシャーラ市で会談していたと発表した。
同筋によると、ユーフラテス川東岸でのシリア民主軍の陣地などへの攻撃は、フィラース・ジャッハーム氏が率いる部族軍が、国防隊のメンバー(地元武装集団)多数を加入させ、ダイル・ザウル民政評議会支配地各所に展開させ、これを全面支援することで激化した。
同筋によると、国防隊のメンバー(地元武装集団)は、レバノンのヒズブッラーや「イランの民兵」の指示を受けて、ユーフラテス川東岸での治安を不安定化させようとしているという。
なお、ハフル氏は4月15日にも、親政権の部族民兵のバーキル旅団を率いるナウワーフ・ラーギブ・バシール氏、ブーサラーヤー部族の名士の1人アブドゥッラー・シャッラール・アブドゥッラー氏と、政府支配下のハリータ村にあるアブドゥッラー氏の家で会談していた。
この会談において、ハフル氏は、ユーフラテス川河畔の密輸用の通行所を掌握するため、アブドゥッラー氏に対して、部族の男性らを、ライス・バシール氏が率いる部族軍に参加させ、武力を強化するとともに、ユーフラテス川東岸に多数のセルを派遣するよう要請した。
だが、この要請は、ブーサラーヤー部族の族長であるムハンナー・ファイヤード氏によって拒否されたという。
AFP, May 2, 2024、ANHA, May 2, 2024、‘Inab Baladi, May 2, 2024、Reuters, May 2, 2024、SANA, May 2, 2024、SOHR, May 2, 2024などをもとに作成。
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