ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍所属と見られる無人航空機1機が午前5時頃、サイイダ・ザイナブ町から数キロの距離にある、ダマスカス国際空港に至る街道を走行中の車1台を攻撃、車は炎上、乗っていたイラクの人民動員隊に所属するヒズブッラー大隊の司令官1人が死亡、護衛が負傷した。
2人は、ダマスカス国際空港に至る街道沿線に設置されているヒズブッラー大隊の指揮所から、同大隊が所有する休憩施設に向かう途中に狙われた。
シリア人権監視団が得た情報によると、殺害された司令官の氏名は、ムハンマド・アリー・ハッファージー(アブー・ハイダル)、40歳代で、カルバラー県カルバラー郡アウン区出身。
シリアの砂漠地帯からイスラエル占領下のゴラン高原に対する無人航空機による攻撃作戦の責任者だという。
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イスラエル放送協会(9月20日付)も、シリアやレバノンのメディア、カタールのアルジャズィーラ・チャンネル、サウジアラビアのハドス・チャンネルなどが、ダマスカス国際空港に至る街道で「要人」1人が乗った車をイスラエル軍が爆撃、この要人と同乗していたと護衛1人が死亡、ダマスカスの複数筋はヒズブッラー大隊の司令官が殺害されたと報じたと伝えた。
また、イラクの民兵に近いニュース・サイトはシリア治安筋の話として、攻撃はダマスカス郊外県の住宅地にある司令部に対して2発のロケットで行われ、イラク人のアブー・ハイダル・ハッファジーが殺害されたと報じたと付言した。
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これに対して、スプートニク・アラビア語版はテレグラムのアカウント(https://t.me/Sputnik_Arabic/)を通じて、以下の通り報じた。
治安筋は、シリアの「スプートニク」特派員に対し、「ダマスカス国際空港に至る街道で車輛を狙ったイスラエルの攻撃に関する報道や流布されている情報は事実ではない」と述べた。
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シリア人権監視団によると、イスラエル軍の攻撃は、9月に入って4回目、今年に入って67回目(うち50回が航空攻撃、17回が地上攻撃)、これにより142あまりの標的が破壊され、軍関係者211人が死亡、144人が負傷しているという。
同監視団によると、軍関係者の死者内訳は以下の通りである。
イラン人(イラン・イスラーム革命防衛隊):24人
ヒズブッラーのメンバー:43人
イラク人:19人
「イランの民兵」のシリア人メンバー(カーティルジー・グループ社も含む):59人
「イランの民兵」の外国人メンバー:17人
シリア軍将兵:46人
身元不明者:3人
また、民間人も23人(女性4人と子供1人を含む)が死亡、36人あまりが負傷している。
攻撃の県別内訳は以下の通りである。
ダマスカス県、ダマスカス郊外県:25回
ダルアー県:16回
ヒムス県:10回
クナイトラ県:8回
タルトゥース県:3回
ダイル・ザウル県:1回
アレッポ県:2回
ハマー県:4回
AFP, September 20, 2024、ANHA, September 20, 2024、‘Inab Baladi, September 20, 2024、Makan, September 20, 2024Reuters, September 20, 2024、SANA, September 20, 2024、SOHR, September 20, 2024などをもとに作成。
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