米国のヒューマン・ライツ・ウォッチは、イスラエルのレバノンへの攻撃激化を受けて、レバノンからシリアに逃れたシリア人が逮捕、拷問、拘留中の死亡といった抑圧の危険に晒されていると主張した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチが発表したレポートによると、2024年9月末以降、少なくとも4人の帰還シリア人が当局に逮捕されているという。
レポートはまた、ヒューマン・ライツ・ウォッチがレバノン在住のシリア人3人、帰還後に当局によって逮捕されたという5人の親戚を含むシリア人8人、シリア人人権研究者2人に対して行ったというインタビューの内容についても紹介している。
それによると、逮捕されたという5人のうち2人はヒムス県ダブースィーヤ国境通行所で、2人はアレッポ県とイドリブ県の県境の検問所で、軍事情報局によって逮捕されたという。
このうちの1人は、元シリア軍兵士で、13年間にわたってレバノンで暮らていたが、イスラエルの攻撃が激化するなかで、避難勧告を受け、10日、レバノン国内で路上生活をしたのち、10月7日に妻と4人の子供を連れて、ダブースィーヤ国境通行所を経由してシリアに避難した。
妻によると、この男性は予備役に服していなかったが、シリア政府の恩赦の対象となり免罪されると考えていたが、国境通行所で軍事情報局に逮捕されたという。
また、別の1人(34歳の男性)は、リビア行きのビザ取得に失敗した後、ダブースィーヤ国境通行所を経由して10月7日にシリアに帰還、その場で軍事情報局に逮捕されたという。
さらに、27歳の男性2人は、兵役忌避で逮捕されることを恐れ、密輸業者に金銭を支払い、シリアに密入国したが、アレッポ県とイドリブ県の県境の検問所で軍事情報局によって、同行していた2人とともに逮捕された。
2人の逮捕を家族に知らせたのは密輸業者。
業者は当局と釈放交渉を行っているとしたうえで、釈放するには1人につき、1,000ドルを支払うことを求められていると家族に伝えたという。
なお、シリア人権ネットワークによると、9月以降、レバノンから帰国したシリア人26人が逮捕されているという。
AFP, October 30, 2024、ANHA, October 30, 2024、‘Inab Baladi, October 30, 2024、Reuters, October 30, 2024、SANA, October 30, 2024、SOHR, October 30, 2024などをもとに作成。
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