2013年4月18日のシリア情勢

国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がクサイル市北部のダブア航空基地の大部分を制圧、地元調整諸委員会によると、MiG戦闘機2機、戦車2輌を含む大量の武器弾薬を奪った。

しかし、政府を支持する活動家によると、軍はダブア航空基地から近隣の大隊本部に撤退したため、「破壊された戦車しか発見できなかった」という。

一方、ヒムス県では、SANA(4月18日付)によると軍がアーバル市の反体制武装集団の掃討を完了、同市を奪還・制圧した。

またタッル・シャンナーン村、シターヤ村、ヒムス市ジュッブ・ジャンダリー地区、ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、アイン・ダナーニール氏、ダール・カビーラ村などで軍が、反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ムカイラビーヤ市、ウタイバ村、バイト・サフム市などで軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(4月18日付)によると、マルジュ・スルターン村郊外、アドラー市、ハラスター市、タッル・クルディー町郊外、ザーキヤ地方、ダイルハビーヤ地方、スバイナ町などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、カーブーン区、ヤルムーク区が砲撃を受けた。

一方、SANA(4月18日付)によると、ジャウバル区で軍が反体制武装集団の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍がジスル・シュグール市からバーブーリーン村方面に増援部隊を派遣した。またハーミディーヤ航空基地周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(4月18日付)によると、ジャーヌーディーヤ地方、カトルーン地方、アイン・シュグル地方、マアッラトミスリーン市、ビンニシュ市、サラーキブ市、ジスル・シュグール市、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハッターブ村に軍が突入、タイバト・イマーム市に迫撃砲弾が着弾した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のサーフール地区、スライマーン・ハラビー地区、アーミリーヤ地区、ダイル・ジャマール村、アアザーズ市などで軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(4月18日付)によると、マンナグ村、アルカミーヤ村、アイン・ダクナ村、カフルハーシル村、カフルアントゥーン市、タナブ村、アナダーン市、フライターン市、ウワイジャ地区、ナイラブ村、ドゥワイリーナ市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、ブスターン・カスル地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーライル村が砲撃を受けた。

一方、SANA(4月18日付)によると、マリーイーヤ村、フサイニーヤ町、ダイル・ザウル市労働者住宅地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、反体制活動家らによると、第17師団本部周辺に軍が空爆を行った。

シリア政府の動き

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、安保理会合で、「シリア政府は、テロ組織が盗んだ石油を買うなどの手段でシリアでのテロに資金援助をする者すべてを安保理で追及する…。今日から、西側のどの政府にも、自国民が国境を越えてシリアに入り、流血に加担するのを無視することを正当化する口実はない」と述べ、欧米諸国の反体制武装集団への支援を批判した。

またジャアファリー国連代表は、イスラエルがゴラン高原の兵力引き離し地域を経由してテロリストがシリア国内に潜入するのを支援していると断じ、批判した。

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『ハヤート』(4月19日付)は、西側外交筋の話として、ファイサル・ミクダード外務副大臣がヨルダンを秘密裏に訪問し、ナースィル・ジャウダ外務大臣やヨルダンの治安当局高官と会談、アル=カーイダおよび過激集団の危険はシリアだけでなく、隣国にも及ぶとの警告のメッセージを伝えたと報じた。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立はアサド大統領のインタビュー(18日付)に関して、「現実から隔絶されている」と述べ批判した。

諸外国の動き

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はBBC(4月18日付)に対して、「我々は中東のパワーバランスを変更する特殊兵器がテロリストの手に落ちることを懸念している。こうしたことが起きることを阻止するために行動する権利を持っている」と述べた。

また「我々は必要とあれば、自衛する用意がある。私が言っていることがバランスのとれた真剣なものだということを皆が分かっていると思う…。我々が懸念している主な兵器はシリアに実際に存在する兵器だ。つまり対空兵器、化学兵器、そしてゲームを変更するかもしれない非常に危険な兵器だ」と強調した。

そのうえで「こうした兵器は、中東のパワーバランスの条件を変更し、世界レベルでテロの危険をもたらすだろう。我々の国益とは自衛だが、それは他の国の国益でもあると考えている」と付言した。

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ヨルダンのムハンマド・ムーマニー内閣報道官は「シリア危機が安全保障に悪影響を与えるなか、米国防総省は約200人の兵士を我が国領土に展開させることを提案した」と述べた。

ムーミニー報道官はしかし「シリア情勢への王国の姿勢は変わらず、軍事介入に反対し、包括的な政治的解決を呼びかけている」としたうえで、米国兵士の派遣が両国間の通常の軍事協力関係の一環をなし、シリア情勢とは関係がないと強調した。

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チャック・ヘーゲル米国防長官は上院の軍事委員会で、シリア国内での化学兵器使用の有無に関して、「この問題は非公式会合で検討すべきだ」と述べ、明言を避けた。

マーティン・デンプスィー米陸軍参謀長も同じく上院軍事委員会で、「メディアで情報が流れている…。しかしこの委員会ではこれ以外のことは言うことはできない」と明言を避けた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は欧州議会外交委員会で「(シリア)情勢を放置すれば、シリアは解体の危険に向かい、その分裂は地域レベルで悪影響をもたらす」としたうえで、「こうした状況が生じれば、過激派が勝者となるだろう」と警鐘を鳴らした。

ファビウス外務大臣はまた「アル=カーイダに属す過激な組織がパワーバランスの中心を獲得すれば、不安定化の危険がヨルダン、レバノン、トルコ…、さらにはアラブ・イスラエル紛争にも及ぶということを考えねばならない」と述べた。

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「ロシア2013」フォーラムに参加中の英国のトニー・ブレア前首相は、記者団に対して、「シリアを脅かす危険は…解体の危険であり、地域全体に大きな影響を及ぼすだろう。事態はシリア領内にとどまらない」と警鐘を鳴らしたうえで、国際社会がシリアの統合を保証するための合意を行うべきだと述べた。

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ロシアの複数のメディアが伝えたところによると、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の進退に関して、「政府と反体制勢力の対話実施という任務を彼に与えた二つの組織のうちの一つ(アラブ連盟)が、対話支援という方針を修正し、ダマスカスの当局が正統でなく、シリア革命反体制勢力国民連立がシリア国民の唯一の正統な代表だと宣言したあとで…、どのように振る舞うことができようか?」と述べ、辞任の可能性もあると示唆した。

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国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、シリア情勢に関して「戦闘を行う当時者たちは、民間人の声明を完全に無視している…。ダイル・ザウル市、ハマー市、イドリブ市、ヒムス市は瓦礫と化し、アレッポも破壊し尽くされている」と非難した。

アモス事務次長は、国外避難民が130万人、国内避難民が425万人に達しているとしたうえで、衛生状態の悪化に懸念を示す一方、シリア政府の支援受け入れ措置の遅れが、人道活動の障害になっていると批判した。

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レバノンのナウワーフ・サラーム国連代表は安保理で、シリア領内の国境地帯で戦闘地域から離れた場所に避難民キャンプを設営することを検討すべきと提案した。

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UPI(4月18日付)によると、リビア国防省法務担当官のハイサム・ウバイディーは、自由シリア軍がリビア領内に訓練センター持っていないとしつつ、旧暫定国民評議会や革命家たちが、シリアでの「革命」に共鳴し、シリア人とともに、軍事・人道支援を行っていると述べた。

またリビア軍参謀本部のアリー・シャイヒー報道官は、リビア当局の認可を受けて解説された自由シリア軍の事務所はない、と述べた。

AFP, April 18, 2013、Akhbār al-Sharq, April 18, 2013、al-Ḥayāt, April 19, 2013、Kull-nā Shurakā’, April 18, 2013、Kurdonline, April 18, 2013、Naharnet, April 18, 2013、Reuters, April 18, 2013、SANA, April 18, 2013、UPI, April 18, 2013などをもとに作成。

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