2013年4月17日のシリア情勢

アサド大統領のインタビュー

アサド大統領はシリア独立記念日(4月17日)に合わせてイフバーリーヤ・チャンネルのインタビューに応じた。

http://www.youtube.com/watch?v=DS-hARtOMsM
http://www.youtube.com/watch?v=W1W45xdBOqk
http://www.youtube.com/watch?v=pJ99eG2rj9s
http://www.youtube.com/watch?v=iYCPIfx4FY8

SANA, April 17, 2013

SANA, April 17, 2013

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り。

「シリアはあらゆる手段と方法を駆使した新たな植民地主義の試みに曝されていると思う。さまざまな国籍を持った者からなる外国の軍事勢力がシリアを侵略しようとしている。それは、新たな戦術によるもので、我々が新植民地主義と名付けていた伝統的な戦術と異なっている」。

「また思想的な侵略を通じて文化的にシリアを占領しようとする試みもある。これは、シリアを大国、とりわけ西側に従属させようとすること、そして不正に満ちたタクフィール勢力に従属させようとするという二つの方向からなっている」。

「今起きていることの真実は戦争だ。治安に関わる事件ではない」。

「大国、とりわけ米国は欧州においてでさえも独立性を持つ国があることを受け入れない…。シリアは非常に重要な地政学的な位置にある。それゆえシリアを支配したいという願望は、植民地主義諸国の政治において歴史的且つ伝統的なものだ。この戦いにおいて、これらの国が当初から、政治や報道といった面で支援を行う役割を担っている。最近になって、物資兵站支援を公然と行うようになっており、武器支援も行っていると思う」。

「今起きていることの真実は、我々がタクフィール主義勢力と対決しているということだ。(彼らは)大打撃を被り、一部の場所では消滅した。あるいは、もともとアル=カーイダの一部だったが、その傘下で活動するため強制的に移動させられた。我々は今実質的にタクフィール主義勢力と戦争を行っている」。

「どんな社会にも、狭量な思想を持った者からなる集団はいる…。こうした集団は危機が発生すると台頭する。彼らの有害な思想と行動を持って現れる…。これは1980年代のシリアにおいて、宗派主義的な思想を利用したムスリム同胞団の危機を通じて生じた…。彼らは宗派主義的な思想をもてあそぶことはできたが…、敗北後、シリアの状況は、シリア社会の本来の状態へと戻った」。

「我々が唯一よりどころとしているのはシリア国民の意思だ…。誇張せずにこう言うことができる。今のシリアは危機発生当初よりよくなっている。危機当初は、宗派主義的言説が利用され、病巣が顕著に表れ、多くの人々の間でこの点への懸念が生じ、バランスが失われた…。タクフィール思想、差別、宗派主義を広めようとする衛星報道による攻撃への…シリア国民の2年に及ぶ抵抗を経て、こう言いたい。シリア国民は偉大な国民であり、彼らへの懸念はない」。

(国内に「解放区」があるとの一部報道に関して、「伝統的な方法で敵が領土の一部を占領するためにやってきた場合、国軍はこの敵を攻撃し、祖国を防衛し、敵を放逐する…。こうした状態が領土解放である。しかし我々は全く異なった状況、新たな戦争、新たな方法に立ち向かっている。我々は都市の内部に入り込んだ集団に対処している。その一部はシリア人ではなく、外国人、アラブ人であり…、都市や街区に入り込み破壊活動を行っている…。我々は、解放区について云々するために領土解放作戦を行っていると言っているのではない。我々は今、テロ殲滅作戦を行っているのだ。この二つの違いは大きい。我々がテロリストを殲滅しなければ、シリア国内のいかなる地域を解放したとしても意味がない」。

「我々は宗派主義を恐れてはおらず、真に分裂をもたらすような根拠もないと考えている。分裂は、宗教的、宗派的、人種的な境界が必要だが、そうした地図は実質的には存在しない。なぜならシリア社会は、ほぼすべての地域において統合されているからだ…。(シリアが分裂していることを示すような)地図は、神経戦の一部であれ、我々が常に話している敗北の一部だ」。

(アレッポ市および郊外の分断に関して)「これは分裂という枠組みなかに位置づけられるものではない。人種や宗派に基づく境界線には基づいていない。テロリストがいる場所かどうかというということに基づいている」。

「エルドアンは、自分のために自分の国を差し出す((クルド国家の建設を認める)用意があるだろう。しかしシリアのクルド人に関して、私は繰り返し言っていることがある。シリアのクルド人はシリア社会本来の基本的な部分をなしている。彼らはこの地域に何世紀も前から暮らしてきた…。個人的な利益のために特定の問題を利用しようとする日和見主義者もいる。だから、シリアではクルド政党を名乗る多くの集団が立ち上げられ、彼らはいわゆるクルド問題やクルド人迫害について常に大げさにとりあげてきたという。しかしこうした言葉はまったく正しくない。彼らはクルド人の国籍取得について話してきた…。私が会った殉教者遺族のなかには多くのクルド人がいる」。

(世俗主義に関して)「我々は国家として、宗教に基づいて対処することはない。例えば、人々が仕事を得るためにやって来たとしても、我々はこの人が属する宗教や人種を問うことはない。宗教や人種に基づいて差別をしてはいけない。これがこの概念(世俗主義)だ。それは非宗教的な世俗主義でなくので、宗教には対立し得ない。また信仰の自由について言う場合、この世俗主義はさまざまな宗教を支持し、それに対立しない。まったく逆で、宗教は道徳であり、我々は道徳を必要としており、つまりは宗教を必要としている」。

(反体制勢力に関して)「テレビに出る度に違った言葉で話し、それぞれの段階で異なった言葉ではなす者がいる。こうした人々は愛国的な反体制勢力なのか…。動揺せずに安定していなければ愛国的たり得ない。我々は国家として、危機の初日から一つの言葉で語ってきた。我々はテロと戦う、外国から内政干渉しようとするものと戦う、と言ってきた…。それと同時に、我々は対話に向けて門戸を開いてきた。最初は対話を拒否したが、その後それに同意した勢力がいる。もし間違えていたら、我々は間違っていたと言って欲しい。我々の評価は間違っていたと…。危機の当初、私は演説を行い、間違いがあったと述べた。しかし彼らは発言を変えるだけだ」。

「我々が誰と対話するのかという質問がなされれば…、シリアには今多くの政党がある。依然として成長過程にある政党だが、愛国的で、態度を変えるような政党ではない。外国に頼ったりもしない。国内には愛国的な勢力がいる。愛国的なシリア人は多くいる…。国民を代表する愛国的な反体制勢力の地位にあると自称する者は、自分たち以外しか代表していないこを我々は知っている」。

「シリアがどのようになるか…という問題、反大統領制になるのか、これは国民が決めることだ。我々は国民が決めたことに同意する」。

「地域と私は別問題だ。つまり地位は政治体制に関わり、政治体制がすべての地位の権限を決定している…。一方、リーダーというのは…、個人に関わる問題だ。これは権限とは異なる。地位を求める者は軽蔑に値する。そう思っている。地位は単なるツールであって目的ではないとするなら、目的は個人が社会に対してプロジェクトを提示し、国民がそれを支持し、シリアにとってよりよい状態に至ることである。敵対的なメディアが概して言ってきたのは…、問題が国民によって拒否されたリーダーにあり、このリーダーがイスに固執し、そのために国民を殺しているというものであり…、それゆえ退陣問題が提起されている。しかし、地位には何の価値もないというのが真実であり、民衆の支持がなければ、地位が個人に何かを与えることはない…。だから言いたい…。国民が決めることが、大統領としてとどまるか、去るかの根拠となる」。

「我々は武器や装備を持った戦闘員やテロリスト数千人がヨルダンからやって来たのを目の当たりにした。我々は治安当局高官を1ヶ月ほど前に派遣し、ヨルダンの当局者と会談し、彼らに我々がもっているデータについて説明をした。しかし彼らはヨルダンが事件に関与したことを否定した。しかしこれは非論理的だ…。ヨルダンが昨年、パレスチナでレジスタンスを行おうとして軽武装しかしていなかった男一人を逮捕できたのに、(ヨルダン当局が関知しないかたちで)シリアに数千人が武装して入っているなどという信じることはできない」。

「武器をもって市民に敵対する者は、アル=カーイダであろうがなかろうが、みなテロリストだ…。一方、「穏健な武装勢力」は、米国民に対して自らの行為を正当化しようとする米国の手口だ」。

「西側があらゆる勢力を利用していることは真実だ。西側が対立している勢力であってもだ。その証拠に、彼らはアル=カーイダとマリで戦っているが、シリアやリビアでは支援してきた。シリアで戦っていたのと同じ過激派がリビアで支援を受けており、この戦闘員はマリの戦闘員を…支援している。これはいわゆる二枚舌、三枚舌、四枚舌だ…。西側は、自分たちが満足できない国に害を与えるためにどんなカードでも利用する。シリア情勢は、彼らにとって幸運だった。なぜならアル=カーイダがやってきたからだ。彼らはまず、リビアであれ、マリであれ、アフガニスタンであれ、それ以外の場所であれ、こうした勢力を放逐したかった。こうした勢力はシリアにやってきたため、他の地域の圧力が軽減した。しかしこれによって、シリアで誰が勝者になるかは別として、破壊がもたらされた。国家、アル=カーイダ、それ以外の誰かが勝つにせよ、結局シリアが高い代償を払うことになるだろう」。

「我々はシリアのインフラ、思想の破壊の結果を目の当たりにしている。たとえ国家が勝利したとしても、弱い国家になってしまうだろう。(アル=カーイダへの)支援を通じて西側がめざしているのはこうしたことだ。しかし同時に、西側は今、このテロが自分たちにいずれふりかかるだろうということを知らない…。彼らは事実、アフガニスタンのアル=カーイダを当初は支援し、高い代償を払った。今、シリア、リビアなどでアル=カーイダを支援し、欧米の心臓部で大きな代償を支払うことになろう。

「我々の前には勝利以外の選択肢はない。我々が勝利しなければ、シリアは終わってしまう。シリアのいかなる市民もこうした選択肢を受け入れるとは考えていない」。

国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(4月17日付)によると、ラアス・アイン市の反体制武装集団制圧地区で、民主連合党女性局の開設を呼びかけ街頭活動を行っていた車が発砲を受けた。

これを受け、民主連合党人民防衛隊が同地区に向かって進軍し、24時間以内にラアス・アイン市から退去するよう武装集団に求めた。

反体制武装集団に近い消息筋によると、発砲は「自由シリア軍」の命令によるものではなく、スライマーン・ハサクーが率いる武装集団の単独犯行だという。

一方、シリア人権監視団によると、ハサカ市、シャッダーディー市で、武装集団が女性1人を含む市民3人を殺害した。

また、ザマーン・ワスル(4月17日付)によると、マアシューク・ハズナウィー大隊のワラート・ムラード司令官と兵士6人が何ものかに誘拐された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、東ブワイダ市、アーバル市、クサイル市などで軍が反体制武装集団を攻撃し、反体制武装集団の司令官1人、戦闘員5人を含む18人が死亡した。

同監視団によると、これらの地域での戦闘において、ヒズブッラーを支持する武装集団が政府側について参加している、という。

一方、SANA(4月17日付)によると、タイバ村、タッルドゥー市、タッルダハブ市、ラスタン市、クサイル市、ダブア市、アーバル市、東ブワイダ市、ダミーナ市、ヒムス市ワーディー・サーイフ地区、ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、タドムル市郊外などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市空港周辺などでの軍との戦闘で、反体制武装集団のメンバー3人が殺害された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市、アレッポ市カラム・フーミド地区、サーフール地区、ブアイディーン地区、マサーキン・ハナーヌー地区などに対して軍が空爆を行い、外国人戦闘員らが死亡した。

一方、SANA(4月17日付)によると、ハンダラート・キャンプ(キンディー大学病院一帯)、タッル・アッジャール村、カフル・アントゥーン村、カフルハーシル村、アイン・ダクナ村、マッルアナーズ市、マーイル町、ハーン・トゥーマーン村などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャッアール地区、シャイフ・マクスード地区、マサーキン・ハナーヌー地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーッス村、マアッル・シューリーン村、サラーキブ市、バーラ村、ビダーマー町、カフルルーマー村などに対して軍が砲撃を加えて、子供1人を含む2人が死亡した。

一方、SANA(4月17日付)によると、サラーキブ市、ナイラブ村、マアッラトミスリーン市、サルミーン市、ジスル・シュグール市、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、ハーミディーヤ軍事基地周辺などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町、ウタイバ村、ダルーシャー村などで軍が反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(4月17日付)によると、アドラー市、ウタイバ村などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヤブルード市、ドゥーマー市、ハラスター市、ナバク市などで軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人旅団のメンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(4月17日付)によると、アッバースィーイーン地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾4発が着弾し、市民1人が死亡、17人が負傷した。

またジャウバル区で軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町、ワーディー・ヤルムークなどに軍が空爆を受け、反体制武装集団と交戦した。

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ラタキア県では、SANA(4月17日付)によると、ラビーア町、アティーラ村、ムライジュ村、リーシュ村、バイト・アワーン村、ハーン・ジャウズ村、ジュッブ・アフマル村、ズワイク村、ダグマシュリーヤ村などで軍が反体制武装集団の拠点を攻撃・破壊し、外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(4月17日付)によると、ウンム・ミール村、スーハ村で、軍がシャームの民のヌスラ戦線を殲滅した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長はフェイスブック(4月17日付)で、ムフティーを選出するための「シリア最高イスラーム評議会」を設置すべきだと綴った。

諸外国の動き

ロイター通信(4月17日付)などは、匿名外交筋の話として、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が自身の役割をアラブ連盟との関係のない国連特別代表とすることを望んでいる、と報じた。

同外交筋によると、ブラーヒーミー共同特別代表がアラブ連盟との関係を絶ちたいとの意向を持った主因は、連盟首脳会談でシリア革命反体制勢力国民連立がシリア代表の地位を与えられたことにあり、これにより中立的な仲介者としての役割が果たせなくなったと考えていたという。

しかし、国連の潘基文事務総長は、この報道に関して、記者団に関して、「ブラーヒーミーは共同特別代表として活動を続けるだろう。最も重要なのは、国連がアラブ連盟と共同で行動することだ」と述べ、否定した。

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ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣はトルコでアフメト・ダウトオール外務大臣と会談した。

会談でラヴロフ外務大臣は、シリアの友連絡グループに関して、「現時点で、我々はこのプロセスがジュネーブ合意にマイナスに作用すると考えている」と述べ批判した。

また「次回の協議で、我々は軍事介入に関わり、一当事者を孤立させるあらゆる措置を回避することを試みるだろう…。我々はすべての当時者を含む対話の基礎を作ることに集中している」と強調した。

さらに「反体制勢力の活動を停止させねばならない。そうすることで、シリアでの事態が悪い形で推移することを回避できるだろう」と付言した。

一方、ダウトオール外務大臣は、「シリアを中東・北アフリカから孤立させることはできない…。シリアの危機はトルコに大きな影響を与えるが、それは政権の暴力が理由で続いている」と述べた。

そのうえで「シリアはシリア国民のものであって、アサド大統領のものではない」と主張した。

AFP, April 17, 2013、Akhbār al-Sharq, April 17, 2013、al-Ḥayāt, April 18, 2013、Kull-nā Shurakā’, April 17, 2013、Kurdonline, April 17,
2013、Naharnet, April 17, 2013、Reuters, April 17, 2013、SANA, April 17, 2013、UPI,
April 17, 2013、Zamān al-Waṣl, April 17, 2013などをもとに作成。

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