シリア軍がタンフ国境通行所(ヒムス県)から撤退、ダーイシュ(イスラーム国)が同地を掌握(2015年5月22日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア政府がイラク国境に位置するタンフ国境通行所から撤退したのを受け、ダーイシュ(イスラーム国)が同国境通行所を制圧した。

タンフ国境通行所に面するイラク側のワリード国境通行所は、ダーイシュの攻撃を受けすでに閉鎖されていた。

これにより、シリア・イラク国境の通行所は、西クルディスタン移行期民政局が管理するヤアルビーヤ国境通行所を除いて、ダーイシュの支配下に入り、シリア政府はレバノン国境の国境通行所(6カ所)とハサカ県のカーミシュリー市の国境通行所を保持するのみとなった。

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なお、シリアと周辺諸国を結ぶ国境通行所の管理・支配状況は以下の通り。

1. 対ヨルダン国境

ナスィーブ・ジャービル国境通行所(ダルアー県):ヌスラ戦線、「自由シリア軍」南部戦線などが2015年4月に制圧。

ダルアー(旧税関局)・ラムサー国境通行所(ダルアー県):ジハード主義武装集団が2013年11月に制圧。

2. 対イラク国境

ヤアルビーヤ・ラビーア国境通行所(ハサカ県):2012年7月に「自由シリア軍」が制圧、その後シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が争奪戦を繰り広げ、2014年10月以降は西クルディスタン移行期民政局人民防衛部隊、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガが管理。

ブーカマール・カーイム国境通行所(ハサカ県):2012年11月に「自由シリア軍」が制圧、その後2014年7月にダーイシュ(イスラーム国)が掌握。

タンフ・ワリード国境通行所(ヒムス県):ダーイシュが2015年5月22日に制圧。またイラク側のワリード国境通行所はダーイシュ(イスラーム国)の攻撃を受け閉鎖。

3. 対トルコ国境

カサブ・ヤイラダーウ国境通行所(ラタキア県):シリア側のカサブ国境通行所はシリア政府が掌握しているが、トルコ側のヤイラダーウ国境通行所は閉鎖。

バーブ・ハワー・ジルヴェギョズ国境通行所(イドリブ県):シリア側のバーブ・ハワー国境通行所はアナトリア通信が言うところの「反体制勢力」が管理。

バーブ・サラーマ・オンジュプナル(アレッポ県):シリア側のバーブ・サラーマ国境通行所はアナトリア通信が言うところの「反体制勢力」が管理。

ジャラーブルス・カルカムシュ国境通行所(アレッポ県):シリア側のジャラーブルス国境通行所はダーイシュ(イスラーム国)が管理。

アイン・アラブ・ミュルシトプナル国境通行所(アレッポ県):シリア側のアイン・アラブ国境通行所は西クルディスタン移行期民政局が管理。

タッル・アブヤド・アクチャカレ国境通行所(ラッカ県):シリア側のタッル・アブヤド国境通行所はダーイシュ(イスラーム国)が管理。

ラアス・アイン・ジェイランプナル国境通行所(ハサカ県):シリア側のラアス・アイン国境通行所は西クルディスタン移行期民政局が管理。

カーミシュリー・ヌサイビン国境通行所(ハサカ県):シリア側のカーミシュリー国境通行所はシリア政府が管理し、国連の人道支援物資を搬入するために使用。

アイン・ディーワール・ジズレ国境通行所(ハサカ県):シリア側のアイン・ディーワール国境通行所は西クルディスタン移行期民政局が管理。

4. イスラエル占領下のゴラン高原

クナイトラ通行所:2014年8月にシャームの民のヌスラ戦線が制圧。

5. 対レバノン国境

ジュダイダト・ヤーブース・マスナア国境通行所(ダマスカス郊外県):シリア政府が管理。

ジュースィーヤ・カーラ国境通行所(ヒムス県):シリア政府が管理。

タッルカラフ国境通行所(ヒムス県):反体制武装集団がタッルカラフ市一帯を制圧。

ジスル・カマール・ワーディー・ハーリド国境通行所(ヒムス県):シリア政府が管理。

ダブースィーヤ・ウブーディヤ国境通行所(タルトゥース県):シリア政府が管理。

タルトゥース・アリーダ国境通行所(タルトゥース県):シリア政府が管理。

AFP, May 22, 2015、AP, May 22, 2015、ARA News, May 22, 2015、Champress, May 22, 2015、al-Hayat, May 23, 2015、Iraqi News, May 22, 2015、Kull-na Shuraka’, May 22, 2015、al-Mada Press, May 22, 2015、Naharnet, May 22, 2015、NNA, May 22, 2015、Reuters, May 22, 2015、SANA, May 22, 2015、UPI, May 22, 2015などをもとに作成。

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