各県で軍・治安部隊による空爆・浄化作戦が継続するなか、民主統一党のムスリム党首が「見にくい権力争いになりさがった」現下の反体制運動を批判(2013年1月5日)

Contents

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ナシャービーヤ町が軍の空爆を受けたほか、ハラスター市、シャブアー町、バイト・サフム市が砲撃を受けた。

またダーライヤー市での浄化作戦を終えた軍の戦車、装甲車などが、マッザ航空基地方面に撤退した、という。

一方、SANA(1月5日付)によると、ムライハ市、アルバイン市、ドゥーマー市、ハラスター市郊外などで軍が反体制武装勢力の掃討を継続し、ドゥーマー殉教者旅団メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

**

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、旧市街のバーブ・トゥーマー地区に迫撃砲1発が着弾した。

地元調整諸委員会によると着弾したのはジョルジュ・フーリー広場近くだという。

またシリア人権監視団によると、ルクンッディーン区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、10人が死亡、15人が負傷した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港を防衛する第80旅団本部周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月5日付)によると、カブターン・ジャバル村、アレッポ市イシャーラート地区、カルム・カーティルジー地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市のハイダリーヤ地区で、反体制武装勢力が略奪品の分配をめぐって撃ち合いとなり、13人の戦闘員が死亡、複数名が負傷した。

**

イドリブ県では、SANA(1月5日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

**

ダルアー県では、SANA(1月5日付)によると、ブスル・ハリール市・ラジャート高原間で軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

**

ヒムス県では、SANA(1月5日付)によると、ラスタン市郊外で、軍が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

反体制武装勢力の動き

シリア人権監視団は、イドリブ県で、軍と反体制武装勢力が双方の遺体の引き渡しのための交渉を行っている、と発表した。

同監視団によると、自由シリア軍は戦闘員1人の遺体に対して、殺害した軍兵士10人の遺体を返還する見込みだという。

彼らはワーディー・ダイフ軍事基地をめぐる攻防戦で戦死したのだという。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は『シャルク・アウサト』(1月5日付)のインタビューに応じ、そのなかで「現体制が去る、ないしは崩壊すれば、勝者どうしの殺し合いなど多くのことが祖国に起こるだろう」と述べた。

al-Sharq al-Awsat, January 5, 2013

al-Sharq al-Awsat, January 5, 2013

ムスリム共同党首はまた「シリア革命は民主的路線を逸脱し、見にくい権力争いになりさがった」と現下の反体制運動を批判した。

トルコとの関係については「我々の党はトルコと敵対していないし、同国のクルド問題に介入する意思はない。しかしトルコの方が全力でシリア情勢に介入している。我々はトルコが…我々の家々を血で汚すことを望んではいない。しかしこのことは、共通の利害のもとでのトルコとの協力を拒むことを意味しない」と述べた。

一方、シリア・クルド国民評議会との関係については、「問題は我々の側にあったのではない。問題は先方、すなわちシリア・クルド国民評議会とその加盟政党の側で生じ、そのことがクルド最高委員会を麻痺させた」と述べた。

自由シリア軍など反体制武装勢力については、「当初からクルド人は革命が平和的である必要があるとしてきた…。我々はデモの武装化を拒否してきた。なぜなら当初から、膨大な武器を保有しているのが政権側で…、武装闘争に入れば、外国からの武器供与が必要となるからだ。現在のような他人による意思や争点の押し付けを望んでいなかったため、我々はこれを回避してきた」と述べた。

諸外国の動き

イラクのアンバール県カーイム地方のファルハーン・ファティーハーン首長は、『ハヤート』(1月5日付)に対して、「イラク・シリア国境にシリア軍の駐留はない…。イラクに近いシリア国内の都市のほとんどは自由シリア軍の支配下にあり、国境のシリア側は無防備で、イラクの治安当局が真空を満たすための増援を余儀なくされている」と述べた。

ファティーハーン首長はまた「イラクのNGOが国境に近いシリアの各都市への人道支援を行っているが…、外国からの支援は届いていない」としたうえで、「シリア国境の治安上の混乱が…テロ集団の潜入に利する懸念がある」と不安を露わにした。

**

アイマン・ザワーヒリーの弟のムハンマド・ザワーヒリーは、『ハヤート』(1月5日付)の電話取材に応え、そのなかでシリア国内で反体制勢力との会談中に当局に逮捕されたとの一部情報を否定、「私はカイロの家にいて、シリアを訪問したことなどない」と応えた。

**

『ハヤート』(1月6日付)は、ロンドンの複数の消息筋の話として、国連事務総長がシリアへの平和維持軍の派遣に関して複数の国と協議を行っている、と報じた。

AFP, January 5, 2013、Akhbar al-Sharq, January 5, 2013、al-Hayat, January 5, 2013, January 6, 2013、Kull-na Shuraka’, January 5, 2013、al-Kurdiya
News, January 5, 2013、Naharnet, January 5, 2013、Reuters, January 5, 2013、SANA,
January 5, 2013、al-Sharq al-Awsat, January 5, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.