ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(兼副首相)は中国を訪問し、北京で王毅外交部長と会談した。
SANA(12月24日付)によると、会談で両国外相は、シリア紛争の解決の方途、中東情勢、そしてダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線を含むテロ集団との戦いに向けた取り組みについて意見を交わした。
両外相は、外国の干渉を排除したかたちでのシリア人どうしによる対話を通じて政治解決をめざすとともに、テロとの戦いに向けた行動を行う必要があることを確認したという。
ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリアの紛争の政治解決が「テロとの戦い」における勝利と結びついていると強調、国連安保理第2253号と第2254号に沿って国際社会が「テロとの戦い」と政治解決を並行させ行動することが世界的な優先課題となっていると述べた。
そのうえで、一部の外国がシリア国民の未来にかかわる権利を侵害しようとしていると指摘、こうした試みを拒否すると表明した。
これに対し、王外交部長は、「テロとの戦い」と紛争の政治的解決を連動させるべきだとのシリア側の姿勢を支持、中国が重要な役割を果たす用意があると述べた。
また、シリアへの人道支援を継続・拡大し、治安と安定の回復に向けてシリアと連携するとの意向を表明した。
一方、ロイター通信(12月24日付)によると、ムアッリム外務在外居住者大臣は、王外交部長に対して「我々(シリア政府)の代表団は、反体制派代表団の名簿を受け取り次第、外国の干渉を排除したかたちで、ジュネーブでのシリア人どうしの対話に参加する用意がある」としたうえで、「我々はこの対話が成功し、挙国一致政府樹立の助けになることを望んでいる。この政府は制憲委員会を設置し、新憲法、新選挙法の策定を検討し、約18ヶ月後を目処に国会選挙が実施されるだろう」と述べた。
なお、ウィーン・プロセスにおけるISSG(国際シリア支援グループ)の合意に対して、シリア政府、とりわけアサド大統領は西欧諸国のメディアとのインタビューで、「政治プロセスを始めようとするのであれば、それ(テロ撲滅)から始めねばならない」などと表明し、停戦プロセスと政治移行プロセスの同時進行をめざすウィーン・プロセスに難色を示してきた。
だが、ムアッリム外務在外居住者大臣の北京での発言は、シリア政府がこうした姿勢を軟化させ、国連安保理決議第2254号で確認されたウィーンでの合意内容を受諾したことを示唆している。
AFP, December 24, 2015、AP, December 24, 2015、ARA News, December 24, 2015、Champress, December 24, 2015、al-Hayat, December 25, 2015、Iraqi News, December 24, 2015、Kull-na Shuraka’, December 24, 2015、al-Mada Press, December 24, 2015、Naharnet, December 24, 2015、NNA, December 24, 2015、Reuters, December 24, 2015、SANA, December 24, 2015、UPI, December 24, 2015などをもとに作成。
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