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国内の暴力
イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市の南約12キロに位置するヒーシュ村で反体制武装勢力が、ハマー方面から進軍する軍・治安部隊の車列を未明に迎撃した。
この迎撃に際して、反体制武装勢力の戦闘員12人(ハマー出身)が死亡した、という。
車列は2日前にハマー県を発ち、約40輌の戦車や車輌からなる、という。
また反体制武装勢力が制圧をめざすワーディー・ダイフ基地に対して、シリア軍戦闘機が爆撃を行い、反体制武装勢力の戦闘員22人が負傷した。
このほか、基地に近いマアッル・シャムサ村も砲撃に遭い、3人が負傷し、また軍・治安部隊は、ハーン・シャイフーン市、ヒーシュ村、サルミーン市に対して地上および空から砲撃を加えた。
一方、SANA(10月13日付)によるとファールーキーヤ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。
またマアッラト・ニウマーン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を続け、サウジ人、トルコ人を含む数十人の戦闘員を殺害した。
シリア人権監視団は、ハーン・アサル村を空爆していたシリア軍の戦闘機が自由シリア軍の戦闘員によって撃墜された、と発表した。
またユーチューブ(10月13日付)に墜落したと思われる戦闘機の残骸の映像が公開された。
http://www.youtube.com/watch?v=rTavf_ZDGsc
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アーミリーヤ地区、イザーア地区、サラーフッディーン地区、アアザミーヤ地区、ザフラー地区、旧市街で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員4人が死亡した。
またアレッポ市のシャッアール地方に対して、軍・治安部隊は砲撃を加えた。
一方、SANA(10月13日付)によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー、アターリブ街道、ハーン・アサル村、ウマイヤ・モスク、フザイファ・モスク、ハール市場、スーク・フストゥク、バーブ・アンターキヤー、バーブ・ハディード、バーブ・ナイラブ、カッラーサ、カーディー・アスカル、ザバディーヤ、バーブ・ナスルといった地区、カフルダーイル村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、車などの装備を破壊した。
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AFP(10月13日付)は、反体制武装勢力が制圧したアレッポ県マンビジュ市で犯罪が増加、離反した警官や判事が資金不足のなかで治安維持にあたっていると報じた。
同市は7月に反体制武装勢力によって制圧され、現在は軍・治安部隊による攻撃はないが、事態沈静化を受けて犯罪者が流入したという。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、クサイル市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。
一方、SANA(10月13日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、タッルドゥー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。
他方、『ハヤート』(10月15日付)によると、反体制武装勢力がラスタン市近郊のダイル・フール村の防空大隊の拠点を制圧した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、マアルバ町に軍・治安部隊が突入し、兵士5人が死亡した。
一方、SANA(10月13日付)によると、サフワ村、ヒルバト・ガザーラ町とダルアー市を結ぶ街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃、殲滅した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(10月13日付)によると、ダイル・ザウル市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ラッカ県では、SANA(10月13日付)によると、タッル・アブヤド市郊外で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。
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ダマスカス郊外県では、SANA(10月13日付)によると、軍・治安部隊が東グータ地方での反体制武装勢力の「浄化」を継続した。
一方、『ハヤート』(10月15日付)によると、反体制武装勢力がウタイバ村近郊の防空大隊の拠点を制圧した。
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ラタキア県では、SANA(10月13日付)によると、ナビー・ユースフ山を越えてトルコから潜入を試みた反体制武装勢力を軍・治安部隊が撃退した。
国内の動き
シリア外務在外居住省は声明を出し、シリア・トルコ両国間で安全保障問題を直接協議するための連絡の仕組みを構築する必要があると述べたロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣の発言への支持を表明した。
同声明によると、この支持表明はアズマトゥッラー・クルモハンマドヴ駐シリア・ロシア大使とシリア側の協議を通じて示された、という。
またトルコ旅客機のシリア領空の通過を禁止したと発表した。
SANA(10月13日付)が報じた。
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アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣は、ヒムス県ヒムス市での国民対話会合に出席した。
SANA(10月13日付)が報じた。
反体制勢力の動き
レバノン日刊紙『アフバール』(10月13日付)は、信頼できる消息筋の話として、反体制武装勢力がシリア国内唯一の塩素ガス製造工場を占拠した、とシリア政府が国連などに対して通達した、と報じた(事実確認はとれていない)。
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ロイター通信(10月13日付)は、シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長の任期終了を受け、ブルハーン・ガルユーンが事務局長に返り咲く可能性が高いと報じた。
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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は『スィヤーサ』(10月13日付)に対して、ヒズブッラーとイランに「ポスト・アサド段階に備える」よう求め、アサド政権への支援を行わないよう訴えた。
クルド民族主義勢力の動き
クルディーヤ・ニュース(10月13日付)は、トルコに収監中のアブドゥッラ・オジャランを支持するクルド人がハサカ県ダイリーク市に「アサーイシュ」(クルド治安軍)を教練するためのセンターを開設している、と報じた。
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ハサカ県ダイリーク市でクルド語の授業を開始した12の学校が当局によって閉鎖された。
諸外国の動き
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、イスタンブールでの国際会議で「我々みなの努力にもかかわらず、国連安保理はシリアで続く人道的悲劇に20ヶ月も介入しないままだ」と述べるとともに、「拒否権の悪しき行使がシリアでの問題解決を妨げている」とロシア、中国を暗に批判した。
またアフメト・ダウトオール外務大臣は、「シリアによるいかなる国境侵犯に対しても何らの躊躇なく報復するだろう」と述べた。
このほか、両名は、国連の潘基文事務総長、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表、ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣、シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長と会談した。
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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、シリア・アラブ航空旅客機の強制着陸をめぐって、(押収された積荷が)「重要な軍装備品であることは疑う余地がない」と断じるとともに、ロシアの対シリア政策を「道徳的に破綻している」と非難した。
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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣が先週、カタールを訪問し、反体制武装勢力が拉致するイラン人質48人の問題を協議したと発表した。
しかしサーレヒー外務大臣がカタールで誰と会談したのかは発表しなかった。
al-Akhbar, October 13, 2012、Akhbar al-Sharq, October 13, 2012、AFP, October 13, 2012、al-Hayat, October 14, 2012, October 15, 2012、Kull-na Shuraka’, October 13, 2012、al-Kurdiya
News, October 13, 2012、Naharnet, October 13, 2012、Reuters, October 13,
2012、SANA, October 13, 2012、al-Siyasa, October 13, 2012などをもとに作成。
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