アル=カーイダの指導者ザワーヒリー氏はヌスラ戦線のアル=カーイダからの離反に疑義を呈しつつ、シリアの反体制派との統合を主唱(2016年5月8日)

アル=カーイダの指導者アイマン・ザワーヒリー氏によると思われる音声声明(http://www.dailymotion.com/video/x496xuo_infirw-mp4_news)がインターネット上で公開された。

音声声明は「シャームのために駆けつけよ」と題され、ザワーヒリー氏と思われる男性が約9分にわたり演説行っている。

演説のなかでザワーヒリー氏と思われる男性は、「アラブの春」に伴う各国の政治変動のなかで革命としてのイメージを唯一持っているのがシャームにおける革命だとしたうえで、それが「正しい方法、すなわちシャリーアとその裁定を確立するための布教とジハードを行うという道をとった」と高く評価した。

また声明のなかで、男性はダーイシュ(イスラーム国)とその指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏を厳しく非難、シャームで戦うムジャーヒディーンを支援するためにシャームに駆けつけるよう、イスラーム教徒たちに呼びかけた。

一方、シャームの民のヌスラ戦線については、シャームにおけるイスラーム教徒の直接支配ではなく、現地の人々が自身の指導者(イマーム)を選出することを望んでいると指摘、「我々はヌスラ戦線に何度も繰り返し言ってきた。シャームの民、そしてその中心にいる勇敢のムジャーフディーンたちがイスラーム教徒の政府を樹立するのなら、彼らにイマームを選出させよ、と。彼らが選ぶことこそが我々の選択だ」と述べた。

またカタールなどが試みているヌスラ戦線のアル=カーイダからの脱退については次のように述べた。

「ヌスラ戦線がアル=カーイダから分離すれば、大罪を犯す者どもは満足するだろうか? 彼らはヌスラ戦線に殺戮を続ける犯罪者どもと同席することを強いるだろうか? ヌスラ戦線に屈辱と侮蔑の合意を受け入れるよう強いるだろうか? 腐敗と従属の政府に服するよう強いるだろうか? 腐りきった民主主義のゲームに参加するよう強いるだろうか? そして最後には、アルジェリアのFIS、エジプトのムスリム同胞団がそうだったように、ヌスラ戦線を投獄するだろうか…? 今日の我々の義務とは…救済のために駆けつけることであり、シャームのムジャーヒディーン統合に努め、世俗的ヌサイリー体制とサファヴィー朝のラワーフィドどもの支援者、ロシアと西洋十字軍の同盟者どもから、全世界のムジャーヒディーン同胞を解放することだ。統合という問題は死活問題なのだ」と述べた。

AFP, May 8, 2016、AP, May 8, 2016、ARA News, May 8, 2016、Champress, May 8, 2016、al-Hayat, May 9, 2016、Iraqi News, May 8, 2016、Kull-na Shuraka’, May 8, 2016、al-Mada Press, May 8, 2016、Naharnet, May 8, 2016、NNA, May 8, 2016、Reuters, May 8, 2016、SANA, May 8, 2016、UPI, May 8, 2016などをもとに作成。

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