アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県北西部の反体制武装集団の戦略拠点マーリア市近郊に位置するサンダフ村、カフルカルビーン村、カフジャブリーン村から突如撤退、2週間にわたるマーリア市への包囲を解除した。
これにより、マーリア市と、シャームの民のヌスラ戦線を含む反体制武装集団の県北西部における最大拠点都市のアアザーズ市、バーブ・サラーマ国境通行所を結ぶ街道が再開した。
シリア人権監視団によると、ダーイシュはまたスーラーン町、タラーリーン村、カッラ・クーバリー村、ヤーン・ヤバーン村、ドゥーディヤーン村、ブライシャ村、ガザル村などトルコ国境沿いの複数の村々からも撤退した。
ドゥラル・シャーミーヤ(6月8日付)によると、ダーイシュはさらにジャーリズ村、ヤフムール村からも撤退した。
クッルナー・シュラカー(6月8日付)によると、撤退した村々にはムウタスィム・ビッラー旅団が展開したという。
ムウタスィム・ビッラー旅団は米国とトルコから支援を受けていることを公言する組織で、7日、マーリア市で籠城していた反体制武装集団を糾合したとするビデオ声明(https://youtu.be/qCS_55GW8dI)を発表していた。
撤退したダーイシュの部隊は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が進軍する県東部のマンビジュ市方面に移動したという。
そのマンビジュ市一帯では、米主導の有志連合の航空支援を受けるシリア民主軍がダーイシュと交戦し、2カ村を新たに制圧、また有志連合がカルサーン村のダーイシュ拠点を空爆し、戦闘員16人が死亡した。
なお、マンビジュ軍事評議会のシャルファーン・ダルウィーシュ報道官は、ロイター通信(6月7日付)に対して、「シリア民主軍はマンビジュ市の間近にいるが、民間人が市内にいるため、同市への突入を躊躇している。ただ、我々は自分たちが望む時に突入できる」と述べた。
一方、アアザーズ市西部に位置する西クルディスタン移行期民政局の拠点都市アフリーン市に、ヌスラ戦線と共闘する反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が撃ち込まれ、人民防衛隊隊員3人が死亡した。
AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Durar al-Shamiya, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。
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