2012年7月22日のシリア情勢

国内の暴力(ダマスカス県)

『サウラ』(7月23日付)によると、軍・治安部隊はマッザ区のラーズィー農園で反体制武装集団の残党を掃討し、同地を奪還した。

al-Thawra, July 23, 2012

al-Thawra, July 23, 2012

またダマスカス県バルザ区、ダマスカス郊外県のディヤービーヤ市、サイイダ・ザイナブ町でも軍・治安部隊が、反体制武装集団の捜索を継続し、多数のテロリストを殺傷、逮捕した。

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シリア・アラブ・テレビ(7月22日付)は、ダマスカス県での戦闘で軍・治安部隊が殺害した外国人戦闘員(エジプト人、レバノン人)のパスポートを公開した。

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シリア人権監視団によると、軍・治安部隊はダマスカス県、アレッポ市内の各地区で反体制勢力の掃討活動を継続し、両者の間で激しい戦闘があったという。

同監視団は、軍・治安部隊がマイダーン地区やカーブーン区の主要な街区を制圧したが、依然として戦闘が続いていることを明らかにした。

またマッザ区のバサーティーン・ラーズィーに軍・治安部隊の戦車が突入し、3人が死亡したという。

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複数の目撃者や活動家によると、第4機甲師団の戦車少なくとも20輌と兵士数百人がバルザ区に入り、反体制武装集団を掃討・処刑した。

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反体制活動家らは、軍・治安部隊がヘリコプターでルクンッディーン区、カーブーン区を砲撃したと主張した。

シリア・アラブ・テレビ(7月22日付)はダマスカス県内でヘリコプターが砲撃したとの一部情報を否定した。

国内の暴力(アレッポ県および郊外)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、ジャミーリーヤ地区、メリディヤーン地区、出入国管理所近くで戦闘があった。

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自由シリア軍アレッポ県軍事評議会司令官を名のるアブドゥルジャッバール・ムハンマド・アカイディー大佐は声明を出し、アサド政権からアレッポ市をダッシュするための「灰色のアレッポ作戦」を開始したと発表した。

また「今日まで、自由シリア軍はアレッポ市郊外のほとんどの地点を解放することに成功した。我々の前にはアレッポ解放、そしてシリア全土解放という道が開けた」と付言し、アレッポ県全土に非常警報を発令すると宣言した。

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『サウラ』(7月23日付)によると、アレッポ市北西部のカブターン・ジャバル地方で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、反体制武装集団に甚大な被害を与えた。

またアレッポ市北部のヒヤーン地方でも、軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦、外国人戦闘員2人を含む5人の戦闘員を殺害した。

さらにフライターン市でも軍・治安部隊が反対武装集団を要撃し、20人を殺害した。

al-Thawra, July 23, 2012

al-Thawra, July 23, 2012

国内の暴力(国境地帯)

シリア革命最高指導評議会のアフマド・ザイダーン報道官は、自由シリア軍アムル・ブン・アース大隊が対トルコ国境にあるバーブ・サラーマ国境通行所(アレッポ県)を制圧したと発表した。

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一方、『ハヤート』(7月23日付)によると、シリア軍は対イラク国境のヤアルビーヤ国境通行所(ハサカ県)を反体制武装集団から奪還した。

イラクのニネベ県のアスィール・ヌジャイフィー知事によると、「反体制武装集団が昨日晩(21日)に移動したのち、シリア軍はヤアルビーヤ国境通行所を交戦せずに奪還した」と語った。

ヌジャイフィー県知事はまた「政府軍、自由シリア軍のいずれが制圧していようと、通行所はシリアから帰国するイラク人にのみ開放され、それ以外の業務は停止している」と付言した。

なおイラク内務省のアドナーン・アサディー内務次官もヤアルビーヤ国境通行所をシリア軍が奪還したことを確認したと述べた。

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アナトリア通信(7月22日付)が報じたところによると、トルコ軍がマルディン周辺に地対空ミサイル搭載車輌および兵員輸送車輌を派遣した。

地元の軍消息筋によると、対シリア国境に配備される、という。

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AFP(7月22日付)は、イラクの政治評論家やカーイム市長などの話などをもとに、自由シリア軍によるブーカマール国境通行所(ダイル・ザウル県)制圧により、シリア・イラクの通商関係は滞り、シリア政府に打撃を与える一方、同地域が反体制武装集団の武器密輸経路になるだろう、と報じた。

国内の暴力(その他)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がダイル・ザウル市をヘリコプターなどで砲撃し、反体制活動家1人が死亡した。

またブーカマール市では市民1人が砲撃で死亡した、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のハミーディーヤ地区で反体制武装集団の戦闘員1人が砲撃で死亡した。

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ハマー県では、『サウラ』(7月23日付)によると、ハマー市で治安維持部隊が反体制武装集団のアジトを襲撃し、多数を逮捕した。

シリア政府の動き

アサド大統領はアリー・アブドゥッラー・アイユーブ中将を新参謀長に任命、同中将と会談した。

al-Thawra, July 23, 2012

al-Thawra, July 23, 2012

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トルコの憲兵司令部は、アサド大統領がシリアのムハーバラートにPKKへの武器・資金支援を行うよう命令を出したとの報告書を作成した。『ヒュッリーイェト』(7月22日付)が報じた。

この報告書によると、憲兵高官は、PKKがシリア国内の複数の都市で武器を管理していることを突き止めたとしている。

反体制勢力の動き

反体制武装集団は、ダマスカス県での戦闘でラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件に関してレバノン国内で偽証を強要されたとシリア国内で記者会見(2005年11月)した後、長らく姿をくらましていたフサーム・ターヒル・フサーム氏の身柄を確保した、とユーチューブ(7月22日付)を通じて発表した。

フサーム氏は、ベイルートに移送されることを望むとしたうえで、「誰も期待していないようなサプライズ」を空かすだろうと述べた。

http://www.youtube.com/watch?v=YtSgAsCV1y8&feature=player_embedded

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「ダマスカス県および同郊外県軍事指令部」をなのる組織が「スクール(鷹)特殊任務大隊」の名で、ラージハ国防大臣らを暗殺した直後にダマスカス県ラウダ地区の民族治安局ビル近くで撮影したと思われるビデオを配信した。

同ビデオでは、暗殺がビル内に仕掛けられた爆弾によって行われたと軍事指令部報道官が解説している。

『ハヤート』(7月23日付)は、スクール特殊任務大隊が「元士官からなり、反体制勢力のなかでもっとも専門技術が高く」、6月にはダマスカス郊外県のマルジュ・スルターン空軍基地を襲撃、ヘリコプターを破壊したという。

Youtube, July 22, 2012

Youtube, July 22, 2012

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在英の反体制組織シリア人権監視団は、2011年3月以来の混乱のなか、民間人13,296人、軍兵士4,861人、離反兵949人が死亡した、と発表した。

レバノンの動き

MTV(7月22日付)は、シリア軍兵士約300人がベカーア県バアルベック郡のカーア地方に進入し、複数の民家を家宅捜索した、と報じた。

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『ラアユ』(7月22日付)は、ヒズブッラーに近い消息筋の話として、アサド政権が崩壊したとしても、ヒズブッラーに化学兵器が引き渡されることはないだろう、と報じた。

諸外国の動き

赤十字国際委員会は声明を出し、ダマスカス県での戦闘激化により、地区どうしが寸断され、移動が困難になっていると懸念を表明、さらなる人道支援が必要だと訴えた。

同委員会によると、暴力を避けて避難している市民の数は数千人にのぼり、その一部は国外に逃れる一方、多くの人々が政府の施設、学校などに避難している、という。

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反体制武装集団に武器・兵站支援を行うサウジアラビアのアブドゥッラー国王は、シリアの同胞を救済するための寄付を募るキャンペーンを開始するよう支持した。

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反体制武装集団に武器・兵站支援を行うカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、自身が議長を務めるアラブ連盟シリア問題閣僚委員会のドーハでの会合で、「アナン特使の任務は変更され、平和的な政権移行に向けられねばならない」と述べる一方、安保理における意見対立が「シリアでの流血を許可する」ものと非難し、シリア情勢への対処を再検討すべきと主張した。

またアサド大統領に対しては、シリアにその運命を託し、ラマダーンの流血を避けるため、退任という「勇敢な決定」を行うよう呼びかけた。

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BBC(7月22日付)は、EUの制裁決定に従い、英国でアサド家の資産約1億6000万ドルが凍結されたと報じた。

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ヨルダン政府は、「国家安全保障維持のためあらゆる侵犯」を阻止するための必要なすべての措置を講じると発表した。

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駐ヨルダン米大使はシリア人避難民受入のための1億ドルの資金援助を行うと発表した。

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イスラエル外務省報道官は、ゴラン高原の非武装地帯へのシリア軍の進入に関して国連に抗議文を提出した。

AFP(7月23日付)が報じた。

AFP, July 22, 2012、Akhbār al-Sharq, July 22, 2012、DPI, July 23, 2012、al-Ḥayāt July 23, 2012、Kull-nā Shurakāʼ, July 22, 2012、Naharnet.com, July 22, 2012、al-Raʼy, July 22, 2012、Reuters, July 22, 2012、SANA, July 22, 2012, July 23, 2012、al-Thawra, July 23, 2012などをもとに作成。

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