アサド大統領はセルビア日刊紙『ポリティカ』のインタビューに応じる:「欧米諸国のテロ支援はシリア、ロシア、イランに対する消耗戦だ」(2016年11月3日)

セルビア日刊紙『ポリティカ』(11月3日付)は、シリアの首都ダマスカスでアサド大統領との単独インタビューを行い、その全文をSANA(11月3日付)がアラビア語などで配信した。

インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:

SANA, November 3, 2016

SANA, November 3, 2016

**

「西側、主に米国は…民間人ではなく、テロリストの形勢が不利になるときにだけ停戦を求めてくる。西側はテロリストを支援するために停戦を利用と試みている…。それがうまくいかないと、西側はテロリストにそれを破綻させ、攻撃を再開するよう求める。誰が責められるべきか? それは米国とその同盟者だ…。彼らにとってテロリストを支援することは、シリア、イラン、ロシアに対する「消耗戦」なのだ…。(テロリストを支援しているのは)サウジアラビア、カタール、トルコだ」。

「シリアからトルコへ、有志連合の衛星や無人航空機の監視下で、何も行われず(石油がトルコに密輸され、トルコからテロリストへの支援が続けられてきた)…。ロシアが介入して、ダーイシュ(イスラーム国)の車列や拠点を攻撃して初めて…、ダーイシュは縮小し始めた。つまり、西側は、トルコ、サウジアラビア、カタールに(テロ支援の)青信号を出したのだ。事実、これらの国は…西側の操り人形で…、シリアで活動するテロリストはそのプロキシ(代理)だ」。

「(ダイル・ザウル市郊外でダーイシュと戦うシリア軍部隊に対する有志連合の「誤爆」は)米軍が練り上げた攻撃だ。なぜなら、シリア、ロシア、イランの協力によってダーイシュは縮小し、アル=カーイダと関わりがあるヌスラ(シャーム・ファトフ戦線)はシリアの多くの地域で敗退していたからだ。だから、米国はシリア軍の地位を弱めようとして、ダイル・ザウル市の部隊を攻撃したのだ。1時間も続いた爆撃は偶発的な事故によるものなどではない…。またダーイシュは空爆から1時間も経たずして攻撃してきた」。

「(アレッポ市郊外のシリア赤新月社の車列に対する攻撃の責任は)テロリストにある。なぜなら、そうすることに利害があったからだ。我々はアレッポでの停戦を発表したとき、彼らはそれを拒否し…、アレッポ東部に車列が入ることを拒否した…。だから、彼らは車列を攻撃することに利害があったのだ」。

「(化学兵器使用疑惑に関して)西側はこの手のヘッドラインを利用して、自分たちの国の世論の感情を高めようとしている。彼らが干渉したいと考えれば、世論が支持している場所がいい…。数日前に反体制派が化学兵器を使用した…。また化学兵器とは関係なく、テロリストは過去3日間にアレッポで無垢の市民80人以上を殺害した…。しかし西側の主要なメディアがこのことを書いているものはない」。

「何よりもまず、トルコ、サウジアラビア、カタール、そして米国をはじめとする西側諸国がテロリストへの支援を止めれば、シリアの危機は終わるだろう」。

「キリスト教徒、イスラーム教徒、そしてその他の宗派、エスニシティからなる社会のカラーがなければ、シリアは存在しない。すべてのシリア人は自分たちの宗教儀礼、伝統、信仰を自由に実践できると感じているはずだ…。そうでなければ、シリアは安定した国家として存続できない。これを「寛容」とは呼ばない。なぜなら「寛容」とは、自分の意思に反する何かを受け入れることを意味する。しかし、イスラーム教徒もキリスト教徒もシリアでは何世紀も共生しており、日常生活のレベルで統合されている。彼らはゲットーで暮らしているのではない…。シリアはこの戦争よりも同質的になっている」。

「世界中で米大統領選挙についてどちらが良いか、つまりクリントンとトランプのどちらが良いかが議論されているように思う。しかし、シリアでは、どちらが「より良い」のではなく、どちらが「より悪いのか」が議論されている。私が思うに、どちらも我々にとっては良くない…。我々の経験に基づくと、米国の首脳は自分たちの言葉を守ることなどない。彼らは正直ではない。彼らが何を言おうと信じられない」。

AFP, November 3, 2016、AP, November 3, 2016、ARA News, November 3, 2016、Champress, November 3, 2016、al-Hayat, November 4, 2016、Iraqi News, November 3, 2016、Kull-na Shuraka’, November 3, 2016、al-Mada Press, November 3, 2016、Naharnet, November 3, 2016、NNA, November 3, 2016、Reuters, November 3, 2016、SANA, November 3, 2016、UPI, November 3, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.