ジュネーブの国連人権理事会(OHCHR)で、シリア国内での人道状況に関する双方向対話とシリア国内での失踪・拘束に関するパネル・ディスカッションが行われた。
シリア国内での人道状況に関する双方向対話では、シリアでの人権侵害を調査するための国際調査委員会のパウロ・セルジオ・ピネイロ委員長が報告を行い、2016年12月のダマスカス郊外県アイン・フィージャ町の揚水施設をめぐるシリア軍と反体制武装集団の戦闘に関して、シリア軍が揚水施設を意図的攻撃し、そのことが約1ヶ月におよぶ首都ダマスカスの断水をもたらしたと指摘した。
報告では、シリア軍がアイン・フィージャ町への空爆を本格化させた2016年12月23日以前には、シリア政府の主張したような貯水槽などの汚染は報告されていなかったとしたうえで、「水源に武装集団メンバーがいたことで、(揚水施設が)軍事的に標的となったものの…、住民の生活に欠かせない多くのものが攻撃を受けており、(シリア軍の)攻撃は戦争犯罪の域に達している」とシリア政府を厳しく非難した。
また、シリア国内での失踪・拘束に関するパネル・ディスカッションでは、ザイド・ラアド・フサイン人権高等弁務官が、「シリアの国土全体が拷問部屋と化してしまってった」と非難、シリア政府に対して数万人の拘置者の釈放を呼びかけるとともに、「シリア国民が和解と和平に到達した際には、その処罰、真相究明、補償を行うべき」と述べた。
パネル・ディスカッションでは、シリア国内の刑務所に拘置されていたという元逮捕者が証言を行った。
AFP, March 14, 2017、AP, March 14, 2017、ARA News, March 14, 2017、Champress, March 14, 2017、al-Hayat, March 15, 2017、Iraqi News, March 14, 2017、Kull-na Shuraka’, March 14, 2017、al-Mada Press, March 14, 2017、Naharnet, March 14, 2017、NNA, March 14, 2017、Reuters, March 14, 2017、SANA, March 14, 2017、UPI, March 14, 2017などをもとに作成。
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