カザフスタンの首都アスタナで4日に開幕したシリア政府と反体制武装集団による停戦協議「アスタナ5会議」は、共同声明を採択して閉幕した。
開催国であるカザフスタンのカイラット・アブドラフマノフ外務大臣が5日に開かれた全体会合で読み上げた共同声明では、停戦の保障国であるロシア、トルコ、イランが5月に発効した「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」に従い、停戦(監視)態勢の維持強化、当事者間の信頼醸成に務めることを確認、当事者に停戦の順守・維持、信頼醸成に努めるよう呼びかけた。
また、保障国であるロシア、トルコ、イランからなる合同作業グループを設置し、緊張緩和地帯での停戦監視などにかかる技術的諸条件の最終調整作業を付託、8月1~2日にイランでそのための会合を開催することを決定したことを明らかにした。
一方、7月10日にスイスの首都ジュネーブで予定されているジュネーブ7会議に関しては、開催に歓迎の意を示すとともに、停戦プロセスを強化するうえでアスタナでの会議が役割を果たすことが重要である旨確認した。
SANA(7月5日付)などが伝えた。
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『ハヤート』(7月6日付)によると、緊張緩和地帯での停戦監視、人道支援などに関する最終合意には至らなかった。
これに関して、シリア政府代表団を率いるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は、記者団に対して、トルコが合意成立を妨害したため「交渉の結果は極めて控えめなものにとどまった」と非難した。
またロシアに近い複数の消息筋によると、シリア中部(ヒムス県、ダマスカス郊外県)に設置された緊張緩和地帯では停戦監視、人道支援などに関する最終合意が成立したものの、イドリブ県の緊張緩和地帯をめぐっては、ロシア、トルコ、イランの間で合意を見なかった。
また南部(ダルアー県)に設置された緊張緩和地帯をめぐっては、米国、ヨルダンが戦闘に関与していることもあり、審議事項とはならなかった。
最終的には、トルコが、ロシア、イランに対して、すべての緊張緩和地帯での調整が完了した段階で最終合意を交わすことを求め、ロシア、イランがこれを受け入れるかたちとなったという。
RT(7月5日付)によると、遺跡地帯での地雷撤去、逮捕者の解放などをめぐって当事者(シリア政府・イランとトルコ)の意見対立が続いているという。
AFP, July 5, 2017、AP, July 5, 2017、ARA News, July 5, 2017、Champress, July 5, 2017、al-Hayat, July 6, 2017、Kull-na Shuraka’, July 5, 2017、al-Mada Press, July 5, 2017、Naharnet, July 5, 2017、NNA, July 5, 2017、Reuters, July 5, 2017、RT, July 5, 2017、SANA, July 5, 2017、UPI, July 5, 2017などをもとに作成。
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