各地で数万人がハマー県、ダイル・ザウル県との連帯を叫ぶデモに参加、EUは対シリア制裁拡大で合意(2011年8月5日)

シリア軍はハマー市内での戦車、装甲車の展開を強化、複数の活動家・目撃者によると、軍用車輌数十輌が増援部隊として過去24時間の間に同市に入った。ハマー市情勢の詳細がほぼ完全に途絶えているなか、活動からは、現在約135人と発表されている死者数よりも多くの人々が殺害されているのではと恐怖を露わにしている。

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「アッラーは我々とともにある」金曜日、数万人がハマー県、ダイル・ザウル県との連帯を叫ぶデモに参加した。シリア人権監視団とシリア人権連盟などによると、デモが断行された主な都市・村は以下の通り:ダマスカス郊外県のハラスター市、ドゥーマー市、キスワ市、ザバダーニー市、サクバー市、アルバイン市、ダーライヤー市、マダーヤー町(それぞれ数千人がデモ)、ダマスカス県のリファーイー・モスク近く、カフルスーサー区、アレッポ市サーフール地区など複数カ所、イドリブ県のビンニシュ市(12000人がデモ)、カフルナブル市、タフタナーズ市、サルミーン市、ダイル・ザウル市(30000人がデモ)、ヒムス市、カーミシュリー市、ラタキア市など。体制打倒とハマー県、ダイル・ザウル県との連帯が主唱された。

しかし活動家によると、とりわけダマスカス県カーブーン区、ルクンッディーン区、ダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市などは軍治安部隊が多数配備され、数万人が外出やモスクでの礼拝をはばまれた。また別の活動家によると、ダイル・ザウル市の住民が多数、市内から避難した。同市周辺では、戦車、兵員輸送車輌、装甲車などが市内での作戦の準備を進めている。

またシリア人権監視団およびシリア人権連盟によると、各地で軍・治安部隊がデモ参加者を強制排除し、その際22人が殺害された。このうち15人は午後のデモで殺害された。内訳はアルバイン市7人、ヒムス市3人、ドゥマイル市3人、ムウダミーヤト・シャーム市1人、ダルアー市郊外ナワー市1人。また7人は夜の礼拝後のデモで殺害された。内訳はダマスカス県ナフル・イーシャ地区(マイダーン区近く)2人、ヒムス市4人、ドゥーマー市1人。

シリア人権監視団によると、「ダマスカスおよび郊外の自由人たちは平和的変革を求めるデモ」を行ったが、ドゥーマー市では、治安部隊が催涙ガスを用いて排除を試み、デモ参加者に負傷者が出た。一部は重体だという。

複数の活動家によると、ハマー市との通信が途絶えており、治安回復作戦の激しさを物語っている。

一方、ダイル・ザウル市では、軍事作戦を恐れて多くの住民が避難しており、4分の1の住民(約50万人)が同市を去った、という。シリア人権監視団によると、住民は周辺の都市・村は、砂漠にテントを設営して避難している、という。

国民民主諸勢力国民調整委員会が声明を発表。アサド政権の弾圧を非難するとともに、国際社会の介入を拒否する姿勢を改めて示し、国民統合の維持、平和的大衆運動を通じて専制支配を打破し、民主国家の建設をめざすことを確認。

トルコのアンタリアを拠点とするシリア変革大会は声明を発表し、国連でのシリア非難安保理議長声明採択を歓迎。

シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官が声明を出し、国連安保理でのシリア非難安保理議長声明審議に際して、レバノン国連代表が反対の意思を表明したことを厳しく批判。「シリアの子供の殺害者たちを支援した」したうえで、「(ナジーブ・)ミーカーティー首相は自らの政治家としての将来、そして彼自身とシリア・レバノン両国民の関係の未来を取引材料にしている」、「レバノンとシリアを破壊しようとしている者に資している」と痛烈に非難。

シリア民主運動のムフイーッディーン・ラーズカーニー書記長は、チュニジアでラマダーン明け後の9月に反体制派の大会を開催すると発表。

在外の反体制勢力、シリア革命支援国民連立が声明を出す。国連でのシリア非難安保理議長声明採択を支持するとともに、ロシア、中国に対して改めて、アサド政権による弾圧を断念させるよう呼びかける。

シリア革命支援チュニジア調整委員会が発足。

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SANAによると、武装テロ集団の攻撃により、マアッラト・ヌウマーン市・ハーン・シャイフーン市間の国際幹線道路で治安維持部隊兵士1人が殺害、8人が負傷。ドゥーマー市でも1人負傷。アルバイン市では1人の民間人が殺害。治安維持部隊兵士5人を含む10人が負傷。

SANAによると、ダマスカス郊外県のムウダミーヤト・シャーム市で70人、ダマスカス県マイダーン区とバルザ区で30人が、金曜礼拝後に反体制デモを行った。

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在カイロ・シリア大使館前でシリア人、エジプト人数百人がアサド政権打倒を求めるデモを行う。

一方、ベイルートのシリア大使館周辺でアサドを支持するシリア人労働者数十人が支持行進。

一方、アンカラはシリア当局に対して、「トルコと国際社会のメッセージを真剣に受け取る」よう呼びかけた。またロバート・フォード米大使がダマスカスに戻り、シリア各地を訪問し続ける意思があることを表明した。またワシントンを去るにあたって、1982年の「ハマー虐殺」が繰り返されることを回避したいとの意思を示した。

『ハヤート』がニューヨークで得た情報によると、潘基文国連事務総長は複数のシリア高官への連絡を行っているが、昨日金曜日晩の段階で何らの回答も得ていない。

EUは対シリア制裁拡大で合意。

クウェート通信(KUNA)は、クウェート外務省高官筋の話として、アサド政権の弾圧継続による流血に悼みの念を表明するとともに、「対話と政治的」解決を呼びかけた。

AFP, August 5, 2011、Akhbar al-Sharq, August 5, 2011, August 6, 2011、AKI, August 5, 2011、Facebook、al-Hayat, August 6, 2011, August 7, 2011, August 6, 2011、Kull-na Shurakā’, August 5, 2011, August 6, 2011、KUNA, August 5, 2011、Naharnet.com, August 5, 2011、Reuters, August 5, 2011、SANA, August 6, 2011などをもとに作成。

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