2011年9月26日のシリア情勢

反体制運動弾圧

複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊は、抗議行動と軍離反者を掃討するため、ヒムス市、ラスタン市、クサイル市、ダルアー県各都市、ダマスカス郊外県各都市、イドリブ県各都市などで引き続き作戦を行った。またクサイル市とイドリブ県内では離反兵4人がシリア軍によって殺害された。

SANA, September 27, 2011

SANA, September 27, 2011

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ヒムス県では、SANA(9月27日付)は、何ものかが、ヒムスのバアス大学理学部に所属するナーイル・ダヒール准将と、同工学部のムハンマド・アリー・アキール副学部長を暗殺したと報じた。シリア人権監視団も殺害の事実を発表した。

シリア人権監視団によると、アースィー川で、身元不明の遺体2体が発見された。またヒムス市では、バイヤーダ地区で何ものかがシャマカ家の男性2人を誘拐した、という。さらにヒムス再生諸委員会のマルワーン・マルイー委員長が誘拐未遂に遭い、銃で撃たれ負傷した。

SANA(9月27日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区で、イスラエル製の武器、爆弾、最新の通信機器を積んだ自動車を摘発した、と報じた。

これに対して、ヒムス大学自由学生連合が声明を出し、アキール副学部長が治安部隊の発砲により射殺されたことを主張、ロシア上院使節団がヒムス市訪問時に面談し、同市の実情について説明したことが、暗殺の原因と推定する。http://www.facebook.com/notes/اتحاد-الطلبة-الأحرار-جامعة-حمص/بيان-هام-بشأن-اغتيال-الدكاترة-في-حمص-بتاريخ-26-9/219612531432929

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イドリブ県では、複数の目撃者によると、カフル・アミーム村、ライヤーン村、シャイフ・イドリース村に軍・治安部隊が突入し、少なくとも17人を逮捕した。

しかしSANA(9月27日付)は、イドリブ県で武装集団が、マイクロバスをハイジャックし、カフルルーマー村の農村開発プロジェクトに所属する14人を誘拐したと報じた。

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ダルアー県では、複数の目撃者によると、ダーイル町で、市議会議事堂が放火されたのち、激しい発砲があった、という。地元調整諸委員会によると、ダーイル町では25日晩からの軍・治安部隊の掃討作戦で5人が負傷した。またサナマイン市にも軍・治安部隊が突入したという。

一方、地元調整諸委員会によると、ナマル町から戦車が撤退したが、検問所が3カ所残されているという。

SANA(9月27日付)は、ダルアー県のヨルダン国境近くのナスィーブ村の家で、当局が大量の武器弾薬を押収したと報じた。またダルアー市内のダルアー大学近くに設置されていた爆弾を当局が撤去したと報じた。

Kull-nā Shurakā’, September 26, 2011

Kull-nā Shurakā’, September 26, 2011

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ハマー県では、地元調整諸委員会によると、ハルファーヤー市などで6人が殺害された。

反体制勢力の動き

国民民主諸勢力国民調整委員会の執行部はダマスカスで会合を開き、在外の反体制勢力などとの糾合について議論、ダマスカス民主国民宣言、イスラーム主義諸勢力との運動の統合をめざすための交渉を続けることで合意した。

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人民変革解放人民戦線の使節団がトルコ訪問を終えて、シリアに帰国。帰国直後に記者会見を行おうとしたが、会場を確保できずに中止となる。

これに関して、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首は、労働総同盟が当局の許可なく9月25日の記者会見会場を提供したためと述べた。

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反体制活動家でシリア国家建設潮流を発足したばかりのフサイン・ルワイユ氏がモスクワ・ニューズ(9月26日付)のインタビューに応える。このなかでルワイユ氏は、「政権と対決するため、単一の政治的局を作る必要などない。我々は自由と権利のために闘っている。それは政治生活の産物であり、おそらく国内の政治や市民生活にかかわる様々な問題が濃縮されるだろう…。つまりそれは多様性であって断片化ではない。活力を意味している」と述べた。また反体制勢力が諸外国に使節団を送っていることに関して、仲介は中立的であるべきとしたうえで、ロシアやトルコの仲介に関して、その真意が計りかねるため、「きわめて慎重になっている」と述べ、あくまでも国内の当事者のみでの問題解決をめざす意向を示した。

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シリア革命総合委員会が米国ワシントンDCで記者会見を行うとのプレスリリースを出す。

アサド政権の動き

中東諸国訪問中のレバノンのマシュリク・キリスト教会合の使節団(ルーカー・フーリー司教代表)はシリアを訪問しバッシャール・アサド大統領と会談した。大統領府声明によると、アサド大統領は会談で、宗教・宗派間の差別を拒否し、過激主義に反対するとの立場を明らかにした。

SANA, September 27, 2011

SANA, September 27, 2011

SANA, September 27, 2011

SANA, September 27, 2011

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ワリード・ムアッリム外務大臣は国連総会で演説し、シリアが国内で政治・経済・社会改革を行う必要があるとしつつ、「現下の政治的圧力のもと…、国内の諸要求は二義的なものとなり、最優先課題は外国の圧力への対抗」となっていると述べる。また「現在シリアが直面しているのは、国民のニーズや要求が、シリア国民の願望や利益とまったく異なる目的で利用されているという事態であり、平和的なこれらの要求は、武装集団による内乱助長や治安悪化をエスカレートさせ、それが外国の介入の口実となっている」と述べ、シリアが自らの力で国民を保護、治安・安全を維持し、外国の介入に対抗する、との意思を示した。

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ジャーナリスト連合のイリヤース・ムラード総裁、同連合執行部メンバー、メディア機関の代表ら数十人がダマスカス空港街道沿いにあるドゥンヤー・チャンネルの本社前で集会を行い、外国メディアによる「煽動」に反対するプラカードを掲げ、西側諸国の経済制裁に関して「シリア国民の意見の表明や選択の権利を奪う敵対行為」と非難した。

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『スーリーユーン・ネット』(9月26日付)は、複数の消息筋の話として、副参謀長のバッサーム・ナジュムッディーン・アンターキーヤ中将がアサド政権に対するクーデタを画策したため、アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)に暗殺された、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(9月26日付)は、シリア首脳に近い消息筋の話として、数日以内に憲法改正委員会が設置され、そのなかには複数の反体制活動家もメンバーとして参加すると報じる。

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AFP(9月26日付)は、ダマスカスの自動車ディーラーの話として、自動車等の輸入規制により、自動車の価格が高騰している、と報じた。

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内務省は9月26日付で「凶悪犯」による政党結成を禁じる決定(決定第1134号)を発する。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は米国の国営ラジオとのインタビューで、「状況改善のために改革措置を講じる代わりに、アサドは自らの地位の保身を望み、より攻撃的、暴力的になった」と非難した。

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ロバート、フォード駐ダマスカス米大使は、キリスト教徒などシリアのマイノリティ宗派はアサド政権が崩壊した後にイスラーム主義者が台頭することを懸念している、と述べた。

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フランス外務省報道官は、ダマスカス県旧市街での大使に対する政権支持者の暴行を強く非難した。

Kull-nā Shurakā’, September 26, 2011

Kull-nā Shurakā’, September 26, 2011

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米国務省高官は匿名を条件に、ヒラリー・クリントン米国務長官が、国連安保理での対シリア制裁決議採択に向けた支援を中国の楊潔チ外務大臣に求めたことを明らかにした。

AFP, September 26, 2011、Akhbār al-Sharq, September 26, 2011, September 27, 2011、al-Ḥayāt, September 27, 2011、Kull-nā Shurakā’, September 26, 2011, September 27,
2011, September 28, 2011, October 14, 2011、Sooryoon.net, September 26,
2011、SANA, September 27, 2011などをもとに作成。

 

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