ロシア軍参謀本部機動総局のセルゲイ・ルドスコイ局長は、ダイル・ザウル県でのロシア、シリア両軍によるダーイシュ(イスラーム国)掃討作戦の最近の戦果についてブリーフィングを行った。
それによると、この1週間で、ロシア、シリア両軍は、ユーフラテス川右岸(西岸)のブーカマール市北西部一帯の約2,000平方キロメートルを解放した。
また、過去5日間に、自爆戦闘員130人を含むテロリスト550人以上を殺害、戦車6輌、爆弾を積んだ車輌14台、武装したピックアップトラック91台を破壊した。
さらに6日に、スハイル・ハサン准将指揮下の部隊と第5軍団がユーフラテス川右岸地域で進軍を続け、ダイル・ザウル市からブーカマール市にいたる幹線道路一帯を制圧、これにより、シリア軍はダイル・ザウル県に残っていたダーイシュ支配地域のすべてを解放した。
一方、ユーフラテス川左岸(東岸)でも、ロシア空軍の航空支援を受ける西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が3日までに、ダーイシュの支配下にあったすべての地域を解放した。
なお、ダーイシュ掃討戦最終段階で、ロシア空軍は1日100回から250回の出撃を行い、爆撃を行った。
以上のような戦果を受けて、シリア領内にはダーイシュの支配地域はなり、同国はダーイシュから完全に解放され、ダーイシュを敗北させるという任務は完了した。
解放後のダイル・ザウル県への避難民・難民の帰還や復興をめぐっては、「ダイル・ザウル県東部統治委員会」が発足、シリア駐留ロシア軍司令部の当事者和解調整センターもこれに参加した。
「ダイル・ザウル県東部統治委員会」は、ユーフラテス川左岸で暮らす遊牧民、アラブ人、クルド人らすべての宗派・エスニック集団によって構成され、ダイル・ザウル市、ハジーン市(ブーカマール市近郊)、ダブラーン村(マヤーディーン市近郊)に拠点が設置されたという。
Ministry of Defence of the Russian Federation, December 7, 2017をもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.