反体制系NGOシリア人権監視団のアブドゥッラフマーン代表はドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件に関してシリア軍犯行説に疑義(2018年4月23日)

英国で活動する反体制系NGOシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は21日、訪問先のエジプト(カイロ)で『東京新聞』のインタビューに応じた(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201804/CK2018042302000123.html)。

米英仏のシリア攻撃を招いた7日のダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件に関して、アブドゥッラフマーン代表は、シリア軍が使用したとの見方に疑念を示すとともに、米英仏の攻撃がシリア軍に「打撃を与えていない」と断言した。

アブドゥッラフマーン代表は、「化学兵器が使用されたかどうか断定も否定もできない…。ホワイト・ヘルメットの映像は不自然。遺体をすぐに埋めたことにも疑問が残る」と指摘、「政権軍もホワイト・ヘルメットもプロパガンダが多く信用できない」として、化学兵器禁止機関(OPCW)が現場で試料採取した検査結果を待つ立場だ。

アブドゥッラフマーン代表によると、ドゥーマー市で最後まで抵抗した反体制武装集団のイスラーム軍は事件発生直後に撤退に最終合意しており、「政権軍は過去に化学兵器の使用歴があるのは確かだが、今回は必然性がない」と述べるとともに、東グータ地方に対する爆撃の拠点だったドゥマイル航空基地では「7日は政権軍の航空機が離着陸をしていない」と付言した

一方、米英仏の攻撃に関して、アブドゥッラフマーン代表は、米英仏のミサイル65発以上が迎撃されたとしたの見方を示し、「米国は世論に配慮し、化学兵器に関わる3施設だけしか言及していない」と指摘した。

そのうえで「製造貯蔵施設が攻撃されれば周囲に流出したはずだが、そのような情報はない。そもそも事前に政権側は軍関連施設から武器を避難させ、2日後には航空基地の戦闘機使用が再開した」として、シリア軍の攻撃能力に影響は少ないとの見方を示した。

東京新聞、2018年4月23日

『東京新聞』2018年4月23日付朝刊、AFP, April 27, 2018、ANHA, April 27, 2018、AP, April 27, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2018、al-Hayat, April 23, 2018、Reuters, April 27, 2018、SANA, April 27, 2018、UPI, April 22, 2018などをもとに作成。

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