2014年3月9日のシリア情勢:国内の暴力

NNA(3月10日付)は、レバノンの治安筋の話として、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団に2013年12月に拉致されていた聖タクラー修道院の修道女ら13人が数日前に解放され、ベカーア県バアルベック郡アルサール村に無事移送されたと伝えた。

ジャディード(3月9日付)によると、修道女解放に向けた交渉は、総合情報総局長のアッバース・イブラヒーム少将と誘拐犯との間で行われた。

Kull-na Shuraka', March 9, 2014

Kull-na Shuraka’, March 9, 2014

また『ハヤート』(3月10日付)は、信頼できる消息筋の話として、修道女解放に向けた交渉が、カタール、トルコの仲介によってなされた、と伝えた。

LBCI(3月9日付)によると、レバノンの総合情報部交渉団が交渉のために、ベカーア県バアルベック郡のナフラ村・アルサール村郊外の無人地帯に向かい、その後、修道女ら13人を連れて交渉団はジュダイダト・ヤーブース(シリア)・マスナア(レバノン)間の国境通行所を経由して、レバノンに帰還した。

NNAによると、総合情報部交渉団にはカタールの諜報機関のスアーダ・クバイスィー長官が同行した。

マスナア村では、解放された修道女らを出迎えるため、報道関係者、ギリシャ正教会の関係者らが出迎えた。

スカイ・ニュース(3月9日付)によると、修道女ら解放の見返りとして、シリア政府は政治犯153人を釈放することに同意したという。

またミシェル・シャンマース弁護士はフェイスブックで、シリア当局がテロ法廷に起訴されている女性活動家15人を釈放したと綴った。

釈放されたのは、ルワイダ・カナアーン氏、カマル・ハティーブ氏、ランダ・ハーッジ・アワード・アブド氏、ザーヒヤ・アブドゥンナビー氏、ヤースミーン・バルシー氏、ダラール・クルディー氏、フーリーヤ・アイヤーシュ氏、ヒンナーディー・フサイン氏、マージドゥーリーン・バーイル氏ら。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、リーマー農場周辺、ヤブルード市周辺で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などと交戦し、軍兵士6人が死亡、また軍がヤブルード市周辺、バフア村などを空爆した。

一方、SANA(3月9日付)によると、ヤブルード市内およびその周辺、ザバダーニー市東部山岳地帯、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプおよびその周辺、アーリヤ農場、アドラー市旧市街およびウンマーリーヤ地区、アシュアリー農場、ハッザ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、ガーリヤ村で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民3人が死亡、2人が負傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、カルアト・ヒスン市周辺を軍が空爆した。

一方、SANA(3月9日付)によると、軍がザーラ村で地雷、爆発物などの撤去作業を行った。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ハイダリーヤ地区に対する軍の空爆で8人が死亡する一方、サーフール地区、ウンマーリーヤ地区、マサーキン・ハナーヌー地区などを軍が砲撃した。

またアレッポ市ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

さらに、マンナグ村一帯では、軍が空爆を行う一方、アレッポ中央刑務所周辺では、ジハード主義武装集団との戦闘で親政権の民兵クドス旅団の戦闘員2人が死亡した。

このほか、シャームの民のヌスラ戦線は、ハナースィル市東部で、「政府軍への共謀罪」で4人を逮捕した。

一方、SANA(3月9日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、クワイリス村、ラスム・アッブード村、ジュバイラ村、タッル・リフアト市、ハンダラート・キャンプ、バービース村、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、カッラーサ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区サラースィーン通り北部を軍が砲撃、また同地区内で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が軍と交戦した。

一方、SANA(3月9日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハラスター市郊外に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾市、建物などが被害を受けた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市、フバイト村を軍が「樽爆弾」で空爆した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルズィーター市を軍が「樽爆弾」で空爆した。

またムーリク市周辺では、軍がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦する一方、アッブード検問所、ダイル・ムハルダ検問所などをジハード主義武装集団が手製の迫撃砲で攻撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ズワイク村、バラードゥーン村、ドゥワイリカ村、サルマー町などで、軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦した。

またラタキア市では、マディーナ・リヤーディーヤにロケット弾3発が着弾し、タクシー運転手1人が死亡、6人が負傷した。

クッルナー・シュラカー(3月9日付)によると、着弾したロケット弾は6発で、少なく16人が負傷したという。

このほか、シリア人権監視団によると、ティシュリーン大学医学部の学生が逮捕・連行された。

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ハサカ県では、ARA News(3月9日付)によると、マルカダ町郊外のアトシャーナ村近くにあるシャームの民のヌスラ戦線検問所に対して、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が自爆攻撃を行った。

またタッル・タムル町一帯で、民主統一党人民防衛隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

AFP, March 9, 2014、AP, March 9, 2014、ARA News, March 9, 2014、Champress, March 9, 2014、al-Hayat, March 10, 2014、Iraqinews.com, March 9, 2014、al-Jadid TV, March 9, 2014、Kull-na Shuraka’, March 9, 2014、LBCI, March 9, 2014、Naharnet, March 9, 2014、NNA, March 9, 2014、Reuters, March 9, 2014、SANA, March 9, 2014、Sky News Arabic, March 9, 2014、UPI, March 9, 2014などをもとに作成。

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