レバノンのヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、レバノン紛争(2006年)の戦勝記念日に合わせてテレビ演説を行い、「シリア軍が「テロとの戦い」で勝利しなければ、レバノンで何も達成されなかったろう」と強調した。
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「ベカーア県における第2の解放(レバノン紛争での勝利)、シャーム解放機構などの、そして南部における第1の解放(2000年のイスラエル軍のレバノン南部からの撤退)により、レバノンには、占領者の居場所はなくなり…、敵に未来はなくなった」。
「米国が介入し、無人地帯(ベカーア県バアルベック郡の対シリア国境地帯)でのダーイシュ(イスラーム国)との戦闘にレバノン軍が参加するのを阻止、戦闘に参加したら支援を中止すると脅迫した」。
「シリアとイラクでダーイシュを敗北させたのは、現地で戦った者であって、米国ではない…。シリア国内でダーイシュが包囲されたとき、米軍の航空機が彼らを救出するためにやって来た…。米国はシリアでダーイシュを延命させようとして活動したのであって、ダーイシュと戦っていたのではない…。ダルアー県、スワイダー県、クナイトラ県のテロ集団は、ヨルダンのMOC(米CIA主導の軍事作戦司令室(Military Operations Command)が指揮し、米国とイスラエルがこれを支援していた」。
「シリア南部で起きたことは、米国が自らの道具を手放すことを知る教訓だ…。この世界に米国の同盟者など存在しない。米国はみなを道具として扱うからだ。誰も米国に賭けることなどできない。米国を動かしているのは、利権、覇権、石油、ガスなどだ。この地域の人民は、米国が自らの道具にどう対処してきたかという事実から教訓を学ぶべきだ」。
「(イドリブ県で化学兵器使用偽装工作の試みに関して)西側の目的は、シリアの国土解放を阻止するためにシリアを攻撃することだ。その一方、サウード家体制がイエメンの子供たちに対して行っている犯罪行為について、西側は沈黙したままだ」。
「もし、ダーイシュやヌスラ戦線、それに類する組織がシリアやイラクで勝っていたら、湾岸諸国、レバノンを含む地域の運命はいったいどうなっていただろう?… もし、ダーイシュやヌスラ(シャーム解放機構)の支配地域が、バアルベック、ヘルメル、ザフレ、シュトゥーラー、西ベカーなどレバノン各地に拡大していたら、人々の状況はどのようになっていただろう?」
「過去数年間にわたり、我々には動員のための演説を行う必要などなかった。今でもだ。我々が今日、シリアでより大きな作戦に参加すると決定したいのであれば、我々は士気の高い若者を見出すことができる…。これに対して敵(イスラエル)軍にとっての真の危機とは…マンパワー(の不足)にある…。昨年だけで4万4000人ものイスラエル兵士が精神科にかかっていることに…イスラエル軍司令部は悩んでいる」。
「組閣に関して、我々は国内での対話に賭けている。だが、時間がない。施政方針やシリアとの関係改善といった組閣にかかる問題を解消するための新たな誓約が必要だ」。
「レバノン特別法廷での決定は我々には何の関係もない。この法廷に賭けようとしている者に言いたい。火遊びは止めろ、と」。
AFP, August 26, 2018、ANHA, August 26, 2018、AP, August 26, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 26, 2018、al-Hayat, August 27, 2018、Qanat al-Manar, August 26, 2018、Reuters, August 26, 2018、SANA, August 26, 2018、UPI, August 26, 2018などをもとに作成。
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